私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

ヘンツェ&ベルリン・フィル、自作自演ー交響曲第1番~第5番

2011-12-31 12:02:20 | 交響曲

 いよいよ2011年も今日で幕を閉じる。今年の締めはハンス・ヴェルナー・ヘンツェ(Hans Werner Henze)自作自演、ベルリン・フィルとの交響曲第1番~第5番の2LP(写真/独グラモフォン1309 203/204SLPM)を取り上げたいと思う。
 ヘンツェは1926年生まれ、来年は86歳をむかえるドイツの前衛作曲家である。現在その活動は引退しているが作品はオペラ、交響曲から声楽曲に至るまで幅広い。とりわけ交響曲は第1番(1947年/1963年改訂)から第10番(2000年)まで発表している。作品は無調性の中に古典・ロマン派的旋律、リズム等も垣間見られ親しみも感じる。
 写真のLPは彼が1965年に録音したもので日本国内盤LPとしては未発売だった。国内盤は1994年になって1972年録音の「ロンドン交響楽団」を指揮した「第6番」を加えて2CDセットで初リリースされている。作曲者自身の指揮という観点からも貴重な録音である。今日はこのレコードをじっくりと聴きながら新年を迎えたいと思う。

クーセヴィツキー&ボストン響の「エロイカ」

2011-12-30 12:18:36 | 交響曲

 普段はほとんど針を下ろすことがないセルゲイ・クーセヴィツキー(Sergei Koussevitzky/1874~1951)ボストン交響楽団のベートーヴェン交響曲第3番「エロイカ」のLP(写真/米RCACamden-CAL404)を聴いてみた。久しぶりに聴いてみると新鮮さも感じる。このクーセヴィツキーという人はなぜか日本ではそれほど人気がなかった指揮者のひとりだった。彼は旧ソヴィエト出身の名指揮者だが当初はコントラバス奏者として音楽活動を始めた人である。その後1920年にフランスに亡命、アメリカに渡り1924年から名門ボストン交響楽団の音楽監督として49年にミュンシュにその役を引き継ぐまで実に四半世紀に渡って活躍した。
「米RCA」に名盤の「シベリウス交響曲第2番」をはじめ多くの録音があるがこの「エロイカ」は影に隠れあまり話題にならなかった1枚だった。こうして改めて聴いてみるとクセのないオーソドックス・スタイルの「エロイカ」も悪くない。

グルードのシベリウス「3つのソナチネ」、「キュッリッキ」

2011-12-28 19:43:51 | 器楽曲

 写真のグレン・グールドが弾くシベリウスのピアノ作品集、「3つのソナチネ」と「3つの抒情的小品ーキュッリッキ」を収録したアルバムは彼のレパートリーとしても珍しい1枚だった。録音はグールドが44、5歳の1976年、77年にトロントで行われている。この国内盤LPレコードの初出は確か1978年だったと思う。
 シベリウスと云えば日本では交響曲やヴァイオリン協奏曲などの管弦楽作品がまだメジャーでまして器楽曲になるとほとんどマイナーなジャンルに入ってしまう。私もこのグールドのアルバムでシベリウスのピアノ曲に初めて接したひとりだった。とりわけ「キュッリッキ」ではグールドがシベリウスの抒情の世界を巧みに表現していることが感じとれる。因みにタイトルの「キュッリッキ」とはフィンランドの伝承叙事詩「カレワラ」で「レンミンカイネン」が略奪して妻にした女性の名前である。




FMエア・チェック ー 「エッシェンバッハ&バンベルク響のブルックナー第8」

2011-12-27 22:09:12 | FMエア・チェック

 今日は久しぶりに過去のFMエア・チェック・オープンテープからクリストフ・エッシェンバッハ&バンベルク交響楽団によるブルックナー交響曲第8番を再生してみた。これは1989年10月1日、「ブッルクナー国際音楽祭ーブルックナーハウス(リンツ)」におけるライヴである。放送はNHKFMで翌年1990年9月20日に行われている。
 エッシェンバッハと云えば先ごろウィーン・フィルと来日公演で「第4番<ロマンティック>」を振って聴衆を魅了したばかりだがこの「バンベルク交響楽団」との「第8番」もズッシリと聴き応えがある演奏だ。因みに「1890年ノヴァーク版第2稿」による演奏である。エッシェンバッハのブルックナーは全般的にテンポが遅いことも特徴的だがこの「第8番」も第3楽章「アダージョ」が極端に遅い。参考までに録音データによれば各楽章の演奏時間はⅠ18:00 Ⅱ16:16 Ⅲ 32:09 Ⅳ 23:40でトータルで全体の演奏時間が90分余りを要している。
 ところでバンベルク響のブルックナー第8番の演奏でもう一つ思い浮かぶのがオイゲン・ヨフッムとの1982年9月15日の来日公演である。(NHKFM生中継。2001年にAlutsよりCD化)筆者も当日会場のNHKホールに足を運びその名演に興奮した。ヨッフムも基本的に「ノヴァーク版第2稿」による演奏だったと思うがトータル演奏時間は約81分である。このエッシェンバッハの演奏と比較して単純に約9分ほどの違いがあることも面白いことである。また彼が2005年の「プロムス」でウィーン・フィルを振った「第8番」の映像があるとのことでこちらもぜひ見てみたい。



