私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

カラヤンとハイドンの交響曲

2010-07-31 09:16:13 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 ヘルベルト・フォン・カラヤンはヨーゼフ・ハイドン(Joseph Haydn/1732~1809)の交響曲をごく一部の作品を除き(第101番「時計」・第103番「太鼓連打」・第104番「ロンドン」など)実際のコンサートでプログラムに取り上たことはなかった。しかし彼がレコーディングしたレコード・CDを聴いてみるとさすがカラヤンの魅力を感じざるを得ない。
 彼のハイドンの交響曲のレコーディングは古くは英デッカへのウィーン・フィルとの第103番「太鼓連打」(1963年録音)、第104番(1959年録音)まで遡る。この2作品は後にベルリン・フィルと再録音され「第104番」にいたってはEMIにも1975年に録音している。よほど気に入っていたのであろう。またカラヤンが「ドイツ・グラモフォン」にベルリン・フィルと集中的にレコーディングを行ったのは1981年から82年にかけてであった。この時「パリ・セット」と呼ばれる「第82番」から「87番」までの6作品、「ロンドン・セット」と呼ばれる「第93番」から「第104番」までの12作品が一気に録音されている。しかし彼が前者の「パリ・セット」をコンサートで演奏した記録は見当たらなかった。
 とりわけ特に筆者が好んでよく聴く演奏は写真のCDー「第94番<驚愕>」・「第100番<軍隊>、第101番「時計」あたりだろうか。作品スケールが大きいものはカラヤンの演奏スタイルにはピタリと合うようである。

パブロ・カザルスの「歴史的コンサート・ライヴ盤」

2010-07-30 01:35:09 | 歴史的コンサート・ライヴ
 20世紀最大のチェリストであり指揮者としても活躍したパブロ・カザルス(Pablo Casals/1876~1973)の歴史的コンサート・ライヴ盤から1枚取り上げてみたい。写真のCDはカザルスがバッハと共に得意としたベートーヴェンの二つピアノ三重奏曲ー「第5番ニ長調作品70-1」と「第7番変ロ長調作品97」を収録したライヴ盤(Philips-420855-2)である。因みに前者が1961年7月22日、フランスのスペイン国境に近いピレネーの山間の町プラド(Prades)で開催されたコンサート・ライヴ、後者はベートーヴェンの生家ボンの「ベートーヴェン・ハウス」で開催された1958年9月の「ベートーヴェン音楽祭」でのライヴ録音でいずれも幸いにオリジナル・ステレオ録音である。
 演奏メンバーはチェロのカザルスのほかに「第5番」はピアノにスイスのカール・エンゲル、ヴァイオリン、シャーンドル・ヴェーグ、「第7番」のピアノにはポーランドのミエツィスラフ・ホルショフスキがあたりどちらも役者がそろった「ピアノ・トリオ」の演奏ということになる。どちらも歴史に刻まれた不滅の名ライヴ録音であると共にレコードが生んだ「文化遺産」でもある。
 

ゲルギエフ/ウィーン・フィル初共演ライヴ盤

2010-07-28 22:50:02 | 交響曲
 今日紹介する写真のCD(PHILIPS/462905-2)-チャイコフスキー/交響曲第5番ホ短調作品64はヴァレリー・ゲルギエフとウィーン・フィルの初共演ライヴ盤である。これはオーストリア放送協会録音による1998年夏のザルツブルク音楽祭のコンサート・ライヴで発売当時(1999年)大変話題を呼んだものだった。このコンサートの成功が後のウィーン・フィルとの2002年「第4番」、2004年「第6番」いずれも「ムジークフェライン・ザール」でのライヴ録音へとつながっていく。
 この「第5番」を改めてじっくりと聴いてみるとゲルギエフのエネルギッシュな指揮ぶりが実にまじかに迫ってくる迫力あるライヴであることがわかる。彼が初来日したのは確か今から四半世紀余り前に遡り東京交響楽団を指揮したことを思い出す。しかし当時の日本では彼はまだ無名の指揮者のひとりと言ってもよかった。おそらく彼の名が日本で広く知れ渡るようになったのは1995年秋に「キーロフ管弦楽団」との来日公演ではなかったかと思う。筆者もこの来日公演でストラヴィンスキーの二大舞踊音楽ー「火の鳥」・「春の祭典」を生で聴き彼の実力を再認識させられた。彼の燃えるようなダイナミックでスケール感のある指揮ぶりに万人は酔ってしまう。彼は2007年よりロンドン交響楽団の首席指揮者をつとめているが最近では一昨年の来日公演が記憶に新しいところである。

