英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2019箱根駅伝 感想

2019-01-08 17:52:16 | スポーツ
“今さら感”がありますが、箱根駅伝の感想です。

往路2位の東海大学が6区7区で追い上げ、8区でトップに立ち、9区10区も快調に走り、ゴールのテープを切り、初優勝を果たした。

【復路の 経過と感想】
6区
 往路優勝の東洋大、1分14秒差で2位東海大、2分44秒差で3位國學院大、3分28秒差で4位駒澤大、5分05秒差で5位法政大、青山学院大は5分30秒差の6位でスタート。
 東洋・今西、東海・中島がそれぞれ区間3位、区間2位で走り、区間1位(区間新)で走った青学・小野田に、大きく差を縮めさせなかった(東洋15秒、東海9秒)
 とは言え、小野田の走りは称賛に値する。先を走る今西(東洋)、中島(東海)、坪井(法政)らが序盤からハイペースで走り、差が縮まらない。小湧苑前(9.0km地点)での個人順位は4位、函嶺洞門(17.0km地点)でようやく個人順位1位タイに浮上したものの、5位を走る法政(坪井)はまだ16秒先を走っており、スタートしてから9秒しか詰まっていなかった。
 調子が良くないのかと思ったが、下り終ってからもピッチを緩めず坪井(法政)を抜き5位に上がり、区間記録を更新して7区につないだ。遥か先の見えない東洋、東海、法政との縮まらない差に対し焦ることなくしっかり走り切った小野田の見事な走りだった。
 だが、この区間で大きく縮められなかった(東洋に対して15秒、東海には9秒)のは、青山学院にとって小さくない誤算と言える。

7区
 青学・林は前回7区区間新でMVPも獲得したランナー。対する東洋・小笹は主将、東海・阪口も実力者。
 林(青学)はスタート直後から飛ばし、1.7km過ぎで6区で4位に下がった蜂屋(國學院)抜き、9.5kmで小島(駒澤)に追いつき、東洋、東海を追うが、東海(阪口)もハイペースを維持し、中盤からは拮抗状態を保つ。
 対する東洋(小笹)は徐々に足取りが重くなり、後方の阪口の姿が大きくなっていった。7区スタートの小田原中継点で1分8秒あった東洋~東海の差が4秒まで縮まった。
 林は区間記録に2秒及ばないだけの快走で東洋との差を1分27秒縮めたものの、まだ3分48秒の差がある(東海・阪口に23秒上回り、東海大学との差は3分44秒差)

 青山学院は6区7区で少なくとも2分は縮める予定(出来れば3分~3分30秒縮め、2分30秒差以内)だったはずだが、東洋に対して1分42秒縮めるにとどまった。しかし、東洋の8~10区のメンバーを考えると、充分、逆転を見込める差ではある。
 しかし、8区では更なる誤算が青山学院を襲うこととなった。


8区
 中継地点で4秒の差しかなかった東海・小松はすぐ追いつき東洋・鈴木の背後にピタリとつく。
 背後につかれた鈴木(東洋)も構わずピッチを緩めず走り続ける。
 3分48秒差の青学の飯田はハイペースで追うが続かない。スタート直後はやや詰まったものの、膠着状態が続く。茅ヶ崎(6.9km)では、トップの東洋、東海とは3分30秒差。
 14.6km、レースが動く。小松(東海)がスパートし、一気に鈴木(東洋)を置き去りにする。
 戸塚中継所に東海・小松がトップで襷を渡し、東洋・鈴木も粘って51秒差で繋ぐ。青学・飯田はトップ東海とは4分29秒差で襷を繋いだ。
 飯田(青学)は区間2位の走りだったが、序盤のハイペースが祟ったのか、茅ヶ崎地点でトップの2校との差が3分30秒で、それ以後は東海とは約1分、東海に離された東洋にも8秒、差が広がった。
 しかし、飯田(青学)の走り云々より、小松(東海)の走りを褒めなければならない。何しろ22年振りの区間記録更新の快走だった。古田哲弘(山梨学院・1997年)の記録を16秒更新。それを考慮すると、飯田(青学)も鈴木(東洋)良く粘ったと言える。飯田は45秒差の区間2位、鈴木は55秒差の区間2位。

