私のレコード・ライブラリーから

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日本版「ホフナング音楽祭」~山本直純歴史的パロディコンサート

2009-04-28 15:17:12 | 冗談音楽
 2、3日目前にイギリスの「ホフナング音楽祭ー冗談音楽」ライヴ盤を紹介したが今日はその日本版ホフナングの世界ー「山本直純歴史的パロディコンサート」ライヴ盤(写真)を紹介したいと思う。山本直純氏(1932~2002)はクラシック音楽界でちょっと異色的存在だった。ご承知の様にラジオ、テレビ、映画音楽作曲等々でマルチ的な活躍し、民放番組「オーケストラがやってきた」彼が指揮、司会進行役を務めた大変人気を呼んだ長寿番組だった。そして私も会場に何回か足を運んだ1967年から約5年に渡り毎年夏に開催された日本フィルとの「山本直純ウィット・コンサート」は腹を抱えて笑ったものだった。会場の東京文化会館はいつも超満員だった。まさに日本版の「ホフナングの世界」である。
 この2CDセットは1967年~1969年の「ウィット・コンサート」ライヴ録音でもう2度と生では聴けない貴重盤である。そこでもう少し詳しく内容を紹介してみたい。DISC1には山本直純、冗談音楽の代表作交響曲第45番「宿命」と語りに噺家古今亭志ん朝師(1938~2001)を迎えプロコフィエフ音楽物語「ピーターと狼」(以上1967年7月25日収録)、DISC2はピアノ狂騒曲「ヘンペラー」(1968年7月18日収録)、ヴァイオリン狂騒曲「迷混」(1969年8月9日収録)が収められている。
 第45番とはベートーヴェンの9つの交響曲の番号を1+2+3...9と足していく計45となるところからきている。それに序曲「コリオラン」「エグモント」「レオノーレ第3番」に「東京オリンピック・ファンファーレ」や「鉄道唱歌」、童謡「春の小川」や朝鮮民謡「アリラン」等々数えきれないほどの名曲の断片を巧みにアレンジした大曲だ。また志ん朝師のウィットに富んだ江戸前のいなせな語り「ピーターと狼」も味わい深いものがある。DISC2のピアノ狂騒曲「ヘンペラー」は想像がつくようにベートーヴェンの第5番の協奏曲「皇帝」をベースに置きモーツアルト、シューマン、リスト、ラフマニノフ等々のピアノ協奏曲やガーシュインの「ラプソディー・イン・ブルー」、アメリカ国歌、イギリス国歌、フランス国歌等々これまた数え切れないほどの名曲断片が次から次へと現れる。実に面白い。最後のヴァイオリン狂騒曲「迷混」はメンデルゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調をベースにしてモーツアルト「トルコ行進曲」や民謡、童謡、ブラームス、ベートーヴェン、チャイコフスキー等々のヴァイオリン協奏曲の断片等々名曲小品等々が巧みにアレンジされ現れる。尚ヴァイオリン独奏は当時の日本フィルのコンサート・マスター、ルイ・グレーラー氏が務めている。
 実に時間を忘れて「ウィット・コンサート」の世界に巻き込まれてしまう興味がつきないCDである。未聴の方は一聴の価値あり。



クラシック音楽ーパロディー化の世界「ホフナング音楽祭」ライヴ盤

2009-04-25 18:49:21 | 冗談音楽
 今日紹介するレコードはクラシック音楽をパロディー化して楽しむという意図で誕生した「ホフナング音楽祭」のライヴ盤である。「ホフナング音楽祭」と言う名称はこの催しを企画したベルリン生まれのイギリスの若手漫画家ジェラード・ホフナング(1925~1959)の名前からつけられた。記念すべき第1回のコンサートは1956年11月13日、ロンドンのロイヤル・フェスティヴァル・ホールで超満員の聴衆を集めて大成功を飾ったと伝えられている。まさに「クラシック冗談音楽」への幕開けとなった。その後第2回目の音楽祭が2年後の1958年11月に開催され大好評のため翌59年1月にも追加公演が行われたほどだった。しかし主催者のホフナングがその年の9月に35歳の若さで急逝してしまう。
 このコンサートを楽しみにしていたロンドンのファンは大ショックを受けた。そこでホフナングの親友だったマルカム・アーノルドと言う人が中心となり1961年11月28日に第3回目の「ホフナング音楽祭」が「ホフナング追悼演奏会」として開催された。この写真のレコードは第2回目1958年11月とこの第3回目1961年の演奏会ライヴの抜粋盤である。今から約40年余り前に発売されたものであるがオリジナル・ステレオ録音で音質も良好である。収録内容も多彩でベートーヴェンの「レオノーレ」序曲第3番をパロディー化して第4番やいんちきオペラ「ホフナング物語」等々ウィットに富んだ彼の奇抜なアイディアを充分に堪能できる1枚である。