 

シャイー&ゲヴァントハウス管弦楽団の「スコットランド」(ロンドン稿1842)

2011-12-26 19:32:11 | 交響曲

 写真のCDにはリッカルド・シャイー&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団によるメンデルスゾーン/交響曲第3番イ短調「スコットランド」、序曲「ヘブリディース(フィンガルの洞窟)」の各異稿版と未完の「ピアノ協奏曲第3番ホ短調」(マルチェッロ・ブファリーニによる補筆完成版、2006)が収められている。いずれも世界初録音でメンデルスゾーン生誕200年の2009年にリリースされた。(英デッカ/478 1525)
 なかでも私が特に興味を持ったのは「スコットランド」のロンドン稿である。これは1842年メンデルスゾーン自身の指揮によりこのゲヴァントハウス管弦楽団の演奏でライプツィヒ初演後ロンドンで演奏された改訂版に基づくものである。現行版とのオーケストレーションの大きな違いは第1楽章と終楽章に顕著にあらわれる。このロンドン稿ではこの両端楽章が現行版より劇的で派手さを感じとることができる。シャイーの指揮は結構速めのテンポで鋭角的に押し進めていくところが印象的である。またこのCDには「スコットランド」の第1楽章冒頭の着想スケッチ(1829年/オーケストレーション=クリスティアン・ヴォス)が1分弱収録されているところも興味深い。また序曲「ヘブリディース(フィンガルの洞窟)」は1830年のローマ稿と呼ばれるものでクリストファー・ホグウッド校訂版で彼自身も一昨年9月、NHK交響楽団定期に客演、この自身校訂版による演奏を披露したこともまだ記憶に新しいところである。
 最後に未完の「ピアノ協奏曲第3番」(1842/44)は第1楽章冒頭のオーケストレーションと第2楽章までのスケッチと第3楽章はほんのわずかな断片が遺されていたものである。1981年にラリー・トッドによる第3楽章に「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」の終楽章を転用した復元完成版がある。この版による録音もリリースされているがシャイー盤は2006年のブファリーニの補筆完成版によるもので第3楽章はわずかながらのスケッチ断片を基に新たに作曲し完成された。ピアノはロベルト・プロセッダ。いずれの録音もライヴで交響曲と協奏曲が2009年1月22日、23日、序曲が2006年9月7日、8日に「ゲヴァントハウス」で行われている。
 



バーンスタイン&イスラエル・フィルの「スコットランド」

2011-12-25 11:52:00 | 交響曲

 レナード・バーンスタイン&イスラエル・フィルとのメンデルスゾーン交響曲第3番「スコットランド」のレコードも忘れえぬ1枚である。この録音はバーンスタインがイスラエル・フィルと共に1979年夏、欧州演奏旅行中にミュンヘンの「ドイツ博物館」で行ったコンサート・ライヴと云われている。録音データによれば1979年8月24日~26日となっているがこのLPを聴く限り会場の聴衆等のノイズはほとんど聴き取れない。おそらくこの録音も聴衆がいない会場でのゲネ・プロ等を編集したものと思われる。しかし演奏はバーンスタインの燃え上がる情熱がひしひしと感じ取れる名演である。写真は1980年リリースの独グラモフォンのオリジナルLP(2531256)で第1面の冒頭に同時に演奏された序曲「フィンガルの洞窟」も収録されている。
 またバーンスタインとイスラエル・フィルとのメンデルスゾーンの交響曲録音はこの他にこの前年(1978年)にテル・アヴィヴでライヴ録音された第4番「イタリア」と第5番「宗教改革」もある。(同グラモフォン)いずれもニューヨーク・フィルとの旧盤(CBS)と聴き比べてみるのも興味深い。
 

モーシェ・アツモンの「メンデルスゾーン序曲集」

2011-12-24 11:55:30 | 管弦楽曲

 今日はハンガリー出身イスラエルの名指揮者モーシェ・アツモンの「ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(現、フィルハーモニア管弦楽団)」とのメンデルスゾーンの「序曲集」のLPを取り上げてみたい。(写真)彼はかつて「都響」や「名古屋フィル」の首席指揮者も務めたこともある馴染み深い指揮者のひとりである。
 写真のレコードは「独ELECTROLA盤」だが国内盤でも1970年代末ごろに東芝EMI「セラフィム」の廉価盤でリリースされたことがある。アツモンの快演だが発売当時それほど話題にはならなかった1枚である。収録作品は「フィンガルの洞窟」作品26、「静かな海と楽しい航海」作品27、「アタリー」作品74、「異国よりの帰郷」作品89、「ルイ・ブラス」作品95、以上5つの序曲である。なかでも「アタリー」と「異国よりの帰郷」は大変珍しい録音で私はこのアツモン盤以外の録音はまだ聴いたことがない。因みに前者は「劇付随音楽」の序曲でプロイセン王の依頼で1843年から45年にかけてまた後者の「異国よりの帰郷」は1829年に両親の銀婚式のために書いた1幕ものオペラの序曲である。どちらもコンサートで演奏される機会はほとんどない作品なのでこの録音は大変貴重である。

