私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

パーヴォ・ベルグルンドを偲んで

2012-01-28 12:32:19 | 想い出の演奏会

 
 (日本フィル第230回定期公演プログラム/1971年12月10日ー東京文化会館)
 
 この25日にシベリウスの権威として知られたフィンランドの長老指揮者パーヴォ・ベルグルンド氏が82歳で亡くなった。過去にも彼については想い出を紹介したことがあったと思うが今回も彼を偲んで改めてふれてみたい。
 私が最初に彼の指揮で生の演奏に接したのはもう40年余り前に遡る1971年12月の「日本フィル定期演奏会」だった。彼の初来日は確か1965年、「シベリウス生誕100年記念」に来日し同フィルの定期を振った記憶があるのでこの時が2回目の来日だったと思う。写真上はその当時のプログラムである。演奏曲目はベートーヴェン「エグモント」序曲、チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」(Vn.藤川真弓)、シベリウス「交響曲第5番」であった。この演奏会の模様は何年か前にも「BSフジ」で「思い出の日本フィルコンサート」とう番組で取り上げられたことがあるのでご覧になった方もおられることと思う。私はやはり最後に演奏されたシベリウスが今でも強烈に印象に残っている。興奮のあまり演奏終了後に私の手持ちの万年筆でプログラムに彼の達筆なサインを入れてもらった。(写真)その後彼の指揮を生で聴く機会はなかなか無かったが1978年の「香港アート・フェスティバル」に彼が手兵「ボーンマス交響楽団」を率いて出演した際に幸運にもシベリウスのヴァイオリン協奏曲(Vn.イダ・ヘンデル)、プロコフィエフ「交響曲第5番」の演奏に触れることができた。(1978年1月25日香港/シティー・ホール)彼は左手でタクトをふることでも有名で彼のシベリウスの演奏は渋く地味ながらフィンランド人の気質が滲み出た奥底からズッシリと響かせる音づくりが魅力的だった。
 因みに彼は「ボーンマス響」(1970年代)、「ヘルシンキ・フィル」(1980年代)・「ヨーロッパ室内管」(1990年代)と3つの「シベリウス交響曲全集録音」を完成している。私が個人的に愛着がある全集はやはり最初の録音した「ボーマンス響」との演奏である。(写真下)

 (ベルグルンド/シベリウス交響曲全集ーボーンマス交響楽団/英EMIーSLS5129)



「恨・夢・憧れ」 - チョン・ミュンファ&ミュンフン 名曲アルバム

2012-01-26 15:54:30 | 室内楽曲

 写真はチョン・ミュンファ(チェロ)&ミュンフン(ピアノ)姉弟デュオによる名曲アルバムである。このCDアルバムには「恨・夢・憧れ」というタイトルがつけられ2010年に「韓国SONY MUSIC」からリリースされた。録音は1992年から2009年にかけて行われたものを集め編集されている。内容はフォーレ「夢のあとで」、ラフマニノフ「ヴォカリーズ」など慣れ親しんだ小品から韓国の作曲家Young Jo Leeの作品 - 「親愛なるお母さん、お姉さん」・「<Sungboolsa>の主題による変奏曲」・「<Jang-gu>(韓国民俗打楽器=鼓)とチェロのためのドドリ」と彼自身の編曲に韓国民謡「ハン五百年」など全14曲が収録されている。ミュンファのチェロとピアノの名手でもあるミュンフンとの美しいアンサンブルが魅力的なアルバムである。
(SONY MUSIC KOREA/S70426C)

 

「ウスクダラ」・「ムスターファ」のトルコ盤を求めて

2012-01-24 21:19:56 | その他
「悲しき60才(ムスターファ)」坂本 九、ダニー飯田とパラダイスキング/東芝レコード・オリジナル盤/1960年8月発売)
 
 15日から駆け足で今人気沸騰中の「トルコ・世界遺産」めぐりの旅を楽しんだ。この時期は雨期で寒い冬の「トルコ」だが幸い天気には比較的恵まれた。それと今回は筆者が小学生の頃から馴染みのある「坂本 九」の「東芝レコード」へのデビュー盤(注)写真上の「悲しき60才(ムスターファ)」と江利チエミが歌った「ウスクダラ」のトルコ盤のCDを求めることももう一つの目的だった。
 しかしそう簡単に問屋はおろさなかった。それでも何とか中央アナトリア地方のアクサライ(AKSARAY)という町のCDショップで「ムスターファ」と「ウスクダラ」が収録されている2枚のCDアルバムを探すことができた。(写真下)ところが残念なことに前者「ムスターファ」はCDタイトルのように「THE BEST OF GREEK MUSIC ORIENT」とあるように極端に編曲された「ギリシャ語盤」(ライヴ録音)しか今回は見つけることができなかった。この二つのCDレーベルはそれぞれイスタンブールの「OSM MUZIK」と「MegaMuzik」となっている。
 「ムスターファ」は聞くところによれば元はエジプトの学生歌だったようで口承されていたものをエジプト人のボブ・アザムという人が採譜したと云われている。これを後に「バークレイ・レコード」のオーナー、エディ・バークレイがフランス語の歌詞をつけヨーロッパでヒットさせた。因みに坂本 九の「悲しき60才」のジャケットはアザム・バークレイ作曲となっている。この日本語の訳詩は都知事も務めた青島幸男である。また後者の「ウスクダラ」は1950年代初頭にアメリカの黒人女性歌手アーサ・キット(Eartha Kitt)が流暢なトルコ語で歌いヒットさせた。付け加えて「江利チエミ」のトルコ語もこれを聴いたトルコ人が彼女の発音の上手さに驚き途中から日本語に変わったところで二度驚いたと云うエピソードがある。

