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法人減税分の資金の使い道、1位は「内部留保」- 次元の低い「成長戦略」は所詮この程度

2014-07-14 | いとすぎから見るこの社会-全般
当ウェブログは、自民党の自称「成長戦略」など成功したためしがないこと、
特に減税は過剰貯蓄を誘引するだけで経済成長に結びつかないと指摘した。

また、大企業の利益誘導にばかり熱心な圧力団体が
「五重苦」「六重苦」と称して政府にゴネて利得を得ようと策動しており、
それらは経済成長とは殆ど関係がないと主張してきた。
(高度成長期には法人税は今より重く、原発は存在しなかった)

彼らが実際には主に市場の成長性で投資行動を決定していることは明白である。
面と向かって国民を欺き、株主と経営陣の利益を優先しているのである。
株主の利益を優先するのは理の当然であるが、あたかも日本のためであるかのように
見え透いた宣伝と醜悪な自己洗脳は止めるべきである。

帝国データバンクの直近の調査結果を見る限り、
当ウェブログの見方が当たっていたと言わざるを得ない。
法人減税によって生まれる余裕資金の使途の1位は「内部留保」だそうだ。

このような内向き、草食系の企業に減税の恩典を与えるなどとんでもない。
環境税や残業割増賃金を引き上げて自己革新を促し、
海外からの直接投資を促して劣等経営陣を淘汰すべきである。

▽ 法人減税・所得減税によって成長率は改善せず、増えたのは金融資産だけ

『「新富裕層」が日本を滅ぼす』(武田知弘/森永卓郎,中央公論新社)


▽「日本では法人税パラドックスは観察されていない」と大竹文雄教授が明言している

『週刊東洋経済』2014年 4/5号


当ウェブログの主張は以前より一貫している。

「日本企業の収益は向上してもその恩恵は一部の株主や企業に集中し、
 国民全体は豊かにならない。企業収益と賃金統計を比較すれば明白である。
 恩恵を受ける人々は公益と私益を混同し、自己の特権を当然視して同胞を蔑視している。
 成長政策と偽称して実際には自らへの利益誘導を公然と行っている」

「彼らの立場を考えれば、国政に圧力をかけて企業収益を伸ばそうとするのは当然だ。
 しかしそれは日本経済の成長とは別問題であるし、経済成長を妨害する可能性もある。
 (事実、長時間労働ではなく就業支援も育児支援も手厚い北欧の方が日本より豊かである)」

「財界は公益を騙って利益誘導を行うことを自覚し恥じるべきである。
 有権者は彼らの嘘を見抜かなければならない」

「我が国は香港のような、富裕層と貧困層との間が隔絶された
 「植民地的」な社会へとゆっくりと変貌させられつつあるのである。
 (低所得層を安くこき使えるのでカネを持っていれば快適な社会である)」

「「日本経済が健全に成長するためには、日本企業に依存すべきではない」
 「日本企業を甘やかすと、日本経済がスポイルされる」
 これが日本経済の「ニューノーマル」である」

日本の成長率向上を妨害する強力な要因の一つは、大企業の利益誘導行為である。

 ↓ 参考

円安でも海外生産は過去最高、日商の三村会頭は配偶者控除廃止に反対 -「経済成長を蝕む」日本の大企業
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/60e2a0b17fb4f7482a2e98961439e2b7

胡散臭い「法人税パラドックス」は矢張りプロパガンダだった - 法人減税で税収減少、という当然の結果
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/cbff5074943bfdffe0eba0920ab71728

「六重苦」は日本企業の醜悪な二枚舌 - 円安でも進む海外生産、内部留保は1年で6兆円も急増
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/9cf3dc1afa84673f7b3a99479d771008‎

▽ 経済成長のためと騙って自己利益増大を図るのは、米・英・中・露・印の経済エリート全てに共通する

『グローバル・スーパーリッチ: 超格差の時代』(クリスティア・フリーランド,早川書房)


企業の法人減税の使い道、設備投資は15%どまり 帝国データ調査(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL140ML_U4A710C1000000/
”帝国データバンクは14日、法人減税に対する企業の意識調査を発表した。政府の成長戦略で盛られた法人課税の実効税率が20%台まで引き下げられた際の減税分について、最も可能性が高い使い道を聞いたところ、「設備投資の増強」との答えは14.9%にとどまった。このほか、「社員に還元」は 17.3%、「人員の増強」は14.0%、「研究開発投資の拡大」は5.1%となり、一定程度が前向きなお金の使い方を考えている。
 一方で「内部留保」が20.5%と最も高く、「借入金の返済」も16.3%に上った。
 調査は6月17~30日に実施。1万571社から有効回答を得た。「設備投資の増強」と回答した企業1566社では平均で4353万円の設備投資が見込まれ、帝国データは「企業の設備投資は総額で6.2兆円増加する」と試算している。〔日経QUICKニュース(NQN)〕”

