最近、高度成長期の教訓を忘れている方が多いです。
山本七平氏が的確に指摘されたように、
日本が驚異的な高度成長を実現してゆく過程で
知識人は殆ど何の役割も果たしませんでした。
池田首相の「所得倍増計画」は冷笑もしくは懐疑の対象だったのです。
(知識人=評論家・メディアと置き換えることができる)
日本の経済力を高めたのは個々の企業の努力であり
個々の労働者の日々の営みでした。
これから始まる日本経済の低炭素革命(環境対策)も同じです。
評論家もメディアも日本企業の後塵を拝するでしょう。
彼らの方が企業よりも先見の明に欠けているからです。
動員力のある評論家や時事テーマは大衆の水準を超えることはできず、
従って常に見通しが曇り、集団心理で動くことになるのです。
今批判されている論や政策が後に常識となり、
今支持されている論や政策が後に嘲笑されるでしょう。
「温暖化ガス排出量の25%削減」も同様です。
温室ガス削減:企業の2割超「商機」 日生調査(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/science/news/20100304k0000m020083000c.html
”鳩山政権が20年までに温室効果ガスを90年比で25%削減する目標を掲げている
ことに対し、企業の3割近い27.7%が「(経営にとって)リスクの側面が強い」
と考える半面、「チャンス」と前向きに捉える企業も2割超に上ることが、日本生命
保険が3日発表したアンケートで分かった。環境規制が強化されればコスト上昇要因
になるが、省エネを商機ととらえる企業も増えているようだ。
調査は1月、全国の企業4026社を対象に実施。省エネ投資や排出枠の購入などを
迫られるため、27.7%はリスクと回答した。一方、21.9%は「チャンス」とみ
なし、大企業の約4割は「温暖化関連ビジネスを拡大する」と回答した。具体的な政
策が示されていないため、47.3%は「わからない」と答えた。
業種別に「温暖化関連ビジネスを拡大する」と回答した企業の割合を分析すると、省
エネ給湯器などの拡販を目指す「電気・ガス・水道」が52.8%とトップ。「建設
・設備」も45.4%あり、公共事業縮小の逆風の中、省エネに活路を見いだしてい
るようだ。【山本明彦】”
→ 将来需要のあるフロンティアに向けて事業を進めること、
それが企業活動の基本です。
この27.7%と21.9%は3年以内に逆転するでしょう。
政策要因による不透明性が拭い切れないので、
政府は巧みに企業へのインセンティブを設け、
産業転換と雇用創出の推進力としなければなりません。
排出量取引、総量規制方式が基本 温暖化対策法案(日本経済新聞)
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20100312ATFS1102R11032010.html
”政府は11日、地球温暖化対策基本法案の内容をまとめた。国内の温暖化ガス排出量
を2020年に1990年比25%削減、50年までに同80%減とする目標を明記。排出量
取引制度では、企業に総排出量の上限を課す「総量規制方式」を基本としつつ、使
用するエネルギー量あたりの排出量を削減する「原単位方式」も併記した。原子力
発電所の利用推進も盛り込んだ。12日に閣議決定し、今国会に提出する。
企業ごとに温暖化ガスの排出上限を決め、その過不足分を売買する排出量取引制度
の創設は、1年以内に成案を得る。例えば自動車メーカーを想定した場合、総量規
制方式は温暖化ガスの絶対量を減らす目標を設定する。原単位方式は例えば鉄1ト
ンやガソリン1キロリットルなど一定量の製品の生産に伴い排出される温暖化ガス
を減らす考え方をとる。生産量が増えて温暖化ガスの絶対量が増えても、生産効率
を高めたり設備の省エネ化を進めれば、企業レベルでは許容される。”
日本の排出量取引の議論は明らかにおかしい。
「誰がより損するか」という守銭奴のような主張が多い。
(1)、広大な森林や省エネ技術など日本の優位性を生かす制度設計が必要
(2)、可能な限り国内から排出量を買える制度設計が必要
(3)、日本の優れた環境技術を海外で収益化する仕組みが必要
(4)、排出権(量)取引市場の成長性と見通しはどうなっているのか
このような「ごく当たり前」の主張が出てこないのは理解できない。
日本においては議論の質の低さこそが問題なのだ。
▽ 多くの日本企業が既に低炭素革命に向け走り出している。
