私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

ヨフッム/ドレスデン国立管ブルックナー交響曲全集盤から

2010-01-31 05:50:01 | 交響曲
 オイゲン・ヨフッム(Eugen Jochum/1902~1987)はブルックナー研究の権威で知れれた指揮者だった。彼はSP時代(1940年代)にドイツ・グラモフォンにハンブルク・フィルと「第8番」の大曲を録音していた。今回取り上げたレコードは1979年度の「日本レコード・アカデミー賞」(交響曲部門)にも輝いた名盤、ドレスデン国立管弦楽団との第8番である。同楽団との全集録音は当時の東独レコード会(VEB Deutsche Schallplatten)との共同制作盤であった。この「第8番」の録音は1976年11月にドレスデンの聖ルカ教会で行われている。
 ヨフッムは1960年代にもステレオによる全集録音をドイツ・グラモフォンにバイエルン放送響とベルリン・フィルで完成しておりこれが2度目の全集盤となった。とりわけこの第8番の演奏は録音面でもその素晴らしさがうかがえ特に金管楽器群の音のはりと奥行きが充分に感じとれる。演奏も特に第3楽章ーアダージョの弦の響きは天上の美しさと表現しても過言ではないだろう。(写真のLPは独EMIElectrola 1C 157-03 402/03)
 
 

孤高に聳え立つクレンペラーの「シューマン交響曲全集」

2010-01-30 10:08:27 | 交響曲
 オットー・クレンペラー(Otto Klemperer/1885~1973)の演奏を聴くとどれもが悠然として堂々とした指揮ぶりが聴き手を引き込んでいく。本日紹介するLP、シューマンの交響曲全集も例外ではない。
 写真のLPは筆者が約30年余り昔ライン河沿いの町マインツ(Mainz)のレコード店で求めた独EMI-Electrola(1C197-52 497/99)の3LPセットの全集盤である。シュマーン全4曲の交響曲の他にピアノ協奏曲イ短調作品54(ピアノ/アニー・フィッシャー)、「ゲノヴェーヴァ」序曲、「マンフレッド」序曲も収録されている。いずれも1960年から1969年にかけてロンドンでレコーディングされたものでオーケストラはニュー・フィルハーモニア管弦楽団(第4番とピアノ協奏曲はニュー・フィルハーモニアに改組される前の録音なのでフィルハーモニア管弦楽団)であるが現在の名称は元のフィルハーモニア管弦楽団に戻っている。
 クレンペラーは1954年から73年までこの楽団の首席指揮者を務めていた。どの演奏もクレンペラーの持ち味が存分に発揮された名演であるが筆者は特に交響曲全集録音のフィナーレを飾った第3番変ホ長調「ライン」作品97のテンポを全体的に遅めにとり悠然と流れる大河ラインが思い浮かぶ演奏が印象的である。またケルンの大聖堂の荘厳な印象からイメージが浮かんだ言われる第4楽章の重厚な響きが素晴らしい。
 最後に余談ながら記録によるとクレンペラーの第1番変ロ長調「春」作品38には1963年/64年に同楽団と英コロムビアに録音したものもあるがこちらは未発表のままになっている。この全集盤はその後の1965年録音のものである。

カラヤン/ベルリン・フィルーチャイコフスキー交響曲第4番、最初のステレオ盤

2010-01-29 00:54:28 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 カラヤンはチャイコフスキーの後期交響曲を好んでコンサートのプログラムでよく取り上げレコーディングも数多く行った。以前にも第6番「悲愴」の録音歴等を紹介したが今日は第4番ヘ短調作品36にスポットを当ててみたいと思う。写真のLPは筆者が学生時代に最初に購入したベルリン・フィルとの最初のステレオ録音(米エンジェルS35685/1960年録音)の思い出の1枚である。米エンジェルの初期盤でジャケット・デザインもなかなか渋く気に入っている。因みに彼はこれ以前1953年にフィルハーモニア管弦楽団とモノラル録音、ベルリン・フィルとはその後1966年(DG)、1971年(EMI)、1975年(DG)さらにウィーン・フィルと1984年ステレオ・デジタル録音(DG)を行った。通算6回のレコーディングは第6番「悲愴」の7回(N響との1954年ライヴを除く)に次ぐものである。
 筆者個人的にはこの1960年のベルリン・フィルとのステレオ盤がベルリン・フィルの重厚なサウンドと迫力ある力強い演奏が充分に味わえ好きである。1973年10月の来日公演の演奏を彷彿させる。特に第1楽章とフィナーレ第4楽章の演奏はベストと言ってもいいかも知れない。

