私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

フルトヴェングラー、自作自演 -交響曲第2番ホ短調

2010-05-31 23:54:20 | 交響曲
 指揮者の中には作曲家の顔持つ人も少なからず存在する。巨匠ウィルヘルム・フルトヴェングンラー(Wilhelm Furtwängler/1886~1954)もそんな一人だった。彼は後期ロマン派風の交響曲をはじめとして協奏曲、室内楽曲を数曲書いており特に今日紹介する「交響曲第2番」は彼の3曲ある交響曲作品の中で演奏時間約80分を要する大曲である。また幸いにして彼自身の指揮による録音が複数残されている。とりわけ写真の2LPは1951年12月ベルリン・フィルとの「イエス・キリスト教会(ベルリン)」におけるスタジオ録音で筆者の一番好きな演奏である。(DG-2707 086/モノラル/1976年再リリース盤)
 この「第2交響曲」は終戦時の1945年に完成しフルトヴェングラー自身の指揮、ベルリン・フィルにより3年後の1948年2月に初演されている。全体は4楽章構成からなりどことなくブルックナーの交響曲を連想させなくもない。一番の聴き所は演奏時間約30分弱を要する終楽章であろう。このレコードでは終楽章(第4楽章)が第3面、第4面にまたがってしまうがこの楽章では第1楽章の動機の主題が再現され特にコーダでは長調に転調され力ずよく全曲を締めくくるところは圧巻である。



特報!「特別企画ーオーディオ評論家・神崎一雄の世界」開催(ゲヴァントハウス)ー終了 

2010-05-30 12:20:10 | 余暇文化活動
 前回1月大好評だった「新春特別企画ー第2回”エルプ”LPコンサート」に引き続き、「龍ヶ崎クラシック音楽愛好会ーゲヴァントハウス」では来る6月5日(土)に初夏特別企画として著名なオーディオ評論家、神崎一雄氏をゲストに招き題して「オーディオ評論家・神崎一雄の世界」を開催いたします。
 氏はオーディオ評論家としての重鎮でありますが音楽にも造詣が深く「録音エンジニア」としても活躍されておられます。昨今のオーディオ・音楽業界の動向について大変興味深いお話がうかがえるものと期待されます。
 今回でこのような特別企画も通算4回目を迎え最近では龍ヶ崎近郊のみならず東京方面からも多数の熱心な音楽ファンが詰めかけ会場も大入りの盛況ぶりです。ぜひ皆様お誘い合わせのうえお出かけください。

                  記

  ■ 日時  2010年  6月 5日(土) 14:00~
  ■ 会場  龍ヶ崎ショッピング・センター{リブラ龍ヶ崎」2F旧映画館
  ■ 交通  JR常磐線ー「佐貫駅」乗り換え
        関東鉄道・龍ヶ崎線終点 竜ヶ崎駅下車 徒歩約5分(駐車場完備)

  ■ テーマ 「オーディオ評論家・神崎一雄の世界」(講演とコンサート)
        「2009年度レコード・アカデミー録音賞選出の舞台裏」
        「愛聴盤」・「最近のオーディオ動向等」
  ■ 入場料  無料

神崎一雄(かんざき かずお)プロフィール
   オーディオ評論家。 音楽之友社「レコード芸術」録音評担当。同誌レコード・アカデミー賞・録音部門審査員。同社「Stereo」ベスト・ハイ・コンポ審査員。
「美しい日本のうたたち」-柳貞子。日本名歌集(ナミ・レコード)の録音担当。


  

