私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

カラヤン&ワイセンベルク、 ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番

2011-01-31 19:56:07 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 
 カラヤン&ワイセンベルクのコンビによるベートーヴェンの「ピアノ協奏曲全集」(管弦楽/ベルリン・フィル)のレコードについてはこれまでにも「第4番」などを取り上げてきたと思う。この二人による全集録音は1974年から77年にかけ3年あまりも歳月かけ行われ写真の「第5番」のレコ-ディングが最初であった。写真のLP盤は米エンジェル盤/S-37062で1975年発売されたものだが国内盤は「東芝EMI」から当時「帝王ふたり<皇帝>中の<皇帝>」の「キャッチ・フレーズ」でリリースされたことを覚えている。
 後にこの「皇帝」を加えて全集盤で発売されたが一般的評価はそれほど高くはなかったようだ。しかし筆者個人的な感想だがこれほどまでに上品で繊細な雰囲気をかもしだした「皇帝」のレコードは少ないと思っている。1977年ベルリン・フィル来日公演にもワイセンベルクはソリストとして同行、東京・普門館のb「ベートーヴェン・ツィクルス」では「第3番」とこの「皇帝」を披露した。昨年「東京FM」開局40周年を記念してこの時の「ベートーヴェン交響曲全ツィクルス・ライヴ」の録音が高音質ステレオでリリースされたことは記憶に新しいがワイセンベルクとの協奏曲ライヴ音源も存在するらしい(当時FM未放送)のでぜひCD化を望みたいところである。

ケンペー「ウィーン・フィルの休日」

2011-01-30 20:27:35 | 管弦楽曲

 ルドルフ・ケンペ(Rudolf Kempe/1910~1976)は筆者が学生時代に「ロイヤル・フィル」を指揮する彼をロンドンまで追いかけ聴きに行った指揮者の一人である。彼は言うまでもなくヨーロッパの主要オーケストラの舞台で活躍した名指揮者であったが「ウィーン・フィル」の定期コンサートを指揮したことはなかったと思う。しかしレコード録音では1950年代末から1960年代初頭にかけて何枚かの録音を遺している。その中から筆者が一番好きなアルバムを紹介したい。写真は「ケンペ/ウィーン・フィルの休日」と題するものでポピュラーな小品を集めたCDで1997年に「TESTAMENT」シリーズとしてデジタル・リマスター化されたものである。(SBT1127/ステレオ録音)
 これは1961年12月にウィーン楽友協会ホールで録音されたもので1963年発売のオリジナルLPはマスカーニ「友人フリッツ」間奏曲、ポンキエルリ「時の踊り」、シュミット「ノートル・ダム」間奏曲、グノー「ファウスト」ワルツ、バイエル「バレエ音楽ー人形の妖精」、オッフェンバック「天国と地獄」序曲の6曲が収めれていたがCD化により同時期に録音されたクロアチアの作曲家ゴトヴァッツ/歌劇「あの世からきた悪漢」から「コロ舞曲」、シューベルト/「ロザムンデの音楽」、グルック/歌劇「オルフェーオとエウリディーチェ」から「精霊の踊り」を加えている。
 録音もリマスター化により一段と輝きを増しケンペ/ウィーン・フィルの絶妙なアンサンブルが楽しめる1枚である。

