私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

エミール・ギレリスのチャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番、盤歴を追う

2009-05-31 11:43:58 | 協奏曲
 以前のブログでチャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番変ロ短調作品23についてはヴァン・クライバーンのベストセラーを紹介したことがあったが今日は私が好きなピアニストの一人ロシアの巨匠エミール・ギレリス(Emil Gilels/1916~1985)のこの協奏曲録音盤歴を追ってみたいと思う。
 私のコレクション並びに手元の資料によると彼は少なくとも生涯にこの協奏曲をライヴ録音を含めて7回録音していることがわかった。それらを録音年代順に並べてみると下記のようになる。( )は原盤

 (1)サモスード指揮    ボリショイ劇場管弦楽団 (MK) 
 (2)エールリンク指揮   ストックホルム・フィル (スゥエーデン/メトロノーム)
 (3)イワーノフ指揮    ソヴィエト国立響 (MK)
 (4)ライナー指揮     シカゴ響 (RCA)
 (5)マゼール指揮     ニュー・フィルハーモニア (EMI)
 (6)ムラヴィンスキー指揮 レニングラード・フィル (米ロシアン・ディスク)
 (7)メータ指揮      ニューヨーク・フィルハーモニック (CBS)

 正規盤だけで以上の7種類の録音を数えることができた。このうち(1)から(3)は1950年代前半までの録音でモノラル、(6)は1971年3月30日、レニングラード・フィルハーモニーにおけるライヴだがモノラル、(4)1955年録音、(5)1972年録音、(7)1979年11月19日、リンカーンセンター・エイヴリー・フィッシャーホール、ニューヨーク・フィルハーモニック定期公演からのライヴでこれら3種はステレオ録音で(7)が彼の生涯最後の録音となった。写真のLPはその最後の録音となったニューヨーク・フィルとのライヴでロシア・メロディア盤である。たまたま「ソヴィエト連邦」崩壊直後の1991年9月にロシアを訪れた時小さな町のレコード店で求めたものだ。この当時のロシアは地方の小さな町のレコード店ではCDはほとんど見当たらなかったのが印象的だった。ライヴ演奏だけにギレリスの入魂のチャイコフスキーが聴ける名演だ。バックのズービン・メータ/ニューヨーク・フィルハーモニックも素晴らしい。尚、2面の余白に当時アンコールで演奏されたバッハの平均律クラーヴィア曲集第1巻から前奏曲第10番ロ短調BWV855も収録されている。

カラヤンの金字塔、ワーグナー楽劇「ニーベルングの指環」全4部作

2009-05-30 11:54:53 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 ヘルベルト・フォン・カラヤンは生涯を通じてワーグナーのオペラ作品に強い感心を持っていた。楽劇「ニーベルングの指環」全4部作は古くは戦前のアーヘン市立歌劇場時代にも取り上げておりその後1951年バイロイト音楽祭初出演で振り、ウィーン国立歌劇場時代は彼の目玉の出し物の一つだった。しかしまだこの時代には51年の一部のバイロイト・ライヴ盤を除き正規レコーデイングは行っておらずこの録音セッションは1967年からのザルツブルク・イースター・フェスティバルでの上演とほぼ前後並行しながらドイツ・グラモフォンにより行われた。
 録音は1966年の楽劇「ワルキューレ」から開始され67年「ラインの黄金」、68年~69年「ジークフリート」、69年~70年「神々の黄昏」で完結する。会場はいずれも当時のカラヤン/ベルリン・フィルの録音セッションで使用されていたベルリン、ダーレムの「イエス・キリスト」教会で行われている。写真のCD/BOXは全4部作をCD15枚にまとめたものである。演奏は言うまでもなく全篇「カラヤン美学」に徹した山奥の湖水のように澄んだ透明感あふれるワーグナーの世界が広がる名演である。彼の「金字塔」としてまた「不滅の名演」として後世にも伝わって行くことだろう。もちろん歌手陣もイースター音楽祭と同一メンバーである。

カラヤンとチャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」

2009-05-29 09:22:16 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 今日は<カラヤンとチャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」>というテーマで書いてみたい。カラヤンはこの作品を大変好んでよくコンサートにも取りあげた。レコード・CD・映像も合わせると正規盤だけでも11の数にのぼる。久しぶりに私のFMエア・チェック・オープン・テープ(ライヴ)コレクションも加えて整理してみた。その結果下記のように整理できた。( )内は録音年

