元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」

2020-04-13 06:37:05 | 映画の感想(は行)
 (原題:BIRDS OF PREY (AND THE FANTABULOUS EMANCIPATION OF ONE HARLEY QUINN) )決して上等な作品だとは思わないが、件のコロナ禍で世の中が暗鬱な空気に包まれ、新規に封切られる映画の本数も目に見えて減ってきた昨今、本作のように何も考えずにスクリーンに向き合える単純明快な活劇編を観ていると、心の底からホッとした気分になる。本来、映画鑑賞とはそんな憂さ晴らしの効用も大きいのだ。

 悪の帝王ジョーカーと破局したハーレイ・クインことハーリーン・クインゼルは、今までジョーカーの後ろ盾があって手を出せなかった悪党どもから一斉に命を狙われるようになる。さらに、ゴッサム市警のレニー・モントーヤ刑事も執念深く彼女を追いかける。一方、ゴッサム・シティでは怪人ブラックマスクことローマン・シオニスが悪の限りを尽くしていた。彼の次のターゲットは、マフィアであるバーティネリ家の巨額の遺産である。



 その隠し資産の在処を記したダイヤの在処を突き止め、一度は手にしたローマンだが、スリの少女カサンドラ・ケインにダイヤを盗まれてしまう。ローマンに捕まって“今夜12時までにダイヤを取り返せば見逃してやる”と脅されたハーレイだが、もとより彼に従う気など無く、レニーや特殊な声を持つブラックキャナリー、凄腕の暗殺者ハントレスらと共闘してローマンに立ち向かう。

 キャシー・ヤンの演出は文字通りマンガチックで賑々しいが、メリハリは感じられずテンポも良くない。話自体は中盤がごちゃごちゃして分かりにくく、終盤の対決シーンに行き着くまでがまどろっこしい。しかし、キュートで極悪なヒロインのハーレイが仲間と共に暴れ始めると、画面が活き活きと弾んでくるのだ。

 「スーサイド・スクワッド」(2016年)では映画の出来が悪かった分、彼女の存在がスポイルされた感があったが、この映画は彼女が主役であり、目覚ましい無双ぶりを発揮する。格闘シーンは凄みは希薄で一種のスポーツみたいな印象を受けるが、脳天気な作風にはマッチしている。他のキャラクターも十分に“立って”おり、それぞれに見せ場が用意されている。



 主演のマーゴット・ロビーは絶好調で、あの御面相が役柄にピッタリ。まさに迷いの無い怪演だ。メアリー・エリザベス・ウィンステッドにロージー・ペレス、ジャーニー・スモレット=ベルといった他の面子も実に“濃い”。おかげでブラックマスク役のユアン・マクレガーの影が薄くなってしまったが、これはまあ致し方ないだろう。

 なお、「スーサイド・スクワッド」はジェームズ・ガン監督によってリブートされるとかで、M・ロビーは続投するらしい。まあ“前回”よりヒドくなることは考えられないので(笑)、楽しみに待ちたい。
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