8月30日、カンボジア経済財政省は、マクロ経済モニター2016年年央評価(Cambodia Macroeconomic Monitor Mid-Year Assessment 2016)を発表しました。この報告書では、世界経済の概況、成長とインフレ、財政、国際収支、通貨と金融、リスクと政策対応等について、的確に取りまとめられています。
成長については、順調な成長軌道に乗っているとして、GDP成長率を2016年7.0%、2017年7.0%と予測しています。第2次産業は2015年11.7%から2016年11.4%、第3次産業は2015年7.1%から6.7%に若干減速します。農業は、干ばつに苦しんだ2015年0.2%から2016年0.5%へと若干の回復を予測しています。
インフレについては、国際石油価格の値下がりにより2015年は1.2%と大変低くなりましたが、その後石油価格は持ち直してきており、2016年2.8%、2017年3.7%と若干上昇すると見ていますが、安定的に推移するものと見られます。
国際収支については、経常収支の赤字(対GDP比)は、2014年の9.5%から2017年には8.5%へと次第に改善すると見ています。海外直接投資とODA(譲許的借款)により赤字を埋め合わせて、総合収支は、当面黒字を維持するものと予測しています。
金融については、民間向け貸付の伸び率は2016年上半期には22%にまで落ち着いてきましたが、不動産市場の動向、不動産関係企業と金融機関との連鎖の可能性について、十分な注意を払う必要があると警鐘を鳴らしています。今回の報告書では、2ページを割いて、不動産市場について、不動産開発業者からの聞き取り調査の結果等も含めた詳細な分析を掲載しています。
カンボジア経済のリスクとしては、中国経済の低迷、国際金融市場の動揺等を挙げています。政策提言としては、金融の安定性確保、財政余力の拡大、競争力向上(産業開発政策の着実な実施)、農業の再活性化等を挙げています。
(写真は、建設工事が目立つプノンペン市内)
カンボジア経済財政省のサイト(英文です。クメール語版もあります。)
http://www.mef.gov.kh/documents/shares/CMM_Mid-2016-Assessment-English-Version.pdf
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