私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

世界の歌姫、アンジェラ・ゲオルギューが歌う「川の流れのように」

2010-10-31 15:06:13 | 声楽曲
 ルマーニア出身の世界の歌姫、アンジェラ・ゲオルギュウー(Angela Gheorghiu)が1997年にロンドンでレコーディングした「My World - Songs From Around The Globe」とうタイトルのアルバムがある。写真はその国内盤、ポリグラムからリリースされたPOCL1809(1998年発売)である。
 このアルバムは彼女初の世界のポピュラーな名歌曲を集めたものでジャケットも「デジパック仕様」でしゃれている。内容は彼女自身がセレクトした世界の歌25曲(ピアノ伴奏はマルコム・マルティノー)が収録されているが日本の曲はなんと「美空ひばり」の最後のシングル録音となった「川の流れのように(見岳 章作曲/秋元 康作詞)」を流暢な日本語で味わい深く歌っているのが大変興味深い。またこれ以外の作品もすべて原語で歌いこなしているところも彼女がメトロポリタン歌劇場、ウィーン国立歌劇場をはじめとして世界の「オペラ・ハウス」を駆け巡る名ソプラノ歌手であることがうなずける。今後も彼女の活躍に期待したい。
 

若き日のブレンデル、米VOX録音から

2010-10-30 12:50:11 | 協奏曲
 間もなく80歳を迎える名ピアニスト、アルフレート・ブレンデル(Alfred Brendel/1931~ )の名前を初めて知ったのは当時「日本コロムビア」のクラシック廉価盤として発売されていた「ダイヤモンド1000シリーズ」の写真のベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」を耳にした時だったと思う。(MS-1050-TV/原盤米VOXステレオ)このLPレコードは1969年末に発売されている。指揮はこれまた若きズービン・メータで管弦楽はウィーン・プロムジカ管弦楽団との録音で正確なレコーディング年月日は記載がないので不明だが1960年代初頭のものでおそらく指揮者メータの最初期の録音であろう。
 ブレンデルは1960年代「米VOX」に「ベートーヴェン/ピアノ協奏曲全集・ソナタ全集」をはじめとしてモーツアルト、シューベルトなどの作品を多数録音しておりその一部はこの廉価盤シリーズで国内盤としてリリースされていた。筆者も何枚か購入したが当時はほとんど話題にのぼらなかった。彼の名が日本のクラシック音楽ファンに浸透し始めてたのは1970年代にはいり「フィリップス」にベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ」を再録音を開始したころからであろう。そして1971年10月に初来日公演が実現し日本の音楽ファンの前に姿を現した。初日の東京での公演は「日比谷公会堂」(10月15日)のことでプログラムはオール・ベートーヴェン・プログラムであった。もう今から40年近くも前のことである。因みに当日のプログラムは「6つのバガテル」、ソナタ第23番ヘ短調「熱情」、ソナタ第29番変ロ長調「ハンマークラヴィーア」であった。(写真下は懐かしいブレンデル初来日公演のプログラム。)

 