 青山学院はタスキを受け取った時点でのトップ(この時は東洋)の3分48秒差が、8区を終わって4分29秒差に広がってしまい、5連覇は相当難しくなった。
 鈴木(東洋)が小松(東海)に追いつかれても好ペースを維持し、15km近くまで小松のペースメーカーの役割を果たしてしまった。しかも、情報によると小松は絶好調で、鈴木の作るペースに良い具合にピッタリと嵌り、余力を持ってスパートすることができた。
 この小松の走りは、さしもの青学・原監督も想定外だったであろう。


9区
 青山学院は9区10区も強力なので、逆転の可能性がないわけではない。東海、東洋も区間順位が2桁になるような走りだと、雲行きが怪しくなる。
 しかし、湊谷(東海)がその望みを打ち砕いた。序盤は確実に走り、後半に余力を残し、後半もしっかり走り、区間2位で吉田圭(青学)に46秒しか詰めさせなかった。
 対照的に中村(東洋)は区間19位と振るわず、東海との差は3分35秒に広がり、3位の青学に8秒差まで詰め寄られてしまった。
 吉田(青学)区間1位、歴代5番目の好走を見せたが、トップ東海とは3分43秒と5連覇の道は遠くなった。

10区
 郡司(東海)も落ち着いた堅実な走りで区間3位の好走で、嬉しい初優勝のテープを切った。
 鈴木(青学)は最初から飛ばす捨て身の走りで、大澤(東洋)を抜き去り、東海との差を3分に縮めるが追撃もここまで。オーバーペースが祟り、区間後半はもがくような走りとなったが失速を最小限に止め、区間2位の走りで、東海大には3分41秒差の2位でフィニッシュ。
 大澤(東洋)は区間10位。東洋大は5分54秒差の3位でゴール
 10区の区間賞は、星(帝京)。

総合成績
順位 大学     記録/1位とのタイム差
1 東海大学    10:52:09    (大会新記録)
2 青山学院大学  10:55:50 / 03:41(大会新記録)
3 東洋大学    10:58:03 / 05:54
4 駒澤大学    11:01:05 / 08:56
5 帝京大学    11:03:10 / 11:01
6 法政大学    11:03:57 / 11:48
7 国学院大学   11:05:32 / 13:23
8 順天堂大学   11:08:35 / 16:26
9 拓殖大学    11:08:35 / 17:01
10 中央学院大学  11:09:23 / 17:01
11 中央大学    11:10:39 / 18:30
12 早稲田大学   11:10:39 / 18:30
13 日本体育大学  11:12:17 / 20:08
14 日本大学    11:13:25 / 21:16
15 東京国際大学  11:14:42 / 22:33
16 神奈川大学   11:15:51 / 23:42
17 明治大学    11:16:42 / 24:33
18 国士舘大学   11:16:56 / 24:47
19 大東文化大学  11:19:48 / 27:39
20 城西大学    11:19:57 / 27:48
OP 関東学生連合  11:21:51 / 29:42
21 山梨学院大学  11:24:49 / 32:40
22 上武大学    11:31:14 / 39:05



復路成績
順位 大学     記録
1 青山学院大学  5:23:49(復路新記録)
2 東海大学    5:24:24(復路新記録)
3 帝京大学    5:29:40
4 駒澤大学    5:31:06
5 東洋大学    5:31:32
6 法政大学    5:32:21
7 早稲田大学   5:34:33
8 中央大学    5:35:13
9 日本体育大学  5:35:44
10 中央学院大学  5:35:51
11 神奈川大学   5:36:10
12 国学院大学   5:36:17
13 順天堂大学   5:36:30
14 大東文化大学  5:36:41
15 拓殖大学    5:37:02
16 東京国際大学  5:37:27
OP 関東学生連合  5:37:34
17 日本大学    5:37:48
18 城西大学    5:39:47
19 山梨学院大学  5:40:33
20 国士舘大学   5:41:03
21 明治大学    5:42:28
22 上武大学    5:48:48




【レース全体の感想】
東海大学
1区 鬼塚 6位 +0:08(区間1位との差) 6位(チーム順位)
2区 湯澤 8位 +1:47          5位
3区 西川 7位 +1:36          4位
4区 館澤 2位 +1:43          2位
5区 西田 2位 +0:24          2位
6区 中島 2位 +0:09          2位
7区 阪口 2位 +0:23          2位
8区 小松 1位    0 区間賞・区間新  1位
9区 湊谷 2位 +0:46          1位
10区 郡司 3位 +0:15          1位

