キュヴェ タカ/cuvee taka 「酔哲湘南日記」

新鮮な山海の恵みを肴に酒を吞み、読書、映画・音楽鑑賞、散歩と湘南スローライフを愉しんでいる。 

一人花見酒

2019年04月05日 | Weblog
結びを二つ握り、卵焼きを焼き、鳥のももを塩焼きにして、大根の味噌漬け、苺、「桃川」純米吟醸を3合燗して魔法瓶に入れ、吾妻山に向かった。
天気は快晴で日差しが痛いくらいだ、中里口から登ったが、春休みのせいか老人グループだけではなく小さな子供を連れた家族も多く、桜も満開で絶好なお花見日和であった。
頂上に出ると、相模湾がコバルトブルーに輝き、それを背景に染井吉野が光り輝いていて、このコントラストがいいんだよね、ここは。
真南の吾妻神社のところには森があり相模湾の視界が遮られていて、東の三浦半島から房総半島と西の真鶴半島から伊豆半島が両方見渡せる高いところに腰を据えて、桃川を太宰府門前町の窯で買った紫の湯飲み茶わんに注ぎ呑みだした。
何故かこの湯飲み茶わんが外で酒を呑むときにはいい。
穏やかな相模湾に漁船が浮かび、森には鶯や四十雀の囀り、甘露甘露という意外に云いようがないのんびりとした穏やかな気分、肴をつまみながら小一時間贅沢な時間に浸った。
弁当と酒の準備に30分、頂上まで穏やかな坂道を歩いても40分、飲み食いに小一時間費やし、帰りは家まで20分だから、この一人花見酒は2時間ちょっとのお手軽企画ながら、得られる感興は大きい。
隠居生活ならではの贅沢だなあと思う。

帰りに家族の皆さんにシュークリームを土産に買った。

1時前に着き、アールグレイを淹れて母の居間でプレシネを観た。
「Hell is for Heroes」1962年 米映画、第二次世界大戦末期のジークフリート線での攻防、ドイツ軍のトーチカを攻略するのに、主演のスティーヴ・マックイーンが自爆する結末だが、歩兵ってのは、その何割かは死傷するのを覚悟で弾丸が雨降る中、集団で突撃するのだが、いやなもんだろうね。
暴力を描いたものであったが、変に大げさじゃなく緊迫感があって面白かった。


4時に知人と大船で待ち合わせたので、必要書類を印刷して東海道線で出かけた。
少し前に着き、構内の本屋で本を眺めていたら娘に声を掛けられた。
鎌倉でのバイトの前に知人に紹介することになっていて、同じ場所で待ち合わせたのだが、本屋を眺めるという習慣があるというのは見込みがある。
連れだって待ち合わせ場所へ移動したが、知人は既にそこにいた。
知人が知っている店が4時からやっているとのことで、喫茶店で打ち合わせてからという事だったが、いきなりそこで飲みながら打ち合わせをすることにした。
早稲田の同輩の息子が開いたおでん屋だと聞いていたが、中々いい刺身を出す居酒屋で、各地の酒が揃っていた。
ビールで久々の再会を祝し乾杯、鯛の刺身を取って地酒を3種類三合呑んだら、さすがに昼酒が利いていてそれ以上呑めなくなった。
娘は鎌倉で仕事があるので小一時間で帰ったが、知人は目の手術をして酒を禁じられており、多少ビールを飲んだが、お互いの安寧を考え6時にお開きにした。


店の前で別れ、知人は駅へ、僕はBOまでぶらぶらと春の宵の大船を逍遥した。
ところどころに染井吉野が咲き、春宵値千金だったっけ、その感じ良く分かるなあ。
かつては松竹大船撮影所があり、そこいら辺を女優が歩いていたりしたと思われるが、こんな宵に原節子でも見かけたらいかばかりだったろうなあ。

BOでは1時間ばかり本を眺め2冊購入。
小沢昭一「なぜかもああ更けてゆく」随筆隋談選集6 晶文社 2004年
このシリーズは多分2冊3と4を持っている。
割と高額、2,400円だったので発売時には買わなかったが、古本で見かけると集めている。
どの巻を持っているのかあやふやなので揃えるのに時間が掛かっている。
この人の本はとにかく面白いですよ。

佐野眞一「奇人巡礼怪人礼讃」毎日新聞社2010年
よく見かける本だが、ある時からこの人の本を敬遠するようになった。
何らかの理由があったはずだが、忘れてしまった。
「旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三」「甘粕正彦 乱心の荒野」「阿片王 満州の夜と霧」を興味深く読んだのだが。
過去に本にした主人公の脇役の人生の素描だが、脇役ってのが実は面白いんだよね。


多分7時過ぎの電車に乗ったと思うが、茅ヶ崎で下車して久し振りに聡のところへ寄るつもりだった。
8時の開店には時間があったので茅ヶ崎BOにも寄ってみた。
ここで思わぬ収穫があった。

高坂正尭「文明が衰亡するとき」新潮選書 1981年発行 2004年53刷
最近改版されて文字が大きくなっているはずなんだけど、こうやって巡り合えたんだから買って置かないとね。
これを見つけたので気分が良くなり、以下の3冊はその勢いで買ってしまった。

鈴木尚之「私説 内田吐夢伝」岩波書店 1997年
これは岩波現代文庫になっているので入手容易な本だが、単行本は厚くて重く存在感がある、紙の本の価値ってこういう所なんだよなあ。
だけど寝ながら読む僕には不向きな本なんだよね。
内田吐夢っていえば「飢餓海峡」


「枕草子」日本の古典を読む8 小学館 2007年
昔から古典ではこの枕草子と徒然草が好きだったなあ、言文と現代語訳が交互に出ていて読みやすいんだよ、こういったのを高校の時に持ってれば、今頃どんな古典でも読めたんだろうになあ。

丸谷才一・山崎正和対談11選「半日の客 一夜の友」文芸春秋 平成7年
この二人の対談は「日本の町」を持っている。
山形の田舎のオジサン然とした丸谷が何となく好きでエッセイを中心に読んできたが、小説は買ってあるが読んでない。
山崎正和はほとんど読んだことが無いなあ。


8時少し前に聡のところへ行き、、酔い覚ましにビールを飲み、茹で雲吞をつまみ、〆にラーメンを食べた。
聡のさっぱりした拉麺は呑んだ後には絶品だ。



コメント
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