  ■レコード・CD

   ●ベルリン・フィル (1939)
   ●ウィーン・フィル (1948)
   ●NHK交響楽団  (1954/Live-来日公演)
   ●フィルハーモニア管(1955-56)
   ●ベルリン・フィル (1964)
   ●ベルリン・フィル  (1971)
   ●ベルリン・フィル (1976)
   ●ウィーン・フィル (1984)
   ●ベルリン・フィル (1988/Live-来日公演)

  ■FMエア・チェック・オープン・テープ(すべてLive)

   ●ベルリン・フィル (1979.8-28/ザルツブルク音楽祭)
   ●ベルリン・フィル (1981.1.1/ベルリン・フィルハーモニー)
   ●ベルリン・フィル (1981.8-28/ザルツブルク音楽祭)
   ●ベルリン・フィル (1981.11.8/NHKホール、来日公演)
   ●ベルリン・フィル (1988.5.2/サントリー・ホール、来日公演)

  ■映像

   ●ベルリン・フィル (1973/Liveーユニテル)
   ●ウィーン・フィル (1984/Live-テレモンディアル)

 以上 トータルでなんと16を数えこのうち昨年生誕100年を記念してCD化された1988年、最後の来日公演CDはエア・チェック・テープと同一音源である。このコレクションの中で私が一番好きな演奏は写真のLP1976年録音のベルリン・フィルとの演奏である。録音も大変美しく洗練されたベルリン・フィルの響きが味わえカラヤンのきめの細かいニュアンスが伝わってくる見事な演奏だと思う。他には1955年(1956)録音のフィルハーモニア管弦楽団との演奏は当初日本ではモノラル録音として発売されたがオリジナルはステレオ録音でされており今から十数年前に日本では初めてオリジナル・ステレオでCD化された。演奏も若きカラヤンの底力がひしひしと感じられる演奏だ。いずれをとっても彼の演奏は時代、時代の新鮮さを我々聴き手に与えてくれる演奏であることには違いない。



カラヤンのレア・ライヴ盤、RAIローマ交響楽団のベートーヴェン交響曲第9番  

2009-05-28 12:12:12 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 ヘルベルト・フォン・カラヤンは1950年代を中心にしてRAI(Radio Audizioni Italiane)イタリア国営放送局所属のオーケストラにしばしば客演する機会が多かった。現在はこの放送局も民営化されRadio Televisione Italiana に名称も変更されている。今日紹介するのはカラヤンが1954年12月4日、ローマのRAIコンサート・ホールでRAIローマ交響楽団のコンサートに客演した時のライヴ盤(写真)である。演奏曲目はベートーヴェン交響曲第9番ニ短調「合唱つき」作品125、独唱陣に(ソプラノ)テレサ・シュティッヒ・ランダル、(メッゾ・ソプラノ)ヒルデ・レッセル・マイダン、(テノール)ワルデマール・クメント、(バリトン)ゴットロープ・フリック、合唱はRAIローマ合唱団、合唱指揮はニーノ・アントネッリーニというメンバーであった。独唱陣の内、メッゾ・ソプラノとテノールは後にDG(ドイツ・グラモフォン)における最初のベートーヴェン交響曲全集録音のソリストと同一メンバーである。演奏終了後の聴衆の拍手はカットしてある。
 因みにこの盤はこのコンサートから丁度半世紀が経過した2004年にミラノのURANIA(フルトヴェングラーの「エロイカ」で有名なウラニアとは別会社)というレーベルから世界初のCD化であった。モノラル録音で録音状態は決して良好とは言い難いが何とか鑑賞には耐えうる。従って万人向けではないがカラヤン・ファンを中心とするコレクター・アイテムとしてはその資料価値は充分に備えている。
 またカラヤンの演奏解釈は全般的に大きな違いはないがトータル演奏時間が68分弱を要しているので他のスタジオ録音やライヴ録音と比較して若干遅い部類に入る演奏ではないかと思う。
 尚、このCD盤がリリースされて2年後の2006年にフランス・TAHRAからもCD化されたようなのでこちらもぜひ聴いてみたいと思っている。

コンドラシン&コンセルトヘボウ管とのショスタコーヴィチ白熱ライヴ盤!

