私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

往年の名女流ピアニスト、ソンドラ・ビアンカの10インチLP

2011-02-28 19:39:23 | 協奏曲
Sondra Bianca
今日はオールド・クラシック音楽ファンなら懐かしいアメリカの名女流ピアニスト、写真のソンドラ・ビアンカ(Sondra Bianca/1930~ )が弾くチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」のレコードに針を下ろしてみた。このLPは10インチ盤(25cmLP)である。10インチ盤のLPレコードは1960年代に30cm盤と共にレコード店に並んでいたが60年代末にはその姿を消した。
 ソンドラ・ビアンカは筆者がまだ学生時代の1960年代から70年初頭にかけて国内盤ではコロムビアの廉価盤、「ダイヤモンド・シリーズ」等でよく目にしたのが懐かしく思いだされる。写真(下)のレコードは「コンサート・ホール・ソサエティ」の10インチ、モノラル盤(M-177)でこれも歴史を感じさせる。彼女のチャイコフスキーの「第1番」の国内盤はハンス・ユルゲン・ワルター指揮/ハンブルク放送響とのステレオ録音が前述の「ダイヤモンド・シリーズ」から出ていたと思うがこの「コンサート・ホール盤」ではカール・バンベルガー指揮/コンセール・ド・パリ管弦楽団による演奏である。管弦楽の「コンセール・ド・パリ(Concerts de Paris)」の実体については不詳だがおそらくこのレコード録音のためのいわゆる「覆面オーケストラ」かも知れない。ビアンカのこのチャイコフスキーの演奏も今改めて聴いてみると録音の時代を感じると共に彼女の大きなスケール感も感じとれる1枚である。
 余談ながらこのLPはモノラル盤だが当時ステレオ盤もあったと記憶しているのでオリジナル録音はステレオと思われる。



若きマゼールのバッハ初録音 - 「ミサ曲ロ短調」

2011-02-27 21:08:44 | 声楽曲

 J.S.バッハ「ミサ曲ロ短調」の名盤と言えばカール・リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管弦楽団他による1961年録音ー「アルヒーフ盤」が先ず思い浮かぶ。この録音は「不滅の名盤」としてこれからも永遠に語り継がれていくことであろうが筆者がもうひとつ好んで昔よく聴いたレコードに若きロリン・マゼールが「ベルリン放送交響楽団(現、ベルリン・ドイツ交響楽団)」他と録音した盤がある。写真はその国内初出盤(1967年発売/日本フィリップスSFL7909~10)である。しかもこのLPはマゼール35歳、ベルリン放送響音楽監督就任の翌年ー1965年9月にベルリンのヨハネススティフト聖堂で行われたもので彼の初のバッハ録音でもあった。
 ソリストにはソプラノ、テレサ・シュティヒ=ランダルほかコントラルト、アンナ・レイノルズ、テノール、エルンスト・ヘフリガー、バス、ジョン・シャーリー=カークと往年の名歌手を揃えている。さらに「RIAS室内合唱団」のアンサンブルも冴え録音も良好で残響の余韻が心地よくさわやかなバッハを聴かせている。
 

旧ウエストミンスター録音のシェルヘン/ベートーヴェン交響曲全曲録音

2011-02-25 17:02:43 | 交響曲

 ヘルマン・シェルヘン(Hermann Scherchen/1891~1966)のベートーヴェン交響曲全曲録音につては過去にも最晩年に(1965年)スイスの「ルガノ放送管弦楽団」とステレオ・ライヴで入れた伝説の音源をとりあげたと思うが今回スポットを当てる旧ウエストミンスター録音の1950年代のモノラル盤はまるで別人が振っているかのような演奏スタイルである。

