私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

「FMエア・チェック・オペラ・コレクション」から

2011-04-29 00:25:05 | FMエア・チェック
 今日はカール・ベームが1978年1月30日に「バイエルン国立歌劇場」でベートーヴェンの「フィデリオ」を振った「FMエア・チェック・オープンテープ」を再生してみた。ベーム、最後の「フィデリオ」ライヴとなった公演である。この公演の録音は「バイエルン放送協会提供」のステレオ・テープにより同年の7月9日(日)、NHKFM「オペラ・アワー」で放送されたものである。
 ベームの「フィデリオ」の定盤といえば「ドレスデン国立歌劇場」との1969年スタジオ録音(DG盤)であるがこの最晩年のバイエルンのライヴではレオノーレ役がギネス・ジョーンズに代わりヒルデガルト・ベーレンスである。因みにフロレスタンは不動のジェームズ・キングが歌っている。他にはドン・ピツァロはテオ・アダムからドナルド・マッキンタイア、ロッコにフランツ・クラスからクルト・モル、またマルツェリーネにはエディット・マティスからルチア・ポップといった具合である。今聴きなおしてもやはりベームの「フィデリオ」には独特の凄みを感じる。ましてライヴ録音となるとさらに一味違って聴こえてくる。またこの時の演出を手がけたのが「ベルリン・ドイツ・オペラ」総監督も務めた日本でもオペラ・ファンなら馴染みのあるゲッツ・フリードリヒであった。この音源も2001年にドイツの「オルフェオ」レーベルよりCD化されている。ベームの「不滅の歴史的ライヴ録音」の一つとして後世にも語り継がれていくであろう。

バイエルン国立歌劇場(ミュンヘン)

FMエア・チェックー「1977年ザルツブルク音楽祭」

2011-04-27 18:03:33 | FMエア・チェック
(1977年ザルツブルク音楽祭パンフレット)

 筆者は過去の「FMエア・チェック・オープン・テープ」を「CD-R」にコピー保存を現在進行中だがなかなか思うように進まないのが現状である。気が乗っている時に一気に進めてしまうこともひとつの手でもあるのだが・・・ そこで近頃では「テーマ」を決めて少しづつでも実行するように心がけている。今は1970年~80年代の「ザルツブルク音楽祭放送ライヴ」を中心に整理することにした。この時代は筆者が好きなカラヤンをはじめとしてベームやバーンスタインも音楽祭の舞台に登場し大変華やかで賑わっていた。筆者も何回か実際に現地に飛び生のコンサートを聴いて感動した思い出を忘れることができない。
 「FMエア・チェック」のジャンルで最初に紹介したテープは確か1977年の「ザルツブルク音楽祭」におけるカラヤン/ベルリン・フィルの「オーケストラ・コンサート」からマーラーの「交響曲第6番」だったと思うが今回はその翌日(8月28日)の夜「祝祭劇場大ホール」で開催されたカラヤン/ベルリン・フィルによる「第2夜」で演奏されたベートーヴェンの交響曲第6番ヘ長調「田園」と同第3番変ホ長調「英雄」にスポットを当ててみたい。この演奏も改めて聴き直しその演奏の凄さを再認識した次第である。カラヤンらしく身の引き締まるような速いテンポで展開していくベートーヴェンは言わば典型的な「カラヤン・スタイル」を貫いた演奏とも言えるだろう。またカラヤンが「ベートーヴェン交響曲ツィクルス」等で演奏する際には「第1番」と「第3番」、「第6番」と「第5番」といった組み合わせが通常だがこのコンサートのように「第6番」と「第3番」の組み合わせは大変珍しかった。
 
 
 

デニス・ラッセル・デイヴィスのブルックナー「交響曲第8番」(ライヴ盤)

2011-04-25 15:21:43 | 交響曲

 2002年より「リンツ・ブルックナー管弦楽団(Bruckner Orchester, Linz)」の首席指揮者を務めている米国出身のデニス・ラッセル・デイヴィス(Dennis Russell Davies)が約5年の歳月を経て完結した全てコンサート・ライヴによる「ブルックナー交響曲全集録音」から「第8番」を紹介したい。
 この一連のシリーズは2003年9月録音の「第4番」に始まりこの「第8番」は翌2004年3月10日、このオケの本拠地「リンツ、ブルックナーハウス」でのコンサートを収録した第2弾に当たるものである。(写真ーARTE NOVA82876 62856 2)因みにデイヴィスはこの「第8番」を前回の「第4番」と同じく「ノヴァーク版・第1稿」によって演奏しており発売当時(2005年)の評価も高く注目を浴びた1枚であった。現在では「第1稿」による「第8番」の演奏も増えてきたがデイヴィスの鋭い切れ味のあるこの演奏は聴き手を飽きさせることはないだろう。またこの聴き応えある演奏が「ARTE NOVA」の廉価盤で入手できることもブルックナー愛好家にとっては大変魅力的である。