2009-05-27 12:32:03 | 交響曲
 キリル・コンドラシン(Kirill Kondrashin/1914~1981)という指揮者は1967年に手兵モスクワ・フィルと初来日しマーラーの交響曲第9番ニ長調を日本初演をした人であった。当時の日本はまだマーラーやブルックナーのブームに至っておらず「日本初演」にもかかわらずあまり評判にならなかった記憶がある。この時の演奏は幸いNHKの録音テープからAltusレーベルの「コンドラシン/モスクワ・フィル来日ステレオ・ライヴ・シリーズ」としてCD化され当時の名演を聴くことが可能である。その翌年彼は西側の名門オーケストラ、アムステルダム・コンセルトへボウ管弦楽団(現、ロイヤル・アムステルダム・コンセルトヘボウ管)に初めて招かれ得意のショスタコーヴィチ交響曲第6番ロ短調作品54を振った。この時の模様はオランダ放送協会によってステレオ録音された。この演奏は「白熱の伝説の名演」として語りぐさになっている。そして彼はこの演奏を機にこのオーケストラと波長が合いそれ以後たびたび客演し数々の名演をのこした。
 1978年12月、彼はついにオランダ亡命を決意する。翌79年にはコンセルトヘボウ管弦楽団の首席客演指揮者のポストを得る。しかし、西側諸国での巾広い指揮者活動の本格的始動にかかった矢先1981年彼は心臓発作で倒れ67歳で生涯を終えた。まだこれからと言う時で世界に衝撃を与えた。
 彼の死後、フィリップスはオランダ放送に保管された貴重なライヴ録音テープを基に「コンドラシン・コンセルトヘボウ・ライヴ・シリーズ」としてレコード化した。写真のLPはそのシリーズの1枚、先に述べた初顔合わせ1968年1月21日のライヴ、ショスタコーヴィチ交響曲第6番と亡くなる1年前の1980年3月6日に演奏された同、交響曲第9番をカップリングしたものである。もちろん彼はソヴィエト時代に世界初のショスタコーヴィチ交響曲全集録音を完成した指揮者ではあるがこの西側のコンセルトヘボウとのライヴ盤もまた一味違う魅力を感じさせる。

ハンス・クナッパーツブッシュの貴重映像

2009-05-26 11:05:22 | 貴重映像
 筆者が生で聴きたかった指揮者の一人に巨匠ハンス・クナッパーツブッシュ(Hans Knappertsbusch/1888~1965)がいる。彼は言うまでもなくワーグナー指揮者として高い評価を受けなかでも1962年バイロイト音楽祭における「パルジファル」の演奏は不滅の超名盤として知られている。その彼が1962年/63年の「ウィーン芸術週間(Wiener Festwochen)」に出演した際の貴重映像が数年前にTDKレーベルから初リリースされ話題を呼んだ。コンサートをノーカットで収録したまさに貴重映像である。今日紹介する映像はこの年1962年に再開したアン・デア・ウィーン劇場の「祝賀記念」を兼ねての演奏会でもあった。
 プログラムはベートーヴェンの序曲「レオノーレ」第3番に始まり超豪華客演にピアノのウィルヘルム・バックハウスと天下のワーグナー歌いビルギット・ニルソンを迎えそれぞれベートーヴェン、ピアノ協奏曲第4番ト長調とワーグナー楽劇「トリスタンとイゾルデ」から「前奏曲と愛の死」が演奏された。今思えばまさに「夢の共演」であった。
 この映像を見るとクナッパーツブッシュは極端に遅いテンポで振っていることがわかる。最初の「レオノーレ」序曲も演奏時間約18分を要し演奏するウィーン・フィルもちょっと苦労したかと推測される。ピアノを弾くバックハウスはレコード録音や通常のコンサートでもテンポを割と早くとる人だったのでこの演奏会ではちょっと面食らったのではないか?どちらにしても聴く者にとっては大変興味深い演奏である。
 もちろん映像はモノクロ、音声はモノラルだが画質・音声とも良好でよくこのような状態で保存されていたことに感心させられる。また会場の聴衆の雰囲気も充分にとらえられた映像でライヴ・コンサートの味わいがたっぷりとと楽しめる80分である。
 