 写真の5枚のCD盤はかれこれ十数年前に「日本ユニバーサル・ビクター」より世界初CD化されたもので筆者は演奏もさることながらそれぞれの「オリジナル・ジャケット・デザイン」も気に入り躊躇なく求めたものである。演奏は全てスタジオ録音ということもあり晩年のライヴ盤のような「凄み」はないがじっくりと骨太のベートーヴェンを聴かせている。また「第9」のアルト独唱には当時ウィーン国立歌劇場のメンバーとして活躍していた名歌手ヒルデ・レッセル=マイダンの名前もみえる。彼女は後にカラヤン/ベルリン・フィル盤(1962年録音)でもその美声を聴かせている。
 因みに管弦楽は「第1番」・「第3番」・「第6番」・「第7」・「第9番」がウィーン国立劇場管弦楽団、「第2番」・「第4番」・「第5番」・「第8番」が英国の「ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団」である。尚、「第3番」と「第6番」については同ウェストミンスターに「ウィーン国立歌劇場管弦楽団」との1958年ステレオ録音も存在するが演奏はこのモノラル盤が断然素晴らしい。


 


ミュンシュのチャイコフスキー「悲愴」について

2011-02-23 23:11:16 | 交響曲

 シャルル・ミュンシュによるチャイコフスキー/交響曲第6番ロ短調「悲愴」のスタジオ録音は筆者の知る限りでは1948年のデッカ録音の「パリ音楽院管弦楽団」とのモノラル盤とステレオ録音ではRCAの「ボストン交響楽団」との1962年の録音が存在する。筆者も後者のオリジナル・ジャケット・デザインのステレオLPレコード(LSC2683)を所有していたと思うがレコード棚を探してみたところ見当たらなかった。このLPは当時RCAビクターが開発した「ダイナグルーヴ・システム」とういう新方式のステレオ盤だったがそれほどのインパクトはなかったような気がする。しかし演奏はこれ以前に同じボストン響を振ったピエール・モントゥーの名盤(RCA/1955年ステレオ録音)と同様に個性の違いこそあれ魅力を感じさせる演奏である。
 写真は(BMG/BVCC38452)は2006年12月に「シャルル・ミュンシュの芸術1000」として廉価盤CDとして限定発売された40タイトルの中の1枚だがジャケット・デザインも嘗てのオリジナルLP盤と同デザインを使用している。録音時期(1962年3月12日)からもミュンシュが「ボストン響」の首席指揮者を離れる直前に録音されたこともわかる。またこの年の12月には単身で「日本フィル」客演のため1960年ボストン響との初来日に次ぎ2回目の来日も果たしている。余談ながらミュンシュのチャイコフスキーの交響曲録音はこの他には「ボストン響」との「第4番ヘ短調」(1955年ステレオ録音)があるのみである。
 
 

 
 
 

続「コンサート・ホール・ソサエティ」の愛聴盤から

2011-02-21 22:18:06 | 管弦楽曲

 昨日に続きもう1枚「コンサート・ホール・ソサエティ盤」から取り上げてみたい。写真はピエール=ミシェル・ル・コント(Pierre=Michel Le Conte)指揮パリ・オペラ座管弦楽団のドビュッシー/交響詩「海」・ラヴェル/「ダフニスとクロエ」第2組曲、「逝ける王女のためのパヴァーヌ」の3曲が収録されたLPである。(コンサート・ホール/M-2119/モノラル/録音年代不詳)これがまた結構素晴らしく魅力的な演奏である。指揮をしているピエー=ミシェル・ル・コントは日本ではほとんど知られていない指揮者であるがこの「コンサート・ホール盤」にはこの他ベルリオーズの「幻想交響曲」等の録音がある。彼の経歴については手元に資料がないため詳細は不明だが1921年フランス・ノルマンディーの中心都市ルーアンの生まれとのことなので現在90歳を迎えている。
 このレコードはモノラル盤であるが筆者の記憶では「ステレオ盤」も出ていたと思う。録音状態も良好でフランスのオケらしく管楽器群もよく鳴っている。またラヴェルの「逝ける王女のためのパヴァーヌ」はモントゥー盤と共によく針を針をおろている。

 

