元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

再度、消費税率アップについて考える。

2006-01-11 06:53:25 | 時事ネタ
 1月7日の書き込みに対するコメントに答えると共に、消費税増税についてもうちょっと述べてみたい。

滋さんsaid
>私は直接税を限りなく0にすることと、歳
>出の無駄を乾いたぞうきんをしぼるように
>した上で、消費税率を30%にしたらいい
>のではなかろうかと考えています。
>無謀ですかね?????

 実を言うと私は税制全般については詳しくないので、直接税と間接税、どちらをメインした方が国家財政と国の経済マクロは安定するのか、そういうことを学術的に論ずる資格はない(汗)。ただしこれだけは言える。少なくとも日本の場合、実際的には直接税の比率が高い時期の方が景気は安定していたのである。

 90年から始まったバブルの収束は、最高所得税率を75%から50%へ引き下げ、同時に3%の消費税を導入したことから始まったと考えて良い。さらに98年には最高所得税率が50%から37%にダウンし、それと共に消費税率が5%になった。結果どうなったかは言うまでもないだろう。

 国の経済が安定するにはマクロ的な需要が常時十分存在することが不可欠である。消費税率がアップすると一般ピープルの消費需要は低減する。ならばそれをカバーするように「金持ち層」がバンバン消費を増やすのだろうか。

 ハッキリ言って、金持ちほどケチではないのか(爆)。

 昔、土光臨調なるものが持て囃された。土光会長が贅沢な食生活には縁がなく、メザシを食べる姿にみんな感心していた。ところが実際彼は当時某大企業の会長職に就いており、相当な金持ちであったのだ。金持ちならば金持ちらしく、ハデに消費すればいいと思ったものだが、誰も表だってそういうことは言わなかった。それどころか「あんなに金持ちなのに質素倹約に励むのは、立派なことだ」という論説がまかり通っていたのだ。

 欧米ではどうか知らないが、日本では「金持ちの倹約」が美徳とされるらしい。たとえ本人が「カネ持ってるからハデに使いたい」と思っても、世間が許さない。たぶんテレビの特番で取り上げられる「金持ちの豪邸」なんていうネタに該当する富裕層はごく一部だと思う。

 さて、こういう消費構造で「直接税を限りなく0にして、消費税率を30%に」したらどうなるか。金持ち層は(ケチだから)所得減税で手取りが多くなった分をなかなか消費に回さない。他方、一般ピープルは物価の割高感により消費を減らす。つまりは消費性向の高い貧乏人から消費性向の低い金持ちへゼニが移動するだけだ(そしてそのゼニは金融機関の金庫で眠るだけ)。よって総需要の冷え込みにより景気は低迷するってわけだ。

 ならば一般ピープルがモノを買わないのなら、輸出で儲ければいいという話も出るかもしれない。しかし外需のGDPに占める割合はわずかである。しかも、輸出攻勢をかけ過ぎると中長期的には円高圧力になって跳ね返ってくるというのは国際金融の常識だ。

 マスコミをはじめ、多くの人たちの認識は「財政収支を改善させるには、歳費削減と増税しかない」というものだろう。実はこれが違うのだ。単純に考えればよい。たとえばある企業が経営不振に陥っている時、経営者はどうするか。まっさきに経費削減と販売単価値上げだけを考える者なんていないだろう。まずは売り上げアップを目指すはずだ。経費の削減は次善策。ましてや商品の値上げなんかすればアホと言われるだけだ。財政収支も同様で、最初は売り上げアップ(景気浮揚による税収増)を図るのが本筋ではないのか。中身を考えない(金額面だけに着目した)経費削減はスマートではなく、商品の値上げ(税率を上げる)など愚の骨頂であろう。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「ポストマン・ブルース」 | トップ | 「深紅」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

時事ネタ」カテゴリの最新記事