ベルリオーズの歌曲と言えば・・・

2009-05-25 10:01:37 | 声楽曲
 ベルリオーズ(Hector Berlioz/1803~1869)の歌曲と言えば歌曲集「夏の夜」(Les nuits d'été)をすぐ思いつく。彼の歌曲作品の中でも代表する作品と言ってもいいだろう。この曲は彼の友人でもあるテオフィール・ゴーティエ(Théophile Gautier/1811~1872)が1838年に発表した詩集「死の喜劇(La comédie de la mort)から6つの詩を選んで作曲されている。当初はピアノ伴奏によるメッゾ・ソプラノまたはテノールによるもの(1841)だった。後に管弦楽版(1856)が完成される。私、個人的にはスケールが大きい管弦楽版を好んでよく聴く。なかでも写真のLP、ニュージーランドの名ソプラノーキリ・テ・カナワが1984年にダニエル・バレンボイム/パリ管弦楽団とデジタル録音した演奏が好きである。彼女の艶やかな美声が堪能できる演奏だと思う。
 ところでこの作品を作曲当時のベルリオーズは仕事、私生活の両面で大変な時期にあったと言われている。その背景は現在でもその序曲はよくコンサートでも演奏される彼の最初のオペラ「ベンベヌート・チェッリーニ」(Benvenuto Cellini)がパリ・オペラ座でアブネックの指揮で初演されたが不評で失敗に終わっている。また私生活の面でも妻ハリエットともうまくいかなくなり始めたころである。そのような状況下で作曲されたこの作品には彼の憂鬱で何か不安げな様子も窺えるような気がする。
 選ばれた6つの詩は
          1.ヴィラネル(Villanelle)
          2.ばらの精 (Le spectre de la rose)
          3.入り江のほとり(Sur les lagunes)
          4.君なくて(Absence)
          5墓地にて(Au cimetière)
          6.未知の島(L'île inconne)
の6篇である。
 尚、このレコードには他にソプラノ、ジェシー・ノーマンが歌うカンタータ「クレオパトラの死」が収録されている。こちらもなかなかの好演だ。














お勧め! 「クラシック名曲CDコレクション・コンサート」

2009-05-24 12:10:43 | 余暇文化活動
 近頃は地域の公共施設等を利用して様々な余暇文化活動を実施している愛好グループが増えている。今日ぜひ紹介したい文化活動の一つに筆者も大ファンになってしまった企画・内容共に大変素晴らしい、もちろん入場無料の「クラシック名曲CDコレクション・コンサート」がある。このCDコンサートは「ゲヴァントハウス」というクラシック音楽愛好グループが企画・運営している土曜の午後に茨城県龍ヶ崎市のショッピング・センターに併設された閉館した映画館を有効利用して開催されているコンサートである。昨日(5/23)、5月開催のコンサートは終了し来月からは第一・第三土曜日の月2回開催に変更されることになったが内容はさらに充実したものになると期待されている。
 それではこのコンサートが具体的にどのように素晴らしいかを述べると下記の3点が挙げられる。
 
1)手作りのオーディオ・システム(写真)が大変に魅力的であること。
約80名を収容できる会場内で豊かで柔らかいサウンドをいつもその当日の天気・気温・湿度等に合わせ最高の状態で楽しむことができる。
 
2)会のコレクションの豊富さが様々なクラシック音楽ジャンルをいつも斬新なオリジナル企画・趣向とあいまって楽しく気軽に鑑賞するこができる。

3)コンサートで取り上げられる音源がライヴ録音を中心としたものでしかもまだCD化されていない貴重な音源を多数聴くことができる。
 
 このコンサートを開催して今年で3年目になるそうであるが現在では地元を中心とした固定のファンも増え続けなかなかの好評だ。また不定期ではあるが著名な特別ゲストも講師として招聘し「特別テーマ」で開催することもある。

 クラシック音楽に関心をお持ちの方やこれからその世界に触れてみたい方はもちろんの事、またあまり関心のない方にもぜひお勧めしたいコンサートだ。(必ず新しい何かを発見できます。)

