私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

フリッチャイ&南ドイツ放送響 スメタナ/「モルダウ」-リハーサル+本番

2012-12-06 11:53:32 | リハーサル・レコード

 写真は今や伝説の名指揮者、ハンガリー、ブダペスト出身のフェレンツ・フリッチャイ(Ferenc Fricsay/1914~1963)が南ドイツ放送交響楽団(現在、シュトゥットガルト放送交響楽団)とスメタナ/交響詩「モルダウ」のリハーサル風景と本番を収録したLPである。(独グラモフォン/LPEM 19 471 1960年リリース) これは1960年収録のモノラル録音だが当時の映像も幸い残されている。

 このリハーサル風景を聴くとフリッチャイが各楽器のパートを入念に持ち味の美声で歌いなが的確に指示していく様子がうかがえる。久しぶりに針をおろし48歳の若さで亡くなった鬼才フリッチャイが遺した貴重なプローベ録音であることを再認識した。彼は残念ながら連作交響詩「わが祖国」全曲録音は残さなかったがこの「モルダウ」については他にベルリン・フィルと1960年ステレオ録音、「ボヘミアの森と草原から」をモノラルで1953年に録音している。(いずれも独グラモフォン)


巨匠たちのリハーサルから(7)-トスカニーニ

2009-07-07 01:56:46 | リハーサル・レコード
 イタリアの巨匠アルトゥーロ・トスカニーニ(Arturo Toscanini/1867~1957)はレコード録音、放送録音等を通じ同世代の指揮者の中では最も注目された人かも知れない。特にNBC交響楽団との一連のスタジオ・レコディーングや放送ライヴ・レコーディング等は数多く遺され現在も聴くことが可能である。
 今日紹介する写真の17cmLPリハーサル・レコードは今から約25年位前に特典盤(非売品)として入手したNBC交響楽団とのリハーサル風景(1943年~1952年)のブラームス交響曲第2番をはじめとする断片を集めたものである。彼のリハーサルの取り組みの一面がうかがえる貴重なドキュメントだ。時には興奮して大きな声で怒鳴り散らすところなど彼の短気な性格が面白い。それだけ喜怒哀楽がハッキリした指揮者だったのであろう。
 この他の彼のリハーサル・レコードとしてはラスト・コンサートとなった1954年4月4日カーネギー・ホールでのワーグナー・プログラム(これはステレオ収録された)2LPに収められたコンサート前日のワーグナー楽劇「神々の黄昏」から「夜明けとジークフリートのラインへの旅」のリハーサル風景は唯一オリジナル・ステレオで彼のリハーサルが聴ける1枚である。

オーマンディのメッセージとインタビュー及び録音風景収録ソノ・シート

2009-07-06 01:01:43 | リハーサル・レコード
 昨日、音楽関係の書籍・資料等を整理中に「ユージン・オーマンディへのインタビューとレコーディング風景」を収録した1枚のソノ・シート(日本コロンビア制作/PD-157写真)が出てきた。針を下ろして何十年かぶりに再生してみると第1面に日本のファンに対する1967年5月の手兵フィラデルフィア管弦楽団との初来日公演のメッセージとインタービュー、第2面にリムスキー・コルサコフ歌劇「ラムーダ」から「貴族たちの行列」のレコーディング風景が収められていた。おそらく当時オーマンディの来日記念盤を購入した際の特典盤として入手したものと思われるがレコードではなくソノ・シートであることが時代を感じさせる。
 今にして思えば60年代はLPレコードの価格は高価だったので比較的安価なソノ・シートも幅をきかせていたことを思い出す。オーマンディのリハーサル風景やインタビュー等を収録したレコードは現在でもあまり聞かないので貴重な録音の一つであろう。ソノ・シートとは言え両面シートなので比較的音質は良好である。
 インタビューでちょっと私が興味深かったのは初来日公演で團 伊玖磨の交響曲第4番を演奏することが述べられているところだ。これは彼の交響曲作品で唯一4楽章形式をとり欧米的な雰囲気を持つ作品で来日直前の1967年4月27日オーマンディ自身の指揮同オーケストラで海外初演がなされている。またクルト・マズアもこの作品が気に入り1989年にゲヴァントハウスの定期公演のプログラムに取り上げていた。残念ながら私自身は彼の初来日公演には足を運ぶことができなかったが第2回(1972年)・第3回(1978年)の来日公演には会場の東京文化会館で黄金のフィラデルフィア・サウンドを満喫した。

