[用例研究 264] 〈不定詞 8 ~enoughに説明補足〉
(BLONDIE By Dean Young & Stan Drake © 1998 King Features Syndicate Inc.)
1 Boss, I came to work without one cent on me...Could you lend me ten bucks?
1 Why, of course...That’s just the sort of thing I’m here for...
2 You’ve known me long enough to know you can always count on J. C. Dithers.
3 Let’s see...Ten dollars at 17% interest...Let’s see now...
[解説]
1
・Why: 間投詞で意外、驚きなどを表はして發する。「おや」「まあ」
・That’s just the sort of thing I’m here for.: 假に、I’m here for the sort of thing.といふ文にしてみると「私はその種のことのためにここにゐるんだ」と解せます。假に、前置詞for(「~のために」)の目的語であるthe sort of thingをまづ言つて、その説明としてwhich I’m here for / for which I’m here と續けると「私がここにゐる目的であるその種のこと」と解せます。文頭のthatはDagwoodの依頼を受けてのことばですから、「借金の申し込みは、私がここにゐる目的であるその種のことだ」と言つてゐるわけです。ここでは「そんなことのためにワシはここにゐるんだ」としてみました。
□參考例文: thing(s) which を關係代名詞whatで言ふ例です
That’s what I’m here for.
それが私がここにゐる目的です(/そのために私がここにゐるんです/それが私の役割です)。
2
・You’ve known me long enough to know~: 「君は~を知るに十分なほど長く私を知つてきてゐる」。long / enoughは副詞です。「十分に長く」と言つて、さらに「何に十分なのか」について不定詞句で説明を補足してゐます。
形容詞にenoughと不定詞句が續く用例については次のリンク先を參照してください。
□参考記事: 用例研究113(Dec. 7, 2012)
□參考例文: 形容詞としてのenoughに名詞と不定詞句が續く例です。いづれの場合も不定詞句が説明を補足してゐることに變はりはありません。
He doesn’t earn enough money to live on.
彼は生活できるだけのお金(/暮しを立てるのに十分なお金)を稼いでゐません。
・count on~: 「~をあてにする」「~に頼る」
3
・let’s see: 「ええと」「どれどれ」。最後のnowは間をおくやうなことばで、あまり意味はないやうに思ひます。
[意味把握チェック]
1 「社長、1セントも持たずに仕事に來たんです…10ドル貸してもらへないでせうか」
1 「おやおや、もちろんだよ…そんなことのためにワシはここにゐるんだ…」
2 「J. C. Dithersはいつも頼りになるとわかるほどに長く(おまへは)ワシを知つてるんだ(/長い知合ひなんだ)」
3 「どれどれ…10ドルに17%の利子で…ええと…」
[笑ひのポイント]
・強慾なDithers社長の面目躍如といつたところでせうか。親切ではあるが決して甘くはないDithers社長の人柄と、能天氣でお人好しのDagwoodの當惑顏が笑ひを誘ひます。長年の知合ひとしながらも、社長の行動は豫測できなかつたことがうかがへます。