キュヴェ タカ/cuvee taka 「酔哲湘南日記」

新鮮な山海の恵みを肴に酒を吞み、読書、映画・音楽鑑賞、散歩と湘南スローライフを愉しんでいる。 

湯豆腐

2008年02月15日 | Weblog
この時期の湯豆腐というものは実に美味い。料理が簡単でしかも安い。燗酒の味わいを一味上げるというおまけまでつく。その湯豆腐ですが、まず無くてはならないのが美味い豆腐、これは各地区に朝早くから勤勉実直に手造りで国産大豆を使って丁寧に仕上げている豆腐屋がまだいくらか残っているはずで、多少遠くても労を厭わずそういったものを買い求めれば、この料理の成功は半分約束されたようなものです。お足の心配、手作りだろうが国産大豆だろうが所詮は豆腐、一丁一万円も取られることはありえません。せいぜい数百円というところ、そこが一級品の豆腐といえども気取らない粋なところ。次に昆布、利尻と言う人も居れば羅臼という人もおりますが、あまり銘柄にこだわらなくても一切れ入れて充分時間をかけて、旨みを抽出するほうが大切。水はミネラル分が多いものがニガリと相乗効果を発揮し豆腐にまるみを帯びさせると言う人もおりますが、カルキ臭い水でなければ良しとし、さて湯の中に立てるタレ薬味つぼの中身、私の場合は醤油、酒、鰹節、葱を入れます。

こんなものが用意できましたら、肉の火入れ同様豆腐にストレスをかけないように熱を入れて行きます。人それぞれの好みなんでしょうが、豆腐の芯に火が入った正にその時にタレを掛け、まずは一片の快楽を味わいます。すぐさま先ほどよりほんの少し火が入った次の一片にかかり、その味わいの変化を楽しみます。漸くここで人心地し、猪口に手を伸ばし、しみじみと米の味わいを楽しみ、良くぞ日本に生まれけりを実感するわけです。

尚、湯豆腐用の桶なんかあればより情緒が増しますし、猪口に注ぐ手に白粉なんぞがあればさらに情緒が増します。しかしながら桶は高価な上に炭を熾すのに手間が掛かりますし、白粉の手の方も高価な上に扱いが難しい欠点もあるため、卓上コンロと土鍋、手酌で済ましているのが実情です。
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