今環境関連で最も売れている本が武田邦彦氏の「年収半減」説。
環境産業の市場規模予想や成長性すら調べずに
ただ自分の財布の減りを心配する内容で、本当に日本の「民度」が憂慮される。
日本社会に貢献するのは、このように意図的に極論で煽る本ではない。
地道に黙々と研究開発を行い、ソリューションに邁進する人々だ。
未来のために尽力する者のみがフロンティアを拓き得るのだから。
しかし出版物として売れるのは、
「損する」「騙される」等の軽佻浮薄な情動に訴える、
大衆の頭脳で理解できる単純なメッセージである。
▽ 森谷氏は環境関連産業が「50兆円規模に育つ」と予想されています。
全く対照的な2冊だが、真実は両者の中間にある。
デンマークやドイツ経済の実情を見る限り、
真実が後者の方に近いのは火を見るよりも明らかだ。
廃プラスチック+生ごみ=石炭なみ 静岡大が開発、3年後実用化目指す(毎日新聞)
http://mainichi.jp/life/ecology/news/20100304dde041040005000c.html
”生ごみと廃プラスチックから石炭並みの熱量がある燃料を製造する技術を静岡大工
学部の佐古猛教授(物質工学)らの研究グループが開発したと3日、発表した。コ
ンビニやスーパーから出されるプラスチック容器入りの食品廃棄物や農作物の非食
用部分などから「国産」の燃料を作り出すことができる。3年後の実用化を目指す。
【瀬上順敬】
200度・20気圧の亜臨界水と呼ばれる高温高圧の「水」の中で、生ごみと廃プ
ラスチックを約30分かき混ぜると、直径1~5ミリに分解されたプラスチックの
周りに生ごみからできた可燃性粒子が付着する。これが粉末燃料となり、添加物な
しで加圧するだけでペレット状に加工することができる。
石炭の熱量が1キロ当り6750キロカロリーに対し、この粉末燃料は同6250
~7000キロカロリーとほぼ同じ。硫黄酸化物は発生せず、窒素酸化物やダイオ
キシンなどの発生も一般のごみ焼却場の排出基準を大幅に下回る。生ごみ1トンと
廃プラスチック200キロから400キロの燃料を作ることができ、焼却灰は燃焼
前の数%と少なく、リンなどを含むため無機肥料として再利用できる可能性もある。
一部の自治体では、生ごみに接着剤や石灰を混ぜてペレット状にするRDF(ごみ
固形燃料)を製造するプラントが導入された。だが、RDFは熱量が低く重油など
の助燃剤が必要になる場合があるほか、焼却灰に石灰が残り処理費用がかかるなど
の問題があった。また、発酵によって発生したメタンガスが原因とみられる火災が
発生するなどのトラブルもあり、普及していない。今回の技術は、こうした問題を
いずれも回避できるという。”
→ 生ゴミから石炭代替燃料を生産するという、
驚くほどに革命的な技術です。
これまで指摘されていたRDFの欠点をほぼ解決しており、
採算性をクリアできれば爆発的に拡大するでしょう。
バイオコークスでエコな事業 植物性、CO2排出実質ゼロ(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100310/biz1003101251013-n1.htm
”■近大と森林組合タッグ 高槻に工場建設
二酸化炭素(CO2)排出量が実質ゼロで、石炭に代替できる植物性の固形燃料「バ
イオコークス」の事業化に、近畿大学と大阪府森林組合(大阪市)などが乗り出す。
平成22年度に大阪府高槻市に工場を建設、24年度から本格生産する予定だ。
エコ燃料の創出と放置林の解決という一石二鳥の効果が期待され、農林水産省も「世
界初の事業では。林業復権と国産資源の創出を同時にできる」と産学協同プロジェク
トに熱い視線を寄せている。