カラヤンの「プロムナード・コンサート」

2010-01-28 04:15:05 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 カラヤンは「フィルハーモニア時代」に「オペラ間奏曲」、「バレエ音楽」をはじめとするこの手の「オムニバス盤」を結構録音している。もちろんベルリン・フィル時代にも先に紹介した名盤「オペラ間奏曲集」等もベスト・セラーになったものがあるが今日紹介するフィルハーモニア管弦楽団との「プロムナード・コンサート」と銘打ったレコードは1953年にモノラル盤で発売した当時大変な人気を呼び「ステレオ録音」での再録音の声が高まりモノラル盤と全く同じ選曲で1960年に再録音されたオリジナル・ステレオ盤である。
 写真のLPは1978年に「東芝EMI」から廉価盤としてリリースされた(EAC30260)ものであるがジャケット・デザインの体裁も廉価盤らしさを感じさせない格調がある。因みにこの時に同一デザイン・ジャケットでこの他の「オペラ間奏曲集」、「オペラ・バレエ音楽集」、「チャイコフスキー「大序曲1812年」ほか管弦楽集も再リリースされた。管弦楽はいずれもフィルハーモア管弦楽団である。
 演奏は言うまでもなくカラヤンの巧さが余すところなく発揮された快演だ。参考までにこの「プロムナード・コンサート」に収録された全9曲を下記にあげておきたい。先にも述べたように全く同一選曲による「オムニバス再録音盤」は大変珍しくカラヤンでは唯一のものである。
   
    ●ワルトトイフェル:「スケートをする人々」
    ●ヨハン・シュトラウスⅡ:「トリッチ・トラッチ・ポルカ」
    ●ヨハン・シュトラウスⅠ:「ラデッキー行進曲」
    ●シャブリエ:狂詩曲「スペイン」
    ●シャブリエ:「楽しい行進曲」
    ●ヨハン・シュトラウスⅡ:ポルカ「雷と電光」
    ●スッペ:喜歌劇「軽騎兵」序曲
    ●ワインベルガー:「バグパイプ吹きのシュワンダ」
    ●オフェンバック:喜歌劇「天国と地獄」

カラヤン/ベルリン・フィル、メンデルスゾーン交響曲第5番ニ短調「宗教改革」

2010-01-27 02:51:23 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 カラヤン/ベルリン・フィルによるメンデルスゾーンの交響曲については以前に第2番「讃歌」、第3番「スコットランド」は以前に紹介済みだが今日は第5番「宗教改革」作品107にスポットをあててみたい。(写真LP/DG2530 416)
 カラヤンはメンデルスゾーンの交響曲を実際のコンサートでは第3番「スコットランド」を除き演奏しなかった。つまり他の4作品については全集レコード制作のための録音セッションであった。全集録音はダーレムの「イエス・キリスト教会」において1971年1月の第3番に始まり最後は第2番の1973年2月で完了している。因みに第5番は1972年2月の録音であった。副題の「宗教改革」は第1楽章序奏部の終わりにカトリッックの「ドレスデン・アーメン」の主題、第4楽章にはルターのコラールの旋律が使用されている点にある。そもそも作曲は1830年の「宗教改革300年祭」に演奏する予定でされたのだがカトリック派からの強い反対で祭典は中止に追い込まれた。また作曲年代順では第1番(1824年)の次に置かれる作品になるが楽譜の出版の関係で「第5番」となった。
 演奏はカラヤンらしくスケール感が大きくでた見事なものに仕上がっている。このLPでは調性がニ長調(D-dur)で表示されているが第1楽章の主要部が「ニ短調(d-moll)で書かれているため「ニ短調」で表示されることもある。
 カップリングされている第4番イ長調「イタリア」もレガート風のカラヤンらしい流麗なスタイルが何とも美しい。