ディミトリ・ミトロプロース、ラスト・コンサート ライヴ盤

2011-04-24 20:16:33 | 交響曲

 このCDも「ARCHIPEL」から先頃復刻されたものである。ギリシャの首都アテネ出身、マーラーを得意のレパートリーのひとつにしていたディミトリ・ミトロプーロス(Dimitri Mitropoulos/1896~1960)の生涯最後のコンサートとなった「マーラー/交響曲第3番ニ短調」である。この演奏会は彼の死のまさに2日前、1960年10月31日ケルンで行われている。管弦楽は「ケルン放送交響楽団(現、WDR交響楽団)」、ソリストに当時活躍中の米国出身のコントラルト、ルクレティア・ウェスト(Lucretia West)が共演している。
 ミトロプーロスという指揮者は独特の個性を持った指揮者(最も当時は個性が強い指揮者が多かったが)でこの演奏も万人好みのマーラーの演奏とは言いがたいが今改めて彼のライヴに耳を傾けてみるとその強い個性の中にも細かなニュアンスを微妙に写し取ったマーラー像を聴くことができる。彼はこの演奏の2日後、ミラノの「スカラ座」でこの「第3番」のリハーサル中に心臓発作で倒れ帰れぬ人になった。
 尚、CD2枚目にの余白にはボーナス・トラックとして「ザルツブルク音楽祭」のライヴ音源からこれまた二つの強烈な彼の個性が聴けるアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団とのブラームス/「交響曲第3番」(1958年8月10日録音)とベルリン・フィルを振ったドビュッシー交響詩「海」(1960年8月21日録音)が収録されている。
 
 

新音源! フリッチャイの「ブラームス/交響曲第1番」

2011-04-23 12:27:03 | 交響曲

 ハンガリーの名指揮者フェレンツ・フリッチャイ(Ferenc Fricsay/1914~1963)のブラームス交響曲全集録音は記録によれば手兵「ベルリン放送交響楽団(現、ベルリン・ドイツ交響楽団)と1963年から予定されていたが彼の死によりその計画は実現しなかった。従って彼のブラームスの交響曲正規録音は極端に少なく大変貴重なものである。今回紹介するこの「第1番」の録音も1956年2月8日に「スイス・ロマンド管弦楽団」に客演した際のライヴ録音でこのほどスイスのレーベル「CASCAVELLE]より初CD化された新音源である。(写真/VEL3152)「スイス・ロマンド管」の本拠地、ジュネーヴのヴィクトリア・ホールで収録されたもので彼の渾身の力をこめたブラームスがズッシリと伝わってくる。録音はモノラルだがその迫力は凄いものを感じる。現在、これは彼の「第1番」が聴ける唯一のCDと思われるがこの他に入手できそうな録音は「ドイツ・グラモフォン」の1961年2月、ザルツブルク祝祭大劇場録音の「第2番」、1953年録音のベルリン放送響との同じく「第2番」(いずれもモノラル/スタジオ録音)ぐらいであろう。
 尚、写真のCDには当日のコンサート前半に演奏されたリスト「ピアノ協奏曲第2番イ長調」(ピアノ/アルド・チッコリーニ)も収録されている。当時まだ新進のピアニストだった若きチッコリーニの繊細なテクニックによる演奏が聴きものである、

