今から30年前の一週間後にあたる1994年5月7日、米国ネバダ州ラスベガスで行われた試合結果です。
WBCストロー級戦(現ミニマム級):
王者リカルド ロペス(メキシコ)判定3対0(119-109、117-110x2)挑戦者ケルミン グアルディア(コロンビア)
*52度プロのリングに上がり、51勝(38KO)1引き分けという素晴らしい戦績を残したロペス。このグアルディアを迎えて行った10度目の防衛戦が、そのほぼ完全なるキャリアの中で一番の苦戦した試合だったのではないでしょうか。
(最軽量級の帝王ロペスを大いに苦しめたグアルディア)/ Photo: BoxRec
当時、「ロペスはサウスポー(左構え)が苦手」という声がよく聞かれました。しかし実際には苦手以前に、サウスポーとの対戦が少なかったため、サウスポーに慣れていなかったというのが妥当でしょうね。
21戦全勝の指名挑戦者グアルディアは、その戦績に反することなくキビキビとしたボクシングを展開する好選手。2回にはサウスポーのワン・ツーからの返しの右フックで、ロペスをバタつかせています。
ロペスには珍しく、パンチの被弾率がそれなりにあり、また自身のパンチが空振りするというフラストレーションが溜まる試合展開が続きます。
そんな中でも好バランスを保ち、辛抱強くボクシングを展開。終盤戦からは挑戦者が疲れを見せるなど、何とか自分のペースに持っていくことに成功しました。
採点結果は大差でロペスが支持されていましたが、多くのラウンドは「どちらかと言えばロペス」というものが続きました。
後半戦ではロペスが右のロングフックを投げるように放つなど、「らしくない」荒っぽいボクシングを展開。右目下を腫らすなど、最後の最後までロペスらしくない試合に終始してしまいました。この試合がロペスにとり、ボクシングの聖地ラスベガスでのデビュー戦に加え、大手ドン キング プロモーションでの初陣戦でもありました。しかし試合内容としては、合格点スレスレと言ったところでしょう。
1987年以降に各団体が新設したストロー級。階級の呼称は各団体で違っており、WBCはストロー級、WBAはミニマム級、そしてIBFはミニフライ級でした。
それまでに同級で二桁防衛が達成されたことが無く、ロペスが最軽量級に新たな1ページを刻むことになりました。苦戦したとはいえ10連続防衛に成功したロペス。ここからどんどんと成長していくのですから、まったくもって恐れ入ります。