英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

「Y攻撃」(中田七段作詰将棋)の解答

2014-02-17 23:10:48 | 詰将棋
「Y攻撃 ……中田七段作詰将棋 『将棋世界』2013年7月号」の解答です。



 5手詰めですが、なかなか難しい問題だと思います。私は15分ぐらい考えた記憶があります。

初図から思うこと
①3七→4八への玉の逃走路が見える
②初図では、その逃走を3四の飛車が防いでいる
③▲3五角と打って3七に玉を逃がしても、3四の飛車と3五の角とのコンビネーションによる開き王手や両王手があるので、何とかなるかもしれない

 そういう思考(①~③)が働くと、初手は非常に浮かびにくくなります。
 初手は…………………………

          …………………………………………大事に見える飛車を捨てる▲3六飛でした


 これには△3六同銀の一手ですが、ここでの次の手も浮かびにくいと思います。




 この図になれば、思いつきやすいと思いますが、次の手は▲3五角。



 2四の馬と3五の角は、2枚の利き筋が重複している感覚があり、しかも、玉を3七に逃がしてしまう手です。
≪「要の攻め駒は飛車」という先入観の逆を行く初手の飛車捨て≫ 
             +
≪利き筋の重複感があり、玉を逃がす不利感がある角打ち≫
の組み合わせが、初図では非常に見えにくいのです。


 この▲3五角を打てば△3七玉に▲1五馬で詰みです。
             詰手順:▲3六飛△同銀▲3五角△3七玉▲1五馬まで5手詰




 ちなみに、図の3五の角と1五の馬が3七の玉を攻撃している様(位置関係と馬の利き)が、ローマ字の「y」に似ているので「Y攻撃」と名付けました。(字面がいいので大文字にしました)


 初図に戻って
 飛車を捨てずに▲3五角(参考図1)と打った方がいいように思います。(実際は▲5三角と打った方が合駒を稼げるし、馬にも昇格するので得なのですが、▲3五角の方が説明しやすいので)


 参考図1は、初図の先入観③「▲3五角と打って3七に玉を逃がしても、3四の飛車と3五の角とのコンビネーションによる開き王手や両王手があるので、何とかなるかもしれない」と初手で▲3六飛と捨てた後の▲3五角(途中図2)より得のような気がします。
 しかし、初手▲3五角(参考図1)に実際に△3七玉と逃げられて見ると

詰みません。

 ≪この初手▲3五角を先に考え、参考図では詰まない≫と理解すると、正解手順への道は霧に閉ざされてしまうのです。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『軍師官兵衛』 第7話「決... | トップ | 『福家警部補の挨拶』 第6... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
 (九鬼)
2014-02-18 01:29:10
英さん、こんばんは。仕事は英さんのせいじゃないです。責任を押し付けたみたいで、ごめんなさい。

正解から逆算すると、3七の歩は、3七から4八への逃走路を塞いでいたというより、むしろ3六の地点を潰していたんですね。飛車捨てで、3六に銀を呼び込んでおいて、逃走路は角と馬の効きで塞ぐ。本当に良くできた問題ですね。

今後も、(難しすぎなければ)チャレンジしますね。
返信する
3七の歩の意味 ()
2014-02-18 15:40:48
九鬼さん、こんにちは。

 確かに、3七の歩は▲3六飛を成立させるための歩で、玉の逃走に関しては何の意味もなく、取られるだけの駒です。
 詰将棋は通常、配置される駒には存在意義があります(作者によっては、形を整えるために「飾り駒」を配置する人もいます)。
 なので、「歩の存在意義を考えると、▲3六飛という手段が浮かび上がる」という解法も成り立ちます。

 まあ、そんな理屈はさておき、解く者の死角を突いた巧作だと思います。

 この「7月号」特集?は、まだ続きますので、お付き合いください。
返信する

コメントを投稿

詰将棋」カテゴリの最新記事