私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

ノイマン/チェコ・フィル、1969年来日公演

2011-08-30 16:34:55 | 想い出の演奏会

 「チェコ・フィルハーモニー管弦楽団」がカレル・アンチェルとラディスラフ・スロヴァークの二人の指揮者と共に初来日したのは今から半世紀以上も前の1959年のことである。それ以後この名門オーケストラは現在に至るまで幾度となく来日しているが筆者にとって一番印象に残る公演はヴァーツラフ・ノイマンとのものでとりわけ1969年6月の公演である。この公演はいわゆる「チェコ動乱事件(1968年)」が勃発した翌年の来日公演であった。
 久しぶりにその来日公演のプログラム(写真上)をめくりながら当時を思い起こした。筆者が会場に足を運んだプログラムは6月18日の公演で前半がスメタナの作品、歌劇「売られた花嫁」序曲と連作交響詩「わが祖国」から3曲ー「モルダウ」・「シャールカ」・「ボヘミアの草原と森から」そして後半がドヴォルザークの交響曲第9番ホ短調「新世界から」だった。因みに会場は現在は閉館した新宿の「厚生年金会館大ホール、言うまでもなくいずれもノイマンの「十八番」のプログラムで筆者も大満足した。
 ところでこの来日公演時にノイマン&チェコ・フィルが「世田谷区民会館」でレコーディングしたベートーヴェン「交響曲第5番」の演奏が残されている。現在ではCD化されているがなかなかの名演である。(写真下)また当時の公演でもプログラムに取り上げていた。余談ながらこのCDにカップリングされたシューベルトの「未完成」は1966年プラハでの録音である。



バリビローリ&ハレ管のシューベルト/交響曲「ザ・グレート」

2011-08-29 17:41:27 | 交響曲

 サー・ジョン・バルビローリ(Sir John Barbirolli/1899~1970)が「ハレ管弦楽団」と遺したの数々名盤の中でシューベルトの交響曲第8(9)番ハ長調「ザ・グレート」(1966年ステレオ録音EMI)も忘れることができない1枚である。写真は1990年ごろ「新星堂」が企画し「東芝EMI」制作した限定盤の廉価盤シリーズからの1枚である。(新星堂SAN-2)
 バルビローリは同曲をこのコンビで確か1953年にモノラルでも「EMI」にレコーディングしているが筆者はあらゆる面で断然このステレオ盤が優っていると思う。演奏も作品の細部に至るまで深く繊細にうたいあげた「ザ・グレート」だ。このような演奏スタイルで聴ける同曲の演奏も最近では少なくなってきたと感じている。
 ところでバルビローリは1970年、「ニュー・フィルハーモニア管弦楽団」との来日直前に急逝しその突然の訃報に驚き来日公演を楽しみにしていた筆者を落胆させた想い出もある。写真(下)ー(バルビローリが振る予定だった「ニュー・フィルハーモニア管弦楽団1970年来日(東京公演)プログラム、ジョン・プリッチャードとエドワード・ダウンズが指揮)

 

ワルター、不滅の名盤 - マーラー/交響曲「大地の歌」(1952年録音)

2011-08-27 20:01:48 | 交響曲

 ブルーノ・ワルター(Bruno Walter/1876~1962)はマーラーの交響曲「大地の歌」を世界初演した。彼はマーラーの門弟でもあった。今回紹介するワルターのカスリーン・フェリアー(コントラルト)、ユリウス・パツァーク(テノール)、ウィーン・フィルとのスタジオ録音盤(1952年5月15、16日デッカ録音)は現在も「不滅の名盤」として輝き続けている。因みにこの録音は彼の同作品の1936年に次ぎ2度目の録音に当たる。写真のLPは1964年に「キング・レコード」から「不滅の巨匠シリーズ」として発売された1枚で当時中学生だった筆者でも何とか小遣い銭をためて買えるレコードでもあった。(MR5036/モノラル盤)また他にはエーリッヒ・クライバー/ウィーン・フィル他によるベートーヴェンの「交響曲第9番ニ短調<合唱つき>」も筆者にっとは同シリーズからの懐かしい1枚である。
 さてこの「大地の歌」の演奏だがやはりコントラルトのフェリアーの気品ある美声が光る。ワルター&ウィーン・フィルの息の合ったアンサンブルも美しい。モノラル録音だが「デッカ録音」の特徴でもある柔らかい響きが印象的である。余談ながら「仏ターラ」からは同メンバーによるこのスタジオ録音の翌日(1952年5月17日)に「ウィーン楽友協会大ホール」でのコンサート・ライヴ録音も発売されている。またステレオ録音では1960年録音(CBS)のミルドレッド・ミラー、エルンスト・ヘフリガー、ニューヨーク・フィルハーモニックによる名演もある。