 
 
 

巨匠たちのリハーサルから(6)カール・リヒターの「クリスマス・オラトリオ」

2009-07-03 01:22:31 | リハーサル・レコード
 宗教音楽の権威カール・リヒター(Karl Richter/1926~1981)が1965年にミュンヘン・バッハ管弦楽団・合唱団他と録音したJ.S.バッハの「クリスマス・オラトリオ」BWV.248は彼の名盤の一つに数えられている。その上このレコードの独唱陣が素晴らしい。ソプラノーグンドゥラ・ヤノヴィッツ、アルトークリスタ・ルートヴィヒ、テノールーフリッツ・ヴンダーリヒ、バスーフランツ・クラスと当時のそうそうたるメンバーである。またトランペットの名手モーリス・アンドレもこの録音に加わっているところも興味深い。このレコードはドイツ・グラモフォン(DG)の古楽専門レーベルーアルヒーフからリリースされた。そして幸運なことに非売品(特典盤)としてDGよりそのリハーサル風景を収録した30cmLPレコード(SMI2010/写真)も当時頒布されていた。その後CD化もされたようだが・・・
 今改めて思えばリヒターという大家を知る大変貴重なドキュメントでもあった。私は普段あまりバッハをはじめとする古楽を聴くほうではないがたまに針を下ろすとまた新鮮な気分にさせてくれる不思議な魅力を持つ音楽である。

巨匠たちのリハーサルから(5)~アンセルメ/ベルリオーズ幻想交響曲

2009-07-02 00:18:47 | リハーサル・レコード
 エルネスト・アンセルメ(Ernest Ansermet/1883~1969)/スイス・ロマンド管弦楽団の初来日公演(1968年6月)については「想い出の演奏会」として紹介したと思うが今日は彼が遺した貴重なリハーサル・レコードの1枚「幻想交響曲」(ベルリオーズ)を紹介したい。
 アンセルメが手兵スイス・ロマンド管弦楽団とこの作品をレコーディングしたのは彼の最晩年1967年、つまり彼のラスト・レコーディングになったニュー・フィルハーモニア管弦楽団とのストラヴィンスキー舞踊音楽「火の鳥」全曲録音(1968年)の前年のことだった。(この演奏、リハーサル録音についても以前のブログで紹介済み)写真のLPは「幻想」の日本初回プレス盤で「本番+30cmLPリハーサル録音付き/SLA1002」である。つまりリハーサル盤は初回プレスの特典盤だった。私が知る限りではその後このリハーサル録音は日本ではCDも含めて再リリースされたことはなかったと思われる。
 リハーサル盤は30cmLP両面に渡り第1楽章からフィナーレの第5楽章まで収録されており大変聴きごたえがあるものになっている。スイス・ロマンド管弦楽団はフランス語が話されているジュネーヴを拠点に置くオーケストラで当地出身のアンセルメも当然のことながらフランス語でリハーサル(Répétition)を行っている。良く聴きこんでいくと緻密できめ細かな指示が手にとるように伝わってくる。時には歌いながら指示するところなどは大変興味深い。またこの演奏では第5楽章に登場する鐘を実物の寺院の鐘(低音)を使用しているので日本の寺院の梵鐘に近い音を出しているところが異色的だ。グロテスクな感じを強調したと思われるが私個人的にはやはり通常使用される高音の鐘の方が教会の鐘らしくより効果的ではなかったかと感じている。





