私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

クリュイタンスの「ベルリオーズ/管弦楽曲」集

2012-05-29 20:19:02 | 管弦楽曲

 今日紹介するCDは写真のアンドレ・クリュイタンスが遺した名盤として知られる1枚、ベルリオーズの「管弦楽曲集」である。いずれも1959年から1965年にかけてパリの「サル・ワグラム(Salle Wagram)でレコーディングされている。当時の録音としても大変素晴らしくクリュイタンスの気品を感じる快演である。(仏EMI-CDM7691092、1987年CD化)

 収録作品は「ベンヴェヌート・チェルリーニ」・「ベアトリスとベネディクト」・「ローマの謝肉祭」、各序曲(1961年録音)・「ファウストの劫罰」からハンガリー行進曲、妖精の踊り、鬼火のメヌエット(1959年録音)、それに全曲の上演時間が4時間以上も要する長大なオペラ「トロイアの人々」の第2部にあたる「カルタゴのトロイアの人々」から「第2幕第2場」の前に間奏として演奏される「王の狩と雷雨」(1965年録音)が合唱と共に収録されている。またウェーバーの「舞踏への勧誘」(ベルリオーズ管弦楽編曲版/1965年録音)も聴きものだ。因みにオーケストラは1961年録音各序曲が「フランス国立放送局管弦楽団」、1959年録音「ファウストの劫罰から」は「パリ国立オペラ座管弦楽団」、1965年録音の「舞踏への勧誘」と「王の狩と雷雨」が「パリ音楽院管弦楽団」である。


ヴァーノン・ハンドリーのウォルトン「交響曲第1番」

2012-05-28 20:24:41 | 交響曲

 ウィリアム・ウォルトン(William Walton/1902~1983)はエルガーやヴォーン・ウィリアムズと並んで英国を代表する作曲家だが日本ではまだまだ馴染みが薄い。彼の作品分野はオペラ、舞踊音楽、管弦楽、協奏曲、映画音楽、室内楽等々幅広く豊かな音の色彩感、リズム感が特徴的だ。今日紹介する「交響曲第1番変ロ短調」は1932年から35年にかけて作曲された。演奏時間約45分を要する大曲だが聴き込むほどに興味が湧く作品である。

 写真のCDは1990年代にリリースされた「英ASV・QSコレクション」廉価盤シリーズの1枚でイギリス音楽のスペシャリストとして知られたヴァーノン・ハンドリー(Vernon Handley/1930~2008)がロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニックと録音したものである。録音年代はジャケットに記載がないがおそらく1970年代と思われる。同楽団との名盤として知られたヴォーン・ウィリアムズの交響曲全集と共に気品ある演奏が魅力を誘う。CDの余白には映画音楽「少数者の首位」を改編した「スピットファイア」前奏曲とフーガがステュアート・ベッドフォード指揮イギリス室内管弦楽団の演奏で収録されている。


シュミット=イッセルシュテット、「北ドイツ放送響」のドヴォルザーク交響曲

2012-05-26 16:11:23 | 交響曲

 今週の「NHK FM」-「ベスト・オブ・クラシック」の時間は「ギュンター・ヴァント生誕100年」としてヴァント&北ドイツ放送響の貴重ライヴ音源からの特集を放送していた。ヴァントのライヴ録音としては過去に放送されたこの北ドイツ放送響も含めFMエア・チェックテープを保存しているが今回改めてこのコンビではあまり馴染みのなかったストラヴィンスキーやベルクの作品も耳にすることができ楽しめた。そこで今回は「北ドイツ放送交響楽団」の初代首席指者「ハンス・シュミット=イッセルシュテット」のライヴ盤にスポットあててみたい。

 イッセルシュテットのライヴ盤は過去にもジネット・ヌヴーとのブラームスのヴァイオリン協奏曲(管弦楽/北ドイツ放送響)などを紹介ずみだが今日は写真のCD、ドヴォルザークの「交響曲第7番」と「第9番<新世界から>」のライヴを取り上げたい。因みにこのCDは2004年に「独EMI」から「北ドイツ放送響ライヴ・シリーズ」としてまとめてリリースされた中の1枚である。録音は前者の「第7番」が1970年6月8日、後者の「第9番」が1969年2月10日、いずれもハンブルクの「ムジークハレ(現在/ライスハレ)」におけるコンサート・ライヴ録音である。

 考えてみるとイッセルシュテットのドヴォルザークの交響曲の録音は珍しく確か1950年代SP時代の「第9番(当時は第5番)」ぐらいしか思いつかない。その意味でもこのステレオによる二つのライヴ録音は大変貴重なものである。録音・演奏も素晴らしく彼らしく骨太のがっしりしたドヴォルザークである。