カラヤンの「モーツァルト/「レクイエム ニ短調 K.626」ライヴ盤

2011-04-22 14:04:43 | ヘルベルト・フォン・カラヤン

 カラヤンのモーツアルト「レクイエム」ライヴ盤で筆者の頭に浮かぶ録音は「ウィーン・フィル」との「1960年ザルツブルク音楽祭」のものがある。先頃、筆者もその音源を収録したCD「ARCHIPEL」レーベルのCDを早速求めてみた。(ARPCD-0511)この音源自体は他レーベルからも過去にCD化されていたのでご存知の方も多いと思う。カラヤンの同作品のライヴ盤はこの他には筆者はまだ未聴だが「ウィーン交響楽団」との「ウィーン楽友協会大ホール」でのコンサート・ライヴ(1963年/モノラル)があるくらいで「ベルリン・フィル」とのライヴ音源は今のところ見当たらない。
 さて本題の写真の「ライヴ盤」は1960年8月24日の「ザルツブルク祝祭劇場大ホール」おけるコンサート音源(モノラル)で音質は良好とは言いがたいが歌手陣が充実しているところが魅力である。因みに(ソプラノ)レオンタイン・プライス、(アルト)ヒルデ・レッセル=マイダン、(テノール)フリッツ・ヴンダーリッヒ、(バス)ヴァルター・ベリーといった顔ぶれである。合唱はもちろん「ウィーン楽友協会合唱団」。ライヴ録音という録り直しがきかない難点はあるにせよそこはさすが「カラヤン魔術」で切り抜けた演奏で半世紀余りが経過した現在その資料的価値も高いのではないか。
 ところで余談になるがこの「CDジャケット」にはソリストのバスにもうひとり「エーベルハルト・ヴェヒター(Eberhard Waechter)」の名前があるがこれは誤記と思われる。筆者も疑問を感じ手元の資料を調べた結果、当日のプログラムではこの他にブルックナーの「テ・デウム」が演奏されており彼はこのソリストとして出演していた。因みにこの音源はすでに「EMI」よりCD化されている。カラヤンがモーツアルトの「レクイエム」をコンサートで取り上げる時よくブルックナーの「テ・デウム」を組み合わせており先の1963年11月の「ウィーン響」のコンサートや1979年来日公演(東京・普門館)でもこの「テ・デウム」が演奏されている。さらにジャケットを開いてみるとご丁寧にヴェヒターのサイン入りの写真も掲載されているのでビックリした。またこのCDには「ボーナス・トラック」として同年のザルツブルク音楽祭でカラヤン指揮で行われたオペラでモーツアルト「ドン・ジョヴァンニ」のドンナ・アンナを演じたプライスが歌うアリアが「序曲」ともに3曲収録されている。

 

Herbert von Karajan en V.F. ( カラヤン、フランス語によるインタビュー)

2011-04-20 19:53:16 | ヘルベルト・フォン・カラヤン


 今回は「フランス国立視聴覚研究所(L'Institut National de l'Audiovisuel)-通称「INA」が制作したユニークなCD、「Herbert von Karajan en V.F.」(ヘルベルト・フォン・カラヤン、フランス語によるインタービュー)を取り上げてみたい。写真がそのCD盤で2008年11月にリリースされたものである。このCDはオーストリア盤であるが添付された解説書はドイツ語ではなく全てフランス語である。「INA」は「フランス国立放送局本部」に所在し1975年に設立されフランスで放送されたラジオ・テレビ番組の「アーカイヴ」が保存されている。
 このCDの前半は帝王カラヤンが1977年に「Radioscopie」というタイトルの「音楽番組」に出演した際にジャック・シャンセル(評論家)との会談の模様(「Entretien avec Jacques Chancel」)、カラヤンが流暢なフランス語で音楽監督の立場からベルリン・フィルのこと、芸術観念、人生哲学等々を興味深く約43分に渡り語っている。後半は収録年代が遡るが1964年に収録されたミシュリーヌ・バンゼ(Micheline Banzet)との対話でカラヤンはピアノを弾きながらブラームスの「第1番」・「第2番」の交響曲の聴き所を同様にフランス語で解説している。(Les Symphonies de Brahms-約35分)カラヤンはこの収録がされた前年に「ベルリン・フィル」と最初のステレオによる「ブラームス交響曲全集録音」を完結していた。内容としてはこちらの方がさらに興味津々かもしれない。
 尚、CDジャケット写真は1968年のカラヤン/ベルリン・フィル、ヨーロッパ演奏旅行でパリの「シャンゼリゼ劇場」で撮影されたものが使用されている。