 「ムスターファ」が収録されたアルバム
「ウスクダラ」が収録されたアルバム

(注)坂本 九のオリジナル・デビュー盤はビクター・レコード(VS-256)ー「題名のない唄だけど」(1959年)である。

 
 
 

ボロディン四重奏団 & リヒテルのシューマン/ピアノ五重奏曲

2012-01-13 16:59:45 | 室内楽曲

 スヴャトスラフ・リヒテルが亡くなり今年は早や15年を迎える。彼は1970年に初来日するまで「幻のピアニスト」などと云われた人だがその後度々来日を果たし名演を披露した。彼はお国の「ロシアもの」はもちろんのことベートーヴェンやシューベルト、シューマンなどドイツ・ロマン派の作品も大変得意なレパートリーとしていた。写真のCD、「ボロディン四重奏団」と共演したシューマンの室内楽作品の傑作「ピアノ五重奏曲変ホ長調作品44」は1994年6月フランスのナントに於けるコンサート・ライヴ録音で話題となった名盤である。(原盤:独テルデック)
 録音年月からして彼の最晩年のライヴ録音と推定される1枚であった。彼はこの「ボロディン四重奏団」とは古くから共演しておりロシア・メロディア盤には同曲の1985年12月のモスクワ、「プーシキン美術館」におけるライヴ録音もある。また写真のCDには「ボロディン四重奏団」のシューベルト「弦楽四重奏曲第14番ニ短調<死と乙女」(1995年10月・ベルリン、テルデック・スタジオ録音)が合わせて収められておりこちらも聴きものである。昨年「ワーナー・クラシックス・ネクスト・ベスト100」シリーズの廉価盤として再発売された。
 

 

グリンカ/歌劇「イワン・スサーニン」ーハイライト盤

2012-01-12 19:03:58 | オペラ

 今日は懐かしい10インチLPレコードからグリンカのオペラ代表作「イワン・スサーニン」を取り上げてみたいと思う。(写真)グリンカ(Mikhail Ivanovich Glinka/1804~1857)は「ロシア国民音楽の祖」と呼ばれている人である。しかし日本ではまだコンサートのアンコールなどでよく演奏される歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲が馴染み深いところだろうか・・・
 この「イワン・スサーニン」というオペラは先の「ルスランとリュドミラ」より前、1836年の作品で彼の「ロシア国民歌劇」として最初の成功作でもあった。題材は1612年「ロマノフ王朝」成立期の内乱に乗じて侵攻したポーランド軍を農夫スサーニンが巧みに欺き雪深い森の中に導いたが気づかれ殺されてしまう彼の英雄的物語である。1836年ペテルブルグ初演時は4幕とエピローグを持つ「イワン・スサーニン」のタイトルで上演されたが帝政賛美のために時の皇帝ニコライ1世が題名を「皇帝に捧げた命」と改題させた。因みに題名がオリジナルの「イワン・スサーニン」に戻ったのは1939年のことである。
 現在このオペラ全曲の国内盤はなく最近では英カプリッチョ(CAPRICCO)盤(イワン・マリノフ指揮ソフィア国立歌劇場盤)出たくらいである。写真のLPはワシリー・ネボルシン(1898~1958)指揮ボリショイ劇場管弦楽団・合唱団他によるハイライト盤でおそらく1950年前後の録音と思われる。(新世界レコード/PH-30)モノラル録音のため時代を感じさせるが各幕の一番の聴きどころを一つづつピックアップしてうまくまとめてある。終幕の合唱とモスクワのロシア正教会の鐘が高らかに鳴り響くところは圧巻である。

ベーム&ベルリン・フィル モーツアルト/交響曲第36番「リンツ」

2012-01-10 17:58:57 | 交響曲

 カール・ベーム&ベルリン・フィルのステレオ録音によるモーツアルトの「交響曲全集」(LPレコードBOX(15枚組)として「グラモフォン」から発売されたのは今から40年余り前の1970年のことである。レコーディングは1959年から足掛け10年にわたって行われている。これらのLP盤はもちろん分け売りもされた。またベームは晩年に後期交響曲を中心にウィーン・フィルと再録音を取り組んだが今回取り上げる「第36番<リンツ>」は録音されずステレオではこのベルリン・フィル盤(1966年録音)が唯一のものとなった。(注:但しウィーン・フィルとは1950年デッカ録音のモノラルが遺されている)
 このベルリンフィルとの「リンツ」はまさに洗練されえたベームの風格が充分にうかがえる1枚でレコード第1面の同1966年録音の「第39番」と共に堂々たるモーツアルトが聴ける。写真のLPは国内盤グラモフォン初出盤SLGM-1364である。


