英文讀解自修室

  - in the historical Japanese kana/kanji orthography

・英文讀解のヒント (15) 《動名詞の意味上の主語》

2014-11-12 | 英文讀解のヒント

英文讀解のヒント (15) 《動名詞の意味上の主語》

1  次の英文を音讀または默讀しながら意味をとらへ、下線部については意味を日本語で言つて、または書いてみませう。(※讀み方がわからない語はあとで辭書で調べておきませう)

   A language does not become a global language because of its intrinsic structural properties, or because of the size of its vocabulary, or because it has been a vehicle of a great literature in the past, or because it was once associated with a great culture or religion.  These are all factors which can motivate someone to learn a language, of course, but none of them alone, or in combination, can ensure a language’s world spread.  Indeed, such factors cannot even guarantee survival as a living language ―― as is clear from the case of Latin, learned today as a classical language by only a scholarly and religious few.  Correspondingly, inconvenient structural properties ( such as awkward spelling ) do not stop a language achieving international status either.

(21 東京大學 2012 5パラ; 2012年9月3日掲載)

 

2  下線部の解説

2.1  動名詞の意味上の主語: a language は動名詞 achieving の意味上の主語として前に置かれてゐます。參考例文16.4に該當します。

  動名詞の意味上の主語は名詞・代名詞の所有格を前に置くのが正式な言ひ方ですが、くだけた言ひ方では目的格にすることが多いとされます。ただし、動詞や前置詞の目的語としてではなく、文の主語として置かれる場合は所有格がふつうです。

■諳誦例文

16        Do you mind my making a suggestion?

               ひとつ提案をしてよろしいですか。

  或は

16.2     Do you mind me making a suggestion?

               ひとつ提案をしてよろしいですか。

      ※口語體の場合です。

□參考例文

16.3     John's complaining about this was a form of self-justification.

               ジョンがこのことで不平を言つてゐたのは一種の自己辯護だつた。

      ※主語になる場合です。

16.4     I am looking forward to the truth('s) coming out.

               私は眞實が明らかになる(/知られる)のを心待ちにしてゐる。

      ※無生物の名詞や抽象名詞は ’s をつけないはうが多いやうです。

2.2 動名詞や現在分詞の名稱については、-ing forms といふ用語を用ゐる文法書もあります。例へば Practical English Usage では -ing forms といふ項目で動名詞の解説を展開してゐます(※gerunds / verbal nouns / -ing nouns といつた項目はありません)。Michael Swan はその事情を次のやうに述べてゐます。

The distinction between ‘participles’ and ‘gerunds’ is not always clear-cut, and it can sometimes be difficult to decide which term to use.  For this reason, some grammarians prefer to avoid the terms ‘participle’ and ‘gerund’.(「分詞」と「動名詞」の違ひは明確であるとはかぎらず、ときにどちらの用語を使ふか決めかねることがある。このため、一部の文法學者は「分詞」「動名詞」の用語を避けたがる)

  なほ、同書では、participles(-ing and -ed forms) といふ項目を掲げて ‘present participles’(現在分詞)と ‘past participles’(過去分詞)を解説してゐますが、いづれも過去、現在、未來のことを語るために使はれるから、この名稱はあまり良いものではないと述べてゐます。

 

3  意味把握チェック

  固有の構造特性、語彙數の多寡、すぐれた古典的著作を生み傳へてきたこと、かつて偉大な文化か宗教にむすびついてゐたこと――さういつた理由によつて、ある言語が世界言語になるわけではない。勿論、これら(の理由)はすべて言語習得の動機となりうる要因ではあるが、單獨でも、或は組み合はせても、言語の世界的擴大普及を確實にすることはできない。實際、さうした要因では、生きてゐる(/實際に使はれる)言語として存續することさへ保障できないのである――そのことは、今日極く少數の學者や宗教者が古典語として學ぶラテン語の場合で明らかである。同樣に、不便な構造特性(例へば、厄介な綴り)により、ある言語が國際言語としての地位を達成するのを妨げられることもない。

 

4  意味把握チェックの下線部を參考にして、元の英文に戻してみませう。

 

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