巨匠たちのリハーサルから(4)~ケンペ/ベートーヴェン交響曲第7番ほか 

2009-07-01 03:05:27 | リハーサル・レコード
 今日は「巨匠たちのリハーサル」シリーズ第4回目としてルドルフ・ケンペ(Rudolf Kempe/1910~1976)のリハーサル・レコード(独Orfeo D'Or/S0798321-2LP/写真)紹介したい。以前のブログ(2008/11月)で学生時代にロンドンまで追いかけ彼の演奏を聴いた思い出を書いたことがある。結果的に彼は来日を果たすことなく亡くなったので私にとっては彼のロイヤル・フィルとの生演奏を聴けたことは大変貴重な体験であった。その彼がドレスデン国立管弦楽団と貴重なリハーサル録音(1970/6-15)を遺している。
 この2LPセットは今から約25年前に初リリースされたものでドイツのレコード店で偶然見つけ入手した。この録音が行われた1970年は楽聖ベートーヴェンの生誕200年の年に当たりケンペも古巣ドレスデンに戻りシュターツ・カペレ(Staatskapelle Dresden)とベートーヴェン・プログラムを振った。(1970/6-18/19/ドレスデン・文化宮殿)演奏曲目は「エグモント」序曲作品84、ピアノ協奏曲第1番ハ長調作品15(ピアノ:ハンス・リヒター=ハーザー)、交響曲第7番イ長調作品92であった。残念ながらこの演奏会のライヴ録音は遺されていない(?)ようだが幸運にもその3日前(6/15)に行われたリハーサル模様(エグモント序曲と第7番)が偶然にも収録され十数年の歳月を経て初レコード化されたわけである。ただ惜しいことは第7番の第4楽章が抜けていることだ。その理由は何でも聴くところによるとこの録音自体が偶然ケンペ本人の許可なしに行われたこともあり第4楽章に入ったところでテープがなかったというエピソードがあるようだ。
 いずれにしても彼のリハーサル録音は珍しくおそらくこの録音以外正規盤では無いのではないか?ケンペ・ファンにとっては大変貴重なものには違いない。またこのレコードにはリハーサルのほかにケンペの放送インタービュー(1956/3-8/ニューヨーク/英語、1964/ミュンヘン、独語、1974/ミュンヘン、独語、1975/8/29/ロンドン、BBC/英語)も収録されておりこれがまた大変貴重な資料にもなる。

  

巨匠たちのリハーサルから(3)~モントゥー/ベートーヴェン交響曲第3番 

2009-06-30 08:56:18 | リハーサル・レコード
 私がピエール・モントゥー(Pierre Monteux/1875~1964)という名匠を知ったのは割りと早い時期だった。筆者が中学時代のころ日本ビクターから「ビクトローラ」というレーベルで当時としては30cmステレオLPレコードを1200円という廉価盤でリリースしていた。その中に彼がウィーン・フィルを振ったベルリオーズの「幻想交響曲」(SUP-2013)やベートーヴェンの「田園」(SUP-2028)などの名演が含まれていた。これらのレコードは現在でも大切に保存している。今日紹介する彼のベートーヴェン「エロイカ」の第2楽章アダージョ・アッサイー「葬送行進曲」の前半部のリハーサル風景が収録された17cmLPレコード(FLD-17-1/非売品/日フィリップス)を手にしたのはちょうどその頃だったと思う。
 彼は晩年の1962年~63年にかけて縁の深かったアムステルダム・コンセルトへボウ管弦楽団(彼は1924年から34年までこのオーケストラの第2指揮者を務めていた)とこの「エロイカ」(1962年)をはじめチャイコフスキーバレエ音楽「白鳥の湖」抜粋(1962年)、シューベルト交響曲第7(8)番ロ短調「未完成」(SFX7511)などの名演をこの楽団と録音している。
 さてこのリハーサル・レコードであるが彼はフランス人なので当然フランス語でリハーサルを進めていくがよく聴きこんでいくと彼は実に繊細な指示でこの楽章の音楽作りをしていることがうかがえる。たとえば冒頭のフレーズから音符の微妙なニュアンスまで歌いながら指示していくところが興味深い。また彼のリハーサル・レコードも少ないのでこの録音も大変貴重なドキュメントでもある。
 彼の「エロイカ」録音はもう一つウィーン・フィルとの1959年録音もあるが私個人的にはこのコンセルトヘボウとのちょっと渋い演奏が好きである。余談だがこのリハーサル模様は後に「本番+リハーサル」でレコード、CDにもなっている。



