私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

FMエア・チェックーサヴァリッシュのシューマン「ミサ・サクラ」

2010-03-31 22:42:03 | FMエア・チェック
 ロベルト・シューマン(Robert Schumann/1810~1856)もショパンと並び今年生誕200年の記念の年を迎えた。今日は私の「FMエア・チェック・コレクション」からそのシューマンが最晩年に書いた「ミサ曲ハ短調」-通称「ミサ・サクラ(Missa Sacra)」作品147を取り上げてみたい。因みに「Sacra」とはラテン語で「聖なる」という意味らしい。
この作品は後のブルックナーの「ミサ曲」にも影響を与えたと言われている。演奏はウォルフガング・サヴァリッシュ(Wolfgang Sawallisch/1923~ )が1987年9月、ベルリン・フィル定期公演で演奏したライヴ録音でNHKFMで翌年(1988年)7月31日に放送されたものである。ソリストにはソプラノー白井光子、テノールーペーター・ザイフェルト、バスーヤン=ヘンドリク・ロータリング、バックの合唱には作曲者シューマンも音楽監督を務めたことがる「デュッセルドルフ市楽友協会合唱団」(1818年創設)が加わっている。
 この作品も例外なく通常の「ミサ曲」の形式に従って作曲されている。つまり「キリエ」から始まり「グローリア」-「クレド」-「オッフェルトリウム」ー「サンクトゥス」-「アニュス・デイ」で終わる。当初は第4曲にあたる「オッフェルトリウム」はなく後に(1853年)に作曲者自身の手で付加された経緯を持つ。シューマンらしい旋律美を持つ作品であるが当時、レコード、CD録音もされておらずましてコンサートでは演奏されることがなかったため筆者もこの「NHKFM放送」で初めて耳にした次第であった。
 サヴァリッシュはNHK交響楽団の「桂冠名誉指揮者」としてなじみ深いが彼は大作曲家のこうした埋もれた作品等を掘り起こし実演で取り上げている。このコンサート・ライヴ録音も後にEMIレーベルからCD化もなされている。ベルリン・フィルの壮麗な響きと「ソリスト」・「合唱」のハーモニーが見事で密度の高い演奏である。

カラヤンのモーツアルト交響曲第29番&第39番

2010-03-30 22:43:49 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 カラヤンがレコーディングしたモーツアルトの交響曲の中で筆者が一番好んで聴く盤は最晩年ベルリン・フィルとの1987年録音、第29番イ長調K.201と第39番変ホ長調K.543がカップリングされた写真のCDである。(DG431 268-2)特に「第39番」はコンサートでも「第41番ージュピター」と並んでよくコンサートでも取り上げて演奏していたのを思い出す。またレコード、CD録音の数も多く特に「第39番」については1988年最後の来日公演サントリー・ホールでのライヴ録音も含めると実に正規盤だけでも6種類を数える。
 彼の「モーツアルト交響曲」の演奏は壮麗な響きが大変美しい。とりわけこの「ベルリン・フィルハーモニーザール」における録音は「カラヤン美学の真骨頂」とも言える演奏であろう。また「第29番」もこの録音を含めベルリン・フィルと3回の盤歴があるが「第1楽章」の何とも表現しがたい柔らかい優美な響きはこの最晩年のものがすばらしい。いずれにしてもベルリン・フィルの磨きぬかれ洗練された風格ある響きはカラヤンとの「黄金時代」を思い起こさせる1枚である。因みにカラヤンのモーツアルト交響曲録音は後期交響曲のジャンルに入る第35番ニ長調「ハフナー」以前の作品についてはこの「第29番」の他に「第32番ト長調K.318」・「第33番K.319」しかレコーディングしなかった。

