私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

元祖!コンティグリア兄弟盤のベートーヴェン/交響曲第9番(2台のピアノ版)

2010-09-29 18:51:29 | 器楽曲
 リスト(Liszt Franz/1811~1886)はベートーヴェンの交響曲全曲をピアノ版に編曲しているが「交響曲第9番」については後に「2台のための四手連弾用」にさらに編曲を試みた。編曲が完了した正確な年代ははっきりとしないが彼がワイマールに移り住んだ時代と言われているので1850年代の初頭と思われる。写真のLP盤は1977年に「フォノグラム」から廉価盤(PL1021/ステレオ)としてリリースされた「米国コニサー・ソサエティ」録音のリチャード&ジョン・コンティグリア兄弟(双生児)による2台のピアノによる四手連弾の演奏である。ジャケット・デザインは当時の廉価盤を「時で行く」ものであまりパっと見はしないが演奏そのものはなかなかのものである。
 この録音はデータによれば1972年8月にニューヨークで行われており当時この「2台のピアノ版」によるレコードは「コンティグリア兄弟」によるものが唯一のものだったと思われるので言わば「元祖」であった。その後、同版による演奏では「仏ハルモニア・ムンディ」からアラン・プラネス、ジョルジュ・プリュデルマルシェ盤」が出た記憶があるが筆者は未聴である。
 当然のことながら「ピアノ編曲版」のため第4楽章の声楽はないがたまにはベートーヴェンの交響曲をこの「第九」に限らずリスト編曲のピアノ版で聴いてみるのもまた新鮮な気分になり興味深いものがある。


以前から気になっていた「マルテ版」のブルックナー交響曲第3番

2010-09-28 17:36:34 | 交響曲
 今日は筆者が以前から気になっていたペーター・ヤン・マルテ(Peter Jan Marthé/1949~ )指揮ヨーロピアン・フィルハーモニックのブルックナー交響曲第3番(マルテ版)の写真のCDについてふれてみたい。
 指揮者のペーター・ヤン・マルテはオーストリアの作曲家、オルガニストでもあり何でもあのセルジゥ・チェルヴィダッケに心酔し薫陶も受けたと言われている。ブルックナーの交響曲に独自の感性、解釈を持って取り組みこの「第3番」も彼自身の「マルテ版」による演奏で実にユニークで我々が通常慣れ親しんでいる「ノヴァーク版」や「エーザー版」とは全く異なるものだ。全般的な特徴としてオーケストレーションの大胆な改変、従来第2楽章に置かれた「アダージョ」と第3楽章「スケルツォ」の順序も入れ替えて演奏する等々、賛否が分かれる彼自身の手法で演奏している。しかも全曲演奏時間が約88分(一番長いとされるノヴァーク版第1稿1873年版でも平均70分前後)も要するCD2枚組の途轍もない「第3番」である。因みに各楽章の演奏時間は第1楽章27:58/第2楽章12:08(スケルツォ)/第3楽章27:00(アダージョ)/第4楽章20:33である。
 しかもこの演奏は2005年8月19日、ブルックナーゆかりの地オーストリア、リンツ郊外聖フローリアン大聖堂にコンサート・ライヴ録音でオーケストラはかつてユーディ・メニューインによって創設された有能な若者たちで構成された「ユンゲ・エステルライヒッシェ・フィル」が母体の「ヨーロピアン・フィルハーモニック」である。
 ブルックナー好きの筆者もこの聖堂には何度となく訪れたが聖堂の地下に眠るブルックナーの「棺」に対面すると不思議と何とも表現しがたい緊張感につつまれる。この演奏を地下で聴いたブルックナーはひょっとすると苦笑いしていたかも知れない。しかしこの演奏はブルックナー・マニアにとっても賛否両論はあるにしても実に斬新で興味深い演奏の一つであろう。(写真/PREISER RECORDS(オーストリア)2CD-PR90715)



 


ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルの「アルプス交響曲」

2010-09-27 00:02:33 | 交響曲
 今日紹介したいLPはエフゲニー・ムラヴィンスキー(Evgeni Mravinsky/1903~1988)/レニングラード・フィル(現、サンクトペテルブルグ・フィル)による正規盤としてはおそらくこれが唯一の録音と思われるR.シュトラウス「アルプス交響曲」(ライヴ盤)である。このレコード(写真/国内盤ビクターVIC4512-モノラル、原盤メロディア)は1982年に「レニングラード・フィル創立100周年記念盤」として当時初発売されたものであった。レニングラード・フィルハーモニー大ホールにおける1962年4月21日のコンサート・ライヴである。残念ながら録音はモノラルだが音質は良好である。ムラヴィンスキーのR.シュトラウスは大変珍しく発売当時は大変興味深いものがあった。
 演奏は想像した通り金管群が鋭角的でエネルギッシュなR.シュトラウスの世界を築き上げた白熱のライヴ盤で筆者もカラヤン/ベルリン・フィル盤と共に好んでよく聴く1枚である。聴き所は「頂上」と下山の「雷雨と嵐」の荒れ狂う暴風雨のすさましい描写場面であろう。ただステレオ録音ではないのが惜しまれるがそこはムラヴィンスキーの指揮がうまくカバーしておりまさに見事な当時のレニングラード・フィルの魅力を引き出している。

カラスのベルリーニ/歌劇「夢遊病の女」

2010-09-25 14:38:09 | オペラ
 イタリア・ロマン派オペラの開拓者としても知られるヴィンチェンツォ・ベルリーニ(Vincenzo Bellini/1801~1835)が「ノルマ」と同時期の1831年に作曲したオペラ「夢遊病の女」もマリア・カラス盤を筆者は好んでよく聴いている。(写真/CD-国内盤EMI/TOCE6012-13、1957年録音モノラル)録音がモノラルなのが残念だがこれもカラスの唯一のスタジオ録音盤のため仕方がない。擬似ステレオ盤のLPも過去には出ていたがやはりオリジナルのモノラルで聴くほうが個人的には好きである。
 この録音では言うまでもなくすタイトルの「夢遊病の女ーアミーナ」を歌うカラスが素晴らしく水車屋の女主人テレサに当時デビュー間もないメッゾ・ソプラノのフィオレンツァ・コッソットが起用さている。指揮はアントニー・ヴォットー、管弦楽はミラノ・スカラ座管弦楽団、合唱は同合唱団(合唱指揮/ノルベルト・モーラ)である。過去にも紹介したカラスの超名盤としても知られる「ノルマ」と共に今後も聴き込んでいきたい。

カラヤンのヴェルディ/歌劇「オテロ」

2010-09-23 21:37:51 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 カラヤンのヴェルディ歌劇「オテロ」全曲盤と言えば1961年のデッカ録音、マリオ・デル・モナコ、レナータ・テバルディ共演ウィーン・フィルとの歴史的名盤であろうがその後十数年の時を経てEMIに再録音されたジョン・ヴィッカース、ミッレッラ・フレーニ共演のベルリン・フィル盤も素晴らしい。彼はこのレコード録音が行われた当時の1970年代前半には管弦楽はウィーン・フィルだったが夏のザルツブルク音楽祭(1970~72)においてもこのオペラを上演している。
 写真はEMI盤のキャストで制作されたベルリン・フィル、ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団他によるユニテル制作の映像版で記録によれば音声が先にベルリンで収録(1972年)され映像が1973年にミュンヘンで撮影されている。この映像作品でもオテロ役のヴィッカースとデスデモナ役のフレーニのコンビがまさにこのオペラにピタリとはまり意気投合した素晴らしい歌唱を聴かせている。芸術監督カラヤンのオペラ指揮者としての才気が全体にみなぎった映像美も充分に楽しめる作品に仕上がっている。
(写真ーDVD/Unitel-DG 00440 073 4040)

