[用例研究 161] 〈假定法-條件節省略⑥〉
(BLONDIE By Dean Young & Stan Drake)
1 Well, folks, do you want to buy one?
1 I can’t decide.
1 Let’s flip a coin.
2 Uh-oh, I don’t have a coin...I’ll have to go get one.
3 What’s keeping him?
3 I’ll go and see.
4 Jeez, what could be taking so long?
[解説]
1
・folk [fouk]: 通例 folksとして複數扱ひし、「人々」の意味。
・one: 單獨で用ゐると、不特定の「ひとつ」「ひとり」
・flip a coin: 裏か表を決めるため、指でコインを彈きあげる。
2
・uh-oh [ʌ́òu]: 「おつと」「あらら」「あれつ」
・go get ~: go get は元々は3コマめのやうに go and ~ として「~しに行く」といふ意味の口語ですが、アメリカ英語ではand が省略されてこのやうな言ひ方になることがあります。
・one: one は 〈a+前出の名詞〉で a coin を意味します。
3
・keep~: 「~を引き留める」
□參考例文:
161.1 I wonder what can be keeping him.
どうして彼は來られないのだらう。
4
・Jeez [ʤí:z]: 「おや」「まあ」「たまげた」
・take: 「(時間、勞力など)を要する」「~を消費する」
□參考例文:
161.2 It took me three days to read through this book.
この本を讀み上げるのに3日かかりました。
161.3 You can take your time.
時間はあるからゆつくりおやりなさい。
・what could be taking so long: ここでの助動詞 can は「可能性」の意味で使はれてゐます。假定法過去の歸結節のかたちで過去形になつてをり、文脈から door-to-door salesman の現在の氣持を述べてゐると解せます。背景には條件がひそんでゐて(例へば「もし時間を要する事情があるのなら」)、「いつたいどんな事情がそんな長い時間を要してゐるんだらうか」といつたほどの意味になるのかと思ひます。假定法由來の婉曲表現につながる文體です。
□參考例文: 「可能性」の canが疑問詞の疑問文で使はれてゐる例です。疑問詞で始まる文で can を [kǽn] と強く發聲すると「驚き・苛立ち・當惑」のニュアンスがこめられることになります。
161.4 What can he be doing?
彼はいつたい何をしてるんだ。
□參考例文: 端的に「過去に可能性があつた」と述べる場合です。「~があり得た」といふ意味を傳へます。
161.5 In those days, a man could be sentenced to death for a small crime.
その當時は、人はちよつとした罪で死刑の判決を受けることがあつた。
□參考例文: 過去の行動について現在の話者の推量を述べる場合は〈can+
have+過去分詞〉のかたちになります。
161.6 He cannot have told a lie.
彼が嘘をついたはずがない(/嘘をついたとは考へられない)。
=It is not possible that he told a lie.
161.7 Where can John have put the matches? He can't have thrown them away.
いつたいどこにジョンはマッチを置いたのだらう。捨ててしまふはずはないから。
[意味把握チェック]
1 「ところであなた方、ひとついかがですか(/購入したいですか)」
1 「決心がつかないね(/きめられないね)」
1 「コインを投げて決めませう」
2 「オヤオヤ、コインが(ひとつも)ないや...(コインを)とりに行かなくちや」
3 「どうして遲いんですかね」
3 「見てくるわ」
4 「おやおや、なんでこんなに遲くなつてるんだらうなあ」