チョン・ミョンフン&ソウル・フィル ー 「マーラー交響曲第1番」

2012-05-23 16:52:01 | 交響曲

 昨年5月、「東日本大震災チャリティー・コンサート」として開催されたチョン・ミョンフン指揮ソウル・フィルハーモニックの演奏をサントリー・ホール(東京)で聴いた。プログラムはソリストにヴァイオリンの庄司 紗矢香を迎えチャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲」・「交響曲第6番<悲愴>」が演奏された。これに遡る2004年の「アジア・オーケストラ・ウィーク」(東京)でもこの楽団の演奏を耳にしたことがあるが演奏水準はケタ違いにレベルアップしていたのに驚いた。

 チョン・ミョンフンがこのオケの音楽監督に就任するにあたりおそらくメンバーの組織的入れ替えもかなりあったのであろう。写真は先ごろ「ドイツ・グラモフォン」よりリリースされたマーラーの「交響曲第1番ニ長調<巨人>」(独グラモフォン/476 458-1)である。2010年11月3日、「ソウル・アーツ・センター」におけるライヴ録音でこの演奏からもこのオーケストラのレベルの凄さがよくわかる。それはもちろんこのCDにも収録された演奏終了後の聴衆の盛大な拍手も物語っている。またその根底は指揮者チョン・ミョンフンの作品に対する緻密なアプローチにあるが同時にオーケストラ各パートの一糸乱れぬ見事なアンサンブルにも注目したい。

 この録音がミョンフンのマーラー交響曲の初録音だが現在は同コンビによる「第2番<復活>」もリリースされており今後の「マーラー交響曲・シリーズ(全集録音)」に期待したい。


バルビローリ最晩年の録音から - マーラー/交響曲第5番

2012-05-21 16:35:21 | 交響曲

(EMI/CDM7 69186 2)

  名匠サー・ジョン・バルビローリが「EMI」に遺したマーラーの「交響曲第5番」(写真)は1969年7月、「ワットフォード・タウン・ホール」(ロンドン)における彼の最晩年の録音である。管弦楽は「ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(現、フィルハーモニア管)」で1967年録音の「第6番」と共に愛聴している。

  この「第5番」の演奏は全体的に遅めのテンポをとり演奏時間も74分強を要しゆったりと深い味わいを持たせている。ただ第4楽章「アダージェット」が10分を切っているところも興味深い。バルビローリの演奏はよくおおらかで柔軟性を持った解釈が魅力的と云われているがこのマーラーの演奏にはそれが如実に顕れていると思う。彼はこの録音の翌年(1970年)にこのオーケストラと共に来日が予定され筆者も楽しみにしていた一人だったが直前に帰らぬ人になりだれもがその訃報に驚いたことを今も思い出す。

 


カラヤンのモーツアルト/歌劇「フィガロの結婚」 (1978年録音)

2012-05-20 09:13:25 | ヘルベルト・フォン・カラヤン

 オペラ指揮者としてのカラヤンのモーツアルトは定評がある。 とりわけ代表的な3つのオペラ「フィガロの結婚」・「ドン・ジョヴァンニ」・「魔笛」は「ザルツブルク音楽祭」をはじめ実演でも数多く上演され多くファンを楽しませた。写真のCD、「フィガロの結婚」K.492(全曲盤)はカラヤンの1950年録音(EMI/モノラル)以来28年ぶりのウィーン・フィルとの再録音であった。(1978年DECCA)

 配役も伯爵夫人がシュヴァルツコップからトモワ=シントウ、フィガロはクンツからダム、またスザンナにはコトルバスを起用するなど時代とともに歌手陣も当時の花形にガラッと入れ替わっての録音である。ついでながら旧録音は「レチタティーヴォ・セッコ」を省略した録音であった。この際、両盤の聴き比べながらカラヤンの至芸を楽しむのも興味深い。

 


「ザルツブルク音楽祭ー1950」~フルトヴェングラーのJ.S.バッハ

2012-05-17 17:19:58 | 協奏曲

 フルトヴェングラーが遺したJ.S.バッハの録音は「管弦楽組曲第3番」、「マタイ受難曲」、それに今回取り上げる「ブランデンブルク協奏第3番・第5番」ぐらいしかなくいずれもライヴ録音が中心である。写真は2000年に「EMI」から初CD化された1950年の「ザルツブク音楽祭」におけるウィーン・フィルとのライヴ録音である。(2CD)

