イタリアはトリエステ出身のヴィクトル・デ・サーバタ(Victor de Sabata/1892~1967)はトスカニーニの後を継いで1930年から1953年まで「ミラノ・スカラ座」の音楽監督を務めまた自身も作曲家として注目されていた。しかしながら1953年に病気で倒れてからは指揮活動からその第一線を退いたため彼のLPレコード録音の数は少ない。
今日取り上げるミラノ・スカラ座管弦楽団ほかによる写真上のヴェルディ「レクイエム」(1954年/EMI)と写真下のプッチーニの歌劇「トスカ」全曲録音(1953年/EMI)は彼が遺したレコード録音の中でもとりわけ評価が高い名盤として知られている。いずれもモノラル録音だが録音から半世紀以上が経過した現在においてもこの演奏を聴けば彼が大指揮者であったことが頷ける。前者の「レクイエム」は独唱者にソプラノ=エリザベート・シュワルツコップ、メゾ・ソプラノ=オラリア・ドミンゲス、テノール=ジュゼッペ・ディ・ステファノ、バス=チェザレ・シェピという当時申し分のない名歌手をそろえてスタジオ録音されたものである。また後者の「トスカ」は彼が病気で倒れる相前後してマリア・カラスと録音したもので彼の気迫がこもった力演でマリオ役のディ・ステファノも艶やかな声も素晴らしい。尚。写真下のLPはオリジナルのモノラル録音を電気的にステレオ化したものである。(イタリア盤)