英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

第63期王座戦 第5局 その2「△1五香で飛車が詰んでしまうが」

2015-10-29 11:52:37 | 将棋

 第5図の△2五歩に、▲3五桂や▲4四桂を利かすかどうかは別にして、1六に飛車が逃げるのは△1五香で飛車が死んでしまうので、飛車を2九に引くのを掘り下げる。しかし、今後の飛車の活躍が見込めなく、どうも良くないようだ(「その1」参照)。
 そこで、▲1六飛はどうかと読みを入れてみる……というのが、私の思考過程。

 もちろん、強い人は「△1五香と持駒の香車を使って、更にもう1手掛けて(都合2手)僻地にいる飛車を取るのは“イモ筋”」と考え、最初から▲1六飛の可能性を追求するであろう。実際、中継の棋譜解説や感想戦でも△1五香については、一切触れられなかった。

 さて、先手としては
①飛車を取らせる間に攻め込む▲3五桂を、まず考えたい。
 放置すると▲4三角成が厳しいので、後手も△4二金はやむを得ない受け。
(Stanleyさんの永瀬六段解説情報によると、△6一玉と早逃げしておいて、先手の攻めを置き去りにする指し方が示されたようです。以下▲2三歩成△1六香▲2二と△9九飛▲7九金が想定され、こう進めば先手玉が固いらしい。“先手良し”の意味?)

 3五の桂によって2三に利きが増えたので▲2三歩成を実行。

 ここで、後手の応手がいろいろ考えられる。
1.初志貫徹の△1六香
2.飛車を成り返り先手の攻めを牽制する△8九飛成▲7九金△8四龍
3.飛車を引いて先手の攻めを牽制する△8四飛
4.一旦△2三同金▲同桂成と清算して先手の攻めを右方向からに限定する


 3の△8四飛は2に比べて損のように思えるが、先手の金を7八に置いておく方が寄せやすい意味もあるし、反撃に出る場合△8九飛成が先手になる利点もある。半面、▲8五歩と押さえられた場合は生飛車なのではっきり損である。
 各変化、いずれも難解で、私の棋力も気力も足りない。


②素直に▲1五同飛と取り△同銀に▲2三歩成と攻める順もありそうだ。

 この順は、△2六香の時の▲1四飛△同歩▲2三歩成と成りこむ筋と比べて、手駒が銀でなく香なので損なようだが、これはこれでけっこう難しい。
 また、後手の対応として、▲1五同飛の時に飛車を取らず△8四飛と引く手もある。ここから▲1四飛(▲3五歩もある)△3四飛(△1四同歩もある)など、変化が多岐にわたり、私の棋力では訳が分からない。
 △1五香はイモ筋で最善手ではないと思われるが、「ない手」とは言えないようだ。

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4 コメント

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王座戦第五局は難解な将棋でした。 (Stanley)
2015-11-03 06:01:13
英さん、こんにちは。

その2の記事を読んで、コメントを保留していました。改めて、ニコ生のタイムシフトをチェックしたら、なんと2日で期限切れで再視聴不可。

英さんの書かれた△1五香の筋は、先手としては有難いという永瀬さんの解説でした。香車は遠くから打つものだから、という説明でした。△1五香に対する変化手順の解説もあったと思うのですが、前回にコメントした以外の手順はすっかり忘れてしまいました。本局は大変難解な将棋だったようです。

佐藤天彦八段のツイッターにも、「57手目▲35歩の局面は難解で一番悩んだところ。△36歩、△26角を含めいろいろ考えたのですが、指しにくいところもあり、どれも成算が持てませんでした。 」とか、「ただ、本譜の△26香は危険で、悩んだ末に一番良くない順を選んでしまった気がします。そこからは攻め続けられ、最後は差が開いてしまいました。」とか書かれていましたね。いずれにしても、△2六香が疑問手で、そこから以降は羽生王座の反撃が素晴らしく、見事に寄せ切ったということでしょうか。△2六角としていれば、△3五角と歩を取れて、角をいじめることができたのですが、佐藤さん残念でした。逆に言えば、△2六角としなかったので、羽生さんが勝利できたのかもしれません。

竜王戦は、1勝1敗になり挑戦者が少し有利になったかな?








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記事が遅れて、申し訳ありません ()
2015-11-03 17:55:57
Stanleyさん、こんばんは。

 ここ数日、個人的イベントやスポーツ中継観戦で、記事を進めることができませんでした。もう少し、お待ちください。
 △1五香の是非については、記事でも書きましたが、本筋の手(ではないけれど、難しいところが多々あるようです。

 △2六香の局面については、「その4」で書くつもりです(その3ではありません)
 あと、私見ですが、その直後の△3二金が形勢の傾きに拍車をかけたように思います。
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攻めあうか差し切らせるか (岡本哲)
2015-11-04 01:04:49
アマチュアですとイモ攻めはザル受けにまさるので攻めているほうが勝ちやすいので攻めあいか差し切らせるかまよえば攻めあうほうがいいとされています。プロでも強くなると差し切りのほうがラクというひともでてきます。中終盤のよみに自信がある場合よみきる範囲が攻めあいより狭くなるからだそうです。この時間もないし初挑戦の佐藤天彦八段は受け切りのB面攻撃は選択しにくかったかもしれません。大山中原の45年前の横歩どりで大山の自玉を安全にしてから勝つものをみつけました。
http://shogimatome825.blog.fc2.com/blog-entry-292.html
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私の場合は ()
2015-11-04 16:10:12
岡本さん、こんにちは。

 私は受けも好きなので、受け切れそうと思ったら、受けます。

>時間もないし初挑戦の佐藤天彦八段は受け切りのB面攻撃は選択しにくかったかもしれません

 確かに、実戦では△2六角は指しにくいです(飛車角交換の権利が先手に生じる)。

 大山先生の横歩取りは貴重ですね。振り飛車の達人でしたが、もともと居飛車党でしたし、横歩取りを真剣に指したら、恐ろしく強いような気がします。
 この一局は、大山名人らしい強靭な受けが随所に見られますね。
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