英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2024年度NHK杯将棋トーナメント1回戦 西山女流三冠-木村九段 その7

2024-07-05 11:21:38 | 将棋
「その1」「その2」「その3」「その4」「その5」「その6」………大概、「その3」ぐらいで疲れてくる……)


 図の▲3一金には少し驚いた。
 金ではなく▲3一銀が通常だろう。解説の藤井九段も銀打ちが一感だった。
 おそらく▲3一銀が最善手だが、1三へ玉を追うことになりそうなのが気になる(実際は1三に逃がしても大丈夫)。
 ▲3一金は持駒が増えると後手玉に即詰めが生じるし、次に▲3六龍と歩を払う手が詰めろになる。
 以下、木村九段は△3五桂や2筋での竜頭への歩の叩きで凌ぐが、手順に先手玉の嫌味が解消されてしまった。
 途中、どこかで△5一歩と先手飛車の利きを緩和する手があり(▲同飛成なら王手飛車がある)、そう指せば、若干勝負のアヤもあったが、木村九段は観念していたのだろう。
 最後に△4七桂成りと銀を取り、収束を待った。


 投了図以下は、△2一同金▲同龍△同玉▲3一成桂以下詰み。

 解説の藤井九段は、序盤の時に「西山さんの終盤はトップクラスだ」と述べていた。
 確かに、プロ棋士としての寄せの感覚、詰み手順の読みなどは体に染みついているように感じる。
 福間女流五冠も同様に感じるが、両者の質は違う。
 西山女流は敵防御を正面から破壊する。敵玉を頭からねじ伏せる。寄せが見えたら躊躇なく突き進む。
 福間女流は、寄せの網を絞っていき、機が熟したらスパートをかける。やや曲線的だが、一気に受けなしに持っていく瞬発力もある。



 終局直後、木村九段は西山女流の顔を見やり、にっこり微笑んだ。
《強くなったね》と言っているように感じた。


 昨日(7月4日)に「朝日杯将棋オープン戦」の1次予選で阿部光瑠七段に勝利
 この結果、直近のプロ公式戦で13勝7敗となり、「10勝以上」かつ「勝率が6割5分以上」などの条件を満たして、プロ棋士への「編入試験」を受験する資格を得た。
 西山女流は編入受験の意思を表明。

 "西山四段”と表記する日が来るかもしれない。
 
コメント
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