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社外取締役は保身的な官僚・銀行員OB、目立ちたがりの大学教授 -「ちゃんとした人」を雇わない日本企業

2014-08-12 | CSR(企業の社会的責任)関連
当ウェブログは近年、経済界の圧力団体に対し非常に厳しい意見を書いているが、
それはかつての小倉昌男氏のように真の公益性を理解した経営者が激減し、
政府にゴネて利益誘導を図る腐敗した保身経営者が増えたと痛感しているからだ。

つい最近、経営コンサルタントの中沢光昭氏が
日本企業の社外取締役の情けない実態を暴露しており、
「ちゃんとした人」を任命すると会社の恥部を暴かれるので
お飾りだけの「無害」な人物ばかり選ばれていると言う。

日航やらオリンパスやらゼンショーやらを見ていると容易に予想できる話だ。
当ウェブログの懸念がはっきりと裏付けられた形になったと言えよう。

社外取締役の導入促進を図る安倍内閣の自称「成長戦略」のあさはかさも明白である。
一部で指摘される「官僚OBの再就職の受け皿」というせこい取引でしかないのだろう。

…クリスティア・フリーランドは、以下の著書で
企業重視の立場は市場重視の立場と対立すると指摘している。
企業が自己利益の増大を図って政策を操り、市場を歪めるからである。
(これはまさに日本の税制やエネルギー分野で起きた事実である)

▽ シカゴ大学教授が明言している

『グローバル・スーパーリッチ: 超格差の時代』(クリスティア・フリーランド,早川書房)


以下が当ウェブログの一貫した主張である。

「当ウェブログは、自民党の自称「成長戦略」など成功したためしがないこと、
 特に減税は過剰貯蓄を誘引するだけで経済成長に結びつかないと指摘した」

「また、大企業の利益誘導にばかり熱心な圧力団体が
 「五重苦」「六重苦」と称して政府にゴネて利得を得ようと策動しており、
 それらは経済成長とは殆ど関係がないと主張してきた。
 (高度成長期には法人税は今より重く、原発は存在しなかった)」

「彼らが実際には主に市場の成長性で投資行動を決定していることは明白である。
 面と向かって国民を欺き、株主と経営陣の利益を優先しているのである。
 株主の利益を優先するのは理の当然であるが、あたかも日本のためであるかのように
 見え透いた宣伝と醜悪な自己洗脳は止めるべきである」

「帝国データバンクの直近の調査結果を見る限り、
 当ウェブログの見方が当たっていたと言わざるを得ない。
 法人減税によって生まれる余裕資金の使途の1位は「内部留保」だそうだ」

「このような内向き、草食系の企業に減税の恩典を与えるなどとんでもない。
 環境税や残業割増賃金を引き上げて自己革新を促し、
 海外からの直接投資を促して劣等経営陣を淘汰すべきである」

「日本の成長率向上を妨害する強力な要因の一つは、大企業の利益誘導行為である」

これらの指摘は、今後も事実によって証明されると確信している。

 ↓ 参考

法人減税分の資金の使い道、1位は「内部留保」- 次元の低い「成長戦略」は所詮この程度
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/b05cdada9cec55a50f2d43ab46a65b79

胡散臭い「法人税パラドックス」は矢張りプロパガンダだった - 法人減税で税収減少、という当然の結果
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/cbff5074943bfdffe0eba0920ab71728

「六重苦」は日本企業の醜悪な二枚舌 - 円安でも進む海外生産、内部留保は1年で6兆円も急増
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/9cf3dc1afa84673f7b3a99479d771008‎

▽ 法人減税で経済は活性化せず、賃金も消費も改善しないことは歴史が証明している

『税金の抜け穴 国民のほとんどが知らない納税で「得する話」「損する話」(大村大次郎,KADOKAWA/角川書店)


▽ 日本にはいかに税負担を軽くするかしか考えない我利我利亡者が大勢いる

『「新富裕層」が日本を滅ぼす』(武田知弘/森永卓郎,中央公論新社)


