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米紙「日本は3度目の『失われた10年』を迎えようとしている」- 韓国「日本を反面教師にした」

2010-03-30 | いとすぎから見るこの社会-対アジア・世界
今の日本は、開国派と尊王攘夷派とに分かれていた幕末に近い。

開国派は世界情勢に精通し、日本の将来に強烈な危機感を持っている。
海外から貪欲に学ぼうとし、それが日本社会の力に転じると確信している。

尊王攘夷派は他所者への敵意に満ちて目を血走らせている。
世界情勢がどうであろうと自らのドグマを信奉し殉じようとする。

開国派が勝ったのが明治維新であり、
尊王攘夷派が勝ったのが日独伊三国同盟だった。

さて今後はどちらが勝つのだろう。

情動的で軽躁な尊王攘夷派がなぜ主導権を握ったのか
私は長らく不思議に思っていたが、最近理由が分かってきた。
大衆化した社会では感情論が力を得るのだ。
身を捨てて衆愚的な感情論を打破するリーダーが
今ほど日本に必要とされた時代はなかった。そう思う。


記者の目:隣国で感じた日本の衰退=玉置和宏(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20100318k0000m070140000c.html

”日本経済の衰退は日本の港の陥没と重ね合わせるのが至当だろう。国内総生産(GD
 P)は今年四十余年ぶりに3位に陥落しそうだ。68年にドイツ(当時西ドイツ)を
 抜いたのだが、今年中国にその座を譲るのは確実だ。いずれ韓国にも抜かれるだろう
 という豪州紙の論評を読んだ時その可能性は十分あると感じた。
 日本の港の衰微は15年前に始まった。世界コンテナ港湾10位以内だった神戸港は
 昨年は40位以下に劇的に陥落した事実が証明している。複式簿記の重要性を指摘し
 た文豪ゲーテが言うように言葉ではなく数字のみが真実を伝えるのだ。
 長い間国際経済を見てきた記者として言うなら、まずリアルな日本を直視することで
 ある。小泉改革をしのぐ「新構造改革」に取り組む覚悟がなければ、日本の再生とか
 国際競争力などという言葉を発することは俗論向けの自慰行為でしかないことが分か
 る。
 この国はバブル崩壊の後処理に没頭するあまりグローバル化に完全に乗り遅れた。正
 月の米経済紙は「日本は3度目の『失われた10年』を迎えようとしている」と論評
 し、独紙も日本経済の末期症状を反面教師として揶揄している。
 それなのに新政権は新自由主義の政治的なあら探しに夢中だ。それは過去の超長期政
 権へのアンチテーゼとしての役割しかなくいずれ理論的にはげ落ちる。実際に地球温
 暖化対策と高速道路無料化という理念と政策の矛盾は極致に達している。
 先日韓国の釜山港を取材してそれを痛切に感じた。前原誠司国土交通相のように日本
 にこれから国際ハブ港湾とか、ハブ空港と言うのはもはや時代錯誤の感すらする。そ
 れを言うのは20年も遅く、無駄な税金をばらまくことになりかねない。残念ながら
 これら国際公共財は韓国に十分整備されつつある。日本の国益はこれをどう活用して
 国際物流の一端を担うかにある。
 せめて10年前ならまだその説得力はあった。だが当時のハブ港造りは進まなかった。
 その理由はコストが高く国際的に競争力のない日本国内の海運(内航海運)と近代的
 とはいい難い港運業者の既得権を守ろうと、政治家と地方自治体が結んで改革に石を
 ぶつけ続けたからである。
 国家戦略として整備された釜山新港や光陽港で取材した韓国の港湾関係者は口々にこ
 う語ったものだ。「日本を反面教師にした。地方港へのばらまきを抑えて戦略的な重
 要港湾に国が直轄で投資してきた成果だ」
と。これは多分仁川空港にも当てはまるだ
 ろう。「選択と集中」を実行したのが韓国で、日本は「選挙と分配」という安易な道
 を選択したツケである。
 日本の港湾がアジアの三流にまで落ち込んだのは製造業の海外移転による経済の凋落
 にも一因があるとするのは言い逃れに過ぎない。ちょうど日航が経営破綻したのは地
 方空港のネットワーク維持のために経営負担を強いられたと言い募るのと同じだ。あ
 ってもその要素は何十分の一ではないか。もしそうなら競合する純粋に民間資本で苦
 闘してきた全日空はもっと先に経営破綻していなければ勘定が合わない。放漫経営に
 1兆円規模の公的資金を投入するのでは事実上2社体制の航空業界で公平な市場原理
 は働かない。ナショナル・フラッグ・キャリアーの救済という情緒的な理屈に日本の
 つぎはぎ資本主義が垣間見えてくる。
 子ども手当と高速道無料、高校授業料無料、農家所得補償で日本は再生するか。国民
 にマネーを移転して経済成長させようとするのは一輪車に「分配」という重い政策を
 載せるようなものだ。いずれ自ら転倒するにちがいない。
 ミッテラン社会党時代のフランスがこれに似ていた。80年代の世界的な民営化の潮
 流に背を向け、銀行の再国営化とばらまきを公約して選挙に勝った。だが子供の数は
 少し増えたが経済力は縮小し大国の地位は揺らいだ。
 もちろん経済規模だけで国の豊かさを見るという時代ではない。経済だけでなく、文
 化の繁栄、社会の安定、国民の安心、人権の尊重を総合的に測る時代だ。それを数字
 で示そうとしたのが「国家ブランド」という考え方である。ブランド力調査「アンホ
 ルト・GMI」(09年)によると、幸いまだ日本は欧米先進国に交じって5位まで
 のランクを死守している。隣国のアジアでは経済的な爆走を続ける中国は22位、韓
 国は31位だ。
 日本は過去の遺産で生きているが、もし経済改革にこれ以上ブレーキをかければG5
 から転がり落ちるのは確実だ。

 ノーベル賞経済学者ハイエク「隷属への道」の一節「地獄への道は善意で舗装されて
 いる」をもじって言う。
 「分配の一輪車で地獄への道に進むな。改革を伴った成長との二輪車で繁栄の道を駆
 け抜けよ」と。(本社特別顧問、NPO総合政策研究会理事長)”

全部に賛成ではないのですが、基本的な認識は全く同じです。
ただ私は北欧型の社会保障、積極的雇用政策のような
「攻めの分配」であれば寧ろ積極的に導入すべきだと考える。

森ビルの森社長もそうですが、国際的舞台で活躍する日本人が
斜陽の祖国を案じる気持ちはいやましに高まっている。





『ヒルズ 挑戦する都市』(森稔,朝日新聞出版)

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