グールドのベートーヴェン ー 3大ピアノ・ソナタ

2011-12-22 11:27:24 | 器楽曲

 来年は「孤高の天才ピアニスト」と云われたグレン・グールド(Glenn Gould/1932~1982)が亡くなり早、30年をむかえる。私はどちらかと言えばこれまでこのピアニストのレコード(CD)にそれほど耳を傾けることがなかったが最近になりまた関心を持つようになった。そのきっかけとなったのが写真のベートーヴェンの「3大ソナタ集」である。
 彼独特の演奏スタイルに時には興味が湧きまた時には抵抗を感じたこともあった。この「3大ソンタ集」に収められた第23番「熱情」の極端なテンポの遅さは彼がストコフスキー&アメリカ交響楽団とレコーデングした協奏曲第5番「皇帝」第1楽章冒頭のデフォルメしたピアノ・タッチと同様に大変興味深い演奏のひとつであろう。今、何かで読んだことがある「ベートーヴェンのピアノ・ソナタを別のテンポで弾いてみるとまるで人工衛星から地球を見下ろしているような感がする・・・」と云うようなグールド自身の言葉を思い出した。
 (写真/グールドー、ベートーヴェン/「悲愴」・「月光」・「熱情」1966-67録音)

チェリビダッケ&ミラノ・イタリア放送響ライヴーブラームス交響曲全集ほか

2011-12-21 20:24:10 | 交響曲

 写真はセルジウ・チェリビダッケのミラノ・イタリア放送響「ブラームス交響曲ツィクルス・ライヴ」、およびウィーン響との同第1番(ライヴ)、ケルン放送響ほかによる「ドイツ・レクイエム」(ライヴ)が収められた5CDセット(イタリア・メモリーズ盤MR2180/2184)である。これらの音源はいずれもかつて同レーベルからリリースされていたものでこのほどまとめて再発売された。
 常日頃思うのだがチェリビダッケほど極端にテンポを遅くとるなどして演奏スタイルを1970年代末から80年代を境にして大きく変えた指揮者はいないだろう。ここに収録されたミラノ・イタリア放送響とのブラームス交響曲全曲は1959年3月20日と24日にミラノの「ジュゼッペ・ヴェルディ音楽院大ホール」、ウィーン響との「第1番」は1952年10月30日「ウィーン・コンツェルトハウス大ホール」そして「ドイツ・レクイエム」は1957年10月30日(ケルン)のそれぞれコンサート・ライヴ録音音源である。いずれもモノラル録音だが彼が演奏スタイルを変える前の若き日のもので溌剌と積極的に推し進めるブラームスは興味深い。録音状態もこの時代のものとしては比較的良好な点もありがたい。またケルン放送響との「ドイツ・レクイエム」も伝説の名ライヴとも云われているだけあって気品を感じさせる演奏だ。尚、独唱者はアグネス・ギーベル(ソプラノ)、ハンス・ホッター(バリトン)、バックの合唱はケルン放送合唱団である。

フライの「サンタクロース交響曲」

2011-12-20 19:32:51 | 交響曲

 ウィリアム・ヘンリー・フライ(William Henry Fry/1813~1864)は米国、フィラデルフィア出身の作曲家だが日本では彼の知名度は低い。しかし彼は米国人として初めて「交響曲作品」を書いた作曲家と云われている。今日紹介する「サンタクロース交響曲」は彼がヨーロッパ留学から帰国直後の1853年の作品である。曲は単一楽章からなる演奏時間30分弱の「交響曲」というよりは「交響詩的」な雰囲気がある作品である。コーダに有名な賛美歌「アデステ・フィデリス(神の御子は今宵しも)」が高らかに鳴りクリスマスの雰囲気を盛り上げている。演奏は現在ニューヨークを中心に活躍しているトニー・ロウ(Tony Rowe)指揮ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団、1999年8月、スコットランド、グラスゴーの「ヘンリー・ウッド・ホール」における録音で音質も大変素晴らしい。尚、このCDにはフライの作品がこのほかに序曲「マクベス」、「ナイアガラ交響曲」、「ザ・ブレーキング・ハート」の3曲が収録されている。(写真ーNAXOS/8.559057)