技術を開発した近畿大学理工学部の井田民男准教授(47)によると、バイオコーク
スは乾燥させた植物を細かく砕き、荷重や熱などを加え、鉄以上の硬度を持つまで圧
縮する。
石炭の燃焼時のCO2排出量は1キロ当たり約2キロ以上だが、バイオコークスは素
材の植物が光合成で吸収する量と燃焼時の排出量がほぼ同じ。実質排出量ゼロ(カー
ボンニュートラル)とされる。
近大と府森林組合、炉機メーカーなどは18年に技術提携し、燃焼能力のデータ収集
や材料の確保など事業化に向けた研究を進めてきた。実証実験では、石炭と20%を
入れ替えても必要な熱量が出ることが確認されたという。
国内には放置林を含め、利用可能な山林が800万トンあり、事業化が可能と判断し
た。22年度中に高槻市に工場を建設し、生産を開始。市場テストを経て、24年度
から年間2700トンの本格生産に乗り出す。当面は大阪府北部のスギやヒノキの間
伐材などを使う。
こうしたエコ燃料の製造技術への関心は高く、国内外の企業から問い合わせが殺到。
中国の企業からは数十億円での特許買い取りの打診もあったという。
井田准教授は「国産資源の創出、環境対策の両面に貢献できる技術。もっとデータを
重ねて、広く使えるようにしたい」。府森林組合三島支店(高槻市)の主査、武山一
夫さん(41)は「これをきっかけに山林の価値が向上すれば、放置林の解決の糸口
となる。林業の復活につなげたい」と意気込んでいる。”
もっと驚いたのはこの産経新聞の報道です。
こちらは日本各地に放置されている間伐材を資源化できる上に、
既に実証実験が成功しているのが大きい。
あと残る問題はやはり「コスト」ですね。
もし本当に政権与党が法人税を引き下げるなら、
バイオコークス関連のように将来性ある分野に戦略集中すべき。
政策効果は市場規模や売上高で検証すれば良いでしょう。
環境産業の市場規模予想や成長性すら調べずに
ただ自分の財布の減りを心配する内容で、本当に日本の「民度」が憂慮される。
日本社会に貢献するのは、このように意図的に極論で煽る本ではない。
地道に黙々と研究開発を行い、ソリューションに邁進する人々だ。
未来のために尽力する者のみがフロンティアを拓き得るのだから。
しかし出版物として売れるのは、
「損する」「騙される」等の軽佻浮薄な情動に訴える、
大衆の頭脳で理解できる単純なメッセージである。
『「CO2・25%削減」で日本人の年収は半減する』(武田邦彦,産経新聞出版) |
▽ 森谷氏は環境関連産業が「50兆円規模に育つ」と予想されています。
『温室効果ガス25%削減は実現できる!』(森谷正規,東洋経済新報社) |
全く対照的な2冊だが、真実は両者の中間にある。
デンマークやドイツ経済の実情を見る限り、
真実が後者の方に近いのは火を見るよりも明らかだ。
廃プラスチック+生ごみ=石炭なみ 静岡大が開発、3年後実用化目指す(毎日新聞)
http://mainichi.jp/life/ecology/news/20100304dde041040005000c.html
”生ごみと廃プラスチックから石炭並みの熱量がある燃料を製造する技術を静岡大工
学部の佐古猛教授(物質工学)らの研究グループが開発したと3日、発表した。コ
ンビニやスーパーから出されるプラスチック容器入りの食品廃棄物や農作物の非食
用部分などから「国産」の燃料を作り出すことができる。3年後の実用化を目指す。
【瀬上順敬】
200度・20気圧の亜臨界水と呼ばれる高温高圧の「水」の中で、生ごみと廃プ
ラスチックを約30分かき混ぜると、直径1~5ミリに分解されたプラスチックの
周りに生ごみからできた可燃性粒子が付着する。これが粉末燃料となり、添加物な
しで加圧するだけでペレット状に加工することができる。
