この昭和55年発行の本がなかなか面白いので、少し書いておくことにする。
最近発行される本で、山野草の種類ごとに一般的に書かれている項目としては、「用土・植替え時期・置き場所・増やし方・病害虫」などがあり、もちろんこの本にもこれらのことが書かれている。
ただ、最近の本に書かれていない項目として、この本には「入手法」という項目が、ほぼすべての種類に説明されており、これがなかなか面白い。
たとえば、タツタソウのページでは、
「たいへん高価ですが専門的な山草店に行けば入手できます。」
と書いてあり、この当時はあまり出回っていなかったのだろうかと思った。
セッコクでは
「嵐の後に箱根の○○山○○寺の杉林のなかを歩きますと、たくさん落ちてます。」
コシノコバイモ
「谷間の斜面をさがせば、かなり見つかります。バールで二突きして起こしますと容易に採れます。」
と、こんな感じで当時の状況がうかがい知れる。
イワチドリに至っては、
「向こう岸の手の届かない所にしか残っていませんから、胸まで水につかり川を渡河し採集しなければなりません。時期が時期なのと、水場で、茂みの中なので、採集中にマムシに手をかまれた人もおりますから・・・。」
と、注意を促している。
このように当時の入手法は現地採集がすべて、と思われると、実際にはそうでなくて、多くは「デパートや園芸店で入手できる」という説明になっている。
さらにエーデルワイスのページでは、
「花どきに草友の庭を訪れ、目的の株が見つかった際は、礼を尽くして、株分けしてもらうとよいでしょう。」
シャジン
「特別な品種や優良株を入手するには、自分を囲む人間関係のなかからしか得られませんから、ふだんから自分自身の腕をみがき、交友を密にし楽しいつきあいをしていれば、いかなる珍品でも自然にはいってくるものです。」
まあこのあたりが王道というか、山野草趣味に限らずあらゆることに通じることなんだろうな、と感じたわけである。
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まだ半分の200ページくらいしか読んでないので、またこの本の感想を書くことになるかもしれない。