マルタ・アルゲリッチの「ショパン/ピアノ・ソナタ第3番ロ短調」

2010-03-29 22:37:53 | 器楽曲
 筆者が最初にショパンの「ピアノ・ソナタ第3番ロ短調作品58」を生で聴いたのは1970年マルタ・アルゲリッチの初来日公演だったと思う。当時聴いた印象はなんと感情表現が豊かでダイナミックな演奏をするピアニストといった感じだった。そして彼女の演奏が気に入り購入したレコードが写真、ドイツ・グラモフォンの国内盤(MG2130)であった。この録音は彼女が「1965年ショパン国際ピアノ・コンクール」で優勝して約2年後にミュンヘンで行われている。このレコードの演奏も当時20代とは思えないほどの彼女のスケール感のあるロマンティシズムあふれるショパンが聴ける。
 この「第3番」はショパンの最後のピアノ・ソナタ作品で有名な「葬送行進曲」を第3楽章に持つ「第2番変ロ短調」と共に親しまれている。作品の「円熟度」から見ればむしろ「第2番」を凌ぐ力作であろう。またこのLPの第2面に収録されている「幻想ポロネーズ」・「英雄ポロネーズ」並びに「3つのマズルカ作品」もアルゲリッチの技量が余すところなく発揮された好演である。また今年は「ショパン生誕200年」の記念すべき年にもあたりコンサート等をはじめとして彼の作品が取り上げれる機会も多いことだろう。


 

FMエア・チェック、カラヤン/ベルリン・フィル「ベートーヴェン交響曲第3番」(1973年来日公演)

2010-03-28 19:28:41 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 現在、少しずつ過去の「FMエア・チェック・オープン・テープ」のCD-R化保存を進めている筆者だがなかなか予定どおり進まないのが現状である。このところ「カラヤン関係」のものを中心に整理しているところだがその中で「1973年来日公演」でのベルリン・フィルとのベートーヴェン交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」の演奏を取り上げてみたい。
 この年はカラヤン/ベルリン・フィルの通算4回目の来日に当たり6月にオープンした「新NHKホール落成記念公演」のためにNHK招聘によるものだった。公演は10月25日から11月4日にかけて東京(7回)と大阪(3回)の全10回公演で行われた。チケット購入方法は東京公演については専用申し込みハガキによる抽選により行われた。筆者も運よく当たり10月26日のコンサート(ブルックナー交響曲第7番ほか)に足を運んだ。また東京公演の模様は全て会場のNHKホールから東京管内はステレオでFM生中継された。
 このベートーヴェン「エロイカ」のプログラム東京公演最終日の11月1日のプログラム最後を飾ったものである。因みにプログラム前半にはシェーンベルクの「清められた夜」が演奏されている。カラヤン/ベルリン・フィルによる「エロイカ」のコンサート・ライヴの「FMエア・チェック・テープ・コレクション」は他にも「1970年ウィーン芸術週間」における「ベートヴェン・チクルス」での演奏をはじめとして何種類かあるが筆者個人的にはこの73年の来日公演ライヴが一番カラヤンらしい溌剌とした磨きぬかれた演奏が聴け好きである。会場における聴衆の大変な熱気に包まれた中での演奏で東京でのフィナーレを飾る好演であった。当時、カラヤン65歳の絶頂期の名演の一つと言っても過言ではないだろう。
 

バッハ解釈の権威ーカール・リヒターの「管弦楽組曲第2番&第3番」

2010-03-27 01:15:16 | 管弦楽曲
 J.Sバッハの傑作「管弦楽組曲第2番ロ短調BWV1067」・「同第3番ニ長調BWV1068」の名盤をあえて1枚取り上げるとするならば筆者は躊躇なくカール・リヒター(Karl Richter/1925~1981)/ミュンヘン・バッハ管弦楽団、オレール・ニコレ(フルート)のアルヒーフ盤(写真/独ARCHIV198 272)選びたい。
 言うまでもなくリヒターは当時バッハ解釈・研究の第一人者であったしこのレコード録音 が行われた1960年はまさに彼の演奏活働の絶頂期であった。またオレール・ニコレ(Aurèle Nicolet)はスイス出身のフルートの名手で当時ベルリン・フィルの首席奏者をつとめていた。ここで演奏されるバッハは実にロマン的でスマートである。その演奏にはまさに説得力が感じとれバッハ演奏の「お手本」と言ってもいいだろう。筆者がこのレコードを求めたのは学生時代の1970年前後だったと思う。当時「アルヒーフ・ドイツ直輸入盤」としてレコード店に置かれていたのを思い出す。