1877年第1稿「世界初録音」ーインバルのブルックナー「第8番」

2010-10-28 23:01:40 | 交響曲
 エリアフ・インバル(Eliahu Inbal/1936~ )のフランクフルト放送響(現、hr交響楽団)との「ブルックナー/交響曲第8番」のレコードも1983年のリリース当時「1877年第1稿」による世界初録音として大変注目を浴びた。写真のLPはその国内盤(キング/K25C-280-1/原盤TELEFUNKEN)である。この「ノヴァーク版第1稿」(1977年出版)による演奏のレコードはそれまでレコード化されたことがなかった。この第1稿は通常よく演奏される「ハース版」や「ノヴァーク版(1890年版)より全小節数で約100小節余り長くオーケストレーションもかなり異なる。筆者が初めてこの「第1稿」による演奏を耳にしたのはやはりインバルがフランクフルト放送響と1980年2月29日の「ヘッセン放送協会大ホール」におけるコンサート・ライヴ録音であった。これは手元の筆者のFMエア・チェック記録によると同年8月28日にNHKFMでオン・エアされたものである。
 当時どんな演奏が展開されていくのか興味津々であったがインバルのあまりにもテンポの速さに驚いた。一番長い小節数を持つ「第1稿」を正味70分を切っての演奏はちょっと拍子抜けしてしまった。因みに写真の2LPの演奏時間は約75分強だがそれでもまだ速い部類に入る。またこのレコードの録音セッションが行われた約1ヶ月後の1982年9月22日の同コンビによる「第1稿」のコンサート・ライヴも1983年11月23日にNHKFMで放送されている。こちらの演奏時間はレコーディング・セッション後ということもあろうがほぼレコードと同じタイムであった。
 インバルはその後「第3番」・「第4番」も第1稿を用いてレコーディングし1988年には全集録音を同オーケストラと完成している。今でこそ「第1稿」による演奏、録音もそれほど珍しいことではないが彼はその先駆者と言ってもいいだろう。余談ながらレコード・ジャケットのサインは彼が来日した折に入れてもらったものである。

ウィリアム・ボートンの「エルガー管弦楽曲作品集」

2010-10-27 23:06:25 | 管弦楽曲
指揮者ウィリアム・ボートン(William Boughton/1948~ )は知る人ぞ知る「20世紀イギリス音楽」のスペシャリの一人である。写真のCD-BOXは今から十数年前にイギリスのレーベル「Nimbus(ニンバス)」よりリリースされたものでエルガー管弦楽作品を集めた4CDセットである。彼の録音は主としてこの「Nimbus」レーベルから多数紹介されているがこの「エルガー作品集」はなかなかのもので筆者も気に入っている。
 彼は1980年に「English String Orchestra」(イギリス弦楽オーケスラ)をイングランド西部の地方都市ウースターシア(Worcestershire)に組織、エドワード・エルガー、ヴォーン・ウィリアムズをはじめとする20世紀のイギリスを代表する音楽家たちの管弦楽作品を演奏、レコーディング活働を進めていった。その後、大きな編成を必要とする作品には拡大された「English Symphony Orchestra」として演奏、レコーディング活働を続けている。
 写真の作品集にはエルガーの代表作のひとつでもある「変奏曲ーエニグマ(謎)」の他、序曲「ロンドンの下町(コケイン)」、演奏会用序曲「フロワサール」、行進曲「威風堂々」から普段あまり聴くことがない小品に至るまでの主要作品が網羅されている。エルガーの交響曲は除かれているが管弦楽曲をこれだけ一つにまとめたセット・アルバムも珍しいのではないかと思う。

ストコフスキーのマーラー/交響曲第2番「復活」

2010-10-26 23:43:48 | 交響曲
 アコースティック録音時代から電気録音のSP時代を経てドルビー・サラウンド・アナログ超ステレオ録音のLP時代まで数多くのレコーディングを行ったレオポルド・ストコフスキー(Leopold Stokowski/1882~1977)がスタジオ録音の正規盤として遺したマーラーの交響曲の録音は意外にも「第2番<復活>」が唯一のものだった。この録音は彼がなんと93歳の1974年にソプラノ=マーガレット・プライス、メゾ・ソプラノ=ブリギッテ・ファスベンダーと共にロンドン交響楽団・合唱団と行われたものである。93歳にしてこの大曲のレコーディングに臨んだ彼はまさに指揮者界の怪物であった。また彼が持つそのエネルギーには計り知れないものを感じた。
 写真のLPは1986年にこのステレオ・アナログ録音をデジタル・リマスター化した「独RCA」からの再リリース盤である。(GL85392(2)/2LP)この演奏を一言で表現すれば「音の魔術師」とまで異名を持つ彼だけあって非常にアクの強いマーラー・サウンドを聴かせており筆者個人的には大変魅力的な1枚でもある。また余談ながら1998年に「ストコフスキー・コレクションとしてCD化された国内盤2CD(BMGジャパン限定盤)には余白にモノラル録音のリハーサル風景が収録されていた。


