私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

南半球のオーケストラ - シドニー交響楽団

2009-03-18 18:17:47 | レコード音楽ジャーナリズム
 我々北半球に住む者にとって南半球のオーケストラ情報はインターネットが普及するまでほとんど耳に入ってこなかった。私の場合1980年代、何回か南半球ー特にオーストラリア、ニュージーランドを訪れる機会があったのでたとえばシドニーのオペラ・ハウス等に立ち寄り幸いにして当時の情報を得ることができた。
 今日紹介するシドニー交響楽団のこのCDは現在でも珍品のひとつかも知れない。写真のCDは非売品でこの楽団のプロモーション用として制作されたものである。収録内容は当時首席指揮者を務めていたオランダの巨匠エド・デ・ワールトが1994年7月、8月に彼らの本拠地シドニー・オペラ・ハウス・コンサート・ホールで行った演奏会ライヴである。曲目はストラヴィンスキー:舞踊音楽「ペトリューシカ」とサン=サンース:交響曲第3番ハ短調「オルガン」である。実はこのCD、先に述べたように非売品のためオーストラリアのレコード愛好家の方から送って頂いた大変貴重なものである。当時日本では南半球のオーケストラによるレコード、CDはちょと手に入りにくかった。レコード音楽ジャーナリズムにあまり載らない為か国内盤はもちろんリリースされていない。豪州のオーケストラのCDは主として「ABC Classicsレーベル」から発売されており日本にはほとんど入ってこなかった。因みに「ABC」とは「オーストラリア放送協会」のことである。私のコレクションでも他にメルボルン交響楽団のシベリウス:交響曲第1番他のCD(英国ASVレーベル)があるのみである。
 さて演奏はというとさすが巨匠ワールトの棒も冴えており中々のものに仕上がっている。このコンビで1996年にこの楽団は初来日を果たしてワールト得意のラフマニノ交響曲第2番ホ短調作品27の名演を聴かせてくれた。その後2006年にも再来日しているがこの時は会場に足を運べなかった。現在はイタリアのジャンルイジ・ジェルメッティが2004年から芸術監督を務めているようである。

フィルハーモニア台湾~自主制作CDから

2008-12-21 10:28:12 | レコード音楽ジャーナリズム
 今年の春、昨年(2007)のPMFフェスティヴァル参加に引き続き台湾の代表するオーケストラ、フィルハーモニア台湾(国家交響楽団ーNSO)が「熱狂の日ーLa Folle Journée au Japon)に出演のため再来日した。私も演奏の評判を聴き5月2日の横浜公演に足を運んだ。会場は横浜みなとみらい大ホールで当日のプログラムはベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61(Vn.ナイユアン・フー)、シューベルト/交響曲第8番ハ長調D.944「ザ・グレート」、指揮は元ウィーン・フィルのヴァイオリン奏者でもあったヨハネス・ヴィルトナーである。ソリストのフーは1985年ベルギーのエリザーベート王妃国際音楽コンクールの優勝実績の経歴を持つ奏者だけあって質の高い演奏を披露した。プログラムの最後を飾ったシューベルトも堂々とした演奏でよかったと思う。さて今回紹介するCDはこのオーケストラ自主制作CDで当日会場で求めたもので曲目はマーラーの交響曲第4番ト長調、同:交響曲第5番から第4楽章「アダージェット」、ショスタコーヴィチ:交響曲第8番ハ短調の2枚組でデジパック仕様である。指揮はこの楽団の首席客演薬演指揮者のウェンピン・チェン録音は2005~06年シーズンのライヴ収録でなかなかの演奏である。特にショスタコヴィーチの演奏はこの作品が持つ戦争の悲劇性ー重々しい内に秘めた情感がこめられた演奏である。録音もすばらしくステレオ効果も満喫できる。こうした普段日本のレコード音楽ジャーナリズムにあまり上らない演奏を発見できるのもコレクターの私にとっての楽しみの一つでもある。