FMエア・チェック、オープン・テープ・コレクションから

2010-01-25 23:43:10 | FMエア・チェック
 今日は久しぶりにFMエア・チェック・オープン・テープ・コレクションから1曲取り上げてみたいと思う。曲目は以前にエフゲニー・スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立交響楽団によるレコードで紹介したことがある(2009年2月21日参照)ロシアの作曲家スクリャービン(Skryabin/1872~1915)の交響曲第2番ハ短調作品29のライヴ演奏である。
 演奏は当時フランクフルト放送交響楽団(現在、hr交響楽団)の首席指揮者を務めていたニューヨーク生まれのディーン・ディクソン(Dean Dixon/1915~1976/写真)による1971年のコンサート・ライヴ録音である。放送は1972年5月22日NHKFMの当時の番組「海外の音楽」の時間にされたものである。
 指揮者ディーン・ディクソンは日本では「知る人ぞ知る」マイナーな存在だが1968年にNHK交響楽団客演指揮のため来日もしている。彼はスウェーデンのエーテボリ交響楽団の首席指揮者(1953年~1960年)を務めた後このフランクフルト放送響の音楽監督の地位を1961年から74年まで13年間に渡り務めこの間に南半球オーストラリアのシドニー交響楽団の首席指揮者も1963年~67年まで兼務した有能な指揮者であった。
 この演奏はヘッセン放送協会大ホール(Frankfurt am Main Funkhaus am Dornbusch Großer Sendesaal)で行われたコンサート・ライヴで筆者も数回このホールで同楽団の演奏を聴いたことがあるがその音響の良さは驚くものがあった。ディクソンのレコード録音は非常に数少ないためこのスリャービンの放送録音は大変貴重なものである。特に第3楽章「アンダンテ」の繊細な美しさは何とも表現しがたい。筆者はこの演奏を聴いてスクリャービンの作品に興味を持つきっかけとなった。

 

イダ・ヘンデルのシベリウス/ヴァイオリン協奏曲

2010-01-24 23:16:06 | 協奏曲
 筆者がポーランド出身、英国の大女流ヴァイオリニストーイダ・ヘンデル(Ida Haendel/1928~ )の生の演奏に初めて出会ったのは今から30年余り前「1978年香港芸術祭」でのコンサートに遡る。当時のプログラムをめくると彼女が弾いたシベリウスのヴァイオリン協奏曲の名演が頭の中に思い起こされる。コンサートは1978年1月25日、香港島にある「シティー・ホール」で開催された。指揮はフィンランドのサウスポーの名指揮者パーヴォ・ベルグルンド(Paavo Beruglund/1929~ )、オーケストラは彼が当時首席指揮者を務めていた英国のボーンマス交響楽団(Bournemouth Symphony Orchestra)であった。写真のLP、英EMI-ASD3199と全く同一の組み合わせである。
 イダ・ヘンデルは鋭いテクニックを持ったヴァイオリニストの一人で英国のエルガー、ウォルトン等の協奏曲はもちろんのことフィンランドのシベリウスの協奏曲も大変得意としており1982年にはその功績にフィンランドの「シベリウス協会」から「シベリウス・メダル」も贈られている。写真のレコードは78年の「香港芸術祭」の約2年ほど前に先に述べた通り全く同一の組み合わせで録音された名盤であり筆者はこの盤に針をおろすたびに香港でのコンサートを思い浮かべている。余談ながらこのレコードも以前のブログで紹介した香港のレコード店で当時求めたものでコンサート終了後に彼女にサインを入れてもらった思いでのLPである。その後彼女は1998年、サー・サイモン・ラトル/バーミンガム市交響楽団来日公演に同行しブラームスのヴァイオリン協奏曲の名演をサントリー・ホールで聴かせてくれた。
 

