私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

「オーマンディ&バイエルン放送響」 ライヴ盤(1959年)

2012-06-30 19:35:29 | 歴史的コンサート・ライヴ

 ユージン・オーマンディが遺したレコード録音の大半は「フィラデルフィア管弦楽団」とのものだが「独オルフェオ」から1990年ごろ初CD化された「バイエルン放送交響楽団」とのライヴ盤は興味深かかった。(写真/独ORFEO-C199 891A)

  これは1959年6月5日、ミュンヘンの「ヘルクレスザール」でのコンサート・ライヴ録音(モノラル)で収録作品のアイネム「奇想曲(Capriccio)」・ヒンデミット「交響曲ー画家マチス」・ルーセル「舞踊音楽/バッカスとアリアーヌ」第2組曲、ラヴェル「ラ・ヴァルス」に関心がわいた。アイネム以外の作品は「フィラデルフィア管弦楽団」とのモノラル録音も含め数種類のスタジオ録音があるがやはりライヴ録音ならではスリリングな面白さが魅力度を増す。なかでも早めのテンポで推し進める「画家マチス」はオーマンディの鋭い感性を感じ取れる。またアイネムの「奇想曲」はこのライヴ録音が唯一のものと思われる。 録音も大変良好である。

 

 

 

 

 

 


プレヴィン/ロンドン響 - ガーシュウィン管弦楽曲集(1980年録音)

2012-06-28 20:35:09 | 管弦楽曲

 アンドレ・プレヴィンとロンドン交響楽団はガーシュウィンのピアノと管弦楽曲作品を1971年に「ラプソディ・イン・ブルー」、「パリのアメリカ人」・「ピアノ協奏曲ヘ調」、そして1980年にデジタルで「交響的絵画<ポーギーとベス>」・「第2ラプソディ」(ピアノと管弦楽のための)・「キューバ序曲」を「EMI」に録音した。(写真/独EMI・LP盤)

 交響的絵画「ポーギーとベス」は云うまでもなくガーシュウィンのジャズ・オペラ「ポーギーとベス」を題材にした管弦楽作品でロバート・ラッセル・ベネットが1942年に編曲したものある。因みに作曲者自身の5曲から成る組曲版「なまず横丁」(Catfish Row)もよく演奏されるがプレヴィンの録音はベネット版によっている。また「第2ラプソディ」のピアノはプレヴィン自身ではなくブラジル出身の名女流ピアニスト、クリスティーナ・オルティスによるものである。 「キューバ序曲」はキューバ旅行の印象をもとに作曲されたものでルンバのリズムが印象的な作品でいずれもプレヴィンの気品を感じさせる演奏でもう30年以上も昔の録音とはいえ今も針を下ろすたびに心が浮き浮きさせられる。


カミラ・ウィックス ー 伝説の名盤復活!

2012-06-27 19:46:42 | 協奏曲

  鶴首して待ったカミラ・ウィックス、伝説の名盤シベリウスの「ヴァイオリン協奏曲」が本日復活した。 しかも有り難いことに国内盤「EMI Classics」の廉価盤999円シリーズである。(写真/TOCE-16050) ウィックスはシベリウスに絶賛された米国(カリフォルニア、ロング・ビーチ出身)の女流ヴァイオリニストである。 指揮はスウェーデンの名匠シクステン・エールリンク、管弦楽は「ストックホルム放送交響楽団」による1952年のモノラル録音である今回は最新リマスター音源からのCD化でみずみずしい音質も魅力的である。

  何年か前に状態の良いスウェーデン盤LPからの復刻CDもリリースされたことがあったがその音質は比較にならない。また国内盤LPとしてはかつて「GR盤」(東芝EMI)から出ていたものでシベリウスの名手ウィックスのきりりとした芸風が聴き手に伝わる名演である。 併せて収録されたエールリンク指揮による「トゥオネラの白鳥」・「レンミンカイネンの帰郷」(「4つの伝説曲」から)も同時期の録音である。

 