サヴァリッシュ/ウィーン響のハイドン「驚愕」・「軍隊」

2012-01-08 17:06:05 | 交響曲

 今日も懐かしのLPレコードから1枚。若き新進のウォルフガング・サヴァリッシュが「ウィーン交響楽団」の首席指揮者を務めていた時代の録音からハイドンの名曲、交響曲第94番「驚愕」・第100番「軍隊」を取り上げてみたい。この時代の彼のレコードについては以前にもブラームスの交響曲全集から「第2番」などを紹介したことがあるがこのハイドンの演奏も気品があり風格を感じさせる。写真のLPは国内盤「フィリップス」(SFL-7562)で発売は1963年頃だったと思う。ジャケット・デザインも気に入り当時誕生日のプレゼントに買ってもらった記憶がある。サヴァリッシュはこの時代にウィーン響とハイドンの交響曲は他に「第101番<時計>」も録音していた。録音も大変良好で今聴いても時代を感じさせない。彼の初来日(NHK交響曲楽団客演)が1964年だったからこの録音はそれ以前ということになる。
 


ポール・パレー&デトロイト響のシベリウス/交響曲第2番

2012-01-07 18:55:44 | 交響曲

 ポール・パレー(Paul Paray/1886~1979)のシベリウスというとちょっと異色な組み合わせを感じる方もおられるだろう。パレーはフランスのノルマンディ地方の港町ディエップ近郊の「ル・トレポール」の生まれで1952年に「デトロイト交響楽団」の音楽監督に迎えられるまではパリの「ラムルー管弦楽団」や「コロンヌ管弦楽団」等の首席指揮者を務め母国フランスを中心に活躍していた。彼の録音はこの「デトロイト響」時代に「米マーキュリー」に数多く遺されているがやはり代表盤はフランスものが目立つ。その観点からも写真のレコード「シベリウス/交響曲第2番」は異色の1枚であろう。事実、このLPは彼の唯一のシベリウス録音であった。(米Mercury)
 快速テンポで進めるパレーの指揮はスケール感もあり好感が持てる。1960年前後の録音と思われるが音質も良好である。CD化もされたが現在は廃盤のようだ。

シューリヒト/シュトゥットガルト放送響のシューマン「交響曲第3番」

2012-01-06 17:31:11 | 交響曲

 カール・シューリヒトのシューマン交響曲第3番変ホ長調作品97「ライン」のスタジオ録音正規盤は1953年「パリ音楽院管弦楽団(英デッカ・モノラル録音)」と「南ドイツ放送交響楽団(旧シュトゥットガルト放送響)」の1960年ステレオ録音がある。どちらも甲乙つげがたい名盤だが今回は後者のステレオ録音を取り上げてみたい。
 写真のLP盤は一昨年パリ、パンテオン界隈の「古書・中古レコード店」で求めた「仏コンサート・ホール盤」だが「コンサート・ホール盤」廃盤後、国内盤としては「デンオン」からリリースされていた。(スイス・ミュゼクスポート原盤)どちらも余白に「マンフレッド序曲」が収録されている。
 快速テンポで振るシューリヒトの演奏スタンスはどちらも基本的に大きな違いはないがこの「南ドイツ放送響」盤は幾分情緒的に聴こえる。きびきびとした無駄のないシューリヒトの指揮ぶりが十分に伝わる名演の1枚と云えるだろう。

ジェルヴァーズ・ド・ペイエ&アマデウスSQーモーツアルト「クラリネット五重奏曲」ほか

2012-01-05 14:55:12 | 室内楽曲

 写真はジェルヴァーズ・ド・ペイエのモーツアルト「クラリネット五重奏曲イ長調K.581」とカラヤン時代のベルリン・フィルのオーボエ首席奏者ローター・コッホの同じくモーツアルト「オーボエ四重奏曲ヘ長調K.370」のLPである。共演は「アマデウス弦楽四重奏団」である。(国内盤ドイツ・グラモフォン/MGー1045)録音はいずれも1975年12月にミュンヘンで行われている。どちらもその後カップリングを変えてCD化されているがオリジナルはこの組み合わせでる。
 ペイエは確か1960年代に同曲を「メロス四重奏団」とも録音していたと思うがこの「アマデウス四重奏団」との演奏も素晴らしい。彼のクラリネットの響きはたおやかで美しい。一方の名手コッホのオーボエもこの作品の魅力を余すところな巧みに聴かせている。