ひそかに人気を呼ぶ「香港フィルハーモニー管弦楽団」

2011-01-29 19:20:45 | 想い出の演奏会
 昨今、アジアのオーケストラで「香港フィルハーモニー管弦楽団」がひそかに人気を呼んでいるらしい。筆者もこのオーケストラを今から30年以上の昔の「1978年香港芸術祭」で生のコンサートを聴いたことを思い出す。このオーケストラの前身はなんでも1895年に創設された「中英管弦楽團」に遡ると言う。その後1957年に現在の名称に改名されプロのオーケストラとなったのは1974年のことである。従って筆者が初めてこの楽団に接した時はまだプロに転向して4年目ということになる。
 筆者が足を運んだ会場の「香港シティー・ホール」は「芸術祭」のさなか華やか賑わいをみせていた。指揮は当時のこの楽団の芸術監督ハンス・ギュンター・モマー(Hans Günter Mommer),ピアノにアメリカのアウグスティン・アニエヴァス(Augustin Anievas)を迎えてのコンサートであった。プログラムはモーツアルトの歌劇「魔笛」序曲で始まりアニエヴァスのピアノでチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番、最後はベートーヴェン交響曲第5番で締めくくるというポピュラーでスッキリとしたものだった。聴き終わって「なかなか演奏レベルの高いオーケストラだな」と感じたの覚えている。特にアニエバスのピアノは素晴らしかった。
 このオーケストラのホーム・ページをのぞいてみると2010/11年シーズンのプログラムも充実しており現在芸術監督を務めているエド・デ・ワールトをはじめ客演ソリストにも興味がわいてくる。あれからますますオーケストラも磨きがかかりそのレベルも30年前とは比較にならないだろう。また会場に足を運んでみたいと思っている。写真は当時のコンサート・チケットの半券だが座席番号の手書きがなつかしい。


ハイティンク/コンセルトヘボウの武満 徹「ノヴェンバー・ステップス」

2011-01-28 18:21:55 | 現代音楽

 武満 徹の傑作「ノヴェンバー・ステップス」の代表盤と言えばやはりこの作品の世界初演を指揮した小澤征爾盤2種(トロント響/サイトウ・キネン、いずれも琵琶=鶴田錦史/尺八=横山勝也)ということになろう。因みに前者が1967年録音、後者が1991年録音である。しかし筆者にはもう一つ忘れることができない同曲の好きなレコードがある。それは写真のベルナルト・ハイティンク指揮/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団によるものである。(写真/国内初出盤/フィリップスSFX7779/1970年発売)同様に琵琶、尺八のソロは同じく鶴田錦史、横山勝也の両名があたっている。やはりこの二人はこの作品を演奏するにあたり欠かすことのできない存在であった。
 ところでこの録音セッションには作曲者の武満も立ち会っおり「コンセルトヘボウ」における実際のコンサートのゲネ・プロで行われたと言われている。このLP盤の記録によれば録音年月日は1969年12月17日から19日となっている。録音状態も大変素晴らしくゲネ・プロ録音ということもあり緊張感が漂うコンサート・ライヴそのものの雰囲気を感じさせられる。しかもこの録音が初めての外国人指揮者によるものだった。その観点からしても大変記念すべきレコードでもあったわけである。そしてここでも琵琶、尺八の鶴田・横山両氏のまさに息の合ったソロの掛け合いが見事に光っている。
 尚、レコード第2面には時のフランス文化相アンドレ・マルローの委嘱による1964年のメシアンの作品「されば われ 死者のよみがえるを 待ち望む」が収録されている。

小澤征爾、奇蹟のNYライヴ - ブラームス/交響曲第1番

2011-01-27 19:35:03 | 交響曲

 昨日早くも小澤征爾「奇蹟のニューヨーク・ライヴ」と題し昨年12月14日にカーネギー・ホールで行われた「世界のオザワ」とサイトウ・キネン・オーケストラによる「ブラームス/交響曲第1番」のCDが発売された。(写真/ユニバーサル/UCCD-9802)早速、期待を持って聴いてみた。
 予想どおりマエストロ小澤、入魂のブラームスである。もとより彼が得意とする作品だけにその演奏の質の高さはことさら察知するまでもない。それはつまりこのオーケストラの特質でもある個々のパートの技量の素晴らしさを小澤の感性により見事に導いたまさに「渾身」の力をふりしぼった「ブラームス第1番」と言えると思う。特にフィナーレ「第4楽章」のコーダに至る盛り上げ方はまさに圧巻である。ニューヨークの聴衆をこれほどまでに興奮させ演奏が終わるや否や息をつく間もなくブラボーの嵐を呼ぶところにも「マエストロ小澤」のカリスマ性と魔力が感じられる。まさにこの録音は演奏史に残るライヴ盤になるであろう。できればぜひ映像でもじっくりと鑑賞してみたい。
 