パウル・クレツキ、コンサート・ホール盤の「エロイカ」

2012-06-26 17:35:50 | 交響曲

 ポーランド出身の名指揮者パウル・クレツキ(Paul Kletzki/1900~1973)には以前に紹介した1960年代後半に「チェコ・フィル」と入れた「ベートーヴェン交響曲全集」があるがこれ以前に「コンサート・ホール」に「南西ドイツ放送響」と「第1番」・「第3番<エロイカ>」・「第5番」、「フランス国立放送響」と「第6番<田園>」をすでに録音していた。 なかでも本日取り上げる「南西ドイツ放送響」との「エロイカ」はスッキリとした仕上がりになっている。(写真/コンサート・ホール、SM2275/ステレオ) 因みに、録音年代は正確なデータが手元にないので不詳であるが1960年代初頭と推定される。

 管弦楽の「南西ドイツ放送交響楽団」は戦後(1946年)温泉保養地としても有名な「バーデン・バーデン」を本拠地として設立された「南西ドイツ放送局(SWF)」のオーケストラで現在では放送局の改組により「南ドイツ放送局(SDR)」と統合され正式名称を「バーデン・バーデン&フライブルクSWR交響楽団(SWR Sinfonieorchester Baden-Baden & Freiburg)」と呼ばれている。どちらかと云えば地味なオーケストラだがその名を広ろめたのはハンス・ロスバウト(Hans Rosbaud/1895~1962)のブルックナーのレコードや現代音楽作品の紹介を通じてからではないだろうか。

 ところでクレツキの演奏は決して派手さはないがその端正な芸風に自然と聴き手が引き込まれてしまうところに魅力があるのではないかと最近思うようになった。 

 


オッテルローの「シェエラザード」

2012-06-25 11:21:25 | 管弦楽曲

 ウィレム・ヴァン・オッテルロー(Willem van Otterloo/1907~1978)は1960年代中頃から70年代前半にかけ度々「読売日本交響楽団」に客演し名誉指揮者の称号も贈られたオランダの名匠である。 筆者も何度か来日の度にコンサートに足を運んだ思い出がある。 今日紹介する懐かしい「コンサート・ホール盤」のリムスキー=コルサコフ/交響組曲「シェエラザード」(写真ーM2276/ステレオ)は彼の名盤として誉れの高いベルリン・フィルとのベルリオーズ「幻想交響曲」(1951年モノラル録音)と共に愛聴している。

 録音はおそらく1960年代初頭と推定されるが大変良好である。管弦楽はよくこの「コンサート・ホール盤」に登場する「ウィーン音楽祭管弦楽団」である。ジャケットの解説によれば「毎年6月に開催されるウィーンの音楽祭のために特別編成されたオーケストラ」との記載があるがその実体はよくわからない。またヴァイオリン・ソロはローラン・フニーヴという人が弾いている。この奏者については当時「スイス・ロマンド管弦楽団」の第1ヴァイオリン奏者に在籍、ジュネーヴのコンセルヴァトワールで教鞭もとって活躍中との紹介があった。 ついでながらこの楽団の初来日公演(1968年)の手元のプログラムに記載された来日楽員メンバーには彼の名前は見当たらなかった。 いずれにせよ演奏はヴァイオリン・ソロも輝る大変素晴らしいものに仕上がっている。 ジャケット・デザインもインパクトがあり魅力的な1枚だ。

 

 

 


バルトーク/「カンタータ・プロファーナ」

2012-06-24 22:13:03 | 声楽曲

 今日はバルトークの「カンタータ・プロファーナ」という声楽作品を紹介したい。この作品は1930年、彼が49歳の時に作曲された世俗的カンタータで「魔法にかけられた牡鹿たち」という副題がついている。内容は当時のハンガリーの独裁政権ミクローシュ・ホルティに対する抗議を表現したものと解されている。 テキストはルーマニア、ハンガリーを中心に民間伝承された叙事詩を元に作曲者自身がまとめあげている。副題のとおり魔法にかけられ鹿に変えられた9人の兄弟の物語である。