「スメタナ四重奏団」によるスメタナの弦楽四重奏曲

2010-05-30 11:11:19 | 室内楽曲
 昨日に続き今日はスメタナの数少ない室内楽曲作品の中から2曲の「弦楽四重奏曲」(第1番「わが生涯より」と第2番)を取り上げてみたい。筆者の愛聴盤は写真のLP、「スメタナ弦楽四重奏団」が1976年にPCM録音した「昭和51年度レコード・アカデミー賞」を受賞した彼らの通算3度目の同曲録音盤である。(DENON/OX-7049-ND)
 第1番ホ短調「わが生涯から」はスメタナが自身の「聴覚障害」を自覚後1876年にボヘミア北部のヤブケニツェに隠遁生活を始めたころから作曲に取りかかり同年末に書き上げた作品である。作品は全体で4楽章構成をとり各楽章は彼の生涯を4つの時期に分けて回想している。第1楽章の「青年時代に芸術に魅力をもった時期」から終楽章の作曲家にとって「悲劇的な聴覚障害のなる結末」を作品に綴っている。しかし筆者自身にはそれほど「悲劇性」は感じさせずむしろスメタナらしい音づくりが希望を持った「明」の世界に向いているようにさえ思える。レコード第2面に収録されている「第2番ニ短調」は彼の最晩年の1882年~83年にかけて作曲された。この時期のスメタナはもうかなり病気も進んでおり彼の精神状態も普通ではなかったのではないかと思われる。それでも彼は最悪の状態の中で自身と戦いながら作曲を続けた。作品はスメタナ自身も述べているように前作第1番の続編とも言われる作品である。作品は第1番と同様に4楽章構成だが第3楽章と第4楽章は切れ目なく続けて演奏される。
 この「スメタナ四重奏団」の演奏は奥深さを感じさせ録音も素晴らしくスメタナの作品の魅力を充分に伝えている。

スメタナの唯一の交響曲作品 - 「祝典交響曲」

2010-05-29 13:52:37 | 交響曲
 今日は「チェコ国民楽派」の祖、スメタナ(1824~1884)唯一の交響曲作品である「祝典交響曲」を取り上げてみたい。この作品はスメタナが1853年から54年にかけてオーストリア皇帝、フランツ・ヨーゼフとバイエルン皇女エリーザベトの婚礼を祝して作曲したものである。しかしながらスメタナの意に反し当時の時代背景もあり彼がチェコ人であるがためにオーストリア政府から却下されてしまった作品と言われている。
 作品は4楽章構成で書かれており第3楽章の{スケルツォ」を除きハイドンの「皇帝讃歌」の主題がちりばめられ特に終楽章のコーダではこの主題が壮麗に奏されて全曲を締めくくっている。初演は1855年スメタナ自身の指揮でプラハで行われたが「第3楽章」の「スケルツォ楽章」以外は当時の聴衆はあまりいい印象を持たなかったようである。
 現在ではこの作品のレコード録音は非常に少なく写真のカレル・シェイナ指揮によるチェコ・フィルの1966年ステレオ録音が国内では1979年に初リリースされた位である。(原盤スプラフォンー日本コロムビアOW-7812-S)指揮者カレル・シェイナ(1896~1982)はチェコの名指揮者、ターリッヒ、アンチェル、ノイマン等の影に隠れた存在だが元はチェコ・フィルのコントラバス奏者で1938年には同楽団の副指揮者を務め戦後の1948年からはノイマンと共に常任指揮者の地位にあった人である。
 

FMエア・チェックーアルゲリッチ&小澤 ライヴ(1981年)

2010-05-27 00:07:56 | FMエア・チェック
 現在、人気筆頭の女流ピアニストーマルタ・アルゲリッチが小澤征爾と国内での初共演が実現したのは1981年4月のことである。それは彼女の1970年の初来日から数えて4度目の来日公演であった。この時、彼女は小澤征爾が指揮する新日本フィルハーモニー交響楽団に客演しシューマン、ラヴェル、ショパンの協奏曲(ショパンは第2番)を披露した。
 筆者も確か4月4日、東京文化会館でシューマンの「ピアノ協奏曲」を聴いた。今、FMエア・チェック・オープン・テープを再生しその当時を思いだしている。ここでも彼女は幾分速めのテンポで抜群のテクニックでエネルギッシュな演奏を聴かせている。小澤との息もマッチし聴き手側も違和感なくその作品が持つ魅力に引き込まれてしまう見事なものであった。現在筆者は「オープン・テープ」からの「CD-R化」を少しずつ進めているがなかなか思うように進まないのが実情である。根気の要る作業だがこの貴重なライヴ演奏もいずれ早い時期にCD-R化しておきたいと思っている。


