▼髭づらで、ちょっぴり太っちょの葉加瀬太郎さんとは対照的な、小さなヴァイオリンが、元気いっぱいの音を響かせる「情熱大陸」のテーマ曲が大好きだ。セリーヌ・ディオンとも共演する葉加瀬さんの演奏は、地球から宇宙へ響き渡るような迫力がある。まるで地下のマグマが燃えたぎっているような、閻魔大王もお気に入りの、異色のアーティストではないだろうか。
▼中秋の名月が輝く昨日、町会の高齢者を引率し(自分も高齢者)「町会秋の芸術鑑賞会・金剛山歌劇団函館公演」に出かけた。金剛山歌劇団は、昭和30年に日本で設立され、全国を公演している。資金の一部が北朝鮮に送金されるようなので、昨今の政治情勢下では、公演を拒否する自治体も出てきているという。オリンピックなどと同様、芸術活動も、国家の思惑に利用されることなく、自由な活動ができ、その真価が発揮して欲しいものだ。
▼スポーツも芸術も、国を代表するものには「国威発揚」という、ある種の国家主義が付きまとう。金剛山の公演も、自国の歴史に誇りを持ち、それが芸術として美しく花を咲かせているというのは、ひひと伝わってくる。その意識を超え、芸術の神髄を見極める鑑賞眼を持つのも、観る側に期待されるものではないかと思う。毎回公演を観て感じるのは、南北が統一され、平和が戻ってきてほしいとの熱いメッセージを、私は感じている。
▼参加者33名には、会場に向かうバスの中で、北朝鮮と日本の歴史的関係について大まかに説明し、そんな歴史もふまえて、鑑賞してほしいと挨拶をした。
▼今年も迫力満点の美しい舞台に、観客は感動していた。中でも、なんという楽器かわからないが、トランペットとトロンボーンを合わせたような、小さな楽器での「情熱大陸」の演奏に、観客は会場割れんばかりの拍手を送っていた。
▼舞踊団が心に抱く情熱大陸は、南北が統一され、周囲の国々と友好を深め、国民が平和で自由な芸術活動ができる、そんな情熱大陸の誕生を望んでいるように思えた。
▼昨年以上の、終演での大きな拍手は、舞踊団の祖国に、真のの平和が戻ってほしいとの、函館市民のエールに私は思えて、目頭が熱くなった。