巨匠たちのリハーサルから(2)~カラヤン/ベートーヴェン交響曲第9番

2009-06-29 12:17:24 | リハーサル・レコード
 昨日に引き続き「巨匠たちのリハーサル」の第2回目はヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルによるベートーヴェン交響曲第9番ニ短調「合唱つき」作品125のリハーサル・レコード(30cmLP/ステレオ/写真)紹介したい。このLPはカラヤンが1961年から62年にかけて完成したドイツ・グラモフォン(DG)の第1回目のベートーヴェン交響曲全集の日本盤の特典レコード(非売品/SMI1012)として付されたものである。現在ではCD化もされているのでお持ちの皆様も多くおられると思う。しかし彼の正規盤としてのリハーサル・レコードはこの他にEMIからのモーツアルト交響曲第39番・40番・41番(1970/モーツアルト後期交響曲集特典盤)、ヴィヴァルディ「四季」(1972/DG17cmLP特典盤)くらいしか見当たらないので大変貴重なリハーサル記録であることは間違いない。
 久しぶりに針をおろしてみるとカラヤンのおなじみのちょっとハスキー気味の声が聞こえてくる。収録された楽章は第1楽章、第3楽章、第4楽章(声楽を除く)の一部分、時間にして約30分足らずだがそこにはやはり彼のモダンなベートーヴェン・スタイルを感じとることができる。トレモロで始まる第1楽章冒頭部分の念入りな音づくりを始めとしてレガート奏法を好んだ彼の音楽美学の理念が後に2回(1977年/83年)の全集盤にもつながっていることが理解できる。
 余談だがこのレコードの裏面(B面)には第4楽章部分の全曲が収録されている。
 

巨匠たちのリハーサルから(1)~ベーム/シューベルト交響曲「ザ・グレート」

2009-06-28 12:50:38 | リハーサル・レコード
 今日は巨匠カール・ベーム(1894~1981)が遺したシューベルトの交響曲第8番ハ長調「ザ・グレート」のリハーサル・レコード(17cmLP/写真)を紹介してみたい。このレコードでは当時(1963年)まだシューベルトの交響曲番号が統一されてなかったので第7(9)番の表記になっている。
 ベームは1963年からおよそ8年かけてベルリン・フィルと全曲録音を完成しているがこの「ザ・グレート」がその最初の録音(ベルリン・イエス・キリスト教会)にあたる。同時にリハーサル風景も収録されていた。このレコードはステレオで第1楽章のプローヴェの模様を聴くことができる。ベームのシューベルト交響曲へのコンセプトは一言でいえば「優美さ」にあると思う。この両面で約20分ほどの練習風景を聴いてもその彼のこの作品に対するスタンスは充分にうかがえる。たとえばアクセントや微妙な強弱のつけ方等々実に繊細で興味深い。また第ニ主題で現れるシューベルトが当時ウィーンの街で耳にしたと言われるラヴェンダー売り娘の歌声から生まれた美しい旋律も実に上品に聴こえる。
 尚、このレコードは非売品(DG KI3001)でその昔、特典盤として入手したものだが貴重な彼のリハーサル・ドキュメントとして大切に保存している。