「佐渡 裕」のデビュー・アルバム, 「イベール管弦楽作品集」

2011-01-25 19:42:10 | 管弦楽曲

 今や「世界の佐渡」として大活躍中の指揮者ー佐渡 裕の「デビュー・アルバム」は写真の「香港ナクソス原盤」の「イベール管弦楽作品集」である。(NAXOS8.554222)これは彼が昨年の3月まで首席指揮者を務めていたフランスの「コンセール・ラムルー管弦楽団(L'Orchestre des Concerts Lamoureux)」との1996年録音であった。内容はフランス印象主義、新古典主義作風で知られたジャック・イベール(Jacques Ibert/1890~1962)の海軍時代の寄港地の印象を綴った傑作、交響組曲「寄港地」、1940年東京・歌舞伎座で初演された日本皇紀2600年祝典のための「祝典序曲」、この他普段はあまり耳にすることが少ない「バッカナール」・「ディヴェルティメント」・「海の交響曲」など全5作品である。いずれもエネルギッシュな彼の指揮ぶりが目に浮かぶダイナミック・サウンドが魅力的である。このデビュー盤は後に聞いた話で発売当時結構な売れ行きだったそうだ。今年5月には彼もいよいよ「ベルリン・フィル定期」に登場予定で益々の活躍が期待されるところである。

ドビュッシー/「前奏曲集」 ~ 管弦楽編曲盤

2011-01-24 14:29:48 | 管弦楽曲

 フランス印象派、クロード・ドビュッシー(Claude Debussy/1862~1918)の晩年の代表作のひとつピアノのための「前奏集」ー「第1集」・「第2集」各12曲は1909年から13年にかけて作曲された。これらの小品集は当時ドビュッシーが好んで用いた「全音」と「半音」を巧みに組み合わせた独特の美しい響きを聴くことができる。しかし彼はこれらの作品の「管弦楽編曲版」を残さなかったため管弦楽による録音は以前にはストコフィスキー編曲による「沈める寺(La cathédrale engloutie)」(第1集)のレコードが出ていたくらいであった。しかし最近ではイギリスの現代作曲家コリン・マシューズ(Colin Matthews/1946~ )が全曲の管弦楽バージョンを手がけておりこの版によるCDも発売されている。
写真はこのバージョンによる英国はマンチェスターに本拠を置く「ハレ管弦楽団」の自主制作レーベル「HALLÉ」から2007年にリリースされたマーク・エルダー(Mark Elder)指揮によるCDである。(HALLÉーCD HLL7513/2006年録音)CDには「第1集」より「野を渡る風」・「音と香りは夕べの大気の中に漂う」・「西風の見たもの」・「亜麻色の髪の乙女」「パックの踊り」・「ミンストレル」の6曲、「第2集」より「霧」・「枯葉」・「ヴィーノの門」・「風変わりなラヴィーヌ将軍」・「カノープ」・「交替する3度」の6曲ー計12曲が順不同に収録されており原曲のピアノ版とはまた違った管弦楽ならではの音の色彩が楽しめる。なおCDの頭には同じくドビュッシーの交響詩「海」も収められており「ハレ管弦楽団」の艶やかな響きも聴きものである。





