84年作品。「おくりびと」で米アカデミー外国語映画賞を獲得した滝田洋二郎監督のピンク映画時代のシャシンで、系列としては「真昼の切り裂き魔」と同じくサスペンス路線に属する。出来としては「真昼の~」には及ばないが、これはこれで切れ味鋭く見応えはあると思う。
女子高生に乱暴しては殺害する凶悪犯を描いた「連続暴姦」なる映画を上映している劇場の映写技師は、映画を観て慄然とする。なぜなら、これは彼自身が過去に犯した殺人事件とまったく同じシチュエーションで撮られていたからだ。事件そのものはもうすぐ時効だが、誰かが目撃していて映画の脚本として仕立て上げたのである。
彼はシナリオを書いたという女性を付け狙うが、書き手としてはこの映画を世に出すことによって(捜査当局よりも先に)真犯人をあぶり出そうという意図もあったのだ。双方の情念が交錯する中、事態は意外な方向へと進み出す。
とにかく、犯人役の(若い頃の)大杉漣が凄い。今よりも痩せているが、人間性の欠如したギラギラとした暴力性は観客の目をとらえて放さない。特に誰もいない映画館の客席で凶行に及ぶシーンは、殺伐としたオーラを全身から発散させて圧巻である。
滝田洋二郎の演出は緩急を付けた職人芸。ラストの対決場面はけっこうスリリングだし、絡みのシーンの粘着度はさすが凡百の監督とは一線を画するものがある。ヒロイン役は滝田監督とはよくコンビを組んでいた織本かおる。正直それほどの美人ではないのだが、身体のキレは良く活劇シーンを難なくこなす。即物的なワイセツ度も及第点で、ベッド脇の照明を付けたり消したりしながらの濡れ場はなかなか見せる。
一般映画に転身してからの滝田監督はこういった本格サスペンスを撮っていないが、アカデミー賞受賞で有名になった今こそ、じっくり腰を据えてこのジャンルを開拓して欲しいものである。
女子高生に乱暴しては殺害する凶悪犯を描いた「連続暴姦」なる映画を上映している劇場の映写技師は、映画を観て慄然とする。なぜなら、これは彼自身が過去に犯した殺人事件とまったく同じシチュエーションで撮られていたからだ。事件そのものはもうすぐ時効だが、誰かが目撃していて映画の脚本として仕立て上げたのである。
彼はシナリオを書いたという女性を付け狙うが、書き手としてはこの映画を世に出すことによって(捜査当局よりも先に)真犯人をあぶり出そうという意図もあったのだ。双方の情念が交錯する中、事態は意外な方向へと進み出す。
とにかく、犯人役の(若い頃の)大杉漣が凄い。今よりも痩せているが、人間性の欠如したギラギラとした暴力性は観客の目をとらえて放さない。特に誰もいない映画館の客席で凶行に及ぶシーンは、殺伐としたオーラを全身から発散させて圧巻である。
滝田洋二郎の演出は緩急を付けた職人芸。ラストの対決場面はけっこうスリリングだし、絡みのシーンの粘着度はさすが凡百の監督とは一線を画するものがある。ヒロイン役は滝田監督とはよくコンビを組んでいた織本かおる。正直それほどの美人ではないのだが、身体のキレは良く活劇シーンを難なくこなす。即物的なワイセツ度も及第点で、ベッド脇の照明を付けたり消したりしながらの濡れ場はなかなか見せる。
一般映画に転身してからの滝田監督はこういった本格サスペンスを撮っていないが、アカデミー賞受賞で有名になった今こそ、じっくり腰を据えてこのジャンルを開拓して欲しいものである。