[用例研究 288] 〈-ing形 1 -ing形とは〉
(BLONDIE By Dean Young & Stan Drake © 2004 King Features Syndicate Inc.)
1 I’m feeling guilty about being so late to my car pool so often!
2 And I need to do something about it soon.
3 I just can’t keep blaming it on you much longer!
1コマめのfeelingとbeing、3コマめのblamingはどれも語尾が-ingのかたちで、文法書では「現在分詞」や「動名詞」として解説されます。前者は、動詞のはたらきを殘しつつ、形容詞や副詞のやうに、文中で語や文を修飾する(/語や文に説明を補足する)はたらきをします。後者は、動詞のはたらきを殘しつつ、文中で名詞のやうな使はれ方をします。いづれの場合も動詞の名殘をのこしてゐて、動きが感じられることが多く、目的語や他の語句を伴ふこともあります。(※他にinterestingやexcitingのやうに、元の動詞的性質がうすれ、形容詞として扱はれるものがあります。)
また、文法書によつては「現在分詞」「動名詞」ではなく、-ing forms(-ing形)といふ用語を使つて解説するものもあります。Michael Swanは次のやうに記してゐます。
The distinction between ‘participles’ and ‘gerunds’ is not always clear-cut, and it can sometimes be difficult to decide which term to use. For this reason, some grammarians prefer to avoid the terms ‘participle’ and ‘gerund’. (Michael Swan, Practical English Usage. 3rd ed. [Oxford: Oxford University Press, 2005], p. 270.) (※拙譯: 「分詞」と「動名詞」の識別は必ずしも明確ではなく、時にどちらの用語を使ふべきか決め難いことがある。このため、「分詞」「動名詞」といふ用語を避けたがる文法學者もゐる。)
讀解・聽解の立場では、「分詞」「動名詞」の識別よりも、筆者・話者の傳へんとするメッセーヂをなるべく正確に把握することが重要でせう。そこで、不定詞につづく準動詞の解説として、文中でのかたちをもとにした「-ing形」の用語で「動名詞」と「現在分詞」をまとめて扱はうと想を練つてみました。主語の位置、前置詞の後など、文中で置かれる位置に着目して、出現パターンを眺めてゆきたいと考へてゐます。出現パターンがわかると、-ing形のはたらきや意味が把握しやすくなり、發信も容易になるのではないかと想定し、これから20囘内外でそのパターンを紹介して參ります。(※これは上記の想定に基づく便宜的な試みであり、從來の「現在分詞」「動名詞」といふ概念を否定するものではありません。)
[上掲の漫畫解説]
1
・feel guilty about~: 「~について氣がとがめる」。ここではI’m feeling と現在進行形となつてゐます。being は前置詞の目的語として名詞のやうなはたらきをしてゐます。
・car pool: ここでは「交通混雜の輕減、大氣汚染の改善、エネルギー資源の節約などを目的として、複數の通勤・通學者が車に相乘りして交代で運轉手を務める方式」を指します。居住地や目的地が近いことがグループ成立の要件となります。
3
・just: 強調と口調を整へるはたらきをしてゐるやうに感じます。
・keep ―ing: 「―し續ける」。SVに-ing形が添へられ、どういふ行爲をkeepしてゐるのかが、説明として補足されてゐます。
3
・blame~on…: 「~を…の所爲にする」
・much: 比較級longerを強調してゐます。
[意味把握チェック]
1 「カー・プールにこんなにしょつちうひどく遲れることについては罪惡感を覺えてるんだ」
2 「で、そのことについてすぐに何かする必要があるよな」
3 「もうこれ以上君のせゐにし續けることはできないし」
[笑ひのポイント]
・Dagwoodが日頃の遲刻癖を反省するのかと思ひきや、自分の所爲にされてゐたことにBlondieは吃驚し呆れてゐるやうです。