これは参った。今どき“こういう映像”や“こういう作劇”をオシャレだと思っている作家がいて、そんなスタンスを“そのまま”映画にしてしまったプロデューサー陣も存在しているという事実に接すると、まさにアイスクリームを急に食べた際の頭と奥歯がキーンと痛む現象と似た、愉快ならざる症状を覚える(意味不明 ^^;)。とにかく、評価のしようがない作品だ。
都内の美大を卒業してデザイン会社に就職した常田菜摘は、社風に馴染めず数年で退社。現在は渋谷のアイスクリーム店でアルバイトをしているものの、将来の展望は開けない。ある日菜摘は、店に入ってきた若い女性客に強い印象を受ける。彼女は作家の橋本佐保で、その独特のオーラに菜摘は心奪われてしまう。
一方、アイスクリーム店の近所に住むOLの高嶋優の元に、姉の娘である高校生の美和が急に訪ねてくる。彼女は夏休みを利用して、数年前に出て行った父を探しに上京したという。成り行きで美和との共同生活に突入した優だが、実は優は昔、美和の父をめぐって姉とライバル関係にあった。川上未映子の短編小説「アイスクリーム熱」(私は未読)の映画化だ。
菜摘と佐保の関係はまったくの絵空事。何かあるようで、実は何もない。同性愛的なテイストも匂わせるが、突っ込んだ描写は皆無。だから、話に求心力が出てこない。同じ店で働く貴子は何かと菜摘のことを気に掛けているようだが、具体的に何をしたいのか分からない。聞くところによると原作では佐保のポジションにいるのは男性とのことだが、わざわざ変更した意図は見いだせない。
優と美和のエピソードは菜摘たちのそれよりいくらか分かりやすい。ただ面白いかと言われればそうでもなく、盛り上がりに欠けたまま推移。せいぜい優が行きつけの銭湯を買収するの何のという話が挿入される程度だ。斯様にストーリーは微温的に進むだけなのだが、エクステリアはヘンに気取っている。奇を衒ったようなスタンダード・サイズの画面にパステル調の色合い。カメラワークは決まらずカッティングも恣意的に過ぎるのだが、撮っている側は“こういうのがイケている”と思い込んでいるフシがある。
監督はアートディレクターの千原徹也なる人物で、これが初演出とのこと。悪い意味で“なるほどなァ”と納得するような出来だ。吉岡里帆にモトーラ世理奈、安達祐実、MEGUMI、松本まりかとキャストは多彩ながら大した仕事はさせてもらっていない。貴子に扮する詩羽は音楽ユニット“水曜日のカンパネラ”のヴォーカルだが、彼女でなければならない必然性は希薄。ついでに言うと“水曜日のカンパネラ”の前任ヴォーカルのコムアイも出ており、作者がこのユニットのファンであることは窺えるが、それが映画的にどうだという話でもない。
都内の美大を卒業してデザイン会社に就職した常田菜摘は、社風に馴染めず数年で退社。現在は渋谷のアイスクリーム店でアルバイトをしているものの、将来の展望は開けない。ある日菜摘は、店に入ってきた若い女性客に強い印象を受ける。彼女は作家の橋本佐保で、その独特のオーラに菜摘は心奪われてしまう。
一方、アイスクリーム店の近所に住むOLの高嶋優の元に、姉の娘である高校生の美和が急に訪ねてくる。彼女は夏休みを利用して、数年前に出て行った父を探しに上京したという。成り行きで美和との共同生活に突入した優だが、実は優は昔、美和の父をめぐって姉とライバル関係にあった。川上未映子の短編小説「アイスクリーム熱」(私は未読)の映画化だ。
菜摘と佐保の関係はまったくの絵空事。何かあるようで、実は何もない。同性愛的なテイストも匂わせるが、突っ込んだ描写は皆無。だから、話に求心力が出てこない。同じ店で働く貴子は何かと菜摘のことを気に掛けているようだが、具体的に何をしたいのか分からない。聞くところによると原作では佐保のポジションにいるのは男性とのことだが、わざわざ変更した意図は見いだせない。
優と美和のエピソードは菜摘たちのそれよりいくらか分かりやすい。ただ面白いかと言われればそうでもなく、盛り上がりに欠けたまま推移。せいぜい優が行きつけの銭湯を買収するの何のという話が挿入される程度だ。斯様にストーリーは微温的に進むだけなのだが、エクステリアはヘンに気取っている。奇を衒ったようなスタンダード・サイズの画面にパステル調の色合い。カメラワークは決まらずカッティングも恣意的に過ぎるのだが、撮っている側は“こういうのがイケている”と思い込んでいるフシがある。
監督はアートディレクターの千原徹也なる人物で、これが初演出とのこと。悪い意味で“なるほどなァ”と納得するような出来だ。吉岡里帆にモトーラ世理奈、安達祐実、MEGUMI、松本まりかとキャストは多彩ながら大した仕事はさせてもらっていない。貴子に扮する詩羽は音楽ユニット“水曜日のカンパネラ”のヴォーカルだが、彼女でなければならない必然性は希薄。ついでに言うと“水曜日のカンパネラ”の前任ヴォーカルのコムアイも出ており、作者がこのユニットのファンであることは窺えるが、それが映画的にどうだという話でもない。