ロンドンの夏の風物詩ー「PROMS」ライヴ盤

2010-07-27 01:55:51 | 歴史的コンサート・ライヴ
 ロンドンではこの時期になると毎夜9月の中旬頃まで、「夏の風物詩」ともいわれる音楽の祭典「プロムナード・コンサート」ー通称「THE PROMS」が会場の「ロイヤル・アルバート・ホール」を中心にして開催されている。このコンサートはイギリスの名指揮者、サー・ヘンリー・ウッド(1869~1944)によって1895年から開催されている。今年で実に115年の歴史を持つロンドンの名物音楽祭になっている。
 写真のLP盤は当時「BBC交響楽団」の主席指揮者を務めていたサー・コリン・デイヴィス(1927~ )がこの音楽祭の「ラスト・ナイト・コンサート」を指揮した1969年、1971年、1972年の「ラスト・ナイト・コンサート」の聴きどころを収録した貴重なライヴ盤で廉価盤として1979年に当時の「日本フォノグラム」から発売されたものである。(日本フォノグラム/13PC-96)このレコードではアメリカが生んだ名ソプラノ、ジェシー・ノーマンが歌うワーグナーの歌曲「ヴェーゼンドンクの五つ詩」から「悩み」・「夢」(1972年ライヴ)やマルコム・ウィリアムソンの「聴衆とオーケストラのためのカッサシオン<石垣>」(1971年プロムス・ラスト・ナイトのためのBBC委嘱作品/1971年ライヴ)などが聴きものである。また「1972年ラスト・ナイト」で指揮者デイヴィスが聴衆に呼びかけるスピーチも収録されている。
 

アーノンクール/ベルリン・フィルの「ブルックナー交響曲第8番」

2010-07-25 18:37:22 | 交響曲
 ニコラウス・アーノンクール(Nikolaus Harnoncourt/1929~ )と言えばウィーン・コンツェントゥス・ムジクス(Concentus Musicus Wien)の創始者で元来古楽器の権威だが1980年代以降からはアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団をはじめとしてモダン楽器によるオーケストラ指揮者活動も行い1990代に入り「シューベルト交響曲全集」などを録音し注目をあびた。本日紹介するベルリン・フィルとのブルックナー「交響曲第8番ハ短調」-(写真、独テルデック8573-81037-2)は2000年4月の録音でとりわけ彼のブルックナー交響曲録音の中でも一番成功した演奏ではないかと思う。
 CDジャケットには「Live Recording」となっているが演奏終了後の拍手もカットされ聴衆のノイズもほとんどないのでおそらく「ゲネプロ」等のセッションも編集されたライヴ録音と思われる。演奏も派手さもなくやや遅めのテンポでじっくりと押し進めていくところが魅力的である。この作品の要でもある「第3楽章ーアダージョ」の透明感ある演奏は見事で繰り返し聴きたくなる。

朝比奈 隆/都響ーブルックナー交響曲第5番(2000年ライヴ盤)

2010-07-24 14:09:02 | 交響曲
 朝比奈 隆(1908~2001)のレコード録音はライヴ録音を中心にその数はベートーヴェン、ブルックナーの交響曲をはじめとしてかなりの数にのぼる。本日紹介する東京都交響楽団との「ブルックナー交響曲第5番」のCD(写真/fontec-9136/37)は氏の最晩年、2000年3月29日、サントリー・ホールにおけるコンサート・ライヴである。氏のブルックナー同曲のライヴ盤はこの録音を含め古くは大阪フィルとの1978年のジァンジァン制作盤を皮切りに6種類ぐらい存在すると思うが「東京都交響楽団」とは1980年東京カテドラル聖マリア大聖堂でのライヴ録音(ビクター)以来の2度目の録音となる。因み都響とはこの他「フォンテック」から「第7番」(1997年/サントリー・ホール)・「第8番」(1998年/東京芸術劇場)、「第9番」(1993年/東京文化会館)のライヴ盤がリリースされている。
 演奏はそれぞれ彼らしい素朴にして重厚なブルックナーが聴けるが筆者としてはこの「第5番」の演奏が中でも好きである。都響のアンサンブルの素晴らしさ、金管楽器の鳴りも申し分なく冴え渡っている。まさにそこにはライヴならではの醍醐味がある。
 

モーツアルト、「フルートとハープのための協奏曲」

2010-07-23 23:04:19 | 協奏曲
 美しい旋律で知られるモーツアルトの「フルートとハープのための協奏曲ハ長調K.299」は、フルートを得意としてアマチュア音楽家ギーヌ公爵がハープをたしなむ娘と共演するためにモーツアルトに作曲を依頼した作品である。この作品の名盤としては録音から半世紀近く経過した現在でもジャン・フランソワ・パイヤール(Jean-François Paillard/1928~ )がジャン・ピエール・ランパル(フルート)、リリー・ラスキーヌ(ハープ)、パイヤール室内管弦楽団による演奏(1963年録音)が断然人気が高い。筆者もこれには異論はないが同メンバーによる旧盤ーパイヤール室内管弦楽楽団の前身にあたるジャン・マリー・ルクレール合奏団との録音(1958年頃/ステレオ初期)-写真のLP(RE1001-RE/仏エラート原盤ー日本コロムビア盤)も忘れることができない。
 このLPは筆者がまだ学生のころ廉価盤として当時1,000円で再リリースされた懐かしい1枚である。確かに再録音の1963年盤に比べるとランパルのフルートの華麗な音色は一歩譲るがこの旧盤のラスキーヌ(ハープ)との素朴でバランスのとれたアンサンブルは新盤に優るとも劣らないほど見事なものである。