 1950年はバッハ没後200年記念の「BACH YEAR」にあたり「オーケストラ・コンサート」最終日の8月31日、フルトヴェングラーは「ブランデンブルク協奏曲第3番ト長調BWV.1048」と「第5番ニ長調BWV.1050」をプログラムの前半に取り上げている。さらに「第5番」の演奏ではフルトヴェングラー自身がチェンバロではなくピアノを弾いているところも興味深くちょっと違和感も感じるが貴重な録音と云えるだろう。録音はモノラルだが音質はまずまずである。またディスクの2枚目にはプログラムの後半に演奏されたベートーヴェンの「エロイカ」が収められている。彼の「エロイカ」の録音はスタジオ、ライヴ録音を合わせるとかなりの数にのぼると思うがこの「ザルツブルク音楽祭」の録音はこのCDがリリースされるまで一度も公式にレコード化されなかったものである。オリジナル・テープに起因するものと思われる音の不具合が若干あるのが気になるが演奏は素晴らしい。

 


「シュレスヴィヒーホルスタイン音楽祭・1992」ーヴァントのブルックナー「第7番」

2012-05-16 20:47:10 | FMエア・チェック

  過去に「シュレスヴィヒーホルスタイン音楽祭(Schleswig-Holstein Musikfestivals)におけるギュンター・ヴァント/北ドイツ放送響のブルックナーの演奏については「第8番」の1987年ライヴ盤(EMI-Deutsche Harmonia Mundi)のCDを紹介したと思うが今回は1992年の「第7番」ライヴ演奏(FMエア・チェック)を取り上げてみたい。因みにこの音楽祭は毎年夏季にドイツの最北に位置する「シュレスヴィヒ・ホルスタイン州」の都市ーリューベック、キール、フレーンスブルクなどを中心に開催されている。

 この「第7番」の演奏は1992年の音楽祭オープニングとして先の「第8番」と同じリューベックのカテドラル(写真)で行われたライヴである。(1992年6月28日ライヴ録音)今回FMエア・チェックしたオープン・テープからCD-Rにコピー保存するため久しぶりに耳を傾けた。筆者も訪れたことがある聖堂だが残響時間が想像以上長い。ブルックナーの交響曲の響き、余韻を味わうにはまさにピッタリの会場である。ヴァントも響きの余韻が消えるのを待って次のフレーズに進めていく。従って彼が通常のコンサート・ホールで振った「第7番」の録音より演奏時間も幾分長くオーケストラの残響の余韻が印象的である。99年のベルリン・フィルとのライヴ盤(RVC)と共に今後も愛聴したい。

(リューベック、カテドラル)

 

 


スヴェトラーノフ&ソヴィエト国立響ほかによるラフマニノフ/詩曲「鐘」

2012-05-14 19:43:11 | 声楽曲

  ラフマニノフが1913年に書いた詩曲「鐘」作品35はソプラノ、テノール、バリトンの独唱に混声合唱を伴う4楽章構成の云わば合唱交響曲である。歌われるテキストはエドガー・アラン・ポーの詩をロシアの詩人コンスタンティン・バリモントがロシア語に翻訳したものに基づいている。写真のメロディアのLP盤はもう20数年前にまだソヴィエト時代のモスクワのレコード店で求めたもである。(露メロディアーC10-1293-4/ステレオ)

 演奏は独唱陣にソプラノ=ガリーナ・ピサレンコ、テノール=アレクセイ・マスレンニコフ、バリトン=セルゲイ・ヤコヴェンコ、合唱は「ユルロフ合唱団」、エフゲニー・スヴェトラーノフ指揮のソヴィエト国立交響楽団である。録音は1970年代末頃と思われるが大変優秀である。声楽部、独唱と合唱のハーモニーが非常に美しく捉えられている。国内のコンサートでは取り上げられる機会はめったにないがレコードでこの作品の美しさにはまり込んでしまうと何度も聴いてみたくなる不思議な魅力を持つ作品である。

 


ヨッフム&ロンドン・フィル - ハイドン「交響曲第94番・第101番」

2012-05-13 15:04:16 | 交響曲

 写真のLPはオイゲン・ヨッフムがロンドン・フィルと1971年~73年にかけて録音したハイドンの「ザロモン・セット」(全12曲)から有名な第「94番<驚愕>」・第101番<時計>」がカップリングされた1枚である。(独グラモフォン/2530 628)筆者は先日紹介したモントゥー盤と共に愛聴している。

  米国の音楽学者でハイドンの研究家でも知られるハワード・チャンドラーロビンス・ランドン(Howard Chandler Lobbins Landon/1926~2009)校訂版によるもので発売当時注目された。近頃は古楽器による演奏が話題になるがモダン楽器によるこのヨッフムの演奏も一に値する。派手なインパクトはないがロンドン・フィルの音色がそのスケール感とともにハイドンのイメージを聴き手に伝わる快演である。またこのレコード・ジャッケト・デザインも大変気に入っている。