ついにCD化!カラヤン/ベルリン・フィル1977年普門館ライヴ盤

2010-09-22 17:28:39 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 このほど「TOKYO FM開局40周年記念盤」としてヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィル1977年来日公演ー普門館(東京・杉並)ライヴ、「ベートーヴェン交響曲チクルス」の全曲が初CD化された。筆者も早速手に入れ聴いてみた。このチクルスの模様は当時FM東京をキー局とした「TDKオリジナル・コンサート」の時間に11月16日の「第5番」・「第6番」(朝日放送が映像収録※/FM東京がステレオ音声収録)を除きオン・エアされている。筆者も当時の放送はもちろんエア・チェックしオープン・テープで大切に保存しているが今回「第5番」と「第6番」がCD化されたことにより1977年の東京・普門館公演ベートーヴェン交響曲全集(ライヴ)が全て揃うことになった。(※この映像は正月特別番組でテレビ朝日系列で放映された。)
 筆者もこの来日公演(東京)にほとんど足を運びカラヤン/ベルリン・フィルの生の演奏に酔いしれた強烈な印象が今も残像として残っているがFM未放送だったこの「第5番」・「第6番」のCDを聴いてその録音状態の良さに驚いた。因みにカラヤン/ベルリン・フィルの来日公演全9回のうちベートーヴェンの「第5番」・「第6番」の2曲がプログラムに載らなかった公演は1979年と最後の公演となった1988年の2回のみである。演奏も来日公演の中では1966年公演(4/12東京文化会館)の演奏と共に素晴らしい出来になっている。(写真のCDはTOKYO FM-TFMC-0027/第5番・第6番)
 
 

「カール・リヒター/バッハ・チェンバロ・リサイタル」

2010-09-21 22:05:10 | 器楽曲
 今日は久しぶりにレコード棚からカール・リヒター(Karl Richter/1926~1981)がチェンバロを弾く「カール・リヒター/バッハ・チェンバロ・リサイタル」と題する写真のLPを聴いた。リヒターは今さら言うまでもなく20世紀最高のバッハ解釈の第一人者であったが55歳に満たない若さで惜しまれこの世を去ってしまった。考えてみると彼が遺したチェンバロ・ソロの録音はこのレコードの他には「ゴールドベルク」ぐらいしかないと思われるのでこれも貴重な1枚である。(写真/国内盤グラモフォンMG2240)
 収録作品は「イタリア協奏曲ヘ長調BWV971」・「半音階的幻想曲とフーガニ短調BWV903」・「トッカータとフーガト短調BWV915」・「パストラーレ ヘ長調BWV590」・「幻想曲ハ短調BWV906」の5曲でもちろんリヒター唯一の録音である。
この録音は記録によれば1969年11月、ミュンヘンで行われている。確かこの国内盤の発売は1971年だったと記憶しているで筆者が学生時代に初めて購入したリヒターのバッハのLPでもあった。今改めて聴いても彼のチェンバロの演奏は骨太でダイナミックなところに魅力を感じる。彼が同様に「ドイツ・グラモフォン」に1964年に録音した「オルガン・リサイタル」と共に今後も彼の不滅の名盤として輝くことだろう。