 全体は3部構成からなり切れ目なく続けて演奏される。三管編成のオーケストラに混声四部の合唱、それにテノールとバス(バリトン)の独唱が加わる。演奏時間は約20分と短い作品だが全体を通じて調性的な旋律が美しい。写真のLPはハンガリーの名指揮者ジョルジ・レヘル(1926~1990)が当時、首席指揮者をつとめていた「ハンガリー放送交響楽団」と1963年に録音したものである。また合唱には「ハンガリー放送合唱団、ふたりの独唱者は当時の「ブダペスト国立歌劇場」の専属歌手、ヨーシェフ・レーティ(テノール)、アンドラーシュ・ファラゴー(バス)があたっている。

 尚、このLPの第1面及び第2面(Band-1)には同じくバルトークの舞踊音楽「中国の不思議な役人」(全曲)がヤーノシュ・フェレンチク指揮ブダペスト・フィルハーモニー管弦楽団、ハンガリー放送合唱団の演奏(1962年録音)が収められている。 因みにハンガリー出身のこの二人の指揮による録音はハンガリー・レーベル、「フンガロトン」に数多く遺されているが「ドイツ・グラモフォン」にはこの1960年代初頭の録音がわずかにあるのみである。(写真/DG国内盤1966年発売SLGM1281/ステレオ)

 

 


「ステレオ・トランスクリプション」によるフルトヴェングラーのシューマン

2012-06-23 23:22:58 | 交響曲

  写真のLPレコードは「ステレオ・トランスクリプション」ーつまり「擬似ステレオ」によるフルトヴェングラー&ベルリン・フィルの名盤、シューマンの「交響曲第4番ニ短調作品120」である。 (DG国内盤ーSMG1449) 筆者が高校時代に求めた懐かしい1枚だが因みに国内初出盤は10インチ盤(25cmLP)のモノラルであった。 写真のLPが発売された当時の1960年代後半期は各家庭にも「ステレオ装置」が普及し各レコード会社も録音状態が良好なモノラル録音を電気的にステレオ化する傾向があった。

  ライヴ録音が数多いフルトヴェングラーだが1950年代に「ドイツ・グラモフォン」にベルリン・フィルとスタジオ録音されたものとしてこの1953年5月録音のシューマンの「第4番」の他には1951年11月録音、自作の「第2番」の交響曲、ほぼ並行して録音されたシューベルトの交響曲「ザ・グレート」、それにハイドンの「第88番<V字>」を思いつく。なかでもこのシューマンの録音は大変素晴らしく「擬似ステレオ化」にも成功している。久しぶりに針を下ろしてみたが特に違和感も感じさせない。 

 またこのLPの第2面にはモーツアルトの作品が3曲 - 「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」・歌劇「フィガロの結婚」序曲(以上1947年録音)、歌劇「後宮からの逃走」序曲 (1949年録音)が収録されているが録音状態のためか「擬似ステレオ化」には無理があるように感じた。 最後に余談だがジャケットに録音場所が「ゲマインデハウス」と記載されているがシューマンの録音は「ベルリン・イエス・キリスト教会」ではないかと思われる。因みに「ゲマインデハウス」は当時、ベルリン・フィルの練習場としても使用されていたようでレコーディングも行われ「イエス・キリスト教会」と目と鼻の先にあるようだ。

 

 


ウィリアム・スタインバーグ&ボストン響、名盤二点 (DG)

2012-06-22 00:10:27 | 管弦楽曲

 

 ウィリアム・スタインバーグ(William Steinberg/1899~1978)の名盤と云えば1955年から四半世紀に渡りつとめた「ピッツバーグ交響楽団」音楽監督時代の数々の名盤を思い出す一方「ドイツ・グラモフォン」に録音した数少ない「ボストン交響楽団」の演奏も忘れることができない。 彼は1969年から72年にかけ「ボストン響」の音楽監督も兼務していた。 因みにこの間に彼は「ドイツ・グラモフォン」に3枚のレコード録音を遺している。

