元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

オーディオむかし話/消えた規格

2006-03-11 17:46:28 | プア・オーディオへの招待
 気分が乗ったので、引き続きオーディオねた行きますw。

 私の実家に置いてあるメイン・システムは、もちろん社宅のサブ・システムよりはカネがかかっているが、しょせんこれも安物でしかない。でも、オーディオ歴自体はかなり(無駄に)長い(爆)。その間、現在では考えられない珍品も目にしたことも少なくなく、それを思い付く限り書き連ねてみます。

 私の子供の頃だったか、音響業界では「4チャンネルステレオ」というものが持て囃されていた。通常の2チャンネルにプラスして後方に2個スピーカーを設置するという、まあ今で言うサラウンドのはしりみたいなものだが、とうとうメジャーにはならずに数年で消滅したように記憶している。

 その理由は明らかで、4チャンネルステレオには方式が何と3つもあり、それぞれまったく互換性がないまま同時発売されてしまったからだ。ただし3方式とはいっても、レコーディング時点から完璧に4チャンネルで仕上げてあったのは1方式のみ(ビクターのCD-4)、あとは作成プロセスの中に従来の2チャンネルステレオのメソッドが入り込む「なんちゃって4チャンネル」でしかなかったのだ。

 しかも、当時の主要ソフトはアナログレコード。所詮は音源をレコード針で拾う方式なので、チャンネルを4つも完璧にトレースしようなんて無理な注文。ピシッと4つのスピーカーに向けて信号を分離させるには4チャンネル用のオープンリール・テープレコーダーで専用ソフトを再生するしかなかった。もちろんオープンリール・デッキは高価だし、取扱も面倒。ソフト(当然、オープンリール・テープ)も安くはない。廃れるのは必定だったろう。

 しかし、この動きによってアンプ等の性能が上がったというのも事実らしいので、まったくの無駄骨とは言えないのかもしれません。レコーディング技術面でも貢献したとか。ちなみにピンク・フロイドの「狂気」というロックの名盤がありますが、あれは4チャンネルステレオ用に録音されていたというのは有名な話。

 対して、無駄骨以外の何物でもない方式も存在しました。確か70年代の半ばだっただろうか。ソニーが「エルカセット」という規格を提案したことがある。従来のカセットテープより高性能の録音メディアとして登場したものであるが、要するにテープの幅を広げて、カセット自体も大きくしたという、安直極まりない方法論でした。当然、追随するメーカーは皆無。ソニーはこの頃から手前勝手な規格を向こう見ずに市場に投入して失敗することが目立っていました(笑)。

 カセットテープで思い出したけど(カセット全盛時を経験した人は誰でも知っていると思うが)カセットテープには3つのポジションがあった。ひとつが一番安価なノーマル、別名タイプ1、ラジカセ用にバンバン使われた商品です。ふたつめがハイ・ポジション、クロームとも言います。磁性体にクロームなどを使用し、ノーマルより高音質を謳ったものです。これがタイプ2。そして高価で音質も良かったのがメタル・ポジション、これは確か70年代後半から出てきたと記憶しています。別名タイプ4です。

 ・・・・ここまで書いてくると「おい、タイプ3が抜けているじゃないか!」という突っ込みが入るだろうが、実はタイプ3というのもちゃんと存在していた。だが、メジャーにならずに早期に立ち消えただけの話。タイプ3はフェリクローム・ポジションといい、開発したのはもちろんソニー(爆)。タイプ2よりも高音質だというのが謳い文句で、事実音は良かったんだけど、なぜかノーマル・ポジションと中途半端に互換性があってマーケティング的に差別化が図りにくく、メタル・ポジションの商品化も取り沙汰されていたこともあって、結局追随したのはデンオンとスコッチの2社のみ。国内大手のTDKやマクセルは見向きもせず、文字通り「幻のポジション」となっとしまったのであった(-_-;)。

 あと、カセットテープ録音時にヒスノイズを低減させるための「ノイズリダクション・システム」も百鬼夜行の感がありました。ドルビーCタイプをはじめとして、アドレスだのdbxだの、いろいろな方式が提案され、もちろん互換性はゼロ(爆)。時を待たずしてほとんどが消滅しました。そうこうしているうちに、カセットテープは歴史的役目を終えつつあります(考えてみれば感慨深い)。

 こういうネタを書き始めるとキリがないので本日はここまで。また気が向いたら取り上げます。

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