パーヴォ・ヤルヴィ、パリ管音楽監督就任初日公演を聴く

2010-09-20 02:11:43 | コンサート雑感
 一昨日、約2週間のフランス旅行から帰国した。今回は音楽鑑賞を目的ではなく「レール・パス」を利用した「鉄道周遊」を中心とした旅で北は「ノルマンディ」、「ブルターニュ」、南はグルノーブルを中心として「ローヌ・アルプ」の各地方をブラり途中下車の旅を楽しんだ。音楽では9月15日(木)パリの「サル・プレイエル(Salle Pleyel)」で「パリ管弦楽団」の2010/11年シーズンの初日のコンサートを鑑賞することができた。
 この公演は今シーズンよりこのオーケストラの音楽監督に就任した1962年エストニア、タリン生まれのパーヴォ・ヤルヴィ(父はネーメ・ヤルヴィ)が指揮する初日の記念すべきコンサートであった。プログラムの前半は近代フランスの作曲家ポール・デュカ(Paul Dukas/1865~1935)のペルシャの神話に出てくる仙女ペリを題材にした1幕ものの舞踊音楽「ラ・ペリ」、後半は彼が得意とするシベリウス「クレルヴォ交響曲作品7」である。
 筆者がもちろん注目したのはメインのシベリウスで彼はこの作品をすでに「ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団」首席客演指揮者時代の1997年に「ヴァージン・クラシックス」にレコーディングもしている。今回の演奏でもバックの男声合唱団にはレコーディングと同様母国の「エストニア国立男声合唱団」を起用していた。そのハーモニーの素晴らしさは言うまでもない。独唱陣にはソプラノにソイレ・イソコスキ(Soile Isokoski),バリトンにユハ・ウーシタロ(Juha Uusitalo)の現在世界的に活躍中の名歌手二人の美声に会場を埋め尽くした聴衆は酔っていた。当日はテレビ・カメラも入りその模様は収録されていたので後日日本での放も期待したい。
 会場の「サル・プレイル」も内部が改装され一段と雰囲気が明るくなった感じを受けた。筆者も演奏終了後の満足感と共にホテルへの帰途のパリの夜風が心地良かった。
(写真は当日のコンサート・プログラム)

カラヤン&フェラス、シベリウス/ヴァイオリン協奏曲

2010-09-05 21:24:24 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 筆者がシベリウスの「ヴァイオリン協奏曲」のレコードを最初に購入したのはやはり写真のカラヤン&フェラス、ベルリン・フィルによる写真のLP(国内盤/グラモフォンSLGM1298)であった。かれこれ40年以上も前の昔のことである。この録音は1964年10月にベルリン、ダーレムのイエス・キリスト教会でのものだが後にも先にもカラヤンはこの協奏曲をこれしか録音していない。演奏はおそらくこのコンビによる一連のブラームス、、チャイコフスキー、ベートーヴェンの協奏曲録音の中でも一番成功したものではないだろうか。フェラスのヴァイオリンのしなやかな音が大変美しく素晴らしい。筆者はその後の同コンビによる1971年9月、ベルリン・フィル定期公演ライヴ(FMエア・チェック)と共に楽しんでいる。ライヴ録音の魅力は生の白熱した緊張感にありフェラスの繊細なテクニックが一段と迫ってくる。ここでもカラヤンがベルリン・フィルを巧みにコントロールしてその見事な絢爛たるアンサンブルを引き出しているのがよくわかる。
 余談ながらこの公演ではカラヤンにしては珍しいヴィヴァルディのシンフォニア「聖なる墓に」がこの協奏曲の前に演奏されメイン・プロはストラヴィンスキーの「春の祭典」であった。

 ※ 明日より久しぶりに欧州旅行のため暫らくブログお休みします。

カラヤンの「ワーグナー管弦楽曲集」(1984年デジタル録音)

2010-09-04 19:15:55 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 カラヤンがR.ワーグナーのオペラを大変得意にしていたことは今さら言うまでもないことだが彼が何回かレコーディングした「管弦楽曲集」の中で筆者が一番よく針をおろすレコードはベルリン・フィルと最後のスタジオ録音(1984年)となった写真のLP(国内盤/28MG0739)である。
 じっくりとこのレコードに耳を傾けると非の打ち所がないベルリン・フィルの完璧なアンサンブルにカラヤンがそれぞれの作品の隅々までいわゆる「カラヤン美学」を貫徹した透明感あふれる見事な演奏であることがよくわかる。収録作品は歌劇「タンホイザー」から序曲とバッカナール、楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」から第3幕への前奏曲、楽劇「トリスタンとイゾルデ」から前奏曲と愛の死の全3曲である。特に「前奏曲と愛の死」の演奏は1987年の「ザルツブルク祝祭音楽祭」でのジェシー・ノーマン(ソプラノ)、ウィーン・フィルとのライヴ盤(DG/この作品の彼の最後の録音)と共に今後も聴き続けてゆきたい。