ヘンリク・シェリング、1976年来日公演

2010-05-25 21:56:19 | 想い出の演奏会
 ポーランドの首都ワルシャワ出身で後にメキシコに帰化した名ヴァイオリニスト、ヘンリク・シェリング(Henryk Szeryng/1918~1988)も私の好きなヴァイオリニストである。私が彼の生演奏に初めて聴いたのは1976年4月の公演でこれは1964年、67年に次ぐ3回目の来日公演であった。当時、筆者が会場の東京文化会館に足を運んで聴いたコンサートは初日4月3日のリサイタルと9日のNHK交響楽団(指揮/秋山和慶)との「協奏曲」のコンサートだった。彼の巧みなテクニックから奏でられる美しい響きを30年以上も経った現在でも忘れることができない。特にNHK交響楽団をバックにプログラムの最後に演奏されたベートーヴェンの「ヴァイオリン協奏曲」は印象的だった。もちろん彼はこの協奏曲を大変得意としておりレコード録音もモノラル録音も含めると3回ほど録音していたと思う。中でもこの来日公演の3年前(1973年)にベルナルト・ハティンク指揮/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団と録音された3回目に当たるレコードは同時に録音されたブラームスの協奏曲と共に愛聴している。
 (写真は1976年4月来日公演プログラム。コンサート終了後に記念に直筆サインを入れてもらったもの。)

「ある天使の思い出に」-ベルク/ヴァイオリン協奏曲

2010-05-23 18:41:09 | 協奏曲
 アルバン・ベルク(Alban Berg/1885~1935)は死の1935年、親交のあったマーラーの未亡人アルマが再婚してもうけた娘マノンが19歳の若さで病死した。彼はこの時、歌劇「ルル」の作曲を中断し筆を進めていた「ヴァイオリン協奏曲」を彼女への「レクイエム」として作品に「ある天使の思いでに」という「献辞(献詞)」を付した。またベルク自身もこの協奏曲完成の約4ヵ月後、悪性の腫瘍のために中断していたオペラ「ルル」を未完のままに50歳の生涯を閉じた。従ってこの作品は自身への「レクイエム」にもなったのである。
 作品は二つの楽章から構成され十二音技法により書かれているが調性も感じとれる美しい抒情性豊かなものになっている。私の愛聴盤は写真のイスラエル出身の名ヴァイオリニスト、イツァーク・パールマンが小澤征爾、ボストン交響楽団と1978年に録音したDG盤である。当時、パールマン33歳、小澤43歳でパールマンにとってはドイツ・グラモフォンへのデビュー録音であった。パールマンが持つ繊細な感性がこのロマンティシズムあふれるベルクのこの難曲を指揮者小澤のリードで見事な表現で仕上げている。第2面には同じ年に録音されたストラヴィンスキーの「ヴァイオリン協奏曲」が収録されている。


 