 その3枚とはホルスト/組曲「惑星」(1970年録音ーDG.2530102/写真・上)、R.シュトラウス/交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」(1971年録音ーDG.2530160/写真・下)、それにヒンデミット/「交響曲<画家マチス>」・「弦楽と金管のための協奏音楽」(1971年録音ーDG.2530246)である。また「画家マチス」にカップリングされた「弦楽と金管のための協奏音楽」は「ボストン交響楽団」創立50周年記念の委嘱作品であった。 どれもがスタインバーグのエネルギッシュな指揮ぶりが伝わる彼の壮大なスケールを感じる。とりわホルストとR.シュトラウスの録音はいつも彼の名盤の代表格にあがる演奏だけあり風格がある。 最近またこの二つがカップリングされ国内廉価盤CDとして再リリースされている。

 

 

 


ポール・パレーの「コンサート・ホール」録音集から

2012-06-19 20:20:31 | 管弦楽曲

 ポール・パレー(Paul Paray/1886~1979)はフランス、ノルマンディー地方の海岸都市ル・トレポール出身の名指揮者である。彼はパリの「ラムルー管弦楽団」を指揮してデビュー、その後「モンテカルロ国立歌劇場」の指揮者となりオペラ、コンサートで活躍するが戦後はアメリカに渡り「デトロイト交響楽団」の音楽監督となりこの楽団を世界的水準まで引き上げたことで知られている。

 「米マーキュリー」レーベルにはこの時代の数々の名盤が遺されているが今回取り上げる写真のCDは晩年彼が祖国フランスに戻り古巣の「モンテカルロ国立歌劇場管弦楽団」と「コンサート・ホール・ソサェテイ」にレコーディングした名演集である。このCDは2005年にイギリスの「SCRIBENDUM(スクリベンダム)」からリリースされた2枚組みで1969年から1977年にかけて録音されたものである。収録作品は(DISC 1)ーリスト「メフィスト・ワルツ」・交響詩「前奏曲」・交響詩「マゼッパ」(以上1969録音)、サン=サーンス「死の舞踏」・交響詩「オンファールの糸車」(以上1977録音)、デュカス「魔法使いの弟子」(1969年録音)、(DISC 2)ービゼー「カルメン」組曲(1977年録音)、ラヴェル「道化師の朝の歌」(録音ー不詳)・「ラ・ヴァルス」(1969年録音)の全9曲となっている。フランスものが中心でどれも興味深い演奏だがリストもなかなか聴き応えがある。 音質も「Abbey Road Studios」でデジタル・リマスタリングされたもので切れがありスッキリとした味わいになっている。

 ただここで一つだけ疑問が湧いた。パレーのディスコグラフィーを調べたところ(DISC-2)に収録されたラヴェル「道化師の朝の歌」だが「デトロイト響」とは先の「マーキュリー」に1962年のステレオ録音があるがこの「モンテカルロ国立歌劇場管」との録音が見当たらなかったことである。丁寧に調べたわけではないので一応「録音年ー不詳」としておいた。

 


FMエア・チェック - ノリントン、ベルリン・フィルの「スコットランド」

2012-06-17 21:25:53 | FMエア・チェック

 ピリオド楽器のスペシャリスト、ロジャー・ノリントンがモダン楽器の世界名門オーケストラ - ベルリン・フィルに初登場したのは1998年4月のことだった。この時振ったメイン・プロはメンデルスゾーンの交響曲第3番イ短調「スコットランド」であった。(1998年4月20日ーベルリン・フィルハーモニーホール)この演奏はこの年の8月、「東京FM」の早朝放送「ザ・シンフォニー・フロム・ヨーロッパ」で紹介された。ノリントンはこの作品をそれまでに確か自らが創設したピリオド楽器によるオーケストラ「ロンドン・クラシカル・プレーヤーズ」と「第4番<イタリア>」と共にCD録音していたと思うが「ベルリン・フィル」とはどのような演奏ななるのか興味津々であった。

 個性的な解釈からも魅力を引くノリントンだがこのベルリン・フィルとの演奏は多少テンポを遅めにとった(全体の演奏時間が42分強)とどちらかと言えばオーソドックス・スタイルな「スコットランド」にむしろ新鮮味を感じた。その後彼は98年より首席指揮者をつとめている「シュトゥットガルト放送交響楽団」とライヴ録音(2004年9月/独ヘンスラー)しておりこちらも聴きものである。(写真下)