超絶逆回転誘拐
“超絶”をつける必要があるかはさておき、面白い発想だったが、ハッキリ言って企画倒れだった。
【犯行の動機】
長男は養子で、実子(次男)が生まれた後は、存在しないかのように扱われることになってしまった。そのことに対する、長男と次男の復讐・反抗だった。
【誘拐を逆回転にした理由】
・「いないものとして扱われた苦しみを味わい、楽しいはずの家族の時間を奪われた」という長男の嘆きに対して、「時間を巻き戻そう。兄さんの苦しみを味わってもらうために、本当に誘拐されたことにしよう」(誘拐されたことになれば“いない”ということを実感させられる)
・普通に誘拐しても、祖父は身代金を払おうとは思わないし、警察にも届けないだろうと考え、1億円を強奪して強引に“身代金を出させた”ことにした
(しかし、小学生みたいな発想、考え方だなあ)
と、一応、“逆回転誘拐”の理由づけをしたが、決死の狂言逆回転誘拐も強欲祖父には身代金を出したという自覚は全くなく、実孫(次男)の必死の訴えと強行手段(3億円をダムにばら撒く)も大金を失った悲しみしか湧かなかったようだ。
最近、今回のような悪人、人(にんぴにん)の役が多い竜雷太さんだが、今回は少し違う役どころにした方がよかったのではないだろうか?
つまり、逆回転誘拐が成立、孫二人の真意を聴かされて
「おお、あれ(強奪された1億円)は、身代金だったのか…こりゃ一本取られたワイ」
と改心するような展開だったら、逆回転誘拐の意義もあった。(竜雷太さん、昔は、こういう役が多かった)
時矢(沢村一樹)が長男の境遇に共感した理屈も変
“失った刑事として過ごした記憶”と長男の“失った楽しい時間”を重ね合わせていたが、刑事として過ごした時間(生活)は存在しており、時矢の場合は本人の記憶(自覚)がないだけ。評価・実績、人間関係も残っている。記憶も戻る可能性がある。
これに対し、長男時間は戻ってこないし、辛い時間・記憶が残っているだけ。
とは言っても、この辛い時間の責任の一端は長男自身にもある。家族からは冷遇されても、弟は慕ってくれていたし、義理の両親も祖父には逆らえないだけで、虐待するわけではない。
学校や外(社会)にも行けたはずで、おそらく、金銭的にも最低限は保障されるのではないだろうか。まあ、幼い時にあんな扱いをされてしまい引き籠ってしまったのだから、外に出るのは難しいかもしれない。
次男があれだけ兄のことを心配していたのに、観て見ぬふりした両親の罪は重い。養子縁組の際、≪成人するまで本人には養子であることを知らせない≫という約束をしたのだから、直接本人に告げなかったとは言え、あの冷遇は養子であることを知らせたのと同等。実父の元へ返すのが筋であろう(もちろん、金銭的援助もする)。まあ、絶対的権力を持つ祖父が居ては難しいだろうけれど、祖父にしても“いない者にしたい長男”が居なくなるのであれば、強硬に反対しないのではないだろうか?
話が横にそれてしまったが、時矢と長男の失った時間を重ね合わすのは、無理があるように感じた。
今回は残念な出来だったなあ。
【ストーリー】番組サイトより
京都市内の地下駐車場で、1億円の現金が強奪される事件が発生した。被害者は、貴金属買取チェーンの会長・夏富輝一郎(竜雷太)。海外バイヤーとの取引のため現場を訪れたところ、買い取り資金として用意してきた1億円を、バイクに乗った男に強奪されたという。
捜査をはじめた京都府警捜査一課刑事・時矢暦彦(沢村一樹)と新人刑事・佐相智佳(瀧本美織)は、輝一郎の娘婿・武臣(佐伯新)から昨夜、奇妙な電話がかかってきたことを聞き出す。「身代金は受け取った。誘拐した息子は解放する」という内容だったが、武臣と妻・紗輝子(中原果南)のひとり息子で高校生の輝(中島凱斗)には何事もなく、いたずら電話かと思っていたという。
しかし、もっと奇妙なことが起きる。夏富家の郵便受けに1枚の1万円札が投函され、そこに「現金1億円を夏富会長に持たせて駐車場まで来い」というメモと数本の縮れた毛髪が挟まれていたのだ。科捜研で鑑定したところ、その毛髪はアジア系男性のもので、夏富家の誰とも一致せず、ますますわけがわからない。
ところが、衝撃の事実が判明する――! なんと郵便受けに入っていた1万円札はその日の朝、強奪された1億円の中の1枚だったのだ。それを聞いた時矢は、誘拐から身代金要求、人質解放へと続く通常の誘拐とはまったく逆の流れで一連の出来事が起きていることを直感。つまり、誘拐事件はこれから起きるのではないか、と推理するが…!? “超絶逆回転誘拐事件”――はたしてその真相は…!?