異色のヴァイオリニスト、ナイジェル・ケネディの「エルガー/ヴァイオリン協奏曲」

2010-03-25 23:30:10 | 協奏曲
 ナイジェル・ケネディ(Nigel Kennedy/1956~ )はクラシック音楽分野にとどまらずジャズやポップスの世界にまでクロス・オーバー的に活躍している注目のイギリスのヴァイオリニストである。彼はそのような演奏活動の最中、1992年に突然引退表明をして楽壇から姿を消したがその5年後再び復帰を果たすことになる。今日紹介しるエルガーの「ヴァイオリン協奏曲ロ短調作品61」は復帰当時の1997年にサー・サイモン・ラトル/バーミンガム市交響楽団とレコーディングされ話題を呼んだCDである。彼はエルガーのこの作品を得意としており1984年、バーノン・ハンドリー/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団とも録音しておりこちらも名盤として輝いた1枚であった。
 数あるヴァイオリン協奏曲作品の中でもエルガーの作品は大曲の一つに数えられこのラトルとの演奏でも演奏時間53分強を要している。作品は全3楽章から構成され特に第2楽章「アンダンテ」は「抒情的」で美しい旋律が魅力である。また続く第3楽章「アレグロ・モルト」はヴァイオリンの超絶技巧が要求され作曲者エルガーの「創案」とされる「ピツィカート・トレモロ」なる奏法が特徴的でありこのCDでもケネディのヴァイオリン・テクニックが聴きどころである。協奏曲の余白にはヴォーン・ウィリアムズの「揚げひばり」が収録されている。尚、彼は復帰直後、名前を単に「ケネディ」と簡略化しこのCD盤も「Knnedy」のみの表記になっている。しかし現在では以前の「ナイジェル・ケネディ」に戻しているようである。
 

ベルリーニ歌劇「ノルマ」-マリア・カラスのベスト盤

2010-03-24 23:07:52 | オペラ
 以前にベルリーニ(Vincenzo Bellini/1801~1835)のオペラ「ノルマ」についてはステレオ盤の「ヴァルヴィーゾ/スリオティス盤」(英デッカ録音)を紹介ずみだが今日はマリア・カラス最高の当たり役と言われた1954年EMIモノラル録音ー写真の「セラフィン盤」を取り上げてみたい。彼女はセラフィンと後に1960年にステレオで同作品を再録音しておりどちらをとるかは聴き手の好みによるが筆者はこのモノラル盤が好きである。このLP盤(独EMIエレクトローラ/2LPー2900663)は1980年代にデジタル・リマスター化されたものでおそらくLPレコードとしては最後にリリースされたものと思われる。因みに国内盤は同デザイン・ジャケットで1985年にCD3枚組で発売されている。
 このモノラル盤はカラス絶頂期の録音で彼女の最高の美声に引き込まれてしまう。アダルジーザ役のメゾ・ソプラノーエベ・スティヤーニとの二重唱は二人の美声のハーモニーにうっとりしてしまう。LP2枚組みのため1面収録時間が約40分前後とつめこんであるがデジタル・リマスター化により以前より音質が一段と向上しておりそれほど違和感はない。