石炭の熱量が1キロ当り6750キロカロリーに対し、この粉末燃料は同6250
~7000キロカロリーとほぼ同じ。硫黄酸化物は発生せず、窒素酸化物やダイオ
キシンなどの発生も一般のごみ焼却場の排出基準を大幅に下回る。生ごみ1トンと
廃プラスチック200キロから400キロの燃料を作ることができ、焼却灰は燃焼
前の数%と少なく、リンなどを含むため無機肥料として再利用できる可能性もある。
一部の自治体では、生ごみに接着剤や石灰を混ぜてペレット状にするRDF(ごみ
固形燃料)を製造するプラントが導入された。だが、RDFは熱量が低く重油など
の助燃剤が必要になる場合があるほか、焼却灰に石灰が残り処理費用がかかるなど
の問題があった。また、発酵によって発生したメタンガスが原因とみられる火災が
発生するなどのトラブルもあり、普及していない。今回の技術は、こうした問題を
いずれも回避できるという。”
→ 生ゴミから石炭代替燃料を生産するという、
驚くほどに革命的な技術です。
これまで指摘されていたRDFの欠点をほぼ解決しており、
採算性をクリアできれば爆発的に拡大するでしょう。
バイオコークスでエコな事業 植物性、CO2排出実質ゼロ(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100310/biz1003101251013-n1.htm
”■近大と森林組合タッグ 高槻に工場建設
二酸化炭素(CO2)排出量が実質ゼロで、石炭に代替できる植物性の固形燃料「バ
イオコークス」の事業化に、近畿大学と大阪府森林組合(大阪市)などが乗り出す。
平成22年度に大阪府高槻市に工場を建設、24年度から本格生産する予定だ。
エコ燃料の創出と放置林の解決という一石二鳥の効果が期待され、農林水産省も「世
界初の事業では。林業復権と国産資源の創出を同時にできる」と産学協同プロジェク
トに熱い視線を寄せている。
技術を開発した近畿大学理工学部の井田民男准教授(47)によると、バイオコーク
スは乾燥させた植物を細かく砕き、荷重や熱などを加え、鉄以上の硬度を持つまで圧
縮する。
石炭の燃焼時のCO2排出量は1キロ当たり約2キロ以上だが、バイオコークスは素
材の植物が光合成で吸収する量と燃焼時の排出量がほぼ同じ。実質排出量ゼロ(カー
ボンニュートラル)とされる。
近大と府森林組合、炉機メーカーなどは18年に技術提携し、燃焼能力のデータ収集
や材料の確保など事業化に向けた研究を進めてきた。実証実験では、石炭と20%を
入れ替えても必要な熱量が出ることが確認されたという。
国内には放置林を含め、利用可能な山林が800万トンあり、事業化が可能と判断し
た。22年度中に高槻市に工場を建設し、生産を開始。市場テストを経て、24年度
から年間2700トンの本格生産に乗り出す。当面は大阪府北部のスギやヒノキの間
伐材などを使う。
こうしたエコ燃料の製造技術への関心は高く、国内外の企業から問い合わせが殺到。
中国の企業からは数十億円での特許買い取りの打診もあったという。
井田准教授は「国産資源の創出、環境対策の両面に貢献できる技術。もっとデータを
重ねて、広く使えるようにしたい」。府森林組合三島支店(高槻市)の主査、武山一
夫さん(41)は「これをきっかけに山林の価値が向上すれば、放置林の解決の糸口
となる。林業の復活につなげたい」と意気込んでいる。”
もっと驚いたのはこの産経新聞の報道です。
こちらは日本各地に放置されている間伐材を資源化できる上に、
既に実証実験が成功しているのが大きい。
あと残る問題はやはり「コスト」ですね。
もし本当に政権与党が法人税を引き下げるなら、
バイオコークス関連のように将来性ある分野に戦略集中すべき。
政策効果は市場規模や売上高で検証すれば良いでしょう。