マーラーの巨大な宇宙 - 交響曲第8番「千人の交響曲」

2010-05-22 08:38:52 | 交響曲
 今年2010年は後期ロマン派の大作曲家ーグスタフ・マーラー(Gustav Mahler/1860~1911)も生誕150年を迎え節目の記念の年である。マーラーの交響曲はどの作品をとっても大編成のオーケストラを必要とするがとりわけ「第8番」は通称「千人の交響曲」と呼ばれるがごとく声楽パートも含め総員千人位の演奏者を求める超大規模編成の交響曲である。 筆者が初めてこの作品の生演奏に接したのがちょうど今から40年前の1970年6月17日、「日本フィル第203回定期公演/小澤征爾指揮/東京文化会館)」でのコンサートだった。現在でもその当時の強烈な響きは私の脳裏の奥底に残っている。今日紹介するレナード・バーンスタイン指揮/ロンドン交響楽団他の演奏によるLPレコード(写真/CBSソニー、SONC10140~41)は筆者が最初に求めたもので現在でも愛聴しているものである。
 このレコードの録音は記録によれば1966年4月、バーンスタインがロンドン交響楽団とのコンサートの直後、「ウォルサムストゥ・アセンブリー・ホール」でレコーディングされたものである。従って独唱者8人の顔ぶれもソプラノーエルナ・スポーレンベルクはじめとして実演のコンサートと同メンバーを起用している。バースタインが総力をあげて録音したこの演奏は今も不滅の名盤の1枚として世界から評価されている。彼が後にウィーン・フィル他とのライヴによる1975年再録音盤と共に今後も愛聴していきたい。

ミュンシュ/ラムルー管のルーセル~交響曲第3番&第4番

2010-05-20 21:16:03 | 交響曲
 今日取り上げるLPはシャルル・ミュンシュ/ラムルー管弦楽団によるアルベール・ルーセルの交響曲第3番&第4番である。この録音は1966年度の「ADFディスク大賞(仏)」に輝いた名盤で写真は1983年に「エラート」レーベルで再リリースされた国内盤LPである。ジャケットに録音年代が明記されていないので正確な年月は不明だが1966年「ADF大賞盤」から考えて1964,5年ごろと推定される。
 ルーセル(Albert Roussel/1869~1937)は元は海軍軍人だった人で後に音楽の道に進みドビュッシーらの「印象主義」の影響を受けながら「新古典主義」の世界に達した作曲家であった。彼は交響曲を生涯に4つ書いているが中でもこの「第3番ト短調作品42」(1929-30)と「第4番イ長調作品53」(1934)は彼の「新古典主義」作風に基づく個性的な音の色彩を感じさせる傑作である。このレコードでは巨匠ミュンシュの巧みなルーセルの水彩画のような色彩感あふれるオーケストラ・サウンドが楽しめる。

メータ/ロス・フィルの「SF映画ファンタジーの世界」

2010-05-19 01:58:10 | 管弦楽曲
 これも今から30年以上一昔前の話になるが当時二つの大作「SF映画」で大変話題を呼んだ。その二大作品とはジョージ・ルーカス監督作品「スター・ウォーズ」とスティーヴン・スピルバーグ監督作品「未知との遭遇」である。当時ロスサンジェルス・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督だったズービン・メータはその年(1977年)の11月20日、ロサンジェルス郊外の大野外音楽堂ー「ハリウッド・ボウル」において映画「スター・ウォーズ」の大ヒットに因んで「Music from Outer Space - Star Wars Concert」という一大コンサートを行った。もちろん管弦楽は手兵「ロサンジェルス・フィルハーモニック」である。当日はレーザー光線をバックに幻想的な演出により「スター・ウォーズ」やホルストの「惑星」等々が演奏され会場は埋めつくした約1万8千人の大観衆の興奮の渦であった。
 写真のLP(国内盤/キング=SLA1160)はコンサート終了後、当時のロサンジェルス・フィルのレコーディング本拠地、「UCLAーROYCE Hall」でおこなわれたものでその翌年1978年に発売された。このレコードで演奏されている「スター・ウォーズ」組曲は作曲者ジョン・ウィリアムズが約90分におよぶ全曲をこのコンサートのために「5楽章」からなる演奏会用組曲にまとめあげたものである。ちなみに、SFファンタジー的作品ではあるが電子音楽やシンセサイザーの類は使用されておらず雄大なシンフォニック的サウンドになっているところが魅力的である。