「Y攻撃 ……中田七段作詰将棋 『将棋世界』2013年7月号」の解答です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/37/67/b734301635cbbd8585ec6303819e1c28.jpg)
5手詰めですが、なかなか難しい問題だと思います。私は15分ぐらい考えた記憶があります。
初図から思うこと
①3七→4八への玉の逃走路が見える
②初図では、その逃走を3四の飛車が防いでいる
③▲3五角と打って3七に玉を逃がしても、3四の飛車と3五の角とのコンビネーションによる開き王手や両王手があるので、何とかなるかもしれない
そういう思考(①~③)が働くと、初手は非常に浮かびにくくなります。
初手は…………………………
…………………………………………大事に見える飛車を捨てる▲3六飛でした
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/ef/85655c5c8a30cfe1903140bd1c52ae16.jpg)
これには△3六同銀の一手ですが、ここでの次の手も浮かびにくいと思います。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/55/ecc180f7a7ad87f55d4d8bfae8e58837.jpg)
この図になれば、思いつきやすいと思いますが、次の手は▲3五角。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/30/f9210bba2975f117a02dc458cbc29fb1.jpg)
2四の馬と3五の角は、2枚の利き筋が重複している感覚があり、しかも、玉を3七に逃がしてしまう手です。
≪「要の攻め駒は飛車」という先入観の逆を行く初手の飛車捨て≫
+
≪利き筋の重複感があり、玉を逃がす不利感がある角打ち≫
の組み合わせが、初図では非常に見えにくいのです。
この▲3五角を打てば△3七玉に▲1五馬で詰みです。
詰手順:▲3六飛△同銀▲3五角△3七玉▲1五馬まで5手詰
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/45/1c97274563d5b49a0839a0edc925d104.jpg)
ちなみに、図の3五の角と1五の馬が3七の玉を攻撃している様(位置関係と馬の利き)が、ローマ字の「y」に似ているので「Y攻撃」と名付けました。(字面がいいので大文字にしました)
初図に戻って
飛車を捨てずに▲3五角(参考図1)と打った方がいいように思います。(実際は▲5三角と打った方が合駒を稼げるし、馬にも昇格するので得なのですが、▲3五角の方が説明しやすいので)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/30/f9210bba2975f117a02dc458cbc29fb1.jpg)
参考図1は、初図の先入観③「▲3五角と打って3七に玉を逃がしても、3四の飛車と3五の角とのコンビネーションによる開き王手や両王手があるので、何とかなるかもしれない」と初手で▲3六飛と捨てた後の▲3五角(途中図2)より得のような気がします。
しかし、初手▲3五角(参考図1)に実際に△3七玉と逃げられて見ると
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/da/0f9a60f3d487bdd3f1b01620530ad6dc.jpg)
詰みません。
≪この初手▲3五角を先に考え、参考図では詰まない≫と理解すると、正解手順への道は霧に閉ざされてしまうのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/37/67/b734301635cbbd8585ec6303819e1c28.jpg)
5手詰めですが、なかなか難しい問題だと思います。私は15分ぐらい考えた記憶があります。
初図から思うこと
①3七→4八への玉の逃走路が見える
②初図では、その逃走を3四の飛車が防いでいる
③▲3五角と打って3七に玉を逃がしても、3四の飛車と3五の角とのコンビネーションによる開き王手や両王手があるので、何とかなるかもしれない
そういう思考(①~③)が働くと、初手は非常に浮かびにくくなります。
初手は…………………………
…………………………………………大事に見える飛車を捨てる▲3六飛でした
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/ef/85655c5c8a30cfe1903140bd1c52ae16.jpg)
これには△3六同銀の一手ですが、ここでの次の手も浮かびにくいと思います。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/55/ecc180f7a7ad87f55d4d8bfae8e58837.jpg)
この図になれば、思いつきやすいと思いますが、次の手は▲3五角。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/30/f9210bba2975f117a02dc458cbc29fb1.jpg)
2四の馬と3五の角は、2枚の利き筋が重複している感覚があり、しかも、玉を3七に逃がしてしまう手です。
≪「要の攻め駒は飛車」という先入観の逆を行く初手の飛車捨て≫
+
≪利き筋の重複感があり、玉を逃がす不利感がある角打ち≫
の組み合わせが、初図では非常に見えにくいのです。
この▲3五角を打てば△3七玉に▲1五馬で詰みです。
詰手順:▲3六飛△同銀▲3五角△3七玉▲1五馬まで5手詰
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/45/1c97274563d5b49a0839a0edc925d104.jpg)
ちなみに、図の3五の角と1五の馬が3七の玉を攻撃している様(位置関係と馬の利き)が、ローマ字の「y」に似ているので「Y攻撃」と名付けました。(字面がいいので大文字にしました)
初図に戻って
飛車を捨てずに▲3五角(参考図1)と打った方がいいように思います。(実際は▲5三角と打った方が合駒を稼げるし、馬にも昇格するので得なのですが、▲3五角の方が説明しやすいので)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/07/af/9175ddabc76bbaa916e36f037becb514.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/30/f9210bba2975f117a02dc458cbc29fb1.jpg)
参考図1は、初図の先入観③「▲3五角と打って3七に玉を逃がしても、3四の飛車と3五の角とのコンビネーションによる開き王手や両王手があるので、何とかなるかもしれない」と初手で▲3六飛と捨てた後の▲3五角(途中図2)より得のような気がします。
しかし、初手▲3五角(参考図1)に実際に△3七玉と逃げられて見ると
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/da/0f9a60f3d487bdd3f1b01620530ad6dc.jpg)
詰みません。
≪この初手▲3五角を先に考え、参考図では詰まない≫と理解すると、正解手順への道は霧に閉ざされてしまうのです。
正解から逆算すると、3七の歩は、3七から4八への逃走路を塞いでいたというより、むしろ3六の地点を潰していたんですね。飛車捨てで、3六に銀を呼び込んでおいて、逃走路は角と馬の効きで塞ぐ。本当に良くできた問題ですね。
今後も、(難しすぎなければ)チャレンジしますね。
確かに、3七の歩は▲3六飛を成立させるための歩で、玉の逃走に関しては何の意味もなく、取られるだけの駒です。
詰将棋は通常、配置される駒には存在意義があります(作者によっては、形を整えるために「飾り駒」を配置する人もいます)。
なので、「歩の存在意義を考えると、▲3六飛という手段が浮かび上がる」という解法も成り立ちます。
まあ、そんな理屈はさておき、解く者の死角を突いた巧作だと思います。
この「7月号」特集?は、まだ続きますので、お付き合いください。