英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

科捜研の女17 第4話「殺人交響曲」

2017-11-10 13:09:34 | ドラマ・映画
“犯行の構図と顛末”は面白かったが、殺人罪の立証は難しそう

1.犯行の構図
―――犯行をパーツに分け、別々に実行させて、犯行を完成させた―――
【犯行完成の条件】
①被害者が小麦粉入りのケーキを食べる
②ケーキを食べた後、運動をする
  ①②により食物依存性運動誘発性アナフィラキシーを発症、意識不明に
③アロマキャンドルを炊く
④海東柊一郎のコンサートの生放送のラジオ番組を掛ける(聴く必要はなく、部屋に重低音の音楽が流れるのが条件)
⑤アロマキャンドルが音の振動で、炭のオブジェの中に落下し、炭に火が付く

 これらをお膳立てするのに、
①……被害者の浮気相手のひとりのカフェのオーナーにケーキをプレゼントさせる(時間指定、小麦粉は犯人が混入)
②……被害者の浮気相手のひとりのコントラバス奏者にフィットネスバイクをプレゼントさせる(時間指定)
③……被害者の習慣
④……被害者が「コンサートの生放送を視聴する」と言っていた
⑤……被害者の浮気相手のひとりの雑貨店のオーナーに炭のオブジェをプレゼントさせる(時間指定)
   犯人が受け取り、所定の位置に設置。さらに、アロマキャンドルの置かれた棚に落ちやすいような傾斜をつける

 アロマキャンドルが重低音の響きで落下する物理現象、食物依存性運動誘発性アナフィラキシーの生理的現象も難しいが、それが成立するには被害者の“新しいものはすぐ試す”という性格、さらに、生放送をラジオで聴くという“義理堅さ”というハードルの高さも伴っている。

【犯行の構図】
写譜師がその仕事内容と同じように犯行をパーツに分け、浮気相手に実行(演奏)させたという構図が面白い。
 “浮気の報いを被害者と浮気相手に実行させた”という構図にもなっている。


【犯行の顛末】
 海東柊一郎の音楽に心酔していた写譜士が、「いっそ死んでくれれば(妻の浮気や放漫さに悩まされることなく、音楽に没頭できる)」という言葉(←括弧内は写譜士の思い込み)を真に受けて、殺害を計画、実行したが、柊一郎にとって妻は“光”で、「妻がいなければ音楽は生まれない」(“いっそ”云々は言葉のアヤ)と。
 柊一郎の音楽の為に行った犯行だが、修一郎の音楽に終止符を打たせる結果となってしまった

2.殺人罪の立件は難しそう
 小麦粉混入で“傷害罪”、棚の細工で“器物損壊罪”、偽メールでの贈り物強要“詐欺罪”(嘘の注文なら“偽計業務妨害”は立件できるかもしれませんが(罪名については私の推測で、間違っているかもしれません)、殺人罪の立件は相当難しそうです。
 それぞれを意図的とは認められても、を殺害の意図までは無理と思われる。「柊一郎の妻が浮気ばかりするのを懲らしめようと思った」とでも言い逃れられそうだ。


 しかし、今回は、純粋に柊一郎の音楽に心酔しての犯行なので、言い逃れ云々の描写は野暮のような気がする。顛末の皮肉さが秀逸だった。



【ストーリー】番組サイトより
 著名な作曲家・海東柊一郎(長谷川初範)の妻・莉華子(佐藤乃莉)の遺体が自室で発見された。遺体発見時、莉華子はフィットネスバイクにまたがったままで、ラジオはつけっぱなし、ベッドテーブルには食べかけのバースデーケーキが残されていた。遺体の状況などからマリコ(沢口靖子)は、一酸化炭素中毒の可能性を疑う。炭の燃え残りのようなものが見つかったことから事故死も考えられたが、莉華子の母・根岸智津子(まつむら眞弓)は、夫の海東に殺されたと訴える。生前莉華子は「いつかダーに殺されるかも」と口にしていたとか。ダーとはダーリン、つまりは夫・海東のことらしく…。
 早月(若村麻由美)の解剖で莉華子の死因は一酸化炭素中毒と判明。炭の燃え残りを調べた宇佐見(風間トオル)と日野(斉藤暁)はアロマキャンドルの成分を検出する。莉華子お気に入りのアロマキャンドルが火種となって炭が燃え、一酸化炭素が発生したようだが、亜美(山本ひかる)によると炭は燃やすものではなく空気をきれいにするオブジェのようなものだという。
 燃やすべきではない炭が燃えていながら莉華子が気づかないのは不自然では?そんな疑問に対して、早月が莉華子は小麦アレルギーだったという新たな検査結果を提示する。莉華子の胃と現場にあったバースデーケーキからは小麦粉が検出されていた。どうやら莉華子は小麦粉が入っているとは知らずにケーキを食べ、その後フィットネスバイクで運動したことでアレルギーを発症。意識を失ったらしい。その間に何者かが炭のオブジェに火をつけて一酸化炭素を発生させ、莉華子を殺害したのか?
 土門(内藤剛志)らは夫の海東と、彼のマネージャー兼写譜士の野々宮(水橋研二)から話を聞くが、事件当夜は大阪でコンサートの真っ最中だったとアリバイを主張。終演が9時半ごろ、炭に火がついた時刻が9時ごろと判明していたため海東の犯行ではなさそうだ。
 海東は莉華子が言っていた「ダー」が自分ではなく浮気相手だと断言する。しかもその男は3人はいるという。マリコらはその3人の男たちから話を聞くが、それぞれが莉華子との関係を認めたうえで事件のカギとなるフィットネスバイクなどをプレゼントしていることがわかった。3人が共謀しての犯行なのか?不可能を可能にした殺人トリックにマリコらが挑む!

ゲスト:水橋研二、長谷川初範、佐藤乃莉、山本匠馬、坂田直貴

脚本:李正姫
監督:田崎竜太

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