元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「エンド・オブ・ロード」

2022-10-07 06:22:21 | 映画の感想(あ行)

 (原題:END OF THE ROAD )2022年9月よりNetflixにて配信された、ロードムービー仕立てのサスペンスドラマ。たぶん劇場で鑑賞したならば物足りなさで釈然としない気分で劇場を後にしたかもしれないが、テレビ画面だとちょうど良い。深みは無いが視聴者を退屈させないだけのモチーフは取り揃えており、上映時間も91分とコンパクトにまとめられている。

 ロスアンジェルスに住むブレンダは夫を亡くし、生活も困窮してきたため2人の子供と弟のレジーと共にテキサス州に引っ越すことを決める。ところが、目的地に向けて車を走らせる一同が泊まったモーテルの隣の部屋で殺人事件が発生。ブレンダは目撃者として警察の事情聴取を受けた後にその場を離れるが、何とレジーが現場のクローゼットに隠されていた大金を失敬していた。その金は地元アリゾナ州で悪名を轟かせていた大物ギャングのものだった。たちまち一家は悪者どもからの追撃を受けるハメになる。

 ブレンダは一見普通のオバサンだが、実は腕に覚えがあったり、レジーの行動が後先考えない無謀なものであったりとか、やや強引な筋立てが気になるところだ。しかし、一家に降りかかる災難がスピーディーに繰り出され、飽きさせない。特に、長男が誘拐されてそれを助けに行こうとするブレンダが、途中で別のトラブルに遭遇してしまうあたりの焦燥感はよく出ていた。終盤に明らかになる敵の親玉の正体も効果的だ。

 それにしても、ちょっとしたことで厄介事に巻き込まれるアメリカの田舎は実にリスキーな世界だ。これが都市部ならば常識を持ち合わせた者が少なくないのだろうが、主要幹線道路を少し外れた過疎地域では、ワイルドな所業が今でも横行している。足を運ぶ際は気を付けたいものだ(いや、たぶんそんな機会は無いと思うけど ^^;)。

 ミリセント・シェルトンの演出は安全運転に徹し、突出した部分は無いが堅実だ。ラストの扱いも気が利いている。主役のクイーン・ラティファは好演。レジーに扮するクリス・“リュダクリス”・ブリッジスとのコンビネーションも良好だ。マケイラ・フェイス・リーやフランシス・リー・マッケイン、ショーン・ディクソンといった脇の面子も及第点。超ベテランのボー・ブリッジスの姿が久々に見られたのも良かった。
コメント
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