アルヘンタの「ステレオ優秀録音盤」として知られた管弦楽曲集

2011-01-21 12:03:33 | 管弦楽曲

 44歳にして一酸化炭素中毒による不慮の事故で鬼籍に入ったスペインの鬼才指揮者アタウルフォ・アルヘンタ(1913~1958)が遺した名盤については過去にもパリ音楽院管弦楽団の「幻想交響曲」をはじめとして何枚か取り上げてきた。今回紹介する「エスパーニャ」と題する彼が遺した最晩年のステレオ録音はLP発売当初からステレオ初期の優秀録音盤として知られていた。
 写真は1999年に「DECCA Legends/96kHz24bit変換ーデジタル・リマスター」シリーズでCD化された国内盤(POCL6007)である。内容はシャブリエ/狂詩曲「スペイン」、リムスキー=コルサコフ/「スペイン奇想曲」など「スペイン」をテーマにした作品が全部で5曲収録されている。なかでもちょっと興味深い作品がポーランド系ドイツ人の作曲家・ピアニスト、モシュコフスキ(1854~1925)の「スペイン舞曲第1巻」で原曲は5曲から成るピアノ連弾用組曲だがここでは当然のことながら管弦楽編曲版(編曲者?)で演奏されている。管弦楽は「ロンドン交響楽団」との演奏によるがCD化によりドビュッシーの「管弦楽のための映像」ー「スイス・ロマンド管弦楽団」とのものが加わっている。録音年はいずれも1957年とのことだがこの付加された「ドビュッシー」の国内盤は以前にLPレコードでの発売がされていたか否かの記憶が筆者にはない。演奏は言うまでもなく素晴らしくアルヘンタが遺した不滅の名録音としていつまでも輝き続けることだろう。


トルトゥリエの気品あふれる「ベートーヴェン/チェロ・ソナタ全集」

2011-01-20 17:34:01 | 室内楽曲

 ピエール・フルニエ(Pierre Fournier/1906~1986)とフランスを代表するチェリスト、ポール・トルトゥリエ(Paul Tortelier/1914~1990)がエリック・ハイドシェックとのコンビで録音した写真の「ベートーヴェン/チェロ・ソナタ全集」(写真/2LP・英EMI-SLS836/1971年~72年ステレオ録音)は気品あふれる格調高い全集盤の一つである。筆者はフルニエ/ケンプ、1965年パリーサル・プレイエルのライヴ盤(DG)と共に愛聴している。
 この全集盤はその後CD化もされたがここ暫らくは廃盤になりCDショップからも姿を消していたが昨年「トルトゥリエ・グレートEMIレコーディングス20CD・BOX・セット」(CSZ6886272S/輸入盤)の中にこの「ベートーヴェン/チェロ・ソナタ全曲」も組入れられ限定盤ながら復活したことは大変喜ばしい限りである。
 



ノイマンのマルティヌー/交響曲第3番&第6番

2011-01-19 13:19:57 | 交響曲

 昨日に続き今日はマルティヌーの交響曲作品について筆者の好きな「第3番」と「第6番」を取り上げてみたい。因みにマルティヌーの全6曲の交響曲のうち「第1番」から「第5番」までは「アメリカ時代」に作曲されたものである。今回のテーマ「第3番」と最後の「第6番」はボストン交響楽団と関係が深い。前者は指揮者セルゲイ・クーセヴィツキー/ボストン交響楽団との活働「20周年」を記念する作品で1944年に完成、後者の「第6番(交響的幻想曲)」はボストン交響楽団創立75周年を記念して作曲され彼の最高傑作とも言われた作品で作曲は1951年アメリカ滞在時代に開始されたが滞在中には完成されずヨーロッパに戻り1953年に書き終えている。作品は当時の首席指揮者シャルル・ミュンシュに献呈され1955年にミュンシュの指揮で初演されている。
 チェコの名匠ヴァーツラフ・ノイマン(1920~1995)はマルティヌーの交響曲全集録音をチェコ・フィル首席指揮者時代に同楽団と共に1970年代に完成しておりとりわけこの「第3番」と「第6番」は1980年代に再録音も果たしている。(写真/「ノイマン名盤選」として再CD化/1982年/84年再録音盤)この再録音盤も旧盤と共にコクのあるマルティヌーが聴ける。