名匠ジャン・マルティノンのシカゴ響時代の名盤

2010-01-23 04:35:24 | 交響曲
 今日はフランスの名匠ジャン・マルティノン(Jean Martinon/1910~1976)がシカゴ交響楽団音楽監督時代(1963~1968)に録音した名盤を1枚紹介したい。それは写真のLP(日ビクター/SX2007)、カール・ニールセン(Carl Nielsen/1865~1931)の交響曲第4番「不滅」(1916)である。ニールセンは北欧デンマークを代表する20世紀の作曲家の一人で交響曲は全部で6曲書いている。彼の作品は後期ロマンティシズムの中に印象主義や半音階的技法などを取り入れている。また第4番以降の交響曲には調性表示がない。
 この交響曲の構成は全体が4つの部分(楽章)から成るが切れ目なしで演奏されるため形式的には単一楽章のスタイルをとっているのが特徴である。「不滅」というタイトルが付されているが作曲者自身、この標題は単なる標題音楽的タイトルを意味するものではなくこの作品にふさわしい音楽の領域を示したものと伝えている。またそれは人類を含めあらゆる生物の「不滅」をこの作品に託したものとされる。国内のコンサートでプログラムに載る機会はそれほど多くはないが密度の高い味わい深い作品でもある。このレコードの第2面の余白には作曲者が1903年に妻とギリシャを旅行した際エーゲ海の登る太陽(ヘリオス)に感動して作曲された序曲「ヘリオス」作品17も収録され名指揮者マルティノンとシカゴ響の魅力ある1枚だが現在国内盤は未CD化なのが残念である。





ホルスト・シュタイン/N響のR.ワーグナー管弦楽曲集(1983)

2010-01-22 03:18:05 | 管弦楽曲
 私がホルスト・シュタイン(Horst Stein/1928~2008)の生演奏に初めて接したのは彼がNHK交響楽団定期に客演のため初来日した1973年2月のことだった。今、当時のコンサート・プログラムを見ながら思い出しているがプログラムは前半がモーツアルト交響曲第29番、R.シュトラウス、「ティルオイレンシュピーゲル」、R.ワーグナー楽劇「マイスタージンガー」第3幕への前奏曲、後半が楽劇「ジークフリート」から「森のささやき」と「神々のたそがれ」から「ジークフリートのラインへの旅」と「葬送行進曲」であった。(1973年2月5,6日/東京文化会館)今、記憶をたどると大変懐かしい。
 シュタインという指揮者は1970年の「バイロイト音楽祭」で「ニーベルングの指環」全曲を振り一躍名声を高めた人だったが我が国では初来日当時はまだマイナーな存在だったと思う。
 その後たびたびの来日を重ねN響名誉指揮者の称号をおくられた。写真のLP(東芝EMI-EAC90147/1983年デジタル録音)は初のN響との共演レコードで彼が得意とするワーグナーのオペラ管弦楽曲をおさめたものである。ワーグナー指揮者としての彼の魅力が充分に味わえるレコードだ。
 そのほか彼のオペラ指揮者として思いでに残る公演として1987年「ザルツブルク音楽祭」で現地で聴いたR.シュトラウスの「カプリッチョ」、2000年2月N響定期でのワーグナー「パルジファル第3幕」(演奏会形式)などが強く印象に残っている。

オーマンディ/フィラデルフィア管の名盤ーコープランド「アパラチアの春」

2010-01-21 00:43:48 | 管弦楽曲

 概してアメリカの作曲家は我が国ではなじみが薄い。因みにアーロン・コープランド(Aaron Copland/1900~1990)もそんな一人かも知れない。しかし彼は20世紀を代表するアメリカの作曲家の一人であり教育家、指揮者としても活躍した人である。1960年にはシャルル・ミュンシュと共にボストン交響楽団初来日の際にも同行しその後も確か読売日本交響楽団にも客演指揮しているはずである。彼の作曲活動の幅は広くオペラ,バレエ音楽、交響曲から室内楽等々様々な分野に及ぶが今日は代表作の一つとされるバレエ音楽「アパラチアの春」を取り上げてみたい。
 この作品は1944年に完成された19世紀初頭にアパラチア山地にできた開拓村の風俗を題材にした舞踊音楽で「ビリー・ザ・キッド」(1938年)、「ロデオ」(1942年)と並び彼の三大舞踊音楽の一つとしても知られている。写真のLPはユージン・オーマンディ指揮、フィラデルフィア管弦楽団による1945年組曲版によるものである。(RVC-SRA2739/1969年録音)組曲は7曲から構成されているが実際は休みなく続けて演奏される。オーマンディはこの手の作品を大変得意としていた。このレコードでも情感豊かに演奏している。尚、レコードの第1面には舞踊組曲「ビリー・ザ・キッド」が収録されこちらも好演である。筆者にとっては懐かしい1枚でもある。