[用例研究 160] 〈once-假定法過去〉
(BLONDIE By Dean Young & Stan Drake)
1 Poor Herb Woodley.
2 Tootsie really chewed him out because he brought a friend to dinner without telling her.
3 Would you be angry if I did that?
4 Not once we decided which restaurant to go to.
[解説]
1
・Herb Woodley: Dagwood の隣家の主人です。
2
・Tootsie [tútsi]: Herb の奧さんの愛稱です。 Toots [tuts] は「娘さん」「ねえちゃん」「あんた」など女性に對する親しみを表はす呼びかけの米口語ですが、これに愛稱を表はす -ie がついたものでせう)
・chewed out: アメリカのスラングで「(人を)ひどく叱る」「ぼろくそに言ふ」。 out は副詞です。目的語が代名詞でない場合は chewed out~となることが多いのですが、ここでは目的語が代名詞であり、強弱強のリズムの形成から chewed him out となつてゐます。
3
・Would you be angry if I did that?: 接續詞 if を用ゐる假定法過去の文は 「假定法の讀み方 (2)(3)(4)」 (2011年5月25日掲載)に解説や例文があります(ただし(4)(3)(2)の順に表示されます)。
4
・先頭の not: not = I would not be angry
・once we decided which restaurant to go to: once は接續詞として使はれてをり「いつたん~すれば」「~するやいなや」の意味。もとは副詞で、例文の下方に=で示した文から if が消えたものではないかと考へられます。once は現在完了時制が續くことが多いとされます。
160 Once you have driven a Rolls Royce, you will always dream of owning one yourself.
一度ロールスロイスを運轉してしまふと、自分で一臺所有したいといつも夢見るやうになるだらう。
= If you have driven a Rolls Royce once, you will always dream of owning one yourself.
・once we decided which restaurant to go to: decided と動詞が過去形となつてゐるのは、「決める」のを架空のこととして假定法過去で述べてゐるものと考へられます。「どのレストランに行くかいつたん決まればね」といつた意味合ひでせうか。
[意味把握チェック]
1 「可哀さうな Herb Woodley」
2 「Herb が Tootsie に言はずに友達を夕食に連れてきたもんだから、彼女が Herb をこつぴどく叱つたんだよ」
3 「ぼくがそんなことをしたら君は怒るだらうか」
4 「どのレストランに行くかいつたん決まれば怒らないでせうね」