クロエ・ハンスリップの最新録音ー「フバイ/ヴァイオリン協奏曲」

2010-07-22 01:42:31 | 協奏曲
 先日紹介したイギリスの美人名ヴァイオリニスト、クロエ・ハンスリップのナクソス最新録音ーイェネー・フバイ(1858~1937)のヴァイオリン協奏曲第1番・第2番ほかを収録した写真のCD(NAXOS8 572078)を手に入れ聴いてみた。
 このCDは彼女が現在欧米で活躍中の指揮者アンドリュー・モグレリアとボーンマス交響楽団をバックに2008年6月にレコーディングしたものである。フバイ(Hubay)は日本国内での知名度はまだ低いと思われるがハンガリー出身のヴァイオリニスト・作曲家で家系はユダヤ系ドイツ人の血を引き本名をオイゲン・フーベルと名乗っていた人でもある。彼のヴァイオリン協奏曲は全部で4作品あるが日本ではほんとんど演奏されることはない。しかし今回、彼女がひくこのCDを聴きハンガリー・ジプシー風の香りが漂う民俗色豊かな美しい協奏曲を再認識させられた。彼の師はヨーゼフ・ヨアヒムでありまたベルギーのヴュータンとも親交を持ちブリュッセル音楽院のヴァイオリン科の主任教授を務めるなど活働の幅も広かった。またこのCDにはヴァイオリンと管弦楽による小品「チャールダッシュの情景」から第3番「マロシュ川」作品18と第4番「おいでよ、カティ」の2曲が収録されておりここでのハンスリップのテクニックも聴きものである。

FMエア・チェック、オープン・テープ・コレクション~「ハイティンク/マーラー交響曲第3番」

2010-07-21 08:08:54 | FMエア・チェック
 今年2010年は後期ロマン派の大作曲家グスタフ・マーラー(Gustav Mahler/1860~1911)も生誕150年の記念の年にあたりさらに来年は没後100年の年となり「マーラー・イヤー」が続くことになる。そこで節目の年に過去のマーラーのコンサート・ライヴを収録した「FMエア・チェク・テープ」を整理してみることにした。そのほとんどが「NHK・FM」で放送されたものだが今日はオランダの巨匠ベルナルト・ハイティンク(Bernard Haitink/1929~ )た大曲「交響曲第3番」を取り上げてみたい。この演奏はまだ彼がこの楽団の芸術監督を務めていた時代1982年秋の「ベルリン芸術週間」におけるライヴ録音(1982年9月13日、ベルリン・フィルハーモニー・ザール)で放送は翌年1983年8月3日にNHKFMでされている。
 ところでハイティンクの同楽団とのこの交響曲の演奏については過去にも彼が最初にレコーディングした(1966年録音)したLP盤(フィリップス)を紹介したことがあるがこの演奏もその延長線上にある言って良いと思う。アルト独唱はオルトルン・ヴェンケル、合唱は「コンセルトヘボウ女声合唱団」によるものである。演奏はやはりライヴならではの各楽章間の緊張感ある対比が見事である。ハイティンクも当時まだ50代前半でその溌剌としたたくましさのある演奏はことさら魅力を感じさせている。

 
 


教皇ヨハネ・パウロⅡ世により挙行された「荘厳ミサ」(1985年)

2010-07-19 01:24:36 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 本日紹介するレコードは1985年6月29日(聖ペトロ・聖パウロの祭日)、ヴァチカンの聖ピエトロ大聖堂において行われた教皇ヨハネ・パウロⅡ世による「荘厳ミサ」のライヴ録音である。しかもこのミサにはヘルベルト・フォン・カラヤン/ウィーン・フィル、ウィーン楽友協会合唱団ほかによるモーツアルトの「ミサ曲ハ長調K.317<戴冠ミサ>」が組み入れられており当時大変話題になった大変貴重な録音でもある。ソリストはキャスリーン・バトル(ソプラノ)、トルデリーゼ・シュミット(アルト)、エスタ・ヴィンベルイ(テノール)、フェルッチョ・フルラネット(バス)の4人である。もっともカラヤンはこれ以前にスタジオ録音で1975年にベルリン・フィル、ウィーン楽友協会合唱団ほかで同曲を録音していたがこのライヴ録音はカラヤン自身がヴァチカンの大聖堂で指揮をしたいという強い希望があり実現されたと言われている。写真は1986年に発売された国内盤LP(28MG0933)だが同時にCD盤でもリリースされている。
 レコード(CD)には当日の「ミサ」の模様(奉献文と教皇の説教を除く)が収録されている。カラヤン指揮による「戴冠ミサ曲」に挟まり歌われる「答唱詩編」「アレルヤ唱」等はドメニコ・バルトッチ指揮、システィナ礼拝堂合唱団、ボンファチョ・G・バロッフィオ指揮、教皇庁立教会音楽院聖歌隊によって歌われている。また最後に「拝領の歌」として歌われたモーツアルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプスニ長調K.618」はヘルムート・フロシャウアー指揮ウィーン楽友協会合唱団、ルドルフ・ショルツ(オルガン)によるものである。尚、このミサの模様はテレモンディアル制作の映像でも「ソニー・クラシカル」から発売された。