ケンペ&ベルリン・フィルの隠れた名盤ーベートーヴェン/交響曲第3番「エロイカ」

2011-08-26 00:47:32 | 交響曲

 ルドルフ・ケンペ(Rudolf Kempe/1910~1976)は決して派手な指揮者ではなかったがドイツ正統派の堅実な指揮ぶりはファンも多かった。残念ながら彼は来日を果たせなかった指揮者のひとりでもあったが筆者は幸いにして1973年3月、「ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団」の指揮台に立つ彼の指揮ぶりを生で接することができた。(1973年3月20日/ロイヤル・フェスティバルホール、ロンドン)この時の感激は今も忘れることができない。
 彼は生涯に数々の名盤を遺しているが中でも筆者がよく好んで聴く演奏は1950年代後半から60年代初頭にかけてレコーディングした「ベルリン・フィル」との演奏である。とりわけ今回紹介したいベートーヴェンの「交響曲第3番変ホ長調<エロイカ>」はこの時代の隠れた名盤であろう。記録によればこの録音は1959年9月にベルリンの「グリューネヴァルト教会」で行われている。(写真上/国内盤EMIクラシックスTOCE55437/ステレオ)因みにこのCDには「同教会」で1957年に録音された「レオノーレ」序曲第3番と「エグモント」序曲も収録されている。「エロイカ」については後の「ミュンヘン・フィル」との「交響曲全集」録音(1972年~73年)を凌ぐものと思っている。実に「威風堂々」とした「エロイカ」である。
 写真(下)は1973年「ロイヤル・フィル」のコンサート終了後にプログラムに入れてもらったケンペ直筆サイン。

 

若きサヴァリッシュ、「ウィーン交響楽団」とのブラームス/交響曲第2番

2011-08-24 18:42:37 | 交響曲

 今日紹介するLPレコードも筆者にとっては懐かしい1枚である。日本でもおなじみのウォルフガング・サヴァリッシュが「ウィーン交響楽団」時代にフィリップスにステレオ録音した最初の「ブラームス交響曲全集」からの1枚を取り上げてみた。彼は1960年から1970年までの10年間に渡り「ウィーン交響楽団」の首席指揮者を務めた。この「ブラームス交響曲全集録音」も彼の若き日の名盤として現在も語り継がれている。(1959年~1963年録音)
 写真のLPレコード「第2番ニ長調」は筆者が学生時代の1973年の春休みに初めてヨーロッパを旅した時イタリアの古都「フィレンツェ」で求めたものである。原盤は「オランダ・フィリップス」だがこれは「イタリア盤ーフォンタナ・レーベル」である。ジャケット裏面を見るとまだ当時のの価格シール(L.2,200)が貼り付けられたままになっていた。イタリアの通貨も現在は「ユーロ」だが昔の単位は「リラ」だった。つまり「2,200リラ」がこのLPの当時の値段ということになる。1973年当時の「イタリア・リラ」の「円」との換算率は1/2.5ぐらいと記憶しているので日本円で約880円といったところか。日本の廉価盤も1,000円前後だったので価格はそれほど大きな変わりはない。
 ところでサヴァリッシュはその後1989年から91年にかけて「ロンドン・フィル」とも全集録音(EMI)を行っているが筆者はどちらかと言えばこの素朴な「ウィーン響」との旧全集に親しみを感じている。
 (写真/イタリア・フォンタナ盤ー6540 042/「ハイドンの主題による変奏曲」付)

 