「コンサート・ホール・ソサエティ」の愛聴盤から

2011-02-20 10:28:34 | 交響曲

 過去にも今や懐かしい「コンサート・ホール・ソサエティ」の筆者愛聴盤を紹介したことがあったと思うがこのレーベルのちょっと渋くて気品を感じさせるジャケット・デザインから今日はウィーンの名指揮者ヨゼフ・クリップス(Josef Krips/1902~1974)の「ブラームス/交響曲第1番」(写真)のLPを取り上げてみたい。(コンサート・ホール・ソサエティ/SM2268)
 クリップスはこの作品を生涯に3回レコーディングしている。最初と2回目の録音はウィーン・フィルと「デッカ」にそれぞれ1950年(モノラル)と1956年(ステレオ)でしており特に後者のステレオ盤は現在も彼の名盤として誉が高い。そして第3回目の録音が本日紹介するこの1960年代初頭の録音と推定されるこの「コンサート・ホール・ソサエティ盤」のステレオ録音である。演奏は重厚なブラームスと言うよりはジャケット・デザインと同様に気品と渋みを漂わせたところがなんとも魅力的な1枚である。管弦楽は「ウィーン音楽祭管弦楽団」とジャケットに表記されているがその実体はよくわからない。おそらくこのレコーディングのために特別編成されたオーケストラと思われる。もう半世紀近く前に求めたレコードなのでスクラッチ・ノイズも結構入るがいまだに愛聴している1枚でもある。できればCD化での復活を望みたいところである。
 

ウィルヘルム・ケンプ、「ベートーヴェン/ピアノ協奏曲全集ステレオ録音」から

2011-02-18 13:29:34 | 協奏曲

 過去にもウィルヘルム・ケンプ(Wilhelm Kempff)の「ベートーヴェン/ピアノ協奏曲」の演奏については1970年の来日公演をはじめパウル・ファン・ケンペンとの1953年のモノラル録音などを取り上げてきた。今回は最近CDショップの店頭では見かけなくなった彼が1961年にフェルディナント・ライトナー/ベルリン・フィルとステレオで再録音した全曲盤を久しぶりに聴き直しその魅力を探ってみた。
 ウィルヘルム・バックハウスと共にベートーヴェンのスペシャリストと言われたケンプだが彼はベートーヴェンを「ひとつの強烈な個性」いったたぐいの表現していたことを思い出した。彼のベートーヴェン演奏の魅力にはそうした演奏哲学が貫かれているところにあるのだろうか。たとえばこのステレオでの全集再録音でも「第5番」を除き自身のオリジナル・カデンツァを弾いているところなども非常に魅力的だ。演奏は特に「第1番」・「第3番」・「第4番」が個性的で素晴らしく筆者好みである。写真はドイツ・グラモフォンLP/138774 SLPMー「ピアノ協奏曲第1番」

世界の人気女流ピアニスト - エレーヌ・グリモー

2011-02-17 00:58:35 | 協奏曲

 今年のグラモフォン・カレンダーの2月を飾っているのは今や世界的人気を集める女流ピアニスト、エレーヌ・グリモー(Hélène Grimaud)である。筆者が最初に彼女の生演奏に接したのはかれこれ10年近く前になるがチョン・ミョンフン/フランス国立放送フィル来日公演の時だった。彼女はこの時マズア/ニューヨーク・フィルとライヴ・レコーディングしたばかりのベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第4番」を披露した。この印象的な彼女のベートーヴェンは現在でも忘れることができないが今回取り上げる写真のCD、ディビッド・ジンマン/ボルティモア交響楽団とのガーシュイン/ピアノ協奏曲ヘ長とラヴェル/ピアノ協奏曲ト長調(1997年録音)もまた彼女の洗練されたテクニックがうかがえる名盤のひとつに数えられると思う。またラヴェルの協奏曲はこれより5年前の1992年にロペス=コボス/ロイヤル・フィルと録音しておりこれが2度目の録音でこの旧盤と共に魅力的な1枚である。南フランス、エクサンプロヴァンス出身の彼女にしてフランスものはあまり取りあげない中このラヴェルは例外なのであろうか短期間で再録音に取り組んだところも当時大変興味深かかった。今後も彼女の益々の活躍を期待したいところである。



