カンボジア経済

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世界銀行 カンボジア経済アップデート2023 コロナ後の経済回復

2023年05月30日 | 経済
 5月18日、世界銀行は「カンボジア経済アップデート2023年5月:新型コロナ後の経済回復」を発表しました。
 カンボジアの成長率予測については、2020年のマイナス3.1%から、2021年3.0%、2022年5.2%(前回12月予測4.8%)、2023年5.5%(同5.2%)、2024年6.1%(同6.3%)へ回復すると予測し、中期的には6%程度の成長を続けると見ています。2021年後半の「Withコロナ政策」への転換後、経済は確実な回復基調に乗り、コロナ前の高度成長に復帰しつつあると分析しています。当初は、輸出産業の急速な回復に支えられていましたが、その後、観光業等の第三次産業や農業の回復にも支えられています。深刻な影響を受けていた建設業にも回復の兆しが出ています。しかし、最近は、世界的なインフレ、高金利、ロシアのウクライナ侵攻等の影響で主要国の需要が急速に減速しており、カンボジアからの輸出も減少に転じていることが懸念されています。
 物価上昇率は、世界的な原油価格の上昇の影響を受けて大きく上昇していましたが、予測を引き下げています。2022年5.5%(前回12月予測6.0%)、2023年2.5%(同4.2%)、2024年2.5%(同3.8%)と予測しています。2021年6月に対前年同月比7.8%とピークとなった物価上昇率は、2023年2月には2.2%にまで低下しました。しかし、生活に直結するガソリンや食料品等の価格上昇が引き続き懸念材料となっています。
 対外収支は、石油輸入価格上昇も一服し、輸出も健闘していることから、経常収支赤字(対GDP比)は2021年の41.9%から、2022年26.3%、2023年19.3%と落ち着いてくると予測しています。外貨準備も2022年は減少したものの、177億ドルと輸出の7カ月分を確保しており十分なレベルにあります。また、対外債務も「低リスク」であるとして問題ない状況としています。財政については、新型コロナ対策で歳出が増加したことから、赤字(対GDP比)は、2021年7.6%にまで上昇しましたが、2022年4.7%、2023年6.4%と落ち着きつつあります。
 カンボジア経済のリスクとしては、世界経済のスローダウン、欧米の金利上昇、国際商品価格の高騰等をあげています。また、国内要因としては、建設・不動産に集中している貸付の状況を懸念しています。対応する政策としては、マクロ経済安定化政策の継続、インフラ拡充・人材開発等による生産性の向上、貧困層への支援継続、不動産融資等の不良債権化に備えた金融安定化、競争力強化と輸出品目の多様化等を提言しています。
 なお、特別フォーカスとして、「人材開発向上に向けたより良き支出へ」と題する調査報告も含まれています。

世界銀行の発表(英文です)
https://www.worldbank.org/en/news/press-release/2023/05/18/cambodia-s-economy-on-firm-path-to-recovery


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