ムラヴィンスキー&レニングラード・フィル 「1965年ステレオ・ライヴ」

2011-08-23 17:39:07 | 管弦楽曲

 今でこそ「ムラヴィンスキー&レニングラード・フィル」によるライヴ盤は多数出回っているが写真のLPレコード(国内盤)が発売された1970年代当時は大変珍しかった。しかも「ステレオ録音」によるものである。この「ライヴ・シリーズ」は全て1965年2月「モスクワ音楽院大ホール」におけるコンサートからの音源で「ロシア・メロディア原盤」によるもので国内盤は「ビクター」から発売された。因みに写真は「シリーズ第2巻」で当時のコンサートでのアンコール曲を中心に編集されたものと思われる。収録作品はグリンカの歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲から始まりワーグナーの「ローエングリン」第3幕への前奏曲まで全8曲が収められている。とりわけ筆者が一番興味深かかった演奏がドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」であった。ムラヴィンスキーの「牧神の午後」は筆者のコレクションでもこのレコード1枚のみである。しかも「ステレオ・ライヴ」なのでことさら貴重な録音と思われる。演奏もこの作品がもつ官能的、夢幻の世界をムラヴィンスキーは実に巧みに表現している。またグリンカの序曲も超快速テンポでの演奏が印象的だった。
 
 
 

ジェームズ・ロッホラン、ハレ管のベルリオーズ「幻想交響曲」

2011-08-22 17:15:11 | 交響曲

 今日はジェームズ・ロッホラン(James Loughran)指揮ハレ管弦楽団のベルリオーズ「幻想交響曲」が聴きたくなり何年かぶりに針をおろした。ロッホランは1931年生まれのスッコトランド、グラスゴー生まれの今年80歳を迎えた名指揮者である。彼はまた1980年代を中心に「日本フィル」に客演、ホルストの「惑星」をはじめとして数々の名演を披露し筆者もよく会場へ足を運んだ思い出がある。そして90年代には「日本フィル」の「首席客演指揮者」に就いている。彼はジョン・バルビローリの後を継いでマンチェスターの「ハレ管弦楽団」の音楽監督兼首席指揮者を務めた。(1972~1983)本日紹介する写真のLPレコードは彼の「ハレ管時代」に英EMI傘下の「CFP(Classics For Pleasure)レーベル」にレコーディングした1枚である。(CFP40281)
 曲はおなじみのベルリオーズ「幻想交響曲」。この作品については過去にミュンシュの名盤を筆頭にしてもう何種類も紹介ずみだがこの「ロッホラン盤」も影に隠れていた筆者が好きな1枚だ。演奏は全篇を通じて派手さはないが気品があり洗練されているところが魅力的である。ハレ管弦楽団のどちらかと言えば地味で落ち着いた弦の響きも悪くない。因みにこの録音でロッホランは「第1楽章ー夢と情熱」の主題提示部の反復も実行しているが「第4楽章ー断頭台への行進」の前半部の反復は省略している。尚、レコード・ジャケットには録音年代の記入がないので正確な年月は不詳だが筆者がこのLPを求めた時期が1970年代末ロンドンのレコード店と記憶しているので70年代中頃と推定される。

FMエア・チェック - カラヤン/BPO 「ブルックナー/交響曲第9番」(1985年ライヴ)

2011-08-21 11:08:31 | FMエア・チェック
 今日紹介するカラヤン/ベルリン・フィルによるブルックナー「交響曲第9番ニ短調」の「FMエア・チェック・テープ」は1985年11月23日の「ベルリン・フィルハーモニー」におけるコンサート・ライヴである。カラヤンは翌日24日も同プログラムでコンサートを行ったがこちらは後に「ソニー・クラシカル」より「カラヤンの遺産(レガシー)-全聖徒の日メモリアル・コンサート1985」と題して「映像ソフト」でリリースされた。(写真(下)ソニー・クラシカル、VHSビデオーSRVM942)
 「NHKFM」では前日の23日の模様が昨日紹介した「1985年ジルヴェスター・コンサート」のプログラム後半で放送されている。(1986年9月27日)今回「オープン・テープ」から「CD-R」に整理を進めていくうちに気づいたのだがカラヤンとベルリン・フィルによる同曲の「FMエア・チェック・ライヴ」による筆者のコレクションはこれが唯一のものだった。それだけにこのライヴ録音は筆者にとっては大変貴重なものである。カラヤンは「ベルリン・フィル」と同曲をスタジオ録音で1966年と1975年の2回レコーディングしているがそれらの基本的な演奏スタンスはほとんど変わりはない。しかしこと「コンサート・ライヴ」となると会場の雰囲気や緊張感からくる不思議な何かがプラスされ彼の磨きあげられたブルックナーの音の響きに魅了させれてしまう。それは終楽章「アダージョ」の余韻が消えるまでたっぷりと間をとってからの聴衆の盛大な拍手がその満足感を充分に伝えている。このFM放送ライヴ・テープでもその拍手は1分40秒以上に渡り収録されていた。