ゲスト:竜 雷太 中原果南 佐伯 新 大浦龍宇一
脚本:戸田山雅司
監督:田村直己
“超絶”をつける必要があるかはさておき、面白い発想だったが、ハッキリ言って企画倒れだった。
【犯行の動機】
長男は養子で、実子(次男)が生まれた後は、存在しないかのように扱われることになってしまった。そのことに対する、長男と次男の復讐・反抗だった。
【誘拐を逆回転にした理由】
・「いないものとして扱われた苦しみを味わい、楽しいはずの家族の時間を奪われた」という長男の嘆きに対して、「時間を巻き戻そう。兄さんの苦しみを味わってもらうために、本当に誘拐されたことにしよう」(誘拐されたことになれば“いない”ということを実感させられる)
・普通に誘拐しても、祖父は身代金を払おうとは思わないし、警察にも届けないだろうと考え、1億円を強奪して強引に“身代金を出させた”ことにした
(しかし、小学生みたいな発想、考え方だなあ)
と、一応、“逆回転誘拐”の理由づけをしたが、決死の狂言逆回転誘拐も強欲祖父には身代金を出したという自覚は全くなく、実孫(次男)の必死の訴えと強行手段(3億円をダムにばら撒く)も大金を失った悲しみしか湧かなかったようだ。
最近、今回のような悪人、人(にんぴにん)の役が多い竜雷太さんだが、今回は少し違う役どころにした方がよかったのではないだろうか?
つまり、逆回転誘拐が成立、孫二人の真意を聴かされて
「おお、あれ(強奪された1億円)は、身代金だったのか…こりゃ一本取られたワイ」
と改心するような展開だったら、逆回転誘拐の意義もあった。(竜雷太さん、昔は、こういう役が多かった)
時矢(沢村一樹)が長男の境遇に共感した理屈も変
“失った刑事として過ごした記憶”と長男の“失った楽しい時間”を重ね合わせていたが、刑事として過ごした時間(生活)は存在しており、時矢の場合は本人の記憶(自覚)がないだけ。評価・実績、人間関係も残っている。記憶も戻る可能性がある。
これに対し、長男時間は戻ってこないし、辛い時間・記憶が残っているだけ。
とは言っても、この辛い時間の責任の一端は長男自身にもある。家族からは冷遇されても、弟は慕ってくれていたし、義理の両親も祖父には逆らえないだけで、虐待するわけではない。
学校や外(社会)にも行けたはずで、おそらく、金銭的にも最低限は保障されるのではないだろうか。まあ、幼い時にあんな扱いをされてしまい引き籠ってしまったのだから、外に出るのは難しいかもしれない。
次男があれだけ兄のことを心配していたのに、観て見ぬふりした両親の罪は重い。養子縁組の際、≪成人するまで本人には養子であることを知らせない≫という約束をしたのだから、直接本人に告げなかったとは言え、あの冷遇は養子であることを知らせたのと同等。実父の元へ返すのが筋であろう(もちろん、金銭的援助もする)。まあ、絶対的権力を持つ祖父が居ては難しいだろうけれど、祖父にしても“いない者にしたい長男”が居なくなるのであれば、強硬に反対しないのではないだろうか?
話が横にそれてしまったが、時矢と長男の失った時間を重ね合わすのは、無理があるように感じた。
今回は残念な出来だったなあ。
【ストーリー】番組サイトより
京都市内の地下駐車場で、1億円の現金が強奪される事件が発生した。被害者は、貴金属買取チェーンの会長・夏富輝一郎(竜雷太)。海外バイヤーとの取引のため現場を訪れたところ、買い取り資金として用意してきた1億円を、バイクに乗った男に強奪されたという。
捜査をはじめた京都府警捜査一課刑事・時矢暦彦(沢村一樹)と新人刑事・佐相智佳(瀧本美織)は、輝一郎の娘婿・武臣(佐伯新)から昨夜、奇妙な電話がかかってきたことを聞き出す。「身代金は受け取った。誘拐した息子は解放する」という内容だったが、武臣と妻・紗輝子(中原果南)のひとり息子で高校生の輝(中島凱斗)には何事もなく、いたずら電話かと思っていたという。
しかし、もっと奇妙なことが起きる。夏富家の郵便受けに1枚の1万円札が投函され、そこに「現金1億円を夏富会長に持たせて駐車場まで来い」というメモと数本の縮れた毛髪が挟まれていたのだ。科捜研で鑑定したところ、その毛髪はアジア系男性のもので、夏富家の誰とも一致せず、ますますわけがわからない。
ところが、衝撃の事実が判明する――! なんと郵便受けに入っていた1万円札はその日の朝、強奪された1億円の中の1枚だったのだ。それを聞いた時矢は、誘拐から身代金要求、人質解放へと続く通常の誘拐とはまったく逆の流れで一連の出来事が起きていることを直感。つまり、誘拐事件はこれから起きるのではないか、と推理するが…!? “超絶逆回転誘拐事件”――はたしてその真相は…!?
ゲスト:竜 雷太 中原果南 佐伯 新 大浦龍宇一
脚本:戸田山雅司
監督:田村直己