元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「世代」

2019-09-14 06:27:25 | 映画の感想(さ行)

 (原題:Pokolenie )1954年ポーランド作品。アンジェイ・ワイダ監督による、いわゆる“抵抗三部作”の第一作とされているものだが、これが同監督のデビュー作ということもあり、後の「地下水道」(57年)や「灰とダイヤモンド」(58年)に比べれば荒削りで、切れ味や重量感は不足気味だ。しかし、直情径行なタッチや勢いの良さは撮影当時20代だったワイダの若々しさが見て取れる。その意味では観て損は無い。

 第二次大戦中、ドイツ軍占領下のワルシャワ郊外のプディの町に母と暮らす若者スタフは、仲間と共にドイツ軍の貨物列車から石炭を盗むという泥棒稼業に明け暮れていたが、偶然知り合った木工職人の口利きで、工場に雇ってもらうことになる。彼はやがて夜間学校に通い始めるが、その帰り道で抵抗運動勧誘のアジ演説をするドロタという少女を見かけ、一目惚れしてしまう。

 ドロタと知り合うために抵抗組織に入ったスタフは、同僚のヤショも誘うが彼は断った。ある日、スタフがドイツ兵から意味も無く殴られたことに腹を立てたヤショが、武器を手にドイツ兵に仕返しをする。この時から、スタフ達若者グループはドイツ軍と対峙。やがてワルシャワ・ゲットーのユダヤ人たちを救うため、彼らは無謀な介入を決行する。

 正直、前半はメリハリが少なく退屈だった。出てくる若造どもの見分けがつかなかったのもマイナス(笑)。しかし中盤以降、主人公が厳しい現実を直視し、不良少年から頼りになる青年へと成長するプロセスに説得力が出てくる。同志との出会いそして淡い恋も、彼の自覚を後押しする。

 アクションシーンは頑張っており、特に螺旋階段での銃撃戦には思わず身を乗り出してしまった。終盤、今後の身の振り方を決意するスタフの姿は逞しいが、この後のワルシャワ蜂起の結果を考えると、やりきれない気分も残る。

 主役のタデウシュ・ウォムニツキは好演。ドロタ役のウルシュラ・モドジニスカの可憐さも光る。なお、監督デビューする前のロマン・ポランスキーが俳優として出ている。ポランスキーは後年「戦場のピアニスト」(2002年)でこの時代を題材として選んでいることを考えると、実に感慨深いものがある。
コメント
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