カール・ベームの「ポストホルン・セレナーデ K.320

2011-04-18 12:52:21 | 管弦楽曲

 W.A.モーツアルトは「セレナーデ」を最後に書き上げた最もポピュラーな「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」まで全部で13曲を遺している。そのうち巨匠カール・ベーム(Karl Böhm/1894~1981)が生涯に正規録音した作品は今回取り上げる「ポスホルン」を含め5つである。勿論それらはオーケストラ及び抜粋録音等を合わせると延べ十数種になると思われる。この「第9番」にあたる「ニ長調K.320」の「ポストホルン」は、モーツアルトが23歳の頃に書いたもので副題は作曲者自身がつけたものではないが「第6楽章メヌエット」の第2トリオで当時郵便馬車で使用されたラッパ、いわゆる「ポストホルン」が加えれているところからその名の由来がある。因みにベームはこの作品に関してはベルリン・フィルと1970年5月録音(写真LP/DG国内盤MG1215)しか遺していない。彼はこの「7楽章」から構成されるスケールが大きな「セレナーデ」をベルリン・フィルが持つ緻密アンサンブルで上品にしかも雄大に仕上げている。さらにこの録音では当時のベルリン・フィルの管楽器の名手たち、ジェームズ・ゴールウェィ(フルート)、ローター・コッホ(オーボエ)、ホルスト・アイヒラー(ポストホルン)があたっている。
 ところでこのレコードの第2面の余白にはベームが「ウィーン・フィル」と1974年10月にレコーディングした「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」が収録されているが彼の5種類ある同曲録音でこれが唯一の「ステレオ録音」だったことも付け加えておきたい。

プッチーニ/歌劇「マノン・レスコー」

2011-04-16 16:27:31 | オペラ
(フランチェスコ・モリナーリ=プラデルリ指/ローマ聖チェチリーア音楽院管弦楽団・合唱団、レナータ・テバルディ、マリオ・デル・モナコ他、デッカ国内盤ーUCCD3349-50)
 
 プッチーニ(Giacomo Puccini/1858~1924)の名作オペラ「マノン・レスコー(Manon Lescaut)」の題材はフランスのアベ・プレヴォ(Abbé Prevost)」の小説「騎士デ・グリューとマノン・レスコーの物語」であるが他にこの物語をテーマにしたオペラではプッチーニより先輩にあたるプレヴォと同じフランスのマスネ(Jules Massenet/1842~1912)のオペラ「マノン(Manon)」がよく知られている。しかしプッチーニのこのオペラの名盤となると今回紹介する写真のテバルディ/モナコ盤(英デッカ)の他にカラス/ステファノ盤(EMI)が今筆者の頭に浮かぶぐらいである。
 この1954年の最初期ステレオ録音の「テバルディ/モナコ盤」はこの二人が共演した唯一のもので音質も最初期のものとしては大変すばらしく現在でも遜色なく二人の極めつけの美声が聴ける。余談ながらこのオペラの旋律美はプッチーニのオペラ作品の中でも一、ニを争うほど素晴らしいが舞台もフランスのアミアン、パリ、ル・アーヴル、最後の第4幕ではアメリカのニューオリンズまで飛び物語の筋がちょっと分かりにくいところが難点でもありまた興味深いところかも知れない。
 

アイヴォー・ボルトン/ザルツブルク・モーツァルテウム管のブルックナー

2011-04-15 19:10:47 | 交響曲

 今日は英国ランカシャー出身で現在、「ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団」の首席指揮者を務めているアイヴォー・ボルトン(Ivor Bolton/1958~ )が同楽団と意欲的に取り組んでいるコンサート・ライヴ録音による「ブルックナー交響曲シリーズ」から写真の「第3番ニ短調」(2007年10月録音)を取り上げてみたい。
 「同シリーズ」はかつて「ドイツ・グラモフォン」や「BMG」でプロデューサーとして活躍したディーター・エームス(Dieter Oehms)が2003年に立ち上げたドイツの新レーベル、「OEHMS Classics」からリリースされている。これまでにこの「第3番」のほかに「第5番」・「第7番」・「第8番」・「第9番」がすでに発売済みである。筆者が聴いた感想では重厚な響きのブルックナーというよりはこのオーケストラの特色でもある緊密なアンサンブルを活かし現代的感覚で迫ったブルックナーとの印象を受けた。そこには今までにない「新鮮さ」も感じとれた。尚、この「第3番」で彼が使用している「版」は現在最も演奏される機会が多い「1889年版」、いわゆる小節数では一番短い「ノヴァーク版第3稿」である。(OEHMS Classics/OC722)