 

カラヤンのシェンーベルク/交響詩「ペレアスとメリザンド」作品5

2011-02-15 13:56:48 | ヘルベルト・フォン・カラヤン

 カラヤンのシェーンベルクをはじめ「新ウィーン楽派」と呼ばれる「管弦楽曲集」の録音についてはだいぶ以前に紹介したことがあると記憶しているが中でも今回は筆者が「清められた夜」と並んでよく聴くシェーンベルクの大作、交響詩「ペレアスとメリザンド」にスポットを当ててみたいと思う。(写真/CD盤ーDG423 132-2)
 この作品はシェーンベルクが29歳の1903年にベルギーの劇作家メーテルランクの同名の戯曲を題材にして書いたものである。またドビュッシーのオペラやシベリウスの「劇付随音楽」などにも同名の作品が存在する。シェーンベルクのこの交響詩はまだ後期ロマン派風の香りもうかがえる4管編成の大管弦楽による単一楽章から成る大作で演奏時間も約45分前後を要する。因みにこのカラヤン/ベルリン・フィルによる1974年ベルリン・フィルハーモニーザールにおけるスタジオ録音も44分弱の演奏である。以前にも述べたかも知れないがカラヤンの魅力は初めて接する聴き手にはちょっと難解さを感じてしまう作品もとことん管弦楽の「美」を追求しそれはまさに色彩豊かな印象派絵画を思い起こさせる。これは1970年代のカラヤン/ベルリン・フィル最高潮に達した録音の一つではないかと思う。
 ところでカラヤンは作品4の「清められた夜」は1973年の来日公演も含めたびたび実際のコンサートでもプログラムに取り上げているがこの「ペレアス」のコンサートでの演奏回数は極端に少なかったと記憶している。

プレートル、ベルリオーズ/劇的物語「ファウストの劫罰」

2011-02-13 20:35:53 | 声楽曲

 今日はジョルジュ・プレートル(Georges Prêtre/1924~ )のベルリオーズ/劇的物語「ファウストの劫罰」全曲盤(写真/EMI盤/2CD)を聴いてみた。このCD全曲盤は1969年に録音された巨匠プレートルの名盤のひとつである。またベルリオーズの作品としても4人のソロ歌手、児童合唱を含む大合唱、4管編成の大オーケストラで演奏される大作なので最近は全体を一度に通して聴くことがなかった。日頃聴くのは管弦楽のみでよく独立してコンサートで演奏される有名な「ハンガリー行進曲」、「妖精の踊り」、「鬼火のメヌエット」ぐらいだろうか。
 この作品の題材は言うまでもなくドイツの文豪ゲーテの大戯曲「ファウスト」からとられている。ベルリオーズはこのフランス語訳を愛読しこの作品の基となった「ファウストの8景」(1828-29)を作曲したようだ。その後約17,8年の歳月を経てこの大作が誕生することになる。作曲当初は「コンサート形式のオペラ」と掲げられていたようで現在でも「コンサート・オペラ」としても上演されることがある。全体で4部構成からなっており演奏時間も全曲で約2時間20分前後を要する。このプレートル盤はジャネット・ベーカー(メゾ・ソプラノ)、ニコライ・ゲッタ(テノール)など歌手陣が充実しており特に筆者はメフィストフェレスのガブリエル・バキエ(バリトン)の素晴らしさを再認識した次第である。管弦楽はパリ管弦楽団、合唱はパリ国立オペラ座合唱団。
 尚。このCD盤には余白にアレクサンダー・ギブソン指揮ロンドン交響楽団、ジャネット・ベーカー(メゾ・ソプラノ)による「クレオパトラの死」(1969年録音)が収録されている。