 1区は順位は6位ながらも、トップとはわずか6秒差。
 2区3区は区間トップとは1分半強の差があるが、2区はエース区間、3区は区間新の森田(青学)との差なので、まずまずの結果だったと言える。
 4区は区間2位。トップとの差1分43秒差は区間新の相沢に比べての差なので許容範囲であるし、青学より2分弱のアドバンテージを得たことが大きい。
 5区もトップ東洋との差を縮め1分13秒差、青学には望外の4分16秒リード。
 6区7区も区間2位の走りでトップ東洋との差はわずか4秒に。しかも、青学がかなり優位と見られていたこの2区間を合わせて32秒しか劣らなかった。
 8区は区間記録を22年ぶりに更新する快走で勝利に大きく近づき、9区10区も堅実な走りでリードを保ち初優勝。
 区間賞は1人だったが、2位5人、3位1人、1区~3区はどの大学も主力を投入した区間なので区間順位は4~6位にとどまったが、メンバー全員がほぼ100%、区間によってはそれ以上の走りをして、青山学院の5連覇を阻んだ。
 東洋大学より復路のメンバーが揃っており、往路を終えた時点でトップ東洋と1分14秒差は優勝にいちばん近い位置と思えたが、私は東海はどこかの区間で失敗すると思っていた。失敗しないどころか全区間とも素晴らしい走りだった(失礼しました)。

青山学院大学
1区 橋詰 3位 +0:06(区間1位との差) 3位
2区 梶谷 10位 +2:12          8位
3区 森田 1位    0 区間賞・区間新  1位
4区 岩見 15位 +3:38          3位
5区 竹石 13位 +3:58          6位
6区 小野田1位    0 区間賞・区間新  5位
7区 林  1位    0 区間賞      3位
8区 飯田 2位 +0:45          3位
9区 吉田圭1位    0 区間賞      3位
10区 鈴木 2位 +0:13          2位

 2区がやや遅かったがエース区間であることを考えると想定内。
 3区森田が素晴らしい走りで、3区を終わって“予定通り”に改善。
 4区の苦戦で3位に落ち、トップ東洋と3分30秒の差がついてしまったが、まだ想定内で逆転は十分に可能な範囲。
 しかし、4区に続いて5区も振るわず、往路を終えて5分30秒差は想定外の事態
 それでも、復路のメンバーを考えると射程距離と考えられ、6区7区も予定通りの素晴らしい走りをしたが、復路にもメンバーが揃っている東海が予想以上の走りをし、5連覇に暗雲が立ち込めた。
 さらに、8区の東海に区間新の快走をされ、5連覇は遠のいてしまった

 復路はメンバー全員が素晴らしい走りをして東洋を抜き2位に浮上したが、東海も素晴らしい走りをしたため、最後まで東海大学を視界に捉えることもできなかった。

 復路の展望記事
『「青山学院の逆転の可能性は60%」……「優勝は青山学院」と言っておこう』
と書いてしまったが……
 5分30秒差をつけられていた東洋を逆転したということで、ご容赦ください。


 10区に起用された復路の切り札の鈴木は8区に起用されると思っていた。往路が想定内だった場合は6~8区で勝負を決める。往路で後れを取った場合は、6~8区で挽回しトップに立つか並ぶ予定。
 ところが、あまりにも往路で差がついてしまったので、(10区にエントリーされていた吉田祐也の調子が良くなかったのかもしれないが)鈴木にアンカーを託し、2分弱の差なら最初から突っ込んだ走りで勝負をかける腹積もりだったような気がする。
 しかし、東海の8区の快走で、その目論見は外れてしまった…とか。

東洋大学
1区 西山 1位    0(区間1位との差) 1位
2区 山本 4位 +1:19          2位
3区 吉川 4位 +1:07          2位
4区 相澤 1位    0 区間賞・区間新  1位
5区 田中 8位 +1:58          1位   
6区 今西 3位 +0:15          1位
7区 小笹 3位 +1:27          1位
8区 鈴木 5位 +0:55          2位
9区 中村 19位 +3:30          2位
10区 大澤 10位 +2:34          3位

 往路は1区西山、4区相澤を始め、ほぼ完ぺきな走り。
 6区~8区も7区がやや誤算だったかもしれないが、力を出し切った走りだった。
 けれども、9区10区は走りが100%かどうかと言うより、申し訳ないが実力的に苦しいランナーだった。情報では、大会前になって実力ランナーに故障が相次いだとのこと。
 不運とも言えるが、青学は3~4人程度なら充分にカバーできる層の厚さがあり、「層の厚さが課題」と酒井監督も述べていた。


 東海大学、初優勝。おめでとうございます!
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