パトリック・ガロワ編曲のハチャトゥリアン/「フルート協奏曲」

2010-10-25 19:51:07 | 協奏曲
 今日はアラム・ハチャトゥリアン(Aram Khachaturian/1903~1978)の「ヴァイオリン協奏曲」をフランスの名フルーティスト、パトリック・ガロワが自身で「フルート協奏曲」に編曲、レコーディングした珍しいCDを紹介したい。この写真のCDはドイツ・グラモフォンから1992年にリリースされたものである。(DG/435 767-2)現在はおそらく廃盤と思われるがこの国内盤が当時発売されたか否かは記憶がない。
 この作品は元来ガロワの師でもあるジャン・ピエール・ランパル編曲・演奏したLPがその昔1970年ごろ話題になったことを思いだす。ジャン・マルティノン指揮、フランス国立放送管弦楽団のバックによるものでこのレコードが世界初録音と思われる。その後ジェームズ・ゴールウェー他の世界的フルーティストたちの録音が何枚かリリースされたがこのガロワの演奏もランパル盤に優るとも劣らない凄い演奏である。この名曲もたまには気分を変えて「フルート編曲版」で耳を傾けてみるのもなかなかの味がある。
 このCDにはスペインのホアキン・ロドリーゴ(Joaquin Rodorigo/1901~1999)が1978年にジェームズ・ゴールウェィの委嘱で作曲したフルートと管弦楽のための「田園協奏曲」も収録されているがこちらも大変技巧的な作品でガロワのテクニックが冴えている。いずれも指揮はイオン・マリン、管弦楽はフィルハーモニア管弦楽団によるものである。

ハンス・ロスバウトの「マーラー交響曲第6番」

2010-10-24 13:50:16 | 交響曲
 オーストリア、グラーツ出身の名指揮者ハンス・ロスバウト(Hans Rosbaud/1895~1962)の演奏については以前に「南西ドイツ放送交響楽団」とのブルックナー「第7番」の名盤を紹介ずみなので今日は同楽団とのマーラーの「第6番」を取り上げてみたいと思う。
 ロスバウトの経歴を今一度整理してみると彼は1929年創設の「フランクフルト放送交響楽団(現在、hr交響楽団)」の初代首席指揮者(1929~1937)、その後「ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団」の首席指揮者を経てこの「南西ドイツ放送交響楽団(現在、バーデンバーデン&フライブルクSWR交響楽団)」の音楽監督を1948から亡くなる1962年まで務めた人である。さらに「南西ドイツ放送響」時代の1957年からは「チューリッヒ・トンハーレ管弦楽団」の首席指揮者も兼務した。また彼はシェーンベルクやヒンデミット等々の「現代作品」の紹介にも力を注ぎ戦後は「ドナウエッシンゲン現代音楽祭」の復興にも力を尽くした。
 彼の録音は「南西ドイツ放送響」とのものが多く遺されているがそのほとんどが海外盤である。写真のマーラー/交響曲第6番イ短調「悲劇的」(1960年録音)の演奏も「南西ドイツ放送響」との録音でイタリアの「DATUM」レーベルからリリースされたものでモーツアルトの「フルートとハープのための協奏曲」(1962録音)との組み合わせである。(DATUM/DAT12303/2CD/モノラル録音)おそらく音源はバーデンバーデンの「南西ドイツ放送局」の放送用録音からのものと思われるが音質があまり良好ではないので「エア・チェック・テープ」からのCD化とも推測される。演奏はストレートな「第6番」で極端な感情移入は感じられない。よく言えばスッキリとした「第6番」で聞き易い。できればもう少し良い音質でのCD化を望みたいところである。
 最後に余談ながらこのCDジャケットの記載ではマーラーの録音年が1960年となっているが彼の「ディスコグラフィー」では1961年4月7日となっている。またモーツアルトは1962年12月19日の録音ということなので彼が亡くなる10日前の録音でおそらく最後の録音ではないかと思う。