山本七平氏が的確に指摘されたように、
日本が驚異的な高度成長を実現してゆく過程で
知識人は殆ど何の役割も果たしませんでした。
池田首相の「所得倍増計画」は冷笑もしくは懐疑の対象だったのです。
(知識人=評論家・メディアと置き換えることができる)
日本の経済力を高めたのは個々の企業の努力であり
個々の労働者の日々の営みでした。
これから始まる日本経済の低炭素革命(環境対策)も同じです。
評論家もメディアも日本企業の後塵を拝するでしょう。
彼らの方が企業よりも先見の明に欠けているからです。
動員力のある評論家や時事テーマは大衆の水準を超えることはできず、
従って常に見通しが曇り、集団心理で動くことになるのです。
今批判されている論や政策が後に常識となり、
今支持されている論や政策が後に嘲笑されるでしょう。
「温暖化ガス排出量の25%削減」も同様です。
温室ガス削減:企業の2割超「商機」 日生調査(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/science/news/20100304k0000m020083000c.html
”鳩山政権が20年までに温室効果ガスを90年比で25%削減する目標を掲げている
ことに対し、企業の3割近い27.7%が「(経営にとって)リスクの側面が強い」
と考える半面、「チャンス」と前向きに捉える企業も2割超に上ることが、日本生命
保険が3日発表したアンケートで分かった。環境規制が強化されればコスト上昇要因
になるが、省エネを商機ととらえる企業も増えているようだ。
調査は1月、全国の企業4026社を対象に実施。省エネ投資や排出枠の購入などを
迫られるため、27.7%はリスクと回答した。一方、21.9%は「チャンス」とみ
なし、大企業の約4割は「温暖化関連ビジネスを拡大する」と回答した。具体的な政
策が示されていないため、47.3%は「わからない」と答えた。
業種別に「温暖化関連ビジネスを拡大する」と回答した企業の割合を分析すると、省
エネ給湯器などの拡販を目指す「電気・ガス・水道」が52.8%とトップ。「建設
・設備」も45.4%あり、公共事業縮小の逆風の中、省エネに活路を見いだしてい
るようだ。【山本明彦】”
→ 将来需要のあるフロンティアに向けて事業を進めること、
それが企業活動の基本です。
この27.7%と21.9%は3年以内に逆転するでしょう。
政策要因による不透明性が拭い切れないので、
政府は巧みに企業へのインセンティブを設け、
産業転換と雇用創出の推進力としなければなりません。
排出量取引、総量規制方式が基本 温暖化対策法案(日本経済新聞)
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20100312ATFS1102R11032010.html
”政府は11日、地球温暖化対策基本法案の内容をまとめた。国内の温暖化ガス排出量
を2020年に1990年比25%削減、50年までに同80%減とする目標を明記。排出量
取引制度では、企業に総排出量の上限を課す「総量規制方式」を基本としつつ、使
用するエネルギー量あたりの排出量を削減する「原単位方式」も併記した。原子力
発電所の利用推進も盛り込んだ。12日に閣議決定し、今国会に提出する。
企業ごとに温暖化ガスの排出上限を決め、その過不足分を売買する排出量取引制度
の創設は、1年以内に成案を得る。例えば自動車メーカーを想定した場合、総量規
制方式は温暖化ガスの絶対量を減らす目標を設定する。原単位方式は例えば鉄1ト
ンやガソリン1キロリットルなど一定量の製品の生産に伴い排出される温暖化ガス
を減らす考え方をとる。生産量が増えて温暖化ガスの絶対量が増えても、生産効率
を高めたり設備の省エネ化を進めれば、企業レベルでは許容される。”
日本の排出量取引の議論は明らかにおかしい。
「誰がより損するか」という守銭奴のような主張が多い。
(1)、広大な森林や省エネ技術など日本の優位性を生かす制度設計が必要
(2)、可能な限り国内から排出量を買える制度設計が必要
(3)、日本の優れた環境技術を海外で収益化する仕組みが必要
(4)、排出権(量)取引市場の成長性と見通しはどうなっているのか
このような「ごく当たり前」の主張が出てこないのは理解できない。
日本においては議論の質の低さこそが問題なのだ。
▽ 多くの日本企業が既に低炭素革命に向け走り出している。
『原油100ドル時代の成長戦略』(柴田明夫,朝日新聞出版) |