チョン・キョンファの繊細な美が光るーサン・サース&ヴュータン

2010-03-23 00:54:29 | 協奏曲
 韓国の大女流ヴァイオリニスト、チョン・キュンファ(Chung Kyung-Wha)が弾くサン・サンース/ヴァイオリン協奏曲第3番ロ短調作品61、ヴュータン/ヴァイオリン協奏曲イ短調作品37は彼女が持つ繊細な表現美が魅力的な録音の1枚である。この写真のLPレコードは彼女がまだ20代の1970年代半ばにレコーディングされたもので彼女の初のフランス系作曲家の作品であったと思う。指揮はローレンス・フォスター、管弦楽はロンドン交響楽団である。
 サン・サーンスは特に第2楽章、「緩徐楽章」の極めて気品あふれる優美な演奏に引き込まれてしまう。一方、第2面のベルギー出身のヴュータンの協奏曲第5番は中間部に「アダージョ」を挟んだ「急ー緩ー急」で構成された「単一楽章」の作品である。また中間部でヴュータンと同じベルギー生まれのフランス古典派様式による「オペラ・コミック」の確立者グレトリのオペラ「リュシル」の旋律を用いているところから「ル・グレトリ(Le Grétry)」と呼ばれることがある。こちらの演奏も言うまでもなく彼女の豊かな感性と繊細なテクニックが見事である。
 

若き日プレートルの「シベリウス交響曲第5番」ほか

2010-03-22 11:42:44 | 交響曲
 若き日のジョルジュ・プレートル(Georges Prêtre/1924~ )がニュー・フィルハーモニア管弦楽団とRCAに録音したレコードの1枚にシベリウス交響曲第5番変ホ長調作品82/交響詩「夜の旅と日の出」(写真/RCAビクターSRA2503/1967年録音)がある。このLPレコードの国内発売は今から40年以上も前の1968年であった。レコード・ジャケットの裏面には「米RCA」が1963年に開発したステレオ・ニュー・サウンド・システム、「ダイナグルーヴ・レコーディング(DYNAGROOVE RECORDING)」のロゴも入っている。この録音システムの最大の特徴はオーケストラの各楽器セクションを今まで以上にクリアーに再現すること並びにレコードの問題点でもある内周部の歪率の低減化にあったと言われている。現在の最新デジタル録音時代とは比較にならないだろうが当時のアナログ録音システムとしては画期的なものの一つには違いなかったと思う。しかしその後のステレオ録音技術の進歩とともにそのその名も忘れされてしまった記憶がある。
 さてフランス人指揮者としてのシベリウスの交響曲録音は珍しくプレートルもこの「第5番」以外には同時期に同楽団と録音された「第2番」しかレコードは出ていないと思われる。演奏は弦楽器と管楽器のバランスをうまく調和させ美しく響かせているところが特徴的である。聴いていて実に心地よい「第5番」でテンポを若干速めにとる事により緊張感があるどちらかと言えば鋭角的な演奏になっている。今年の「ウィーン・フィル・ニュー・イヤー・コンサート」でもその健在な指揮ぶりを披露し聴衆を魅了したプレートルだがこのシベリウスの演奏も彼の40代の若き日を振り返る貴重な1枚となるだろう。

FMエア・チェック、オープン・テープ・コレクションから 「カラヤン&ムター」 

2010-03-19 05:06:52 | FMエア・チェック
 筆者は過去の「FMエア・チェック・オプーン・テープ」の整理ー「CD-R化保存」を進行中だがなかなか計画通りには進まないのが現状である。とりあえず現在は「カラヤン」関係のものを集中的に行っている。そんな中、「カラヤン&ムター」のすがすがしいブルッフ「ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調作品26」のベルリン・フィルとのライヴ演奏を今日は取り上げてみたい。
 これは1981年幕開けー1月1日、ベルリン・フィルハーモニー・ザールにおけるプログラム前半のコンサート・ライヴで後半にはカラヤンお得意のチャイコフスキー交響曲第6番ロ短調作品74「悲愴」が演奏された。放送は同年9月にNHKFMでされたものである。またこのコンビでその年の年末12月30日・31日のコンサートでも同曲をプログラムにとりあげいる。因みにこの時の後半の演奏曲目はR.シュトラウスの「アルプス交響曲」だった。
 カラヤンはムターと前年1980年にこの協奏曲をレコーディングしているがカップリングされたメンデルスゾーンのホ短調の協奏曲とともにこの時が同曲の初録音で以後再録音はしていない。このライヴ演奏も当時まだ18歳だったムターのそのみずみずしく艶やかな演奏はとても心地よい。