初期の傑作として人気があるようだが、私も前から好きな曲だ。
たしか、後期の曲と違って、この頃のモーツアルトはカデンツアを書いていなかったと記憶している。
そのつど、即興で弾くのが当たり前だったのではなかったかな?
ひょっとするとモーツアルトが現代に登場すれば、こんな演奏をしてるのかもしれないなあ。
ふとそんな気がした。
生き生きとして楽しい演奏だ。
早い部分は安心して聞いていたが、さて2楽章のゆっくりした曲をどう演奏するのだろうかと思ったが、これまた素晴らしい演奏だ。
この曲のちょっと憂いを感じるというか、陰のような雰囲気、それに時々現れる日が射す様な明るさ、絶妙だね。
1楽章のカデンツアは、軽くこなしていたが、2楽章ではなかなか味わい深い演奏と感じた。
そして興奮の3楽章!
東京のでは速めのテンポがライブの感じを高めていたが、この演奏でも軽快にのりにのって演奏している。
どこまでモーツアルトが楽譜に書いていたのだろう?
グルダが弾いてもここまではやんないだろうなあ。
聞いていて楽しいし、グングン惹き込まれる。
特に、後ろのカデンツアは最高潮で当日観客席にいたみなさんの興奮が想像できる。
ぜひ、生で聞きたいものだ。
ほかの曲もやってくれないかなあ。
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NHK教育TV「芸術劇場」2006年7月2日放送
◆指揮:シャルル・デュトワ
◆ピアノ:小曽根真
◆宮崎国際音楽祭管弦楽団
モーツァルト作曲 ピアノ協奏曲第9番
変ホ長調 K.271「ジュノム」
2006年5月14日 宮崎県立芸術劇場で収録