元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「アイアンマン3」

2013-05-06 06:16:35 | 映画の感想(あ行)

 (原題:IRON MAN 3)楽しめた。題材とテーマはけっこう重いものがあるが、主人公の飄々とした造型および人を食ったユーモア精神により、ヒーロー物の領域を踏み外さずに万人にアピールする出来に仕上がっている。

 異次元宇宙からの侵略者と戦った「アベンジャーズ」から時が経ったが、アイアンマンことトニー・スタークはいまだにその精神的打撃から回復していなかった。不眠症とパニック障害に悩まされ、それを振り払うかのように新型アイアンマンスーツの開発に没頭する。そんな中、アメリカ各地で爆弾テロが発生。下手人は“マンダリン”と名乗るアラブ系過激派のようだが、そのバックにいるのは過去にスタークと因縁があった謎の科学者らしい。その魔の手は恋人のペッパーや大統領にまで及び、アイアンマンは疲れた身体にムチ打って難敵に挑む。

 最近は「ゼロ・ダーク・サーティ」や「アルゴ」などのアメリカ万歳映画が目立つが、明らかに本作はその対極にある。悪役の一人は中東への従軍でメンタル面で障害を負った者であるし、ラスト近くに明かされる黒幕は、VIPでありながら密かに世界各地でのアメリカの所業に疑問を抱いている者だったりするのだから驚かされる。

 くだんの科学者にしても、スタークの心ない言動が悪の道に突き進むきっかけとなったことは確かで、そのため主人公は悩むことになるのだ。このように物語を取り巻く状況はけっこうヘヴィだが、そこは必要以上に深くは突っ込まない。深刻ぶって自滅した「ダークナイト」シリーズの轍は踏んでいないのは賢明だ。

 実を言えばこのシリーズを観るのは今回初めてだ。パート1もパート2も未見である。しかしながら、この映画は単品としても良くまとまっており“アメコミのファン以外はお断り”みたいな取っつきにくさがないのは嬉しい。トニー・スタークは窮地に追い込まれてはいるが、どことなく楽天的だ。彼自身が天才的な発明家だということもあり、偶然知り合った少年から励まされるままに取り敢えず必要なものを自作してしまうあたりは笑った。

 監督シェーン・ブラックはアクション演出にキレがあり、アイデアの豊富さで観る者を退屈させない。ラストの大立ち回りなんか、これでもかというような重層的な段取りが用意されており、思わず手に汗を握ってしまう。主演のロバート・ダウニー Jr.は好調で、カリスマ的なヒーローとしての側面と、単なるスケベ中年との顔とを上手くブレンドさせている(笑)。相棒役のドン・チードル、敵役のガイ・ピアーズやベン・キングズレーも良い。

 でも何といってもオイシイ役どころはペッパーに扮するグウィネス・パルトロウだろう。スタークの“代打”で一時的にアイアンマンスーツを装着するだけではなく、終盤には思わぬ“大活躍”もある。ハッキリ言って私は彼女が好きではないが、今回に限っては“例外”であろう(笑)。長いエンドロールの後にエピローグと「アベンジャーズ」の面々が活躍する“予告編”まであり、当分このシリーズは見逃せそうもない。

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2 コメント

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Unknown (季節の小箱 こうじ)
2013-05-06 17:53:59
まだ、見ていませんが、
アイアンマン1を偶然
(3の宣伝のためにやったのかな(^_^)v)
デレビで見ました。
闘う理由付けはちゃんとしているのに、バットマンのように、深刻にならないところが、この映画のよいところですね。(バットマンも好きですけど)
1のファーストシーンで、これは、いける映画だと思いました。最後まで面白かったです。
妻がこの手のものが嫌いなので、
3は劇場に見に行けるかどうか、わかりません。

まったく関係なくて済みませんが、
ONKYOのC-7070とCECのCD3800
どちらがよいでしょう。
ONKYOのC-7070の方が発売が新しく、
CECのCD3800は、安いブルーレイレコーダーからのデジタル入力が試せそうで魅力があります。

アンプ ONKYO A-1VL
スピーカー YAMAHA NS-1000M で、
邦楽、洋楽のポップス中心、
楽器の分離がよくて、
ボーカルの焦点が締まっている(そこに口があるみたいな)のが、好きです。
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コメント、ありがとうございます。 (元・副会長)
2013-05-07 07:05:15
「アイアンマン3」は、グウィネス・パルトロウの“大活躍”に接することが出来るだけでも、観る価値はあると思います(笑)。こういえばTVシリーズの「glee」に彼女はたまに出ていましたが、歌も上手いですね。

さてCDプレーヤーの件ですが、解像度重視ならばC-7070でしょう。CD3800は聴感上のハイファイ度を追求した製品ではなく、独特の温度感で聴かせるモデルです。個性的な音色で好みに合えば良いのですが、そうじゃなかったら除外した方が良いです(また、このメーカーの製品は初期不良もときどきあると聞きます)。

でも、個人的な意見を述べさせてもらうと、A-VLとNS-1000Mが相手ならば上位のC-7000Rか、あるいはROTELのRCD-1520などがふさわしいと思います。“音の入り口”ってけっこう大事ですから・・・・とはいっても御予算というものがあるので、私の話は聞き流してください。

それでは、今後ともどうかよろしくお願いします。
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