(ソニー・クラシカル映像ソフトーSRVM942/VHSビデオ、こちらは翌24日のコンサートを収録)

FMエア・チェック - カラヤン/BPO 「1985ジルヴェスター・コンサート」

2011-08-20 18:20:26 | FMエア・チェック
 今日は「FMエア・チェック・オープン・テープ」からカラヤン/ベルリン・フィルの「1985年ジルヴェスター・コンサート」を中心に「CD-R」に整理した。これは筆者の記録によれば「NHKFM」で1986年9月27日に放送されたものである。「ベルリン・フィルハーモニー」における実際のコンサートでは最後にラヴェルの「ボレロ」が演奏されているが「FM」ではカットされ次の5曲が放送された。
 1)ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲
 2)レオンカヴァッロ:歌劇「道化師」間奏曲
 3)プッチーニ:歌劇「マノン・レスコー」間奏曲
 4)リスト(ドップラー編曲):「ハンガリー狂詩曲第5番」
 5)ヨゼフ・シュトラウス:円舞曲「天体の音楽」
 いずれもカラヤンが得意とす小品だがこのライヴ演奏も「ベルリン・フィル」の弦・管が美しく冴え渡る。このコンサートの模様はレコード・CDにこそならなかったが後に「ソニー・クラシカル」からLD、DVDで映像としてリリースされた。しかしこれらの映像ソフトではヨゼフ・シュトラウスの「天体の音楽」がカットされていた。写真(下)は2003年にDVD化されたもの。(ソニー・クラシカルーSIBC29)

佐村河内 守 - 交響曲第1番 「HIROSHIMA」

2011-08-19 16:30:43 | 交響曲

 先頃リリースされた今話題を呼ぶ佐村河内 守(さむらごうち まもる)作曲の交響曲第1番「HIROSHIMA」にじっくりと耳を傾けた。全曲の演奏時間も81分を超える大曲なのだが全3楽章を時間を忘れ聴きほれてしまった。副題に「HIROSHIMA」とあるように原爆被爆都市「広島」をテーマにした作品だが同テーマを題材にした交響曲には他に團 伊玖磨の「第6番」が思い浮かぶ。こちらは和楽器の「能管」や「篠笛」が活躍し終楽章ではソプラノ独唱も加わる。どちらも偶然にして「3楽章構成」の「大シンフォニー」である。
 今回スポットを当てる佐村河内の「HIROSHIMA」は管弦楽のみで演奏される作品で作曲者自身のコメントによれば第1楽章「運命」、第2楽章「絶望」、第3楽章「希望」がテーマになっている。各楽章とも「調性」がとられているので聴きやすいが第1楽章序奏は「Andante tenebroso」の陰鬱なティンパニーの打音がこれからの「悲劇性」を予感させる。楽章の演奏時間では「第2楽章」が最も長くこのCDの演奏では35分弱を要し「第1楽章」の様々の動機も増幅されながらテーマの「絶望感」の境地が伝わってくる。「第3楽章」ー「Allegro molto tempestoso(嵐のように極めて速く)」に入るとまだしばらく「悲劇性」は持続され「レクイエム」の「怒りの日」をイメージさせるが楽章後半部は雲間から「希望の光」がさし始める。そしてコーダへと向かう美しい弦の響きが「平和」への祈りを捧げるかのようにカリヨンとともにマーラー風に高々と歌いあげられ劇的に幕がおろされる。
 (写真/佐村河内 守/交響曲第1番「HIROSHIMA」、大友直人指揮 東京交響楽団/デンオンCOCQ 84901)