カール・フォン・ガラグリが遺したシベリウス交響曲の名演

2010-10-23 21:04:20 | 交響曲
 カール・フォン・ガラグリ(Carl von Garaguly/1900~1984)という指揮者をご存知の方は少ないかもしれないがシベリウス好きの筆者にとっては忘れることができない指揮者の一人である。彼はハンガリーの首都ブダペスト出身のヴァイオリニスト兼指揮者だが主に北欧圏を中心として活躍した人であった。彼は元来シベリウスを得意としていた指揮者で日本で最初にリリースされたレコードもドレスデン・フィルを振った写真のシベリウスの交響曲第1番と第7番がカップリングされたものだったと思う。(写真上/国内盤フィリップスSFX7694/ステレオ/1969年発売)当時の筆者はシベリウスの交響曲のレコードと言えばカラヤン/フィルハーモニア管弦楽団の第2番、第4番、第5番などを中心に聴いていたのを思い出すがこのガラグリのレコードが出たときカラヤン・スイタルとは異なり素朴ながら奥底からうたいあげる「第1番」にほれ込んでしまった。彼はこの他当時国内盤では出なかったと記憶しているが「第2番」を同じく1960年代に「ライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団と録音しておりこちらも渋いシベリウスを聴かせている。この録音は1990年代に先の「第1番」、「第7番」と共に「エテルナ」の「BERLIN Classics」としてCD化もされたことがある。
 ついでながら彼はシベリウス以外の北欧の作曲家ではデンマークのカール・ニールセン(Carl Nielsen/1865~1931)の交響曲第2番「四つの気質」を「チボリ・コンサート・ホール交響楽団」と米VOXに録音したレコード(写真下/TurnaboutTV4049)が捨てがたい名演盤として付け加えておきたい。

アーベントロートのブルックナー/交響曲第5番

2010-10-22 00:28:08 | 交響曲
 今日は急にヘルマン・アーベントロート(Hermann Abendroth/1883~1956)のブルックナーの交響曲第5番(写真)が聴きたくなりレコード棚から取り出し針をおろしてみた。このLPは1983年「徳間音楽工業」から「ヘルマン・アーベントロートの芸術シリーズ」廉価盤(ET1024~25/モノラル)として再リリースされたものである。(原盤ドイツ・シャルプラッテン)管弦楽は「ライプチッヒ放送交響楽団」で1949年5月27日ライプチッヒ放送局スタジオで放送用録音されたものである。アーベントロートはこの年より同楽団の首席指揮者に就任していた。
 彼はブルックナーも得意なレパートリーの一つにしておりこの他同楽団との国内盤には「第4番」・「第9番」の放送録音もあったがこの「第5番」は派手さはないが中でも彼らしい個性が一番強くでた演奏ではないかと思う。録音状態もモノラルながら放送局録音だけあって大変良好である。使用楽譜の記載はないが時代を考慮すれば「ハース版」を基本にしたものと推定される。
 

パウル・ファン・ケンペン/ベルリン・フィルの名盤から

2010-10-20 15:05:01 | 交響曲
 オランダの名指揮者パウル・ファン・ケンペン(Paul van Kempen/1893~1955)が晩年ベルリン・フィルと遺した名盤にベートーヴェンの第3番「英雄」、第7番、第8番が思い出される。中でも筆者がよく好んで現在もよく聴くレコードは写真の「第7番」である。(国内盤フォノグラムFCM26(M)/1973年廉価盤で復刻)このレコードはその昔「エピック・レーベル」からリリースされていたものであった。
 指揮者のケンペンは62歳の若さでこの世を去ったためレコード録音の数も少ないためどれもが貴重なものだがこの「第7番」はスケールが大きく重厚でズッシリとした演奏で聴きごたえがある。録音は当然のことながらモノラルだが音質は意外にクリアで聴きやすい。この他にベルリン・フィルとの録音ではやはり以前にも紹介したことがあるウィルヘルム・ケンプとのベートーヴェン/ピアノ協奏曲全集(DGG)が彼の名録音と言えるのではないだろうか。
 最後にケンペンには「コンセルトヘボウ」を振ったチャイコフスキー交響曲第5番・第6番「悲愴」の録音(フォノグラム)も1950年代の名盤として忘れることができないことを付け加えておきたい。