社外取締役、なぜ“ちゃんとした人”は選ばれない?“お飾り”人気、日本企業の悲しき実情(Business Journal)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140812-00010003-bjournal-bus
”筆者は企業再生の仕事を通じて、数多くの経営者やビジネスパーソンとの協働を続けてきました。企業再生というのは、会社にとっては別として、個人のレベルでは否応がなく取り組むという状況が多いです。そうした局面になると、社員個々人の隠していた本音が露呈していきます。そうした合理と非情理が入り混じるのが企業変革の現場です。
 最近、ビジネス系出版社の人に聞いたところ、同じ週刊誌でも景気動向や人口減少などマクロ経済系の特集号はあまり売れずに、スキル系だけでなく相続税対策やお受験系など個人に関する特集を組むとよく売れるそうです。「アベノミクスで好景気」という新聞報道が真実かどうかより、自分と家族を守る、幸せにすることに集中したいということなのでしょうか。
 一方でネットメディアの人によると、マクロ系の時流モノがよくクリックされるそうです。なかなか興味深い現象ですね。そこで今回は、マクロ系の経済関連テーマとして最近話題に上ることも多い社外取締役について考えていきたいと思います。

●人選に手間がかかる理由
 ご存知のように、海外投資家への対応、政策としての成長戦略の推進、企業の経営力そのものの向上などを目的として、上場企業の社外取締役採用が政府等によりあの手この手で促されています。実際に東京証券取引所が今年6月に発表した社外取締役の選任状況によると、社外取締役がいる東証1部上場企業は 1345社、全体に占める割合は74%でした。昨年8月時点から253社増え、導入企業の比率も約12%上昇して過去最高に達したようです。
 この動きを先読みして人材紹介・仲介各社は、通常の経営幹部や社員の紹介に加えて、社外取締役の紹介にも乗り出していました。
 数カ月前にたまたま、そうした企業の担当者に話を聞く機会がありました。まず、クライアント企業から社外取締役候補者を紹介するよう依頼を受けます。そこで要請内容に加えて相性などを推測しつつ、ニーズに応じて立派な候補者を順次紹介していきます。ところが紹介すれどもすれども、なかなか決定しないそうです。紹介企業としても採用が決まらないと報酬がもらえませんので、粘り強く紹介し続けても、まだ決まらない。業を煮やし「私たちのネットワークでは、もうほかにいません」という状況になってようやく、本当のオーダーが出てくるそうです。
「親和性を」「歩調を合わせていける」など聞こえの良い言葉を使うものの、要するに「“ちゃんとした人”だと困る」ということが大半だそうです。
歴史の長い上場企業ともなると、取締役会の椅子に座るまでには数々の難しい局面を30-40年と乗り越えてこなければなりません。ただしその“難しい”局面というのはカッコいいビジネスジャッジだけではなく、内向き論理の最たるもの、市場原理や世間から見れば間違った判断であったりくだらない内輪もめのようなものでも、当事者にとっては会社員人生がかかった重要な問題であるケースも多い。要するに、お互いにスネに傷を持っていることは認めつつ、それぞれの専門領域については尊重し合うようなメンバーで構成されています。それが正しい流れなのかどうかは、日本経済の流れが物語ってきたでしょう。
 是非はどうであれ、その取締役会に“ちゃんとした人”が入ってきて、組織内調整がすっかり済んだ方針について、「え? そんなの市場原理からすると、おかしい判断ですよ」と指摘されたところで、説明するのが面倒ですし、きちんと説明しようと思うと、自分たちがわかってはいるけどあからさまには認めたくない恥ずかしい部分を露呈させなければなりません。決して「問題の先送りになるけど、俺や部下たちが、今までの責任を取らなくて済むんだよ!」とは叫べないわけです。同席している担当外の取締役にしても、「確かにオカシイでしょう。やり直しましょう」と言ってしまうと、いつやり返されるかわかったものではないので、ヒヤヒヤしながら静観してしまいます。
 そんな事態を招いてしまわないよう、そうした胆力や嗅覚を持っていなさそうな人、でも対外的な説明がつくよう、表面的な経歴等は見栄えが良い人が社外取締役として理想的と考える上場企業は、多くあるようです。