このように内向き・リスク回避志向の企業に減税しても効果など出ない。
至極当然の結論である。課税や負担増で思い切り彼らの尻を叩いて
省エネ・育児関連・女性就労関連といった成長市場へ向かわせなければならない。


安倍政権の法人税減税「意味ないどころか逆効果も」と大前氏(SAPIO)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140630-00000007-pseven-soci
”「税は国家なり」という言葉がある。税制を議論することは、国の未来の姿を考えることにほかならない。しかし、この国の為政者たちは日本の未来を何も考えていないようだ。大前研一氏は、新成長戦略で本格的に打ち出されるとみられる「法人税減税」は全く成長につながらないと指摘する。
 * * *
 安倍政権は6月に成長戦略を改定する。その”目玉”として注目を集めたのが「法人税減税」だ。
 日本の法人税の実効税率は国税と地方税を合わせて35.64%(東京都の場合)。政府の経済財政諮問会議は5月15日、伊藤元重・東京大学大学院教授ら民間議員4人が「将来的には25%を目指しつつ、当面、数年以内に20%台への引き下げを目指すべきだ」と提言し、それを受けて安倍首相は6月に取りまとめる経済財政運営の基本指針「骨太の方針」で法人税減税を具体化するよう指示した。
 政府は、法人税を安くすれば海外企業が日本に集まり、経済が活性化すると主張しており、新聞もそうした論調で報じている。
 しかし、「法人税減税」は意味がないどころか、逆効果になる可能性さえある。
 そもそも法人税率が高くても成長している国はあるし、低いのに成長していない国もある。今や法人税率は、企業がどこに拠点を置くかという意思決定には、あまり関係していないのである。

 なぜなら、すでに海外の企業はグローバルな節税の仕掛けを持っているからだ。
 たとえば、法人実効税率が40.75%と日本より高いアメリカのアップル、グーグル、アマゾン、フェイスブックといったIT企業は「ダブル・アイリッシュ、ダッチ・サンドウィッチ」などと呼ばれる合法的な節税スキームを使っている。
 詳細は省略するが、法人税率が12.5%と低いアイルランドに2つの法人(子会社)を設立(ダブル・アイリッシュ)し、さらにオランダ法人を間に挟んで(ダッチ・サンドウィッチ)特許や商標権などの無形資産についてライセンス契約とそれに対する支払いをやりとりする方法で、これにより実効税率は数%から10%前後になる。

 新興のIT企業ではスタンダードな方法で、前述の企業以外にも多くの会社がこのスキームを採用している。
〔中略〕
 では、彼らはおとなしく40%の税金を払っているかといえば、そうではない。それぞれが事業形態に合わせて「世界最適課税プログラム」を構築して実効税率を下げているのだ。
 これは各国の税制と通貨の条件などを連動させ、部品や資材がどういう形で国境をまたいで移動するかといった情報を入力すると、世界トータルの法人税支払いが最小になるシステムを自動的にはじき出すプログラムである。
 グローバル企業ではそうした税負担を軽くする仕掛けがすでに確立している以上、たとえ日本が法人税率を25%に下げても、外国企業がわざわざ日本にやって来るインセンティブにはならないだろう。25%はヨーロッパの平均でしかないし、アジアでは香港が16.5%、シンガポールと台湾は17%である。つまり、アイルランド並みの12.5%くらいに下げなければ、世界から企業を呼び込むことはできないのだ。
 安倍政権が香港やシンガポールと勝負できるレベルの法人税減税を検討しているなら理解できなくもないが、いま議論されている「20%台後半」では全く話にならない。”

そもそも香港やシンガポールといったダーティーマネーでも平気で受け入れる
薄汚れた守秘法域との租税競争に勝てる筈がない。

グローバル企業には期間限定の大幅減税を行って日本市場参入を促すのも良かろうが、
より根本的には出生率と女性就労率を引き上げ、経済規模を維持し
労働投入の増加による着実な成長を実現すべきである。
そうすれば外国企業も見過ごせず無理してでも日本に投資を増やす。
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