 会場の詳細は下記の通りです。

 (場所)茨城県龍ヶ崎市:ショッピング・センター 「リブラ」2F
     併設された現在は閉館された映画館内
      (関東鉄道龍ヶ崎線、終点竜ヶ崎駅下車、徒歩約4分)

 (開催日)6月より 第1・第3土曜日、午後2時から午後4時15分(休憩含む)尚、5月開催分は昨日、終了しました。 
      入場無料


                             

 

 
     

「アンドレ・ヴァンデルノートの芸術」

2009-05-23 02:06:29 | 交響曲
 私がベルギーの名指揮者アンドレ・ヴァンデルノート(André Vandelnoot/1927~1991)を知ったのは今から40年以上も前のことだった。確か高校に入学したころコマンド・クラシックス(Command Classics)から当時35ミリ・マグネチック・フィルムを使用した超ステレオ・レコードが発売され彼がフランス国立放送局管弦楽団を指揮したベルリオーズの「幻想交響曲」(SH5138)に出会った時だった。スペインの鬼才と言われた個性的指揮者アルヘンタほどではないにしても彼もなかなかユニークな演奏をする指揮者だった。
 その彼が晩年(1987年~1991年)にかけてベルギー・フランス語放送管弦楽団とライブ収録した5枚組みCD・BOXが今から10年位前にWEITBLICレーベルから発売された。(写真)収録曲目はベルリオーズの幻想交響曲をはじめとして彼が得意とするプログラムを集めたものである。いずれも彼の個性がにじみでたちょっとアクの強い演奏ではあるがライヴ録音が好きな私には結構楽しめた。いずれの録音もブラッセル、パレ・デ・ボザール(Palais des Beaux-Arts)でのコンサート・ライヴである。参考までに収録曲目は下記のとおりである。

 ●ベルリオーズ: 序曲「ローマの謝肉祭」(10/13、1989)
          「幻想交響曲」    (11/23、1990)
 ●ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調作品60(1/12、1990)
          交響曲第7番イ長調作品92 (1/27、1990)
 ●マーラー  : 交響曲第1番ニ長調「巨人」 (9/10、1988)
 ●モーツアルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲K.492(1/12 1991)
         ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467(10/21、1987)    (P)Abdel Rahman El Bacha
         交響曲第35番ニ長調K.385 (1/12、1991)
 ●チャイコフスキー:大序曲「1812年」作品49 (3/5、1989)
           交響曲第5番ホ短調作品64  (10/8、1989)

 

クーベリックの名盤、ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」全曲

2009-05-22 12:48:12 | オペラ
 今日は巨匠ラファエル・クーベリック(Rafael Kubelik/1914~1996)が遺したオペラの名演盤カール・マリア・フォン・ウェーバー(Carl Maria von Weber/1786~1826)の代表作、歌劇「魔弾の射手」全曲盤を取り上げてみたいと思う。ウェーバーは「ドイツ国民歌劇の始祖」とも呼ばれた音楽家である。もちろんそれ以前にもモーツアルトの「魔笛」やベートーヴェンの「フィデリオ」などのドイツ語による地の台詞を持つ作品は存在したが「国民歌劇」と呼ばれるほどの一般受けをする存在感はなかった。この全3幕のジングシュピール形式の歌劇が19世紀初頭の民族主義風潮とあいまって大成功をおさめた。当時の記録によれば初演(1821年)から1884年までに通算500回をこえる上演が行われたと言われている。
 また、このオペラの序曲はあまりにも有名でコンサートでも度々演奏されるが冒頭で4本のホルンで奏される美しい旋律は後に賛美歌にも転用され広く歌われている。しかし、なぜかオペラの場面では一度も使用されてないところが私には不思議で興味深い。さてこの全曲盤のキャストだが森林保護官クーノーの娘アガーテにヒルデガルト・ベーレンス(ソプラノ)、アガーテと恋仲の狩人に名テノール、ルネ・コロと役者が揃い名唱を聴かせている。さらにカスパール役のペーター・メーヴェン(バス)も素晴らしい。管弦楽のバイエルン放送交響楽団もこの録音が行われた1979年まで実に28年間、首席指揮者を務めたクーベリックと息のあったダイナミックな演奏を聴かせている。バックのバイエルン放送合唱団のハーモニーも申し分ない。