●社外取締役として人気のプロフィール
 お飾り取締役として人気があるのが、まず官僚や銀行のOBです。彼らは文句なしで見栄えが良い一方で、ビジネスに深く入ってきません。これは知識や能力面で不足しているということではまったくありません。減点主義と上司絶対主義文化に順応して30-40年生きてきた人が多いので、条件反射として「自分の意見が間違っている可能性があることは、一言も発しない」「自分の人事権を持つ人間には一切逆らわない」といった癖がついています。仮に何か言っても、社長が「判断は私たちにお任せください」と一言言えば、以後ずっと黙ります。自分の意見が通らなくとも、本人たちも副収入と取締役という名前によって名誉欲が満たされる状態を維持するために、大人の対応をします。こうして双方の思惑が一致します。
 次いで、弁護士、会計士など士業です。分をわきまえてカネを稼いできていますので、専門領域については的確なコメントをすれど、他のことには一切口出ししません。顧問で雇うのと同じ感覚です。もともと顧問でいた、勝手知ったる間柄である先生に座っていただくこともあります。
 そして、大学教授。会社経営が完璧な理論に基づいた戦略を実行しているかのような印象を抱かれ、見栄えが良いです。ただ、当該ビジネスのことを深く知らなくても積極的に何か意見を出そうとするような煩わしさがあります。しかし会社から見れば“替え”はたくさんいます。気に入らなければ任期満了で退任してもらい、次を探します。学識者としてのハクつけのためにタダでもやりたいという人はたくさんいますのですぐに見つかります。
 最近はそれに加えて、「女性か外国人なら最高に良い」ということもあるようです。政府からは女性登用のプレッシャーが出ていますが、古い会社ほど旧態依然とした男尊女卑のカルチャーが脈々と残っていますので、現場に中途採用で女性ミドルを採用したりすることを望んでいません。組織の下から女性を押し上げるなど、男性社員から起こる不協和音が面倒です。そもそも、だいたいにおいて日本の大企業で経営に携わる立場にいる年配の人は、働く女性が苦手です。しかし、国の意向に応えているように見えなければなりません。そこで、社外取締役として女性に座っていただけることが一石二鳥だと映るようです。外国人も同様です。しかし当然、そうした場面に推薦されるに至る女性や外国人は“ちゃんとした人”が多いので、なかなか決まりません。
 すると今度は、誰も文句を言えない立派な人、イコール多忙な人を選任すれば、他が忙しくて自分の会社への意識割合、関与は少なくなり、結果として名前だけ残って取締役会ではただ座っているだけ(なんなら座ってすぐに次の予定のために退出したっていい)という発想に切り替わってきたりもします。
たまにたくさんの立派な会社の社外取締役をいくつも兼務する方がいらっしゃいますが、それは本人の意思とはまた別に、そうした力学も作用してしまっていることの表れではないでしょうか。頭の良い人たちが少し頭をひねれば、制度を骨抜きにして運用するのはたやすいことです。

●社外取締役の成否は、日本経済の将来を占う?
 筆者は経営コンサルタントとして雇われる立場と、コンサルタントを使う立場と双方を経験していますが、コンサルタントを活かすも殺すもクライアント次第だと思っています。無責任かもしれませんが、まずクライアントの会社や社員に、課題を解決したいという動機と意思がないと、絶対に物事は動きませんし、変えられません
〔中略〕
 社外取締役も、ほぼ同じことです。その点、上場会社でもマザーズのベンチャー企業などで純粋に自分たちの議論の活性化やその知見を活かしたいと思って社外取締役を登用している企業などは、非常にうまくその枠組みを活用しているケースもたくさんあります。
 外部環境の悪化は業績不振のきっかけとはなれど、不振が継続する要因になることはあまりありません。その要因は、ほぼ間違いなく内部要因にあります。そして内部要因の中で最大の要因は、人間の感情にあります。経営幹部も人間ですので、みっともない思いはしたくありません。会社のためであっても自分が割を食うのであればやりたくないと、つい思ってしまいます。そうした感情と向き合って乗り越えて全体最適の合理的な判断ができる立派な経営幹部がいるのが、立派な会社です。
 人間は本来的に変わることが億劫であり、大変なことです。年を取ってくるとさらに、今までの自分を否定される気分になってしまうため、腰が重かったり、変えることを促す人間や状況に対して嫌悪感を抱いたりしがちです。
〔中略〕
 今は一服しているかのように見える日本経済の「失われた20年」ですが、それが30年になるのかどうか。日本経済の中心を担う上場大企業が社外取締役を利用して、どう活性化していくのか、それともただのお飾りとなって当事者だけ満足したかたちで終わるのかが、1つの象徴になると思います。
中沢光昭/経営コンサルタント”

この記事は本当に素晴らしく、
執筆者は腐った企業の内部事情を知悉して書いており、是非隅々まで熟読されたい。
洗脳されている人物以外はこの鋭さが分かる筈だ。

「失われた20年」に日本企業の責任がない訳はなく、
